とある帝国航空魔導中隊が、なぜか作戦行動中にストパンの世界に送られた話。


原作の登場人物なんて出てきません。
筆者はストライクウィッチーズにも幼女戦記にも、軍事にも詳しくありません。どこかおかしなところがあっても、あしからず。

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いつの間に放り込まれた世界。

人同士で殺し合ってはいないが、代わりに化け物がいる世界だった。


航空魔導師がウィッチと戦う話

 

夜が終わりに近付き、東の空が色付き始めた時間。

一日で最も寒い空の中を、銃を背負った人間が、きれいな編隊を維持しながら横切っている。

 

中々に物騒な話だが、この世界、特に欧州では割りと普通の光景だ。

 

飛んでいる人間がうら若き魔女ではなく、むさ苦しい男性の兵士で有ることを除いて。

 

 

「11時地上より閃光、ネウロイの砲撃型と思われます!」

 

「よくやった。第3小隊は高度を維持し、敵航空戦力の警戒にあたれ。残りは地上攻撃だ。小隊ごとの統制射撃で仕留めるぞ!」

 

 

できれば地上攻撃に、中隊すべての火力を注ぎ込みたい。が、ここは制空権があやふやな最前線。制空隊のウィッチが頑張っているらしいが、油断は出来ない。

 

ネウロイと言うのはふざけたものだ。奇っ怪な見た目だけでも勘弁してほしいのに、ありえないほど頑健さも併せ持つ。弱点こそあるが、弱点を利用しなければ倒せないのだ。

そんな化け物が、害意を持って押し寄せてくる。悪夢もいいところだろう。

 

そして1番ふざけていることは、その化け物と最前線で戦わなければいけないことだ。噂に聞いていたライン戦線に送られるのと、どちらがマシなのだろう?

 

まあ、自分らはいい歳したおっさんなのだ。死ぬには早過ぎる若いウィッチが前線を張っているのに、大人が何もしないのは情け無さすぎる。

 

 

 

………こちらにも閃光が見えた。日が昇る前に見つけられたのは幸運だろう。

それはまさしく、列車砲のようなタイプだった。射界の確保のためか、それとも移動のためだろうか?周囲の木々は薙ぎ払われて、偽装も殆ど無い。ラッキーだ。攻撃を当てやすい。

 

 

「第1、第2小隊に告ぐ。奴らの攻撃によって、歩兵隊は酷く苦しめられたらしい。彼らの鬱憤を我らが変わりに晴らすぞ!」

 

「第1小隊、徹甲爆裂術式用意。目標、敵砲撃型!」

 

「第2小隊、貫通術式用意!目標は核だ。外すなよっ!」

 

「攻撃開始!!」

 

 

決着は呆気ないものだった。列車砲のように、大きな図体だったのが幸いだった。

爆発、ここまで聞こえる砕けた音。ネウロイは対空砲火を上げる間もなく消えた。

いつもこうであって欲しい物だ。あんな奴の攻撃は食らいたくない。まともに食らえば、魔導師の防殻なんて一発で砕けるだろう。

 

 

「仕事は終わりだ、撤収する!第3小隊は合流しろっ」

 

 

歓声が上がるのもほどほどに、宿営地へと進路を向ける。戻ったら、まずは睡眠だ。熱いスープを飲んで眠ってやる。寝床は固く、寝心地は良くないが仕方ない。少なくとも、冷たい塹壕の泥にまみれて、攻撃に怯えながら眠るよりはマシだ。

だが、マシなだけだ。本当にマシなだけだ。

 

 

「中尉、愚痴が漏れてますよ」

 

「………アルノー少尉、これぐらいは目をつぶれ。覚えているか?連日の徹夜明けにも関わらず、日中の出撃に駆り出されたことを。__________自分らは使い捨てても構わない部隊だという話が広がっているらしい。司令部には色々と言いたいことがあるんだよ」

 

「中尉、それは……」

 

「わかっている。一応、連合軍に世話になっている身だ。それに、自分らの立場はかなり不安定。余計なことは言わんよ」

 

 

どうせ、おえらいさんの政治的な話だろう。自分らの装備を解析して、航空魔導師の量産に成功すれば、ウィッチの価値は落ちる。それは困る。だからその前に使い潰してしまおう。とでも考えているのだろうか?

 

まあ、こうやって今も生きている以上、そう考えている人間ばかりではないらしいが。

 

 

「ったく、好きでこの世界に来たわけでも………ん?」

 

『____________よりフォーゲル01、コマンドポストよりフォーゲル01、応答せよ』

 

「こちらフォーゲル01、どうぞ」

 

『フォーゲル01、ポイント23にて偵察中の、第4装甲小隊から救援要請が確認された。急行せよ』

 

「フォーゲル01、敵戦力の情報を求む」

 

『とにかく数が多いらしい。小型から中型のネウロイに包囲されたとの報告だ。フォーゲル01は近接航空支援を行い、撤退を支援せよ』

 

「………了解、最善を尽くしましょう。ポイント23へは、およそ900で到達する。オーバー」

 

 

通信が切れる。

どうやら、すぐには帰してくれないらしい。不幸中の幸いは、本来の帰路からポイント23は、そこまで離れていないということだろうか。

 

 

「各位に告ぐ。これよりポイント23に急行し、陸戦ウィッチの撤退支援にあたる。つまり我らは白馬の王子様だ。レディーに情けない姿をみせるなよ!」

 

『ハッ!!』

 

 

士気はどうにか維持出来ているようだ。魔力の消費も少ないし、いいコンディションと言える。

 

 

「中尉、1個中隊で捌ききれますか?」

 

「わからん。だが、行かないという選択肢はない」

 

 

アルノー少尉が疑問を呈する。最もな疑問だ。わかっていることといえば、敵の数が多いということだけ。編成も、大体の数すらわからない。

 

だがまあ、行くしかない。

 

 

 

 

 

 

 

///////////

 

 

 

「フェリシー、コレットの様子は!?」

 

「肩に当たったみたい!血は止めたけど起きないっ、頭打ってるかも!!」

 

「ッ!」

 

 

状況は良くない。

任務の難易度は、そう高くはなかったはずだ。単に、昔の道路がまだ使えるか確認するだけだった。まさか野営地に、木々に隠れる形でネウロイの大群が来るなんて思わなかった。大群をおびき寄せる真似はしなかったはずなのに。これが悪運というものなのだろうか?

 

1体1体はそう強くない。引き金を引けば、確実に葬れた。だが、数が多すぎる。倒し切る前に、こちらの弾薬が尽きるだろう。いや、その前に数で押し潰されそうだ。

 

 

「……私が突撃して突破口を開ける。フェリシーはコレットを担いで。グレータは2人の護衛をお願い。」

 

「た、隊長!?もうすぐ増援が」

 

「あと300も保たない!イチかバチかやるしか」

 

『____________ル01から第4装甲小隊へ、スモークで攻撃箇所を知らせてくれ……フォーゲル01より第4装甲小隊、応答求む。スモークで攻撃箇所を知らせてくれ』

 

「え?…………はっ!こちら第4装甲小隊、赤のスモークに攻撃をお願いします」

 

『フォーゲル01了解。よく頑張った』

 

 

すぐに赤いスモークを打ち込むと、そこから爆炎が広がった。

通信機から聞こえる声がとても頼もしく思えたのは、言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

 

///////////

 

 

 

 

「爆裂術式、打てっ!」

 

 

スモークを吹き飛ばさんとばかりに、攻撃が打ち込まれる。

 

女の子の救援には胸が踊るらしい。大義名分を得たおじさん各位は、訓練飛行でもそうそう出さない速度でポイントに急行した。

 

自分らが到着するまで、かなり激しく戦っていたのだろう。この辺り一帯の森の木々が、結構まばらになっていた。日も昇り、地上の様子がよく見える。スモークが使える状態で助かった。

 

 

 

________________また、術式が叩き込まれる。もうかなりの数を削っただろう。少なくとも、包囲網を突破できるだけの損害を与えたはずだ。そうでなくては困る。もうかなりの魔力を消費した。

 

攻撃のためにも、対空砲火を防ぐ防殻を張るにも、飛ぶためにも魔力は必要不可欠。魔力は気合いでどうにかなる代物ではない。

ウィッチはそうでもないらしいが、どうゆうことなのだろう?

 

 

……第4装甲小隊は動いてない。魔力反応はあるから、生きてはいるはずだ。まさか動けるやつがいないのか?

 

 

「フォーゲル01から第4装甲小隊へ。撤退は可能か」

 

『こちらはまだ囲まれている。撤退は無理だ!』

 

「む?」

 

 

囲まれている?こんなに攻撃を続けているのにか?

 

試しに爆炎術式を構築する。爆炎ができるだけ広範囲に広がるようにだ。これではネウロイには通用しないが、別に構わない。木々の葉っぱさえ落とせればいい。

 

まだ、薙ぎ払われていない森に向けて撃つ。結果はすぐに出た。無傷のネウロイ数体が顔を見せる。

そして、バレたと判るやいなや、こちらに攻撃してきた。回避運動をすれば滅多に当たらないが、鬱陶しい。

 

 

「おいおい………アルノー少尉、他の方向にも試せ」

 

「は、はい!」

 

 

同じように、爆炎術式が放たれる。

結果はどこも同じだった。この森は、ネウロイの巣窟と化しているらしい。

 

 

「これは砲兵に耕してもらうしかないな。____________第4装甲小隊へ。貴君らは完全にネウロイに包囲されている。我々は火力をだいぶ失ってしまった。そこで、貴君らを我々が抱え、後方まで輸送することを提案する」

 

『………………第4装甲小隊、こちらも魔力がだいぶ厳しい。人数は4人、内一人が重症。頼めますか?』

 

「了解。第2小隊は上空警戒にあたれ。第1、第3小隊続け!」

 

 

 

 

 

 

///////////

 

 

 

 

「………はあ、やっと開放された」

 

 

レディー達を抱えて宿営地に帰還した後、司令部に呼び出され、延々と嫌味を言われた。なんでも、現地でストライカーユニットを放棄させたことが気に食わなかったらしい。

 

確かに、数を合わせるのが大変だとは聞いていた。だが、あんなクソ重たいもの抱えて飛べるか!!

 

 

日は高く昇り、かなりの時間が経ったこと示していた。結局眠れなかったし、朝食も逃した。これで昼食まで逃したら、自分は泣くかもしれない。

たとえ不味い食事でも、有ると無いとでは大違いなのだ。

 

 

 

「すみません、少しよろしいですか?」

 

「あ?……って、君は確か、第4装甲小隊の」

 

 

振り向けば、見覚えのある人が立っていた。薄汚れた服から着替えたらしく、小ざっぱりとしたなりだ。

 

 

「はい。第4装甲小隊のエミーリエ・ベッカー少尉です」

 

「っと、独立航空魔導中隊のクルト・ベルガー中尉だ。……で、なんでしょうか?」

 

 

外見からして、まだ10代だろう。その歳で少尉とは驚きだ。

いや、ウィッチとはそういうものだったか?帝国にも、軍務につく若い(幼い?)女性魔導師がいるらしいが、新聞の記事に乗るほどには珍しかったはず。

 

やはり世界が違えば、常識も違うな。

 

 

「はい。お礼を言いたくて」

 

「お礼?あぁ、こちらは仕事をこなしたまでですよ」

 

「それでもです。…………あのままでは、全員死んでいたと思うので。__________本当に、ありがとうございました」

 

 

そう言って、頭まで下げてきた。

 

 

 

…………正直に言って、この世界は嫌いだ。人殺しこそやらずに済むが、ネウロイとかいう化け物が暴れているし、良い思い出が殆ど無い。

だが、こういう子のためになら、頑張ってみたくもなる。

 

我ながら、単純なものだ。

 

 




航空魔導師は、機動力では航空ウィッチに負けて、防御力は航空ウィッチにも陸戦ウィッチにも負けます。
しかし、火力は陸戦ウィッチに迫り、統制射撃の火力は圧倒的。
(という設定)
そして、ある程度ならば地上での活動も可能。


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