うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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秋と言えば……温もりが欲しい季節?

 我らが住まう○○市には、その真下で告白をすれば必ず幸せになれる……という大きな木が存在している。

 いや、どこの恋愛ゲームだよ?……みたいな話だが、これが実際に存在しているのだから手に負えない。

 

 とはいえ、我らTASチームには関係のない話。

 そんな場所を利用する必要も機会も訪れないだろうと思っていたため、それがあるということくらいしか認知していなかったわけなのだが……。

 

 

「あ、お待たせしてしまいましたかぁ?」

「いんや、こっちも今来たところ」

「……ふふっ。ちょっとベタですねぇ、それ」

「…………放っておいてくれ」

 

 

 ──何の因果か、それを利用する機会が来たというのだから、なんとも珍妙な話である、マジで。

 

 

 

;oAo

 

 

 

「……最後にあそこに行くのは決まってますけどぉ、それまでどうしますかぁ?」

「んー。食べ歩きとか?そういうの好きだろダミ子さん」

「大好きですぅ!……けどその、そういうのは……ですね?」

「……いやまぁ、いいんじゃないかね。甘いもの食べるとか、寧ろ女の子らしいというか」

「そう……ですかねぇ?」

 

 

 二人で街を歩きながら、どうやって()()()まで時間を潰すか、と会話を重ねる。

 なんなら手でも繋ぐか、と思ったりもしたが、正直そういうのはあれかなー、とも思うので今のところは保留である。

 とまれ、とりあえずは彼女の──ダミ子さんの好きなことをやらせるのがベターでは?……という話になり、その方向性で進むことに。

 まぁ、俺も別に甘いものが苦手、というわけでもない。

 寧ろ普通に好きな部類なので、そうやって食べ歩きをするのは、中々悪くない選択だと思われた。

 

 さて、そうなってくるとなにを食べるのか?……というのが論点となってくるわけだが。

 

 

「……く、クレープとか、いいんじゃないでしょうかぁ!?」

「うわびっくりした。……声が上擦ってるけど、大丈夫?」

「な、なにがですかぁ?べべ別に、緊張してるとかそんなことは一切これっぽっちもありませんよぉ!?」

「……いや、それって答えを言ってるようなものでは?」

 

 

 ううむ、隣のダミ子さんはどうやら思考回路がオーバーフロー気味のようで、仮になにか食べさせても味とか感じなさそうな状態。

 ……こうなってくると、甘いものより先に苦いものでも食べさせた方が、気付けにもなって丁度良いのでは?……みたいな気分になってくるというか。

 となれば──コーヒーショップ辺りが良いのか?……なんてことを思いながら、彼女の手を引いて歩き出す俺である。

 

 

「あっ……」

「いやだったか?」

「……い、いえ。ちょっとビックリしただけでしてぇ」

「そっか。んじゃまぁ、さっさと行くぞ」

「は、はぃぃ……」

 

 

 ……ううむ、ガチガチである。

 これが()()()()()()()()()のだが、はたして。

 とはいえこのまま彼女の復帰を待っていては時間が足りないので、わりと強引に押しきる形で進む俺なのであった。

 と、言うわけで……。

 

 

「ほい、これでも飲んでちょっと暖まりな」

「あ、はい。ありがとうございますぅ。……にが」

「そりゃまぁ、ブラックだからなぁ。……ミルクと砂糖、いるか?」

「うう、遠慮しますぅ……苦味で頭が冴えてきましたぁ……」

「そっか、ならいい」

 

 

 予定通りにコーヒーショップに到着した俺は、ミドルサイズとラージサイズのコーヒーを購入し、ダミ子さんに差し出して……ラージサイズの方を取られたので、微妙な顔をしつつミドルサイズの方を飲むことになったのだった。……苦いと言いつつ飲むのは飲むのな、などと思ったかどうかは秘密である。

 

 とはいえ、ほどよい苦味が彼女の思考をハッキリとさせるのに丁度よかった、ということに間違いはないようで。

 ほんのり頬を染めた彼女は、周囲の視線を思わず引き寄せてしまうような、そんな微笑みを浮かべていたのであった。

 

 

「えへへ。いいですねぇ、コーヒー。現実の苦しさを思い出すようですぅ」

「……さいですか」

 

 

 まぁ、見た目の可憐さ・可愛さに比して、言ってることは千年の恋も冷めそうな話題だったわけだが。……周囲には聞こえないような小さな声だったので、周りからの視線の色は変化してないけども。

 

 閑話休題、彼女の思考がハッキリしたと言うのであれば、俺達がすることはもう決まっている。

 苦味は甘味を引き立てるモノでもあるので、そのカップの中にコーヒーが残っている内に、他の甘いものを探してあちこち店を回らねば。

 

 

「そうですねぇ。出来得る限りカップルっぽいことしないといけないですしぃ

「……ようやくそこまで脳みそが復帰したか。俺一人じゃ限度があるんだから、呆けるのは止して欲しかったが……戻ったんならまぁいいよ」

「お手数お掛けしました、デートとか初めてだったものでぇ……そういえば、なんで私とアナタなんでしょうねぇ?」

「年齢的な問題」

「わ、わりと世知辛い話でしたぁ……?!」

 

 

 はてさて、いい加減種明かしと行こう。

 俺がダミ子さんとデートなんてことをしている理由。それを離れた場所から尾行している他の面々が居る理由。

 それらは全て、ある作戦のための仕込みである。その作戦とは──、

 

 

「──恋愛成就の大樹伐採大作戦。……周囲に知られたら事だよな、これ」

「わわわ、しーっ!しーっですよお兄さん!」

 

 

 あの大樹を斬り倒すため、だというのだから、世の中わからないものである。……カップル達に恨まれそう(小並感)

 

 

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