カンストエンジョイトレーナーは頂に届く夢を見るのか   作:流々毎々

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久しぶりの投稿です。
ちょっと挑戦気味な文章にしたので内容が合わなかったら申し訳ありません。


王の名を冠する者

 

「何とかここまで来れたか」

 

 スタジアムの中にある控え室で誰に言うまでもなく俺はベンチに腰掛けながらそう呟く。ファイナルトーナメントのAブロックの初戦を勝ち抜いた俺は、そのまま続く2回戦・3回戦を順調に勝ち抜く事が出来た。

 ダンデに挑めるまで、残るはBブロック代表者との決勝戦のみだ。今俺は先にAブロックでのバトルが終わってしまった為、Bブロックでの試合が終わるのを控室で待っている形になる。

 

 最初は参加選手で賑わっていたこの場所も、今では俺一人となってしまった。そこに少しの物悲しさを感じつつ俺はボールに入っている、手持ちのポケモン達を確認する。

 

「皆、それなりに消耗しているな…」

 

 ここに来るまでに俺は3回バトルをして勝ち抜いて来た訳だが、どのバトルも一筋縄では行かなかった。これは薄々気が付いていた事だが、俺のポケモンバトルのスタイルはトーナメント戦と相性が余りよくはない。

 俺のバトルスタイルは基本的にレベル差によるゴリ押しだ。タイプ相性が良かろうが悪かろうが、全て正面から叩き伏せてきた。それが結果的に最短の勝利へと繋がってきたのだ。

 

 だがその代償は軽くは無い。後先考えない常に全力で攻撃するスタイルは単発の短期決戦においては無類の爆発力をほこる。ワイルドエリアの時も、群れを相手にしなければ高レベルのポケモン一体とのバトルを断続的に行うだけで良かった。

 しかし、トーナメント戦では少し勝手が違う。トーナメント戦では、高レベルのポケモンと短期間で連続して戦う必要があるのだ。

 

 ファイナルトーナメントともなれば、ほとんどのトレーナーが5〜6体のポケモンを揃えてバトルに臨んでいる。それが×3回。Aブロックの代表になるまでに約15〜18体のレベル50越えのポケモンと相対する事になるのだ。

 そんな数のポケモンと馬鹿正直に真向勝負を繰り返せば、いかにレベル100のカンストポケモンパーティと言えど消耗は当然である。

 

 これに関しては完全に俺の見通しの甘さが原因で無駄な消耗を手持ちの相棒たちに強いてしまった。少しでも考えれば回避できたミスだ。

 言い訳をするならば、俺はファイナルトーナメントまでのポケモンバトルで苦戦をする事があまりなかった。ぶっちゃけて言えば、レベル差のお陰でほぼ一撃で型が付いてきたからだ。

 

 その過程もあってか、俺はワイルドエリアでのレベル上げ期間からそのままのバトルスタイルに変更を加えずにファイナルトーナメントまでやってきた。

 しかしチャンピオンシップまで残ったジムリーダーを含む、トップ選手達はそれまでのトレーナーとは格が違った。

 

 全員が勝ちを諦めず、俺のカンストパーティに対する戦法を用意して待ち構えていた。結局は地力の差で俺が勝ち上がってきたが、どれも楽勝とはいかず体力を予想以上に削られてしまった。

 とは言え、今更戦い方を変える事など出来ない。状況に応じて複数の戦法を入れ替えられる程、俺や手持ちのポケモン達は器用な方では無い。

 

 ここまで来たならば最後まで突き抜けなければテンションの維持も難しくなって来る。兎に角あと一戦。後一回勝てれば、午前の部が終わり午後のチャンピオン戦まで休憩が取れる。

 

「負けない。俺とカンストポケモン達が負けるはずがない」

 

 その様に言葉を漏らす俺に、どん!!と音と共に表のスタジアムの観客の盛り上がった声が聞こえて来た。おそらくではあるがBブロックの試合が終わった様だ。

 俺はゆっくりと控室にあるトーナメント表が掲示してある壁を見上げる。

 

 そこに表示されていた選手はー

ーーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

『朝から始まったこのチャンピオンシップ午前の部。ファイナルトーナメントも残す所、後一試合になりました。Aブロック・Bブロックの代表選手は次の通りです』

 

ーAブロック代表・セミファイナリスト マックス選手

ーBブロック代表・炎タイプジムリーダー カブ選手

 

「やあ、マックス君。控室の時振りだね」

「カブ選手」

「何となく、君ともう一度会うのならここ(決勝戦)だと思っていたよ」

「そうですか・・・」

「お互いに悔いの残らない勝負にしよう」

「はい」

 

 俺とカブ選手はそう言葉を交わすとそれぞれバトルフィールドの所定の位置に着く。俺はそのまま前を見るとカブ選手と目が合った。その目は炎タイプのジムリーダーの名に違わぬ程の熱量を感じ、思わず陽炎を幻視する。

 そしてファイナルトーナメント最後の戦いが始まった。

 

「さあ、行くぞ!炎とは上に燃え上がる。だから僕も上を目指す!」

「勝利は譲らない。チャンピオンに挑むのは俺だ!」

 

 カブとマックスは裂ぱくの叫びと共にお互いのポケモンを繰り出す。

 

「ゆけ、エンニュート!」

「出番だ、ルカリオ!」

『さあ始まりましたファイナルトーナメント最終決戦!ここでの勝利者が、午後の部でチャンピオンダンデと勝負することになります。ミドル世代同士の対決、勝負を制するのは果たしてどちらになるのか!?』

『カブ選手はエンニュート。マックス選手はルカリオを選択。中々珍しい顔合わせですね』

 

 カブから繰り出されたエンニュートはバトルフィールドに足が着くなり四つん這いとなり、その特徴的な長い手足を駆使してその場を駆け回る。対してマックスのルカリオは駆け回るエンニュートを追うことはせずにその場にどっしりと構える。肩幅に開いた足をそれぞれ前後に置き両手は相手に手の平を向けつつ軽く前へと出す。その瞳は高速で駆け回るエンニュートをしっかりと捉えていた。

 

 ルカリオの動体視力ならあのエンニュートを見失うことはない。毒技は痛くはないだろうし警戒するのは炎技だけでいいはずだ。と、そのように考えているマックスをよそに、エンニュートはルカリオに向けて攻撃をしかける。

 

「エンニュート、”フレアドライブ”だ!」

「キュエー!」

「な、初手から大技だと!?」

 

 甲高い叫び声と共にエンニュートの体は炎を纏いルカリオへ突撃する。いきなり大技を使用してきたエンニュートたちに驚くマックスとは違い、ルカリオは冷静にこちらに突撃してくるエンニュートを見据える。

 ルカリオは相手が進路をギリギリで変えることが出来る距離の間で上半身を右側に傾けた。そんなルカリオを逃がすまいとエンニュートの進路がブレたその、瞬間、ルカリオは左足を外側へ逃がしそれを軸に右足を引くことによって体を高速で半回転させる。その結果、エンニュートの”フレアドライブ”は右にずれたこともありルカリオの前を素通りする。

 

「良いぞルカリオ!」

「なんて器用な避け方だ」

 

 ”フレアドライブ”を避けられたエンニュートは足でブレーキを掛けて、慌てて後ろにいるルカリオと向き合うために振り返る。しかしルカリオはエンニュートの視界から自分が消えるのと同時にその隙を利用して側面へと回り込んでいた。

 ルカリオはこちらの姿を見失うことで一瞬硬直してしまったエンニュートの腕を捕まえる。腕を掴んだルカリオはエンニュートを軸にして円を描くように走り出す。

 

「いったい何をしているんだ?」

『マックス選手のルカリオ、カブ選手のエンニュートの腕を掴んで走り回っております。上から見えるその姿はまさしく台風の目です!』

 

 回る視界。揺れる三半規管。

 目まぐるしく変わる景色になすすべなく振り回されてしまっているエンニュートの思考能力は落ち、振り回されたまま軽い混乱状態になってしまった。

 それを見たマックスは指示を出す。

 

「今だルカリオ、押せ!」

 

 マックスからの指示にルカリオは即座に反応。エンニュートを軸に走り回るのを止めて背中に回り込む。そして両手でエンニュートの肩を抑えると”しんそく”を用いて押しながら走り出す。混乱状態に陥っていたエンニュートは反射的に倒れまいと足を前に出してしまった。さらに流れでもう一つの足を踏み出すことによってルカリオの”しんそく”を推進力にした変則的な走行が始まってしまう。

 強制的にオーバーペースで走らされてしまうエンニュート。当然、歩幅もバラバラで今にもコケてしまいそうだ。

 

 たまらずエンニュートは尻尾を用いてルカリオを叩き落とそうする。だがそれを察したルカリオはエンニュートの背中からエスケープ。尻尾の攻撃を食らうことなく安全に地面に着地する。

 対するエンニュートは推進力を失ったことと無理やり体を動かしたせいでバランスを崩しそのまま地面を転がった。

 

「エンニュート!」

 

 そんな姿を心配して思わず声を上げしますカブであったが、エンニュートはそれどころではなかった。

 早く立ち上がらなければ、追撃が来てしまう。そんな思いに支配されたエンニュートは上手く動かない体に喝をいれて何とか体勢を整えようとしていた。しかし体を振り回され、無理な走行を強制された影響でエンニュートの思いとは裏腹に体は言うことを聞いてくれずジタバタと藻掻くことしかできない。

 

『これは・・・いったいどういうことでしょうか』

『そうですね、追撃には絶好の機会だと思われますが・・・なにか考えがあるのでしょうか?』

 

 ふとエンニュートは違和感を覚える。自分は今かなりの隙を晒しているのも関わらずまったく攻撃がやってこないのだ。不思議に思いエンニュートは顔を持ち上げてルカリオの方を見る。そこにはどっしりと構えたルカリオがバトルの初めと変わらず不動の姿勢で佇んでいた。

 その姿を捉えたエンニュートは己の体が熱くなるのを感じた。追撃を掛けていれば高確率で戦闘不能にまで持って行けたのにも関わらずそれを無視してこちらの無様な姿を眺めている。

 

 まるでお前などいつでも倒せる、と言外に突き付けられて冷静でいられるものは少ない。舐められている。少なくともこちらを眺めているルカリオの姿を見てエンニュートはそう感じた。

 ルカリオの行動は是非に関わらず、それは仮にもジムリーダーの手持ちとして数多のポケモンバトルを経験してきたエンニュートのプライドを大いに刺激した。

 

「グアー!」

「エンニュート、待て。待つんだ!」

 

 視界が赤く染まったエンニュートはカブの指示もそっちのけに出鱈目に動き出す。手足を無理矢理動かし、体が悲鳴を上げているのも無視してルカリオに突っ込み攻撃技を乱舞する。

 そしてエンニュートは”どくどくのキバ””ドラゴンクロー””ポイズンテール””オーバーヒート”と次々技を繰り出す。

 

『エンニュート、怒涛の攻撃だ!しかし、マックス選手のルカリオには届かない。この連続の攻撃をものともせずに次々捌いていく!』

 

 ルカリオは飛び掛かって来たエンニュートの”どくのキバ”をギリギリまで引き付けてから足だけ動かし一歩下がる。己の目の前でバチンッと閉ざされるエンニュートの口を視界に収めながら、弧を描くようにして放たれた”ドラゴンクロ―”を腕を差し込み体に届く前に止める。そのままの勢いでルカリオは相手の懐に入り肩口で胴体を押し出すように宙に飛ばして距離を空ける。しかしエンニュートは負けじと空中に飛ばされながら体を反転。

 背面にある尻尾を鞭のように伸ばして”ポイズンテール”を放った。

 

 これをルカリオは上体をギリギリまで反らしてスウェーで避ける。鼻先を掠めたエンニュートの尻尾を見送ってから上体を戻したルカリオの目に映ったのは大きく開けた口から”オーバーヒート”が放たれた瞬間だった。

 放物線上に広がる”オーバーヒート”をこの距離で避けるのは至難。かと言って正面から炎技を防いでしまえば少なくないダメージ負う。避けることも防ぐことも難しい。ではどうするか?

 答えは単純。なれば捌くのみ。

 

 態勢を整えたルカリオは迫りくる”オーバーヒート”に対して腕を突き出しそのまま円を描く。滑らかな円運動。それは淀みなくされど高速に循環する。するとどうだろうか。

 ルカリオを焼き尽くさんと吐き出されたエンニュートの”かえんほうしゃ”は、ルカリオに届くことなく見えない壁にでも当たったかのように周囲に散る。

 

「落ち着くんだエンニュートッ、そのままではいけない!」

 

 カブはルカリオの摩訶不思議な防御術に目を見張りつつもオーバーペースで行動を続けるエンニュートに警告を飛ばす。

 幸いにしてカブの声は怒り心頭であったエンニュートの耳に届いた。だがそれは態勢を立て直すには一歩遅かった。

 

 ガクンっと唐突にエンニュートは体から力が抜けて倒れてしまった。

 

「グァ???・・・」

「エンニュート!?」

 

 意識はある。だが苦しい。呼吸さえし辛いその体たらくで、それはルカリオに振り回された時以上の苦痛となってエンニュートの体を蝕んだ。

 

『どういうことでしょうか?カブ選手のエンニュートが突然倒れてしまいました!』

『マックス選手のルカリオから特に攻撃を受けていなかったはずですが・・・、不思議ですね』

 

 エンニュートが陥ってしまったそれは人間で言う所の酸欠状態(チアノーゼ)であった。

 まず最初にルカリオによって出鱈目に振り回されたことによってエンニュートの呼吸は倒れてしまう程に大きく乱れてしまった。そこから回復する前に感情に任せ無理をして体を動かしてさらに悪化。とどめに自分にかなり負担の掛かる大技である”オーバーヒート”を放ってしまったことにより、エンニュートは限界を迎えてしまったのだ。

 

 いくら生命力に溢れるポケモンとてダウンしてしまう程の酸欠状態がすぐに回復ることはない。

 故にー

 

『あーと、ダウンしてしまったエンニュートですが戦闘続行が不可能と判断されたようです』

『もしかしたら弱った状態で、連続で技を繰り出したのが良くなかったのかもしれませんね』

 

 エンニュートが戦闘不能を言い渡されるのは必然であった。

 

「戻ってくれエンニュート」

 

 失態である。そうカブは己を叱責する。エンニュートが勝手に動いてしまった時点で言葉ではなくボールに戻して交代するべきだったのだ。そこの判断が遅れてしまったことによりエンニュートに負担を強いてしまった。

 

(とは言え反省は後だ。今は向こうに流れてしまったペースを取り戻さなけば!)

 

 即座にメンタルリセットをしたカブは再び気合を入れて対峙するルカリオを見つめる。そしてそれに気付く。

 

「あれは、まさか・・・。ならば次の出番は君だ!」

『カブ選手の次なるポケモンはウインディです!』

『でんせつポケモンのウインディですか。マックス選手のポケモンもそうですが、ウインディ自体かなり素早いポケモンです。先ほどのエンニュートに使用した戦い方が果たして通じるのでしょうか?注目です』

 

 大型犬を優に超える巨体を持つウインディだが、その外見とは裏腹に軽やかにバトルフィールドに降り立つ。そしてカブは様子見をすることなく速攻を仕掛ける。

 

「ウインディ、”しんそく”からの”かえんほうしゃ”だ!」

「ルカリオ、”しんそく”だけ大きく避けるんだ!」

 

 ”しんそく”は”でんこうせっか”よりも早く威力のある攻撃である。ましてやウインディ程の巨体から放たれるそれは身体の一部が掠るだけでも吹き飛ばされてしまうだろう。故にマックスは紙一重の回避ではない避け方を指示した。

 ルカリオは正しくマックスの指示を理解して大きく飛び避けようとした。その時、ガクリ、とルカリオの体が崩れ落ちた。

 

「ルカリオ!?」

 

 足が止まってしまったルカリオに間髪入れずにウインディが突撃する。ルカリオは咄嗟に腕を十字に交差させ急所に当たるのを防ぐ。しかしウインディの”しんそく”の勢いに負け、大きく吹き飛ばされてしまった。

 そこにウインディは追撃の”かえんほうしゃ”を放つ。吹き飛ばされたルカリオは胴体から地面に落ちてしまったが、その勢いを殺さずゴロゴロと転がることによって”かえんほうしゃ”をかろうじていなすことに成功する。だが直ぐに立ち上がる事が出来ず、その場に片膝を付いてしまう。

 

「どうしたんだルカリオ」

『マックス選手のルカリオ、いきなり態勢を崩してしまいました』

『これはもしや?』

 

 マックスは内心で焦りながらルカリオを注視する。よくよくルカリオを観察すれば顔色がかなり悪い。攻撃事態もそれほど受けていないのにも関わらず肩で息をし始めた。

 

(これはまさか状態異常()か?だがルカリオは鋼タイプでもある。毒の効力は薄いはず、何故だ?)

『おそらくこれはエンニュートのせいでしょうね』

『と言いますと?』

『エンニュートの一部の個体は体表から特殊な液を分泌します。そしてそれに触れた生物を中毒状態にすることができるのです。これは毒に強い鋼タイプも例外ではありません』

 

 トゥークが語るように、エンニュートの特性によっていまルカリオは毒に侵されてしまっていた。毒に強い鋼タイプであったため発症が遅くなり、マックスも直ぐに気が付くとが出来なかった。唯一、正面からルカリオを見ることができたカブのみが顔色の変化を見て一早く察することができた。

 

「チャンスだウインディ。”フレアドライブ”!」

「戻れ!ルカリオ」

 

 カブは止めとばかりに大技を指示する。しかしそれより数舜早くマックスがルカリオをボールに戻す。結果、ウインディの”フレアドライブ”はルカリオがいた場所を空振りする。

 

「むぅ、一手届かなかったか・・・」

『マックス選手、ルカリオを手持ちに戻したようです』

『素晴らしく速い判断でしたね』

 

 危なかった。流石に今の”フレアドライブ”が直撃していればレベル100のルカリオと言えど戦闘不能になっていたかもしれない。そのようにマックスはひとりでに思う。

 そしてルカリオを手持ちに戻したからには次のポケモンを繰り出さなければいけないのだが・・・

 

(どうする?こっちもウインディを出すか・・・。いや駄目だ)

 

 ウインディは機動力のあるポケモンだ。故にこちらもウインディを出して対抗しようと考えたマックスであったが直ぐに思い直す。と言うのも、マックスはこれまでの2回戦・3回戦共にウインディをバトルで使用してそれなりに酷使してしまっていた。これもマックスの手持ちの中でウインディが一番体力があるが故であった。

 だがさすがにここでさらに使用してしまっては最悪、本当にガス欠になりかねない。

 

(ウインディ以外で機動力がある手持ちはー)

「よし。決めたぞ、カイリュー!」

 

 マックスの手持ちの中で空に限るならば随一の機動力持ち合わせているカイリュー。その戦闘力は一度空に飛んでしまえば手が付けられなくなるほどだ。

 故にカブはカイリューが出てきた時点で即座にウインディに指示を出す。

 

「ウインディ、”しんそく”からの”フレアドライブ”だ!」

 

 カブが選んだのは速攻からの最大火力特攻。マックスのカイリューは基本的にバトルフィールドに出た後はすぐに飛翔して一方的な爆撃攻撃を開始する。だからこそ飛ばれる前に勝負を決めに行くのは間違いではない。特にカブの手持ちの中には飛行タイプのポケモンがいないので余計に速攻を仕掛けなければならなかった。故にカブの選択肢はベターな一手だった。

 唯一、カブが見落としていた点はカイリューからの反撃を軽視してしまったことである。

 

「ガアァー!!」

「キャンッ」

「ウインディ!?」

 

 マックスのカイリューは”しんそく”にて迫りくるウインディのその姿を見て逃げる訳でも防ぐわけでもなく、真正面から迎え撃った。拳を握りしめ腕と背筋を隆起させ、間合いに入ったウインディの額を正確に捉えてその拳を振り抜いた。ウインディは己の額にぶち当たったカイリューの予想以上に強力な拳に耐えれず逆に後ろに吹き飛ばされてしまう。

 

 普段は直ぐに空中へと飛び立ってしまうマックスのカイリューを見て忘れがちになってしまうが、元々カイリューのポテンシャルはトップクラスである。そのタフさはマックスのバンギラスにも引けを取らない。

 故に反撃を考えていなかったカブのウインディが弾き返されてしまうのは当然の事であった。そして間を空けてしまった事によりカイリューの動きを妨げる障害がなくなってしまった。こうなればカイリューの次の行動は明白だ。

 

 カイリューは翼を広げると自分の領域()へと飛翔する。

 

「くッ、ウインディ。狙い撃ちがやってくるぞ。走るんだ!」

「バウ!」

 

 ウインディは星が瞬く視界を頭を振って無理矢理覚ますと、カブの指示通り走り出す。

 対してカイリューは上空から走り回るウインディを見下ろしつつエネルギーを充電。溜めたそれは竜の力を帯びて妖しく発光する。次の瞬間カイリューを中心にその力が解き放たれ、”りゅうせいぐん”となってウインディに降り注ぐ。

 

 初弾は素早く動くウインディの周囲に”りゅうせいぐん”を落として勢いを弱める。次弾からは退路が狭まったウインディに向けて数多の”りゅうせいぐん”が飛来する。

 ウインディも器用によけ続けたが、次第に行動範囲が狭まって行くことでとうとう”りゅうせいぐん”が命中し足を止めてしまう。それを確認したカイリューは残りのエネルギーを使い、その場所に向けて集中砲火する。

 

「ウインディ、大丈夫か!?」

 

 カブの声が木霊する中、カイリューはゆっくりと高度を下げてウインディの姿を確認しようとする。あたかもその姿は空に君臨する王者そのものだ。

 自然とそんなカイリューに周りのいる観客は恐れを抱いた。

 

『これは・・・、ダメです。”りゅうせいぐん”が直撃したウインディ、立ち上がる事が出来ません』

『戦闘不能ですね』

「よくやってくれた、ウインディ。休んでくれ」

 

 強大な力で勝利をもぎ取ったカイリューに会場にいる皆が圧倒される中、マックスはカイリューの姿を見て訝しんでいた。

 

(あまり調子が良くなさそうだな・・・)

 

 マックスの手持ちのポケモンたちは基本的に出し惜しみと言うのをしない。先ほどのカイリューの攻撃も普段なら”はかいこうせん”や”りゅうのいぶき”などで足止めしてから”りゅうせいぐん”で止めを刺しに行っていたはずだ。

 それを”りゅうせいぐん”だけに止めたと言うことは明らかにスタミナの節約を意識している。

 

(やはり3回戦の試合が尾を引いてしまったか)

 

 マックスがファイナルトーナメント最終決戦の前の3回戦の相手は飛行タイプのポケモントレーナーであった。なのでマックスのカイリューはその試合でほとんど出ずっぱりであったのだ。

 カイリューの負担を考えるならばこれ以上の続投は避けるべきだ。

 

(疲弊具合がマシで連戦できる俺の手持ちはー、ダメだ。問題児しかいない!)

 

 実は一体だけマックスの手持ちの中でカブのポケモンたちに有利を取れるタイプが存在している。しかしそのポケモンはある意味、暴君であるバンギラス以上に使用が躊躇われるポケモンでもあった。

 

「行ってくれ、コータス!」

「えーい。背に腹は代えられん。戻ってくれカイリュー。行けミロカロス!」

『おっと、マックス選手、カイリューに引き続き2度目の交換です』

 

 カブがコータスを繰り出す中、マックスはカイリューを引っ込めると例のポケモンを場に出した。

 

「コォタス!」

 

 カブのコータスが雄たけびを上げながらバトルフィールドに降り立つのとは真逆に、そのポケモンは静かに姿を現した。

 

「ーーー」

 

 そのポケモンは一言で言い表すなら、ただ、ただ、美しかった。

 儚げに俯く美顔。揺蕩う長い胴はそれだけで人目を惹き付ける。その赤の瞳は常に潤んでおり、映る角度によっては宝石のルビーにさえ見えた。また全身を覆うきめ細やかな鱗は何かを塗っている訳でもないのに妖しげな色気を感じさせる。細く長い柳眉と紅色の髪はそれ自体が光を放っていると言われても不思議ではない程の光沢を帯びていた。

 

 この世で最も美しい生物の一体と謳われるポケモン。その名はミロカロス。マックスの最後の手持ちにしておそらくは一番の問題児である。

 

「おお、なんと綺麗な・・・」

「コータス」

 

 カブとコータスは思わず今がバトルの最中であることを忘れてマックスのミロカロスに見入ってしまった。実際にそれだけの美しさをこのミロカロスは持ち合わせていた。

 

 そのまま見つめていると、ふと俯いていたミロカロスがこちらに向けて顔を上げた。目が合う。真正面から見つめず、横顔からの流し目が確かにコータスの姿を捉えた。

 

 たったそれだけのことでコータスは魅力されて(ハマって)しまった。

 

「こぉー」

「コータス!?まずい、しっかりするんだ!」

 

 カブの必死の声も今のコータスには届かない。

 甘いシビレが走る全身に酩酊感すら感じるコータスの頭の中では、ただミロカロスの瞳を見つめ返す事しかできない。

 コータスが夢中になって見つめ居ているミロカロスがゆっくりとだが顔を正面に向けた。すると何かがミロカロスの顔の前に集まるとチカっと光る。

 

 コータスはそれが何かと疑問を抱く前に意識を洗い流され、そのまま暗闇へと沈んでいった・・・。

 

『き、決まったー!ミロカロスの”ハイドロポンプ”が無防備なコータスに直撃。一発でコータスを沈めてしまいました!!』

『なんといいますか、色々とすごいですね』

「く、コータス・・・」

 

 カブ選手が戦闘不能になったコータスを手持ちに戻すのを見て俺は思わず苦い顔をした。何てことはない。ミロカロスが自前の美しさで相手を魅力で虜にし、惚け切った相手(コータス)”ハイドロポンプ”(最大火力)をぶち当ててワンパンしただけである。いつものミロカロスの手口だ。

 しかし、必死に自分のポケモンを正気に戻そうとするトレーナーをよそに無慈悲な一撃を叩き込んで勝利するのは何度やってもなれない。

 

 こちらは得も知れぬ罪悪感が込み上げてきていると言うのに、当の元凶はこちら(マックス)に振り向きニヒャリと笑うのだ。

 

(悪魔だ・・・悪魔がいよる)

 

 こちらを見つめるのを満足したのかミロカロスは改めて正面に向き直る。そこに映し出されているカブ選手の顔色は決して芳しいものではなかった。

 

『さあ、カブ選手の手持ちのポケモンも残り2体です。ここから逆転を目指すのはかなり厳しい状況です』

『そうですね。しかしカブ選手にはまだダイマックスも残されております。まだ分かりませんよ?』

「スゥー、ハァー」

 

 カブは己の心を落ち着けるために深く深呼吸する。

 

「そうとも、まだ終わってはいない。勝てる道筋はあるはず。頼む、キュウコン!」

「コォーン!」

 

 カブは諦めずに次のポケモンであるキュウコンを繰り出してきた。そいてコータスの時と変わらず、ミロカロスはキュウコンを見つめた。

 キュウコンは目が合うのと同時にドキリとした感覚が体を襲うのを感じる。まさしく魔性の美。このポケモン(ミロカロス)はきっと息をしているだけで、あらゆるポケモンを支配してしまえるのだろう。

 だがキュウコンは歯を食いしばってその魅力に抗った。

 

 キュウコン自身がミロカロスに劣らぬほどの綺麗なポケモンである事。オスではなくメスであること。他にもあるが、主にこの二つの要素がキュウコンを木偶にするのを防いだ。

 

 ミロカロスはそんなキュウコンを最初は不思議そうに見つめた。首をかしげて愛らしい疑問の声を上げる姿は誰もが保護欲を掻き立てられるだろう。

 しかし、次第にキュウコンが自分の美しさに靡かないことを理解し始めるとーーーーーー

 

ミロカロスは何の躊躇もなく、瞬きの時間も掛けずにブ千切れた

怒りの日である

 

「キィエエエエエェェェぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

「うわぁ・・・」

「な、なんだ?」

「コ、コーン?」

 

 ならない。あってはならない。ミロカロスにとって己の美しさとは絶対の価値観(アイデンティティ)でありあらゆる生き物は自分の魅力に傅くことが当然のこととして認識している。故に、目の前のキュウコンの存在を許してはならない。

 己の美しさに抗うもの。それはミロカロスの逆鱗を踏み締める唯一の存在なのだ!

 

 理不尽な事この上ない。

 

「なんと異形な・・・」

『こ、これは一体どういうことでしょうか?マックス選手のミロカロスが・・・か、変わって行く?』

『本当に、マックス選手は飽きさせてくれませんね・・・』

 

 ボゴリ、とマックスのミロカロスの体が陽炎と共に隆起する。全身を揺らす震えは怒りのせいか。光沢を放っていた髪は怒髪天。赤かった瞳はさらに充血し、窪みを飛び出し痙攣を繰り返す。眉間を中心に出来た皺は顔全体に広がり化生と見間違えるほどの形相だ。胴体に至っては怒りで血流の流れが加速しているせいか赤みを帯び血管が目に見える形で盛り上がっていた。

 美しさの反対とは醜さか・・・否、怒りによって歪められたそれは般若となるのだ。鬼神の登場である。

 

「キイエェェェ!!」

「は、いけない。キュウコン、近づけさせるな!”だいもんじ”だ!!」

「クオーン!」

 

 ドォッと音と共に、怒りの化身となったミロカロスが地面を抉りながら高速で蛇腹走る。かなり怖いし近づけたくもない。

 故にカブはキュウコンに高威力(だいもんじ)の技で迎撃を試みる。まっすぐ突っ込んでくるミロカロスに対して、清めの大の字の炎が炸裂した。しかしー

 

 ミロカロスはキュウコンの技など意に課さず、大の字のど真ん中を己が体でぶち抜く。狂戦士と化したミロカロスはそんじょそこらの事では止められないし止まらない。なまじ体重がある分、勢いが付くと大抵の技は引き潰してしまうのだ。

 さらに今のミロカロスは怒でリミッターが外れてしまいある程度のダメージを無視できる疑似的なスーパーアーマー状態である。

 バンギラスやカイリューと言った生粋の上位ポケモンが持ち合わせるタフさを切れることで再現してるのだ。

 

「ガ嗚呼アアァァ!」

「キャン!」

「しまった、キュウコン!!」

 

 ”だいもんじ”を打ちやぶったミロカロスはそのままキュウコンにタックルをかますと同時にカチ上げる。宙にまったキュウコンの胴体めがけて自分の尻尾を叩き付けた。

 こうなったミロカロスは技などと言う女々しいものには頼らない。ひたすら肉体言語によるステゴロで相手を殲滅するのだ。

 

「オオオォォㇻァ!」

「コォ、ン」

 

 ミロカロスは最後に渾身の頭突きをキュウコンにお見舞いするとそこで漸く追撃を止めた。体が高温になったお陰か激しく蒸気が立ち上る中、肩で息をしてキュウコンをねめつける。

 

『カブ選手のキュウコンは・・・駄目です。立ち上がれません』

『戦闘不能ですね』

「く、キュウコン・・・。いやまだだ。勝てる道筋を諦めるなカブ!マルヤクデ、キョダイマックスだ!!」

 

 倒れたキュウコンを戻したカブは最後のポケモンであるマルヤクデを繰り出しキョダイマックスを使おうとする。

 だが、

 

「させるかよ、戻れミロカロス。決めてこいサンダース!」

 

 カブ選手の様子を察した俺は急いでミロカロスを戻してサンダースをバトルに召喚する。

 俺のサンダースの行動はシンプルイズベスト。たった一つの目的に向かい慢進する。キョダイマックスなんてさせない!

 

 場に出たサンダースはすぐに目標(マルヤクデ)を確認。パチリと電気を流すと滑るような独特の走行でマルヤクデに接近し、その長い体に取り付く。

 

『なんとマックス選手のサンダース、カブ選手のマルヤクデに張り付いた!』

『これはいけませんね。下手をすればカブ選手はマックス選手のサンダースを自分のボールにいれてしまいかねません』

「これでは、キョダイマックスができない。マルヤクデ、何とかして振り落とすんだ!」

 

 しかし、カブの命令とは裏腹にマルヤクデは己の胴体に引っ付くサンダースを振り落とす事ができない。

 

(ダイマックスは使用する時は一度出したポケモンをもう一度戻さなきゃならない。つまりその射線上に割り込めば間接的にダイマックスを封じることが出来る!)

 

 選手は相手のポケモンを自分のボールに誤って入れてしまった場合、故意か否かに関わらず失格となる。これはこのルールを利用した戦術だ。

 もちろんただ邪魔するだけでは効果は薄いだろう。だが、マックスのサンダースのようにべったり体に引っ付かれると相手からしたらかなり面倒だ。

 

 何よりマックスのサンダースは静電気を上手く使い、引っ付き虫のような粘着力を得つつ氷の上にでもいるかのようにマルヤクデの長い胴体をスライド移動している。これでは狙い撃ちしたくてもできまい。

 

「マルヤクデ、”もえつきる”だ!」

 

 このままでは拉致が空かないと判断したカブは高威力の技でサンダースを落とそうとする。

 

「時間をかけすぎましたね、カブ選手」

「何?」

『マルヤクデの体が炎に包まれていく!しかし、同時にサンダースの体が光輝いています。一体何が起こるんだ!!』

「ぶちかましてやれ、サンダース!!」

 

 サンダースはマルヤクデに引っ付き、その体に纏わり追いているのと同時に自分の中でずっとエネルギーを貯めていた。そのエネルギーが臨界点を迎えるのと同時にサンダースの体が白く発光する。

 そしてサンダースはそのエネルギーを何の躊躇もなく開放した。

 

 轟音と共に会場が、白い閃光で埋め尽くされたー

 

『つゥ・・・、とんでもない爆発が起きました。会場を包んだ煙が徐々にではありますが晴れていきます。果たして両選手のポケモンの安否や如何にー。あっと、サンダース・マルヤクデ共にダウンしています!』

 

 爆発が晴れたその場所ではクレーターが出来ており、その中央でサンダースとマルヤクデが重なるようにして倒れていた。

 

『き、決まったー!!ファイナルトーナメントを制したのはマックス選手です!!!!!』

「お、終わった?」

「そうだね、僕の完敗だ」

 

 マルヤクデを手持ちに戻しつつ、カブ選手は俺に近付いてくる。俺もサンダースを戻しカブ選手に向かって歩く。

 

「カブ選手」

「おめでとう、マックス君。君はファイナルトーナメント制覇者だ」

「・・・」

「月並みの言葉ではあるけれども、僕や今までの皆の分までの思いを胸にダンデ君に挑んでくれ。応援してる」

「ありがとうございます。絶対に勝ちます」

『両選手、バトルフィールドの中央で硬い握手が交わされています』

『とうとうチャンピオンダンデに挑む選手が決まりましたね』

『はい、そうですね。それではチャンピオンシップ午前の部はここで終了となります。ここからはバトルフィールドの整備が挟まった後、午後の部まで様々なイベントが開催されます。皆様、そちらの方もお楽しみ下さい』

『ここで一息付きましょうか』

『なお最後に、このチャンピオンシップはS&S財閥団・スカーレット財閥・バイオレット財閥・ポケモン運営委員会他57社のスポンサーの提供がなされています』

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「勝った」

 

 ファイナルトーナメントを制したマックスはすぐに当てがわれたホテルの個室に戻り、相棒であるポケモンたちの回復に努めていた。今から午後の部のチャンピオン戦までそれなりに時間があるとは言え、消耗した体力をどれだけ取り戻せるのやら。

 

「それでもようやくここまでこれた」

 

 後は勝つだけだ。そう意気込むマックスはゴロリと部屋に備え付けてあるベットの寝転がる。自分はほとんど案山子だったとは言えさすがに慣れない場所での試合は疲れた。今は休もう。

 眠気が来るまで軽い手持ち無沙汰になったマックスは久しぶりにネットの海を漂うことにした。己の評判はどうなっているのやら・・・

 

「・・・ふ」

 

 思わず、といった感じで笑いが漏れた。己の評判をされている場所はすぐに見つかった。そこの場所の内容があまりにもチープであったため反射的に笑ってしまったのだ。

 

 

 

○○年度、チャンピオン挑戦者の記事

 

暴力的  意味不明なバトルが多い  あまりにも非人道的では?  理解に苦しむ・・・etc

 

 

挑戦者の異様なポケモンたち

 

・なんか空を走り出す陸上炎ポケモン

・光ったと思ったら突然大爆発を起こす引っ付き虫、むし??。正体はモンボ姿のあいつでも無ければ地面・岩タイプのやつでもない。え、どうなってんの?

・暴虐の化身。殴り合いを楽しむ戦闘狂

・航空爆撃機。相手は死ぬ。

・相手をひたすら嬲り、精魂尽き果てた姿を見下すヤベーサディストポケモン

・クラッシャー。あの怒りの形相が夢に出てきて漏らしたんだが?

etc

 

今大会ファイナリストのマックスって何者?

 

「絶対堅気じゃないだろ、あいつ」

「草」

「初手ヤ〇ザ扱いは草はえますよ」

「いやでもやばくない?」

「あんなのが今まで無名で居たという事実」

「それなw」

「でもちょっと怖いもの見たさでワクワクしてるわ」

「ワイもw」

「もしかするとこのままダンデも倒すんじゃなかろうか」

「さすがにそれはない」

「いやでも」

・・・etc

 

✕ファイナリストトレーナー マックス → 〇最凶のトレーナー 魔王 マックス

 

 

 

「魔王・・・魔王ね。いいじゃないか」

 

 内心で少し抵抗感を感じつつも中々らしいのではないかと思えてしまう。上等じゃないか。悪党の親玉らしく王冠を頂いてこようじゃないか。

 

「待ってろよ、チャンピオンダンデ」

 

 そう決意を固めるマックスはゆっくりと瞳を閉じるのであった。




多分、次でダンデ戦が終わると思います。

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