煽りまくるお姉さまと、お姉さまが大好きなライスシャワーの話。

戦績はアニメ(史実)準拠、性格等はアプリ混合。ただし、ライスシャワーは覚醒したままなので長距離番長です。

お姉さまはアニメトレーナーポジションですが別人。他のウマ娘はアニメトレーナーです。


別の方から同一設定(雑穀お姉さま)の小説が同時投稿されています。対バンなのでそちらも良かったら是非。

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(何がどうなろうとNLは)ないです。


お姉さまは煽る、ブルボンさんはキレる

 

『なんだよ、ライスシャワーかよ……』

 

『ブルボンの三冠が見たかったのにな……』

 

『空気読めよなー、本当に』

 

 

 あの日、ライスは悪役になりました。

 

 目指していたのは、輝くヒーロー、ミホノブルボンさん。勝つことで希望を与え、みんなを笑顔にする特別な人。努力で自分を貫き通す凄い人です。

 

 

 だけど、ライスはそうはなれませんでした。ライスが勝ってしまったから、たくさんの人をがっかりさせて、ブルボンさんからも夢を奪ってしまいました。菊花賞のターフで聞こえてきた声は、きっとライスの幻聴ではありません。

 

 

 頑張って、頑張って、頑張って、それでも、ライスは物語の主役にはなれませんでした。ライスが求められていたのは単なるライバル役で、本当にブルボンさんに勝つことなんて求められていませんでした。

 

 

 でも。

 

 

『おめでとうライス……! 頑張ったね、ついにやったね……!』

『え……あ、お姉さま、でもライス……』

『ライスなら勝てると信じてたよ……凄いよ。ライスは立派だよ……!』

 

 

 たった一人、喜んでくれる人がいました。

 

 

 ライスのトレーナーさん。とっても綺麗で、優しくて、頭の良い人。美人さんが多いトレセン学園でも、一つ抜けて素敵な人です。小さな小屋の窓辺で読書をして、見かけると笑いかけてくれるような、深窓の登場人物が、ライスのトレーナーさんです。

 

 

『でも、でもライス、みんなの夢を……』

『そんなことない』

 

 

 菊花賞で泣きそうになって、でもみんなの前で泣いてしまったらもっと嫌われてしまうから、ブルボンさんにも何も言えなくて、控え室に何とか戻ったライスを、真っ先に抱き締めてくれました。

 

 そして、お姉さまの暖かさに泣いてしまった私の目を見て、まっすぐに言ってくれました。

 

 

『私はライスが勝つことを望んでたよ。勝ってほしかった。勝ってくれて嬉しかった。ライスは私の誇りよ』

 

 

 ライスが勝っても誰も喜ばない、なんてことはなくて。お姉さまは喜んでくれる。それに、お姉さまは何度も何度も、ライスに向けられたファンレターを読み聞かせてくれました。

 

 ライスは一人じゃない。ライスが勝って、喜んでくれる人もいる。ブルボンさんにも、自分のヒーローとして走ってほしいと勇気を貰いました。

 

 その気持ちで、春の天皇賞も頑張って。マックイーンさんの前代未聞の三連覇は、ライスが阻んでしまいました。とても辛かったです。ブルボンさんにも、お姉さまにも、たくさん涙を見せてしまいました。

 

 

 でも、ライスはもう泣きません。酷いことを言う人達はいます。でも、その人達も他の誰かを応援していて、ライスを応援してくれる人は確かにいるとわかりました。みんなを笑顔にすることはできないけど、ライスのことを喜んでくれる人のために、ライスは走ると決めました。

 

 

 ライスの大事なお姉さま。ライスの大好きな、世界で一番大切な人。全部お姉さまのおかげです。お姉さまに喜んでもらうために、これからも頑張っていきたいです。そんな風にライスを強くしてくれたお姉さまは、今。

 

 

 

 

 

 

「お? やるの? 良いわよ? 相手になるわよ???」

「……ステータス:『激怒』。許容限度を越えるストレスが検知されました。オペレーション:『ストレス解消』を実行します。マスター、許可を」

「やめろ、ブルボン……放してやれ」

「チッ……承知しました」

 

 

 ライスの終生のライバル、ミホノブルボンさんとそのトレーナーさんを煽り倒していました。ブルボンさんに胸ぐらを掴まれながら。

 

 

「お姉さま!」

「あ、ライス。今日も可愛いね。絵本のお姫様みたい。みたいじゃないか。ライスは本当にお姫様だもんね。私の大切な、青薔薇のお姫様……」

「お姉さま……人前だよ……」

 

 

 挨拶と一緒にいつもの調子で褒めてくれるお姉さま。ブルボンさんに放してもらって、すぐにライスを抱きながらあごをくっと上げてきます。ち、近い、睫毛が長い、前髪さらさら……いい匂いがする……じゃなくて! 

 

 

「何してるの……?」

「あ、そうだよ聞いてライス。ブルボン達に舐められたのよ」

「舐めていません」

「ライスも、ブルボンさんはそんなことしないと思うな……」

 

 

 お姉さまを突き飛ばして、ブルボンさんの方に立ちます。ブルボンさんの味方というアピールです。お姉さまにもわかってもらわないと。近付くと、ブルボンさんもライスを抱き締めます。

 

 

「ライスは理解してくれると思っていました。流石は私の友人にしてライバルです」

「うん。ブルボンさんはそんなことしないよね」

「はい。舐めてきたのはあなたのトレーナーです」

「あ、うん……」

 

 

 お姉さまは変わってしまいました……変わってしまったのかな。わかりません。変わっていないのかもしれません。

 

 ライスの知っているお姉さまは、とてもお淑やかで控えめなお嬢様のような人でした。今も何もなければそんな感じです。でもなぜか、ライスのことになるとすぐにムキになるようになってしまいました。

 

 

「私は事実を言っただけよブルボン。菊花賞で負けたブルボンさんこんにちはって」

「真っ正面から舐めてるよぉっ!」

「脳内再生中。再度バッドステータス:『激怒』。やはり力の差を教える必要があります」

「ブルボンさんも落ち着いて!?」

 

 

 ブルボンさんの尻尾がムチどころか扇風機みたいになってしまっています。ライスが止めないと、明日にはお姉さまは病院のベッドの上です。

 

 

「ロボのメンテが足んないんじゃない? 黒沼ちゃん。三原則って知ってる?」

 

 

 しかもなぜか、割と自分から周りの人を煽りに行くようになっていました。どうしてかはわかりません。でも、標的は大体ブルボンさんとマックイーンさんです。会うと大体胸ぐらを掴まれています。

 

 そして、それは二人のトレーナーさんにも同じことが言えます。二人ともベテランの男の人で、ブルボンさんのトレーナーさんなんかは見た目も怖いけど、全然気にしていません。

 

 

「ブルボンはロボットじゃねえ。それにお前さん、挨拶だけじゃないだろ」

「挨拶だけじゃないの!?」

「いや、そろそろ復帰できるって言うからさ。短い距離が良いんじゃない? ライスにぶつかったら勝てないから、って……」

「それじゃん!!!!!」

 

 

 お姉さまがこんなになってしまってから、ライスはハリセンを常備するようにしました。これが無いと、ついお姉さまを素手で殴ってしまいそうになるからです。拳が出そうになるのを抑えてハリセンを振り下ろします。

 

 

「それだよお姉さま! そんなの誰だって怒るじゃん!!!」

「ライス! 私はライスを信じてるの! ライスなら勝てる!」

「二人きりの時に言って!?」

「じゃあ逆にライスは負けるかもしれないって思うの!? 長距離で! ブルボンに!」

「それは……」

 

 

 ライスの力はみんなとお姉さまの力です。嘘はつけません。流石にライスの方が有利……いやでも、ブルボンさんは努力の人で、どんな壁も乗り越えてきた凄い人だし、頑張り屋で、今だってライスと勝負をするために物凄い特訓を繰り返しているわけで。

 

 

「即答しないってことはそういうことよね。ほらね。やっぱりライスが一番! 最強! 閉廷! みんな解散!」

「……ダービーではブルボンが勝ったが」

「……は? おいおい黒沼ちゃん。今何て言った? ん?」

「何も」

 

 

 お姉さまが、自分より頭一つ大きいブルボンさんのトレーナーさん……黒沼さんに肩を組んで並びました。いつも通りのジャージの下の素肌を拳でぐりぐりと押し付けます。

 

 

「ダービー? ダービーって言った?」

「言ってねえ。だがレースには格があると思ってな」

「長距離が格落ちだって言いたいわけ?」

「別に」

 

 

 お姉さまの拳が鳩尾あたりに入っています。でも、全然痛くなさそうです。お姉さまは結局非力は非力だし華奢なので、黒沼さんがその気になれば振り払われた衝撃でそのまま体がバラバラになってしまうかもしれません。

 

 

「3200が王道距離なのよ。メジロもそう言ってるから」

「お前さんがそう思うならそうなんだろう。お前さんの中では」

「何が2400よヨーロッパかぶれが……」

「それ以上はURAに消されるぞ」

 

 

「ところでライス。今、駅前に移動キッチンカーが限定はちみーを販売しているそうです。ちょうどライスと走りたいと思っていましたし、どうでしょう」

「うん。良いね。ライスも走りたいな。他に誰か呼ぶ?」

 

 

「言ってれば良いじゃない! 短い距離ならライスに勝てるって!」

「逆だな。長い距離ならブルボンに勝てるんだ」

「は? ライスが本気ならどんな距離でも勝てるんだけど???? やんのか???」

「言ってろ」

 

 

「あ、お姉さま。ライス、ちょっと駅前まで軽くランニングしてはちみー買ってくるね。お姉さまにもお土産買ってくるからね」

「うん。いってらっしゃいライス。気を付けてね。はいこれお小遣い。楽しんでおいで」

 

 

 周りに見えないように黒沼さんの胸に指を突き立てていたお姉さまが、普段の微笑みに戻って財布を取り出しました。お姉さまがブルボンさん達に突っかかってる時は止めないといけないですが、トレーナーさんに突っかかってるなら止めなくても大丈夫です。勝てないので。

 

 

「お姉さま。ライス自分のお金持ってるし、くれるにしてもお札の種類がおかしいよね?」

「ごめんね、何故か一万円札切らしちゃってて」

「そうじゃなくて」

 

 

 お姉さまがくれた五千円札を返します。すぐライスのためにお金を使おうとするのはやめた方が良いのに。服とか靴とか、お姉さまは何でも買いたがります。

 

 

「ブルボン。持っていけ」

「ありがとうございます」

 

 

 ブルボンさんはお金を引き出すことができないので、出掛ける時は毎回こうしてトレーナーさんにお小遣いを貰います。それに合わせて当たり前かのように、お姉さまもお金を出してきました。

 

 

「ほらライス。ライスも」

「ブルボンさんはATMが使えないだけだよね??」

 

 

 絶対に受け取っちゃダメです。ずるずると何回も受け取ってしまうのがわかっているからです。しかも、何を買うにしてもまず一万円札から始めるのが本当に怖いです。今回は五千円札だったけど。

 

 もしかしてお姉さまは本当にどこかのお嬢様なんじゃないかと思ったこともあります。こう見えてトレーナーとしてのお仕事の他に、楽器もいくつか弾けるし書道もできます。

 

 

「仕方無いわね。これは後で他の買い物に使うわ」

「い、いらないよ? ライス本当にいらないよ?」

「まだ何も言ってないわよ、ライス」

「でも言わないとまた服が増えちゃうからあ!」

 

 

 ライスのお洋服タンスはもう大変なことになっています。ロブロイさんは荷物が少なくて本も部屋には置かないから空いてはいるんだけど、ライス一人でファッションショーやフリーマーケットができるくらいたくさんのお洋服があります。全部お姉さまが買ったやつです。

 

 でもお姉さまのお洋服はどれも素敵です。ライスの好みもちゃんとわかっているし、少し冒険したようなお洋服をテイオーさんに見せたら「ライスってセンス良いんだね!」と言われました。

 

 

「冗談よ。いってらっしゃい、ライス。遅くならないうちに帰るのよ。何かあったらカードを使ってタクシーで帰ってくるのよ」

「う、うん……いってくるね、お姉さま」

 

 

 ライスの財布になぜかいつも入っている黒いキャッシュカードは絶対に使わないようにします。怖すぎて暗証番号を忘れられません。

 

 

「……大変ですね、ライス」

 

 

 お姉さま達と別れて歩いていると、ブルボンさんが私のハリセンを眺めながらそう言いました。

 

 

「うん、すっごく大変」

 

 

 いつもいつもとても困らされています。静かにしていつも普段通りいればとても綺麗で素敵な女性で、ライスもああなりたいって思うような人なのに、喋ると台無しです。

 

 ライスのことをみんなに言い触らして、一番強いって絶対に引きません。どんな時でもライスが一番強いと言ってくれます。

 

 

「……笑っていますよ、ライス」

「え? あ……えへへ。変かな」

「いえ」

 

 

頬っぺたをむにむにして普通の顔に戻します。お姉さまのことを考えるといつもこうです。あんなお姉さまだけど、本当に大好きなんです。

 

ブルボンさん達もきっとそれをわかっていて、付き合ってくれているんだと思います。むにむにするライスを見て、ブルボンさんは少し微笑みました。

 

 

「感謝していると、奴には伝えないでください」

「……え、伝えてくださいじゃないの?」

「伝えないでください。悔しいですから」

 

 

絶対にお姉さまのおかげなんて言いたくないけど、ブルボンさんや黒沼さんもよく笑ったり、冗談を言うようになったみたいです。絶対にお姉さまのおかげじゃないけど。

 

黒沼さんとの関係が良ければ、ブルボンさんも楽しい……と思います。この二人のことはよくわからないですけど。

 

 

「じゃあ伝えておくね」

「やめてください。また煽られます」

「えへへ」

「こらライス。返事をしなさいライス」

「ひゃぁあっ!」

 

 

耳をくすぐられて変な声が出ちゃいました。それをやったブルボンさんを睨みます。たぶん、迫力なんか無いけど……

 

 

「では走りましょう。先に着いた方が大盛り分を奢るということで」

「……ライス、負けないよ。絶対に負けないから」

「……ふふ。それでこそです」

 




登場人物

ライス→普通のお米。人前でも恐れず強めのツッコミができるようになった。色々、自信は結構ある。

お姉さま→黙ってれば美人。喋ると厄介オタク。

ブルボン→キレやすい十代。ライスに睨まれるとゾクゾクする。

黒沼(ブルボンT)→男だったら一発かますくらいはしていたが、お姉さまを殴ったらどう考えても死ぬのでやめた。

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