NTロリ娘。   作:にゃあたいぷ。

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19.超絶美少女テストパイロットカナリアちゃん

 私、ミア・ブリンクマンは少し変わった女の子です。11歳です。

 幼い頃からロボットというものが大好きでして、親のPCから盗み見たデータでモビルスーツを見つけた時は胸が躍る想いだった。ミノフスキー博士とイヨネスコ博士が共同開発したミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の基礎技術は、ジオン公国の方から開示してくれた事もあり、新しい熱核エンジンの開発は順調に進められている。

 元々、ツィマット社は宇宙船の開発を優先していた企業。それだけをして来たって訳じゃないが、エンジンやブースターの開発はお手の物だ。

 しかし、ロボット技術に関しては、まだ経験が少ない。地球連邦軍から鹵獲したガンタンクの情報は開示されているけども、あれは大型戦車でモビルスーツではない。機体フレームの設計に難航してしまっているのが現状だ。今、装甲に使っている超硬スチール合金の強度不足も指摘されている。

 ついでにいうと開発途中の新型エンジンにも問題がある。現状では、一定以上の出力を出すと暴走するという致命的な欠点を持っていた。

 ならばリミッターを付けて、ブースターの出力を抑えれば良い。という単純な話にもならない。

 

 EMS-04ヅダの売りは、大出力のエンジンを活用した爆発的な推進力にある。それをなくしてはヅダに非ず。逆に言うと、エンジンとブースター以外はジオニック社のザクにも劣る性能なのだ。

 地上での歩行は必要最低限、走るよりもブースターで飛び跳ねながら移動する事を想定している。その余りにもピーキーな性能に今も事故が多発しており、完成までは程遠い状況にあった。

 

 しかし、ツィマット社も此処で退く訳には行かない。

 軍事産業に参入してから今日に至るまで、これまで事業で稼いできた資金を全て使い潰してしまっていた。

 今はジオン公国に資金援助を求めているが、この話も成果次第で消える話だ。

 

 今日は、そのジオン公国のギレン議長が視察に来る日だ。ツィマット社の皆がピリピリとしている。

 

 私に、出来る事は何もない。

 今日も倉庫でジャンク品を漁り、二足歩行ロボットを組み立てる。

 これは下半身だけのロボットで腰の部分に人が乗ることを想定している。だけど姿勢制御のプログラミングが上手くいかなくて、乗ると転ぶか振り落とされてしまうのである。まるでヅダのようにピーキーなじゃじゃ馬だ、今のままでは乗り手を選ぶどころの話じゃない。

 大人は手間のかかる子ほど可愛いというけども……私にはまだ分からない感覚だった。

 

「はあ……」

「ん~、浮かない顔をしているね?」

 

 棒付きの飴玉を咥えた黄色い金髪の女の子が急に私の隣に来て、興味深そうに私と二足歩行ロボットを見つめた。

 身長は、私よりも少し小さいくらいだ。歳下だろうか?

 ひらひらしたものではない動きやすい服装をした彼女は、目の前のロボットを指で差して問い掛ける。

 

「乗りたいの?」

「ふえっ?」

「乗せてあげよっか?」

 

 先ずは感覚から、と彼女は止める間もなく笑顔で二足歩行ロボットに飛び乗った。

 

「あ、あの、あぶ、あぶな……」

「うおお!? 思った以上のじゃじゃ馬!? この、この……! どうどうどう……」

 

 ガッシャン、ガッシャンと二足歩行ロボットが勢いよく前後に身を振った後、程なくして揺れが収まっていった。

 冷や汗を流しながら力強く操縦桿を握る少女。しかし二足歩行ロボットは今まで見た事もないような安定した優雅な動きで歩みを進める。

 彼女は強気に笑顔を浮かべて「どうよ!」と私を見た。

 

「えっ? えっ、えっ!? なんで歩けてるのっ!?」

「気合! あと根性! それで世の中の七割程度はなんとかなる!」

 

 それでなんとかならないものは根本が間違っているんだよ。と彼女は答える。

 

「それで乗るの? 今なら乗れるよ?」

「あ……はい! 乗ります! 乗せてください!」

「ゆ、ゆっくりね! ゆっくり! 本当に危ないから!」

 

 逸る気持ちを抑えながら、恐る恐ると彼女が操る二足歩行ロボットに乗り込んだ。

 しっかり掴まっててね。と言われたので、彼女を背中からギュッと抱き締める。行くよ、と言われた。ガッシャンと動き出すのを肌で感じる。気付けば、閉じていた目を恐る恐ると開けてみる。今までは何も乗せずに歩くことが精一杯で、人を乗せれば立つことすらも難しかった。

 それが今、ゆっくりとだけど、地を踏み締めて歩いていた。人を乗せて!

 

「わあっ!」

 

 私は今、自分が一から作った二足歩行ロボットの上に乗っているんだ!

 

「んじゃ、このままギレンに会いに行こう!」

「えっ?」

「出発進行! 行くぞー!」

「えっ? えっ?」

「動くと危ないから大人しくしててねー」

「えぇーっ!?」

 

 私、今日、顔出しちゃダメだって言われているんですけどー!

 心の叫びも虚しく、自分が作った二足歩行ロボットにドナドナと連れ去られる。

 今、私が強く抱き締めている小柄な彼女は、カナリアと名乗った。

 なんと私よりも年齢が一つ上の12歳である。

 落ち着きが、驚くほどにない……!

 いや、平静ではあるんだけど、落ち着かない性格をしていた。

 

 

 目指す先は試作モビルスーツの格納庫。

 私が二足歩行ロボットで逸れたギレンの居る場所に向かえば、私達の姿を見たギレンは無言で人差し指と親指で目元を押さえた。彼の前に整列するのはスーツ姿や白衣を着たツィマット社の社員、そしてシミュレーターで見た事がある青い巨兵のヅダが佇んでいる。

 ……私は今日、これに乗れるんだあ。久しぶりの巨大ロボット、モビルスーツの操縦だ。

 

「ミア、どうして此処に居るんだ!?」

「あ、いえ……それは……」

「ギレン閣下! 彼女、凄いんだよ! これ作ったんだよ!」

 

 私が新しくできた友達を紹介すると「ほう」とギレンは自らの顎を撫でてミアの顔を見つめた。

 

「……ギレン閣下、この子供は一体?」

「ああ、それはだな」

 

 ギレンは自分の額を指先で何度か叩いた後、問い掛けた研究員から顔を逸らして告げる。

 

「プロト・ゼロ、だ」

「……それは、ジオニック社が秘匿しているという……凄腕のテストパイロットの名では?」

「彼女が……その凄腕のテストパイロットだ」

 

 言いたいことは分かる。とギレンは研究員と一向に目を合わせようとしなかった。

 私は、二足歩行ロボットをゆっくりと座らせた後、地面に降りて、ギレンの隣に立って直立不動の敬礼を決める。

 

「ジオニック社のモビルスーツでテストパイロットをしていたカナリアです! よろしくお願いします!」

 

 ふふん、と鼻を鳴らしてみせた。

 私がテストパイロットに来たのだ。早速、ヅダを評価しようじゃないか!

 ウキウキでコックピットに歩を進めれば、途端にツィマット社員の皆々様がオドオドとし始める。

 ……あ、カナリアわかっちゃった。これ、ダメなヤツだ。

 

「やっぱりこれって欠陥が残ったままなの?」

 

 詳しく話を聞く必要がありそうだ。

 私の問い掛けに先ず最初に反応したのは、ギレンだ。ギレンは薄く開いた目でツィマット社の社員を睨み付ける。

 社員の一人が言い訳のひとつも口に出そうとした時、先んじてギレンが告げた。

 

「これ以降の嘘偽りが発覚した場合、その時点でツィマット社のモビルスーツ開発は永久に凍結する」

 

 鶴の一声とは、この事か。リーダー格の一人が観念したように肩を落としてポツリ、ポツリとヅダの懸念を吐露する。

 機体フレームの強度不足は勿論、エンジンにも問題を抱えていることが分かった。

 ギレンの判断は早い。この話を聞いた時点で、資金援助の取りやめを決めようと息を吸い込んだ。

 

「ギレン閣下、ちょっと待って……ください」

 

 でも、それは得策ではない。

 何故なら私は、この機体のカタログスペックをシミュレーターを通して知っている。問題が発生しなかった時の数字に嘘がないことは今日のやり取りで分かった。

 だから、分かっちゃうのだ。

 

「シミュレーターの情報に過ぎないけど……私、このヅダがちゃんと稼働したらね。ダーク・コロニーに居る皆を一人でやっつけられる自信あるよ」

 

 MS-05ザクとEMS-04ヅダには、それだけ隔絶した性能差があった。

 

「……そこまでか?」

「ガンタンクだっけ? あれだとザクで十分なんだけど……これからの主力がモビルスーツに変わるなら、その内連邦だってモビルスーツ作るよね? モビルスーツに勝てるモビルスーツって必要じゃないの?」

「ザクの高性能化は検討している」

「うーん、私が言いたいのはね。ミノフスキー博士が作ったジェネレーターよりも余程、凄いものを作っているんだよ。もちろん、今のままじゃ使えないんだろうけどね」

 

 ヅダはザクに勝てるモビルスーツなんだよ。と私が伝える。

 ギレンは再び研究員の一人に向き直り「資料」と片手を突き出した。

 おずおずと渡されたファイルを受け取り、パラパラと中に目を通す。

 

「出力1150キロワット、推力58700キログラム……この数字に嘘はないか?」

「は、はい! ありません!」

 

 ギレンはチラリと私を見つめて来たので、私は小さく頷き返す。

 すると彼は顎に手を添えて、再び考え込んでしまった。

 

 現状のザクの出力は899キロワット、推力は40700キログラム。

 これを見るだけでも両者の違いは桁外れだし、ここで切り捨ててしまうのは勿体ないと思うんだけど。

 稼働時間や現状での完成度を聞いた後、カナリア。とギレンが私の名を呼んだ。

 

「乗って良いぞ」

「えっ、本当!?」

「ただし、ブースターは吹かすな」

 

 了解。と私は敬礼を取った後で研究員の指示の下で幾つか簡単な動作を取らせて貰った。そして乗ってみた感想を率直に告げる。

 

「歩くだけならザクの方が絶対に良い」

「何がいけなかった?」

「歩き心地とか動作がぎこちない。その辺りはジオニックの方がずっと良いね。あとザクの方が手先が器用かな?」

 

 関節部に問題がある気がするよ、と答えておいた。

 

「姿勢制御もあまいから操縦に苦労するね。たぶんこれAMBACもでしょ?」

「綺麗に歩行していたように見えたが? ザクと遜色ない」

「私の腕が良いおかげなの! その二足歩行ロボットに乗ってみると私の腕の良さを実感できるよ!」

 

 ギレンはミアをチラリと見た、ヒッと悲鳴を上げるミア。それを受けて、ギレンは目を伏せる。

 ゆっくりと視線をツィマットの社員達に戻し、決断を下す。

 

「元々予定されていた来年のコンペティションまでは支援する」

「あ、ありがとうございます!」

「ただし、そこで……そこのカナリアを乗せても良いと思えるモビルスーツを作ることが最低条件だ」

 

 以上だ。とギレンが踵を返したので、私も慌ててギレンの後を追いかけた。

 ミアには大きく手を振って、帰りの宇宙船に乗り込んだ。

 

 その数日後、珍しくギレンの方から私を執務室に呼び出した。

 メイド服の私。ギレンが言うには、ツィマット社から名指しで私を派遣して欲しいと要望が来ているようだ。私が乗った時のデータを回収し、検証した結果をヅダのプログラムに反映すると劇的に姿勢制御が良くなったという事である。

 人気者だな。とギレンは一笑し、定期的にツィマット社に通っても良いと告げられた。

 

「今のキシリアにお前は任せられないからな」

 

 どうやら私は、私の知らないところで守られていたらしい。

 まあ、なんでも知った気になれるこの特別な力も万能じゃないってことだ。




ザクⅡ
出力:976kw
推力:43,300kg

グフ
出力:1,034kw
推力:40,700kg

単純にこれだけで比較するものじゃないけども。

ガンダム世界のメカオタクの親が技術者である時、親のパソコンを覗き見るのは嗜み。
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