NTロリ娘。   作:にゃあたいぷ。

11 / 54
総評価数が200を超えました。なんか毎日が凄いです。
いつもありがとうございます。

いつも多くの高評価、感想、お気に入り、ここすき等、
ありがとうございます。書くモチベーションになります。
誤字報告も大変助かっています。


変更点。
ゴップ大将→ゴップ中将
レビル大将→レビル少将
ワイアット中将→ワイアット少将


11.カナリア尾行たい、そうぜい一名!

 ジオン共和国がジオン公国に名を改めた直後の話。

 ジャブローにある地球連邦軍司令部。その会議室において、感情任せに拳を机に叩き付ける男が居た。

 

「ジオン共和国はジオン公国に名を改めて、専制的な政治体制を取っている! 軍備増強を確認してからでは遅いのだ! 今から計画を立てるにしても議決されるのは半年以上も先の話、後手に回っていては何もかもが手遅れになる!!」

 

 男の名はマクファティ・ティアンム、この時は大佐。彼の対面にはゴップ中将が腰を下ろしており、彼から手渡された書類に眠たそうに目を通している。書類の表紙には「七〇年代軍備増強計画・草案」とある。

 ゴップは、熱弁を振るうティアンムの話を適当に聞き流した後、書類だけを受け取って彼を部屋から追い出した。

 

 その夕方、彼の執務室では二人の友人が、応接用の机で書類の束を手に熱心に睨み付けている。

 片や立派な顎鬚が特徴的なレビル少将、もう一人は英国然とした男であるワイアット少将。そんな二人を前にゴップは座り心地の良い椅子に身を沈めていた。

 二人が読み終わった頃合い。自分用に淹れた珈琲を啜り、冷めている事に眉をひそめてから問い掛ける。

 

「どう思う?」

 

 レビルは紅茶で薄っすらと赤く染めた口元で答える。

 

「ざっと見た感じでは六〇年代軍備増強計画の延長線だな」

 

 ゴップは小さく頷いてみせる。

 

 ジオン共和国が樹立した時、彼の国への備えとして計画されたのが六〇年代軍備増強計画。

 宇宙世紀に入って以来、警戒すべき敵が居なかった地球連邦政府が軍縮に次ぐ軍縮の政策を行っていた為、地球連邦軍には一国家と戦闘できるだけの軍備が整えられていなかった。そこで急遽、軍備増強する為に発案されたのが六〇年代軍備増強計画。これは既存の戦闘用艦艇を早急に量産する事を主目的として、同時に停滞気味だった軍事研究を再開させる意図があった。

 とはいえだ、所詮は辺境にある1サイドの国力しかない相手だ。

 相手の倍程度の数を維持するだけに留めており、あくまでも余裕のある範囲で戦艦を増やしている。

 

 今回、ティアンムが提出した七〇年代軍備増強計画は、上記の六〇年代軍備増強計画を継続し、焼き直した代物になっている。

 六〇年代から続けてきた兵器の開発を継続。中でもミノフスキー粒子を用いた新兵器の開発が主目的とされており、それを用いた艦艇の再設計、開発。新造する事で多くの艦艇を揃える事を掲げていた。

 本計画の最終目標は、大規模な作戦行動が可能な軍としての体裁を整える事にある。

 

「……このミノフスキー粒子は、熱核反応炉以外の使い道もあるのか?」

 

 レビルが問い掛けると「既に実証はされているらしいぞ」とワイアットが答える。

 

「ミノフスキー粒子を良い感じにするとメガ粒子になるらしいな。まだ兵器運用できる段階にないが見通しは立っているとの事だ」

「ジオンの奴らは、この兵器を運用してくるかな?」

「間違いなくしてくるだろうな。なんたって、あちらにはミノフスキー物理学の権威がいる」

 

 ミノフスキー粒子に関しては地球連邦に出来て、相手に出来ない事はないだろうな。とワイアットは肩を竦めてみせた。

 

「メガ粒子砲搭載の艦艇の開発に関しては、まあ良い」

 

 とレビルは書類のページを捲り、とある項目を見つめる。

 

「気になるのは、この宇宙空母の開発の方だな」

「こちらに関してはレビルの方が詳しいのではないかな?」

「……かつて地球で起きた大戦では、航空母艦は大活躍したとは聞くな」

 

 レビルは腕を組んで、しかし、と難しい顔で続ける。

 

「航空母艦が活躍したのは、戦艦の射程距離の外から戦闘機で一方的に攻撃を仕掛けられた為だ。だが、それは当時の艦艇が空からの攻撃に対空砲を多く揃える事でしか対抗できなかった事情もある。空しかない宇宙空間で、戦闘機にどれだけの価値があるかな?」

「戦艦を動かすよりも戦闘機の方が取り回しが良いぞ」

「そういう事を言っている訳ではないが……」

「偵察にも使えるではないか。既存の艦艇を動かすよりも余程、気付かれにくそうだ」

「……まあ、腐りはしないだろうな」

 

 二人の結論が出た頃合いで「計画に反対はないのだな?」と問い掛ける。

 

「軍備増強に関しては、今すぐに実行すべき事案だろう」

「レビルに同じく、だな」

「では、これに陸上戦力の増強も加えて、叩き台にしてみよう」

 

 宇宙軍ばかりを優遇していては、地上軍はヘソを曲げてしまうからな。とゴップが高笑いしてのける。

 それをレビルと冷めた目で見やり、ワイアットは冷めた紅茶を啜った。

 

 

 翌年、ジオン公国。公王執務室にて。

 地球連邦軍の更なる軍拡により、国家間の緊張が高まりつつある中での話だ。

 

「戦争を始めるつもりか、ギレン?」

 

 息子から受け取った予算案を見たデギンが、ゆっくりと顔を上げる。

 予算案には、余剰分を全て軍事費に費やす内容が記されており、これは去年の二倍以上の金額となっていた。

 しかしギレンは一笑して「いずれ、何処かで衝突しますよ」と答えてのける。

 

「それは父上も重々に承知でしょう?」

「必要以上の軍備増強は、連邦政府を刺激する事になる」

「ジオン公国と名を改めた時から連邦は、私達の事を仮想敵として見做していますよ」

 

 飄々とした態度を取り続ける息子の姿を見て、デギンは彼を睨み付けた。

 

「どうするつもりだ?」

「先ずは艦艇を建造しましょう、常識の範囲で」

 

 はぐらかそうとする回答にデギンは目を細めた。

 デギンは地球連邦と戦争になった時、ジオン公国が負けると確信している。少なくとも馬鹿正直に軍事力で競っては万が一の勝機もない程度には、ジオン公国と地球連邦の国力差は致命的であった。この事をギレンも理解している。現状では、勝ち負けどころの話ではない。戦えば、必ず負ける。今のままでは、確実に。

 ギレンは確信している。いずれ、連邦政府はジオン公国を弾圧する為に攻め込んでくる。

 デギンは武力を持つ事で戦争そのものを避けようとしているのに対して、ギレンは起こるべくして起こる連邦との戦争に備えることを目的に置いていた。言ってしまえば、非戦派と主戦派の対立。

 ギレンが求めるのは、戦争に勝つ為の手段である。

 

「何を、作るつもりだ?」

 

 デギンの言葉に、ギレンは笑みを深める。

 

 連邦軍を打ち破る為に必要なのは、今までの戦争を根底からひっくり返すような新兵器。

 その取っ掛かりをギレンは既に握っている。ミノフスキー物理学の権威であるトレノフ・Y・ミノフスキー博士が発見した、レーダーや誘導兵器を使用不能にするミノフスキー粒子の特性。そのミノフスキー粒子が大量に散布された領域では、これまで電波に頼りきりだった戦争の常識は粉々に打ち砕かれる。必要なのは、ミノフスキー粒子の散布下で優位性を保てる兵器の開発。

 ギレンが幾つか考えている案のひとつが、人型機動兵器。即ち、モビルスーツ。

 

 開発には当時、建造が中断したまま放置されたコロニーを兵器開発の拠点として改築したものを活用する事になる。

 エキストラ・バンチ。通称、ダーク・コロニー。

 後の歴史に多大な影響を与える新兵器の開発は、こうして始められたのだ。

 

 

 そして現在、

 ダーク・コロニー内部にて。巨大な人型兵器が連邦軍の大型戦車と対峙している。

 巨大人型兵器は重厚なシールドを左腕に構えており、連邦の大型戦車ことガンタンクから放たれるバルカン砲を防いでいる。通常歩行、時速30km。走行状態、時速80km。金属の軋む音、両肩のキャノン砲を受けてもなんのその。地面を踏み均して発砲状態にあるガンタンクに襲い掛かる。右手に武装した大型クロー、それがガンタンクの頭部を掴んで砕いた。

 この光景を目の当たりにしたランバ・ラルは、唖然とする他にない。

 

「これで連邦をやっつけるのだ、大尉」

 

 隣に立つドズルが握り拳を作るのを見て、ランバは連邦との戦争は避けられない事を悟る。

 

 今やランバは実質的なダイクン派の代表となっている。

 しかし彼自身は、今の自分がイデオロギーの闘士になれない事を重々に承知していた。大義があればこそ人は人を戦わせることができる、しかし大義だけで人は死ぬことができない。何か守りたいものがあり、初めて人は死地に赴くことが出来る。

 彼が今、守りたいものは──幼い娘。彼女が居ればこそ、彼は覚悟を決められる。

 

「やるからには徹底的に、だ」

 

 覚悟を決めた男の顔は、親のソレと同じであった。

 

 

 お父さんが仕事で別のコロニーに旅立ってから数日後の事、彼は全身をボロボロにした姿で帰ってくる。

 話を聞いても何も教えてくれなかったけど、それがドズルも関わっている事は直ぐに分かった。何かまた大変な事をやっている。帰って来た時に私の頭を撫でるお父さんの手から、何時も決意を固めるような強い意志を感じてしまうので、たぶんきっと私に関する事で何か思い悩んでしまっている。

 お父さんは公私を分ける人なので機密的な事は絶対に喋らないけども、これがドズルもってなると結構な一大事だ。

 特にドズルからも私を守る意志を感じるので怪しかった。

 

 なにか私に関する事で分かった事でもあるのだろうか……

 

 思い当たるのは、

 前にジオンが私を差して「新人類の先達」と言っていた事か。

 それとなしにお父さんに話を振ってみれば、

 

「お前が気にするような事ではない」

 

 と露骨に話を打ち切られたので、きっと当たりに違いない。

 

 だから、私はお父さんの後をひっそりと追いかけてみる事を決意する。

 お父さんにバレてはいけない、ドズルにも頼れない。お母さんやクランプはドズル以上の難敵だ。下手な事を口にすれば、お父さんの耳に入るのは分かり切っている。

 私が自由に扱えるのは、舞台に放り投げられたおひねりの中から幾つかくすねた結構な額の現金。

 

 うん、大丈夫。たぶん行けるはずだ。

 私の事は、私だって、もっと知っておきたい。

 新人類の先達が何を意味するのか。

 私が特別である事に意味があるのであれば、ちゃんと知っておきたかった。

 

 

 

 ……お父さん! 尾行に勘付くの早過ぎ! 手加減して!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。