アプリの版のメインストーリー第6章、アニメ一期の11話~13話あたりのエピソードが含まれますので、ネタバレが嫌な方は注意してください。
やちよさんが「環さん」から「いろは」に呼び方を変えるのはイベント後なのですが、勢いを出すため最初から「いろは」と呼ばせています。
その他いろいろと無茶苦茶ですが、何でもありが許せる方はどうぞ
これは、有り得ない時間軸の、有り得ない一場面である。
梓みふゆの提案で、魔女化の真実を伝えるために講義を開くことになった。場所は『記録ミュージアムのウワサ』、招待されたのはみかづき荘の魔法少女達である。
『記憶ミュージアムのウワサ』の入り口は、神浜記録博物館の廃墟に存在する。
講義が開かれる前日の夜、その廃墟の上空に一人の男が現れた。
Tバック男爵である。
丸いサングラスを掛けたひげ面の筋骨隆々の男で、名前の通りTバックをはいて常に尻を見せている。あまり認知されていないが、彼の武器はクロスボウで、環いろはと少し被っている。
Tバック男爵は、丸い爆弾から珍妙な形のブースターが生えたような戦闘機に跨がって空から降りてくると、そのまま博物館の廃墟に入った。
博物館の廃墟から『記憶ミュージアムのウワサ』が存在する特殊な空間に入るためには、ベルを鳴らさなくてはならない。彼は偶然、そのベルを鳴らしてしまった。そして運の悪いことに、『記憶ミュージアムのウワサ』に迷い込んだ彼は、ウワサの主と対峙してしまった。
ただでさえウワサという異常な空間の中でビクビクしていた上、極彩色の巨大な目を持つ、黒いオタマジャクシのような化け者に睨まれたTバック男爵は、混乱して、「ハイグレ魔王様ァアアアア」と叫びながら、抵抗する間もなくその大きな口に戦闘機ごとペロリと飲み込まれてしまった。
翌日、講義が終わって少し経った頃、Tバック男爵が意識を取り戻すと自分の上半身が黒いオタマジャクシの頭の上から生えていることに気がついた。
(戦いの気配を感じる。・・・・・・使い魔達が倒されていく、ウワサに逆らうヤツは俺様が許さねぇ)
彼は体だけでなく、意識もウワサと融合していた。
Tバック男爵は侵入者の元に向った。
講義が終わり、使い魔たちと戦っているいろはの元にTバック男爵が現れた。やちよは満身創痍といった様子で、槍を支えに佇んでいる。
自らの固有魔法が『仲間を犠牲にしてでも自分だけは生き残る』だと信じているやちよは、いろは達の命を守るためにチームの解散を宣言した後、もう仲間ではないからと、一人で使い魔の群れと戦い、魔力を消耗してしまっていた。
いろは「これが、このウワサの主!」
やちよ(あれは…Tバッグ男爵!?)
T「環いろは、見いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃつけた!!」
いろは「私のこと、知ってるんですか?」
T「さぁ、アクションストーンを渡してもらおうか!」
いろは「アクションストーン?……もしかしてソウルジェムのことですか?」
T「そうだ、さっさとよこせ! アクションストーンさえ奪って逃げちまえば、お前ら魔法少女は動けなくなるらしいじゃねーか」
やちよ「いろはぁあああ逃げてぇぇええええ!!」
いろは「やちよさん、あの人のこと知ってるんですか!?」
ウワサの主がTバック男爵を飲み込んだせいだろうか、講義の後半、いろは達が眠りに落とされ梓みふゆの過去を追体験していた時、やちよも眠らされ『アクション仮面VSハイグレ魔王』の夢を見せられていた。
やちよ「あいつはTバック男爵、目的のためなら手段を選ばない冷酷非情なホモなのよ!!」
いろは「そうですか……そっち系の方なんですね……、なら、見ててくださいやちよさん!」
やちよ「!?」
いろは「私、証明してみせますから! Tバック男爵を一人で倒して!! 『仲間を犠牲にして生残る』なんて魔力、やちよさんの勘違いだって、生残って証明して見せます!!」
やちよ「駄目よいろは! そんな奴と戦ってまで証明しなくてもいいし、そんな奴で証明されるのも嫌なのよ」
T「ていぃぃぃぃぃぃぃバックゥッ!!」
やちよ「うるさいわね!!」
いろは「静かにしてください!! 私は今やちよさんと話をしているんです」
T「・・・・・・・・・・・・」
やちよ「蚊帳の外だからって、わけのわからない叫び声上げて会話に混ざろうとしないで」
T(……あのやちよとかいう女・・・・・・ハイグレ魔王様と同じ圧を感じる…)
やちよ(どうすればいいの、このままじゃいろはが・・・・・・はっ!?)
やちよは夢の内容を思い出した。
やちよ「いろは、そいつの弱点は、お尻よ!」
いろは「え、どうして分かるんですか?」
やちよ「……私……疑似体験とはいえ……夢の中でそいつにカンチョーしたのよ」
いろは「……」
やちよ「……」
いろは「……オェッ」
やちよ「いろはぁああああああ!!」
T「さっきからギャーギャーうるせぇぞお前ら、博物館では静かにしやがれ!!」
いろは「あなたもさっき叫んでたじゃないですか!!」
T「うるせぇ、こいつを食らいやがれ」
Tバック男爵が叫ぶと、ウワサの主の巻物が連なったような形の胴から、ロボットの腕のようなもの伸びてきた。腕の先は砲身になっており、先端にサメのような顔が描かれた黒いミサイルがセットされている。
男爵の戦闘機に搭載されていた兵器も一緒に融合してしまったらしい。全体的に子供の玩具のような安っぽいデザインだったが、Tバック男爵の表情は自信に満ちていた。
T「このミサイルからは逃れられんぞ! コツーンと先っぽが当たった途端、ドカーンだ」
Tバック男爵がスコープ越しに狙いを定める。隙だらけだ。
いろは(普通に撃っちゃっていいのかな・・・・・・罠じゃないよね? あまり頭の良さそうな人じゃないし・・・・・・)
T「ファイヤー!」
Tバック男爵がノリノリで宣言する。いろははミサイルの先端に向けてボウガンを構えた。その表情は、余裕を通り越して虚無の域である。
ミサイルが発射された瞬間、いろはの矢が速攻でミサイルの先に命中、Tバッグ男爵とウワサの主を巻き込む形で爆発し、轟音と衝撃波が空間を揺らして、いろはとやちよに襲いかかる。威力は本物だったようだ。
ウワサの主の本体は消滅し、分離したTバッグ男爵が宙を舞って、地面に叩きつけられた。尻を突き出したような無様な格好で「あっ、あっ、おぉぅ」という下品な声を上げながら、ビクビクと痙攣している。
いろははTバック男爵からウワサの魔力を感じた。人の形をしているだけなのかもしれない。
いろは(放っておけば、また元の姿に再生するかも・・・・・・)
深呼吸して、ゆっくりと両手で浣腸をつくるいろは。それを見たやちよは目を見開き、唇をわなわなと震わせた。
やちよ「ちょっと、あなた何を作って、その指をほどきなさい、いろは!」
いろは「ほどきません! 私はこの指を絶対にほどきませんよ、やちよさん」
やちよ「そんな、どうして」
顔のよこに浣腸を構えて、いろはが叫ぶ。
いろ「やちよさん。私は怒っています。私は怒っているんすよ!!」
やち「落ち着いていろは・・・・・・とにかくその浣腸の指を解いて・・・・・・」
いろ「解きません! やちよさんがチームの解散を取り消すまで…私はこの指を絶対に解きませんからっ!!」
やち「そんな・・・・・・お願いだから解いてよ・・・・・・私の気持ちも汲んでちょうだい」
いろは「この指を良く見てください、やちよさん」
いろははやちよに向って鋭く浣腸を構えた。両手の人差し指と中指で組まれたそれが、やちよの青い瞳に映る。
やちよ「そんな……四本の指で組むなんて……ガッチガチじゃないの」
いろは「この指に込めた力の大きさは、私の決意の大きさです! そして、この四本の指は、それぞれ、私と、やちよさんと――」
いろはは四本に束ねられた人差し指と中指を、一本ずつ、ぴっ、ぴっ、と広げながらチームみかづき荘のメンバーの名を口にしていく。
いろは「鶴のちゃんと、フェリシアちゃんと・・・・・・・・・・・・はっ!?」
やちよ「さなは?」
いろは「…………」
いろは「透明だから見えないんです!!」
やちよ「指が足りなかったのなら素直にそう言いなさい!!」
いろは「そんなことはどうだっていいんです!! いいですかやちよさん、一本の矢にまとめられたこの指の固さは、私たちみかづき荘のメンバー五人の絆の固さでもあるんです!!」
やちよ「やめて!! お願いだから、これ以上私を苦しめないで・・・・・・そんなもの見せないで! 浣腸で私たちの絆を表現しないでよ・・・・・・」
いろは「やちよさん、あなただけに辛い思いはさせませんよ」
やちよ「やめなさい、いろは! わたしの指が穢れたのは幻の世界でだけど、あたなのその指は生身なの、ここは現実……現実なのよ!!」
いろは「こうでもしないと、やちよさんを納得させられませんから」
やちよ「するする! そんなことしなくても納得するわよ! はいしたっ! 今納得したわ! 仲間を犠牲にして生き残るなんて全部、未熟な私の勘違いだったのよ!!」
いろは「言葉だけじゃだめなんです! うわべだけ納得させても意味ないんです! 見ててください、私の覚悟を・・・・・・決意を!!」
やちよ「やめなさい! 分かった! もう解散なんて言わない。十分あなたの覚悟も思いも伝わったから、だから」
いろは「いいえ、私はやめませんよ、やちよさん。この思いだけは貫かせてもらいます!!」
やちよ「なんでそうなるのよ!!」
いろはは呼吸を整えると、ゆっくりとタメを作りながら、静かに浣腸を構えた。彼女の中に残っている魔力が指先に集中して矢となり、桃色の粒子が迸る。
すべてを諦めたのか、やちよはがっくりと肩を落とした。
やちよ「今日のあなた・・・・・・どうかしてるわよ・・・・・・」
いろは「ストラーダ・・・・・・」
やちよ「お願い、いろは、やめてぇええええええ!!!!」
いろは「フトゥーーロッ!!!!」
ズボボボボボボボボボォ……。
T「オォオオアァアアアアアアッーーー♂」
Tバッグ男爵のヒップにいろはの指矢が吸い込まれた瞬間、すべてを浄化するような純白の閃光があたりを包んで、やちよの視界を遮った。
気がつくと、いろはは床に座り込んだやちよの腕に抱きしめられていた。やちよは笑顔で、頬には一筋の涙の痕があった。
やちよ「・・・・・・指は汚れていないみたいね。よかった・・・・・・ほんとうによかった」
いろは「姿はおっさんですが、中身はウワサですから。うんTは穴の奥に詰まってなかったみたいです」
いろははニコッと笑って言った。
いろは「やちよさん、私、生きてますよ。犠牲になんてなっていません」
やちよ「わかったから、もう二度とこんな無茶はしないで・・・・・・あなたの指がアイツの尻に刺さったとき、魂を引き裂かれるような思いがしたの・・・・・・ほんとうに胸に痛みが走った」
いろは「ごめんなさい・・・ごめんなさいやちよさん・・・・・・」
やちよ「いいのよ、もういいの。でも、忘れないで。魔法少女なら、自分の指は大切にしなさい、いろは」
いろは「はい!」
二人はしばらく抱き合ったあと、手を繋いだまま立ち上がった。
いろは「行きましょうやちよさん。みんなを助けないと」
やちよ「そうね。必ず生きてここを脱出しましょう。チームの解散も取り消すわ。みんなに謝らないと」
いろは「約束ですよ」
やちよ「いろは・・・・・・」
いろは「やちよさん・・・・・・」
いろは&やちよ「「女同士のお約束ぅううううううううーッ!!」
了