自分の名前が「一心」なので、葦名かと思ったら稲妻だった   作:クラウディ

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ノリで書いたやつ





伝説任務 不死断ちの章 剣聖
剣聖「葦名一心」


「『葦名一心』……?」

「はい。今から数千年ほど前……『魔神戦争』が起きる以前から稲妻に生きていた剣豪です」

 

テイワットに存在する海上国『稲妻』。

その国に存在する『木漏茶屋』の一室にて、とある者たちが話し合っていた。

 

疑問符を浮かべながらある人物の名前を反芻した異郷の服を纏う少女――『蛍』と、稲妻に住むものからすればまさしく天上人である和装の美女――『雷電影』。

 

そんな傍目から見れば接点の無さそうな二人が、これまたある人物について話し合っていた。

 

まず、彼女たちがこの場所でそのような話をすることになった経緯から話そう。

 

実は約一か月ほど前まで、この稲妻は()()()()()を抱えていた。

 

海祇島(わたつみじま)の土壌問題」に「(あやかし)や浪人などによる一般人への被害」、「権力のある名家の衰退」等々……割と深刻な問題が真っ先に思いつくであろうが、事態はそんなものではなかった。

 

それは永遠を求める雷電将軍による『鎖国』――

 

 

 

――ではない。

 

 

 

七国の内、氷神が統治する『スネージナヤ』が保有する組織――『ファデュイ』による『()()()()()()()である。

 

この事件では様々な事情が絡まっていて、一から説明するのは相当な時間がかかってしまう。

なので今は割愛させてもらおう。

 

結末だけ話すなら、ファデュイを率いていた魔女を、とある目的で稲妻へと訪れていた蛍、国を治めるものとしてすでにファデュイと戦っていた影。

そして、稲妻に生きる多くの者たちの手で倒したことで終息した……ただそれだけである。

 

事件を解決した稲妻は、ある程度の平穏を取り戻し、外面的にはこの上なく平和であった。

 

――そう。『外面的には』だ。

 

その時のことを深く知る者たちは、とある奇妙なことを体験したのである。

 

「たった一代で稲妻に名を遺すほど成長した名家『葦名家』……その初代当主である『葦名一心』。人呼んで『剣聖』。その剣術の冴えは、降りしきる雷を斬りました。さらに彼は雷を斬った剣術だけでなく、槍術、弓術……それら全てが神である私に並び立つほど。……いえ……もし、彼が()()()()()()()()、凄まじい研鑽を続けているであろう彼に、私は斬られていたでしょう……それほどまでの力を持っていた、ただの人間です」

「うぇ!? 雷を斬った上に影が負けるかもだって!? なんだよそれ!? そいつ人間か!?」

「……ええ。彼はある時まで普通の人間でしたが、そのある時以降も種としては人でした」

「……一斗とか、神子たちみたいな人でもないんだよね?」

「はい……」

 

影から告げられた言葉に驚愕する非常sy……小人――『パイモン』の信じられないという言葉を少し考えこみながらも影は否定する。

確かに、神の力の一端ともいえる雷を斬るような存在が同じ人間とは思えないだろう。

 

だが、稲妻にはその伝説がある。

 

「蛍。あなたは『雷返し』という技を知っていますか?」

「うん。「あやかしの雷は源の神鳴り 神業なくば弾き返せぬ すなわち、地に足つけぬ、雷返しなり」っておとぎ話で有名な技。万葉(かずは)が使ってた技だよね? それと、()()()()()()()()()()()()()()()()も使ってた……。……え、もしかして……!?」

 

影から問われた技――『雷返し』という技を記憶から掘り返した蛍はあることに思い至る。

 

『雷返し』という技は、落ちてくる雷を空中にいる間に刀で受けて受け流すというまさしく神の御業。

そんな技を蛍が見たのは、稲妻で暗躍していたファデュイとの決戦にて、稲妻の侍である『楓原(かえではら)万葉(かずは)』が切り札として使っていた時と、その戦場に乱入してきた「名無しの侍」が、息をするかの如く使っていた時だけだ。

 

自身の腕に火傷を負いながらも相手の小隊に壊滅的な被害を与えた万葉と比較して、見切ったと言わんばかりに雷に向かって跳び、そして万葉よりも精度の高い雷返しを見せたあの名無しの侍。どちらの技量が高いかは明確であった。

 

そして話題に上げられている人物は、武神である影ですら負ける可能性があると言っている。

 

そこまで言われれば、よほどの馬鹿でもない限り答えにたどり着く。

 

すなわち、その「名無しの侍」は……。

 

 

 

 

 

「……『葦名一心』……彼本人でしょう」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

遥か水平線の向こうまで続く大海……降りしきる雷雨……風は突風となり、雨を横殴りに叩きつけてくる。

海を眺めながら酒でも一杯飲みたいものであったが、この悪天候じゃ飲めるものも飲めやしない。

後ろを振り返れば巨大な頭骨……おそらく蛇であろうそれは、いまだにおどろおどろしい空気を纏っておる。

正直に言えば、こんなところさっさとおさらばしたいのだが、あいにく生半可な強度の船では沈没するじゃろう。

そもそも風が強いせいか、船の材料にできそうな樹木すらないがの。よくて低木しかないんじゃが……。

 

そんな中で儂は……。

 

「おっと、こんなところで散歩かい爺さん? のんきなもんだねぇ~」

「そうそう。こんな天気じゃ仕事もできやしない。ところで爺さんはいい着物を着てるとは、さぞいい身分だろうよ」

「と、いうわけなんだが……身ぐるみ置いていきな爺さん。痛い目見たくなけりゃな」

 

明らかに盗人の集団に絡まれておった。しかも刀を持ってるところからして、浪人崩れというところかの。

 

…………はぁ~……。

 

「なんじゃおぬし等、今のご時世に「追い剥ぎ」かの? 見たとこいい年じゃのに……。あれか? 若気の至りというやつでちょっと悪いことしてみよう、というやつかの?」

「はぁ!? なに余裕ぶってんだよジジイ! お前みたいな老いぼれが俺らに勝てるかよ!」

「いや、普通に気になっただけじゃし。それと追い剥ぎとかは否定せんのかい。はぁー……参ったのぉ……」

 

面倒くさい(直球)。

なんて言ったらこの盗人達の気が立つだろうから口には出さないが、正直に言えばほんとに面倒くさい。

 

いや、ねぇ?

つい一ヶ月前くらいになんでか目が覚めたら、よく分からん奴らと稲妻の兵が入り乱れる戦場にいて、ちょっと血の気が沸いて暴れたけどやりすぎたから逃げて、暇だったから近くの浜で釣りしてたら高波にさらわれて、そんで気づけばこの嵐の真っ只中の島に流れ着いてただけなのに、散歩してたらこ奴らに絡まれたんじゃが……。

 

いやほんと面倒くさい。

 

こいつらの言う通り、儂はただの老いぼれなんじゃが……。

 

だが、まぁ……。

 

 

 

「少しだけ、手解きをしてやろうかの」

「「「!?」」」

 

 

 

さてと、腰に提げた鞘から刀を抜き放ち、正眼の構えをとる。

それと少しばかりの気迫を出し、盗人共を威圧してみるが……ようやっと状況を飲み込めたようじゃの。

刀を持つ腕が震えておるが、退く気はない……というよりかは退こうとしても退けないことに気づいたんじゃろうな。

 

奴らが話すよりも先に刀を抜き放っておったら、そうじゃな……

 

 

 

――三つ数える間に全員の首を刎ねておったろう。

 

 

 

まぁ、戦うとするなら血湧き肉躍る死闘を楽しみたい儂としてはそんなことをするのはもったいないからの。

 

それはそれでもったいない以前に、()()()()でもそこまで堕ちとらんし、むしろそんな奴らを斬ってやる側じゃし。

 

まぁ、あれじゃ。

 

こいつらは力量を見誤ったというわけじゃ。

 

そんな奴らに儂は鋭く告げた。

 

 

 

「我が名は『葦名一心』! いざ尋常に参る!」

 

 

 

ま、パチモンじゃがの。

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