異世界はエルデの王と共に   作:リュオネイル

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今回、あの大食いキャラが登場します! ……え? 大食いキャラじゃない? 違うの?
それと、原作ではバニラアイスの話になりますが、今回は割愛させていただきます。 なんとなくエルデンリング要素が入りそうになかったので……。ほぼ原作通りと考えていただければ、幸いです。


第6話 ~旅路、美少女侍~

 ギルドの依頼というのは、人の数に比例して多種多様にある。 魔獣討伐に採取、魔物や遺跡の調査、少し変わったものだと子守だとかがあった。

 何回かギルドの依頼をこなしていた俺たちは、昨日ギルドランクが上がり、カードの色が黒から紫になった。これで掲示板に貼られている依頼書のうち、黒と紫を受けられる。

 しかし、だからと言って油断していれば失敗する可能性もあるし、最悪命を失うことになりかねない。 ランクが上がったことによって、より一層気を引き締めねば。

 

「え~っと、北……廃墟……討伐……メガスライム?」

 

 紫の依頼書の一つを手に取り、読み上げてみる。リンゼの上手な教え方のおかげで、簡単な単語や文章は読めるようになった。 それで、報酬は……銀貨8枚か。 三人じゃ割り切れんが、悪くはないな。

 

「なぁ二人とも、この依頼……」

「「ダメ」」

 

 まさかの即答。 しかも拒否。 そこまで嫌か、この依頼。

 聞けば二人とも、ブヨブヨネバネバした物体が生理的にダメなんだそうだ。

 

「それにあいつらって服とか溶かしてくるのよ? 絶対に嫌!」

「はぁ、なるほどな。 まぁ人には誰しも、苦手なモノとかあるよな」

「冬夜さんも、苦手なモノとかあるんですか?」

 

 リンゼは意外そうに俺を見る。 君、俺の事を何だと思っているんだ?

 

「そりゃ、俺だって一人の人間だ。 苦手なモノの一つや二つ、あるもんさ」

「意外ね~。 それで? どんなものが苦手なの?」

「えっとだな……熊、烏、犬に蟻、ザリガニ、カニ……こんなところか」

「えぇ? 熊はともかく、ザリガニに蟻って……あの?」

「あぁ、その蟻やザリガニだ。 もっとも、蟻はどちらかというとビジュアル的にだが」

「……えっと、蟻にそこまでの嫌悪感は無いと思いますが……」

「とにかく、俺にも苦手なものはあるんだ。 そこは理解してもらいたいね」

 

 俺は話を無理矢理切り替えようと持っていたスライムの依頼書を戻し、その近くにあった依頼書を取って二人に見せる。

 

「えっと何々……王都への手紙配送。 交通費支給、報酬は銀貨7枚……か。 いいわね、これ」

「銀貨7枚か……さっきの報酬といい、三人で割れないな」

「別に残りはみんなで何かに使えばいいんじゃない?」

「……確かにそうだな」

 

 エルゼの言葉に納得した俺は依頼書を改めて確認する。 え~依頼主は……ザナック・ゼンフィールド? あぁ、あのザナックか。

 住所も確認してみたが、やはり「ファッションキングザナック」のオーナーのザナックだ。間違いない。

 

「そういえば、王都はここからどれくらいかかるんだ?」

「ん~、馬車で五日くらい?」

 

 距離は結構あるみたいだな。 馬車で五日……初めての長旅だ。 『ゲート』で一瞬で戻ってこれるから、楽と言えば楽だが。 それに一度でも王都に辿り着ければ、次からは行きも『ゲート』で一瞬だし、後々使えるはずだ。

 

「よし、ならこの依頼を受けよう。 この依頼人、俺の知り合いでな」

「そうなの? なら決まりね」

 

 エルゼに依頼書を渡し、受付に持って行ってもらった。 受付を済ましたエルゼが言うには、細かい依頼内容は直接依頼人に聞くように、とのことだ。

 なら、会いに行くとしよう。

 

「やぁ、久しぶりだね。 元気だったかい?」

「その節は世話になったな」

 

 店に入ってすぐにザナックは俺に気づき、声を掛けてきた。 ギルドの依頼で来たことを告げると、俺たちを奥の部屋へと通してもらった。

 

「さて、今回の仕事内容はこの手紙を王都にいるソードレック子爵へ届けること。 私の名前を出せば分かるはずだ。 子爵からの返事ももらって来て欲しい」

「急ぎの手紙か?」

「いや、急ぎではないが、あまりゆっくりされても困るがね」

 

 ザナックは笑いながら、短い筒に入った手紙をテーブルの上に置いた。蝋で封がされ、印章が押されている。

 

「それと、こっちが交通費。 少し多めに入れといたから、余っても返さなくていい。 王都見物でもしなさい」

「あぁ、ありがとう」

 

 手紙と交通費を受け取って店を出て、さっそく旅の支度に取り掛かる。 俺は馬車の手配を、リンゼは旅の間の食糧の買い出し、エルゼは宿に戻って必要な道具を持ち出すことにした。 1時間後、すべての準備が整い、俺たちは王都へ向けて出発した。

 

 馬車はレンタルで借りた。 (ほろ)もなく荷台をつけただけの粗末な馬車だ。 しかし、歩くよりは数倍マシだ。

 俺は霊馬(トレント)に乗り慣れているから乗馬は出来るが、馬車の扱いは自信は無い。 しかし、二人は中々に手馴れていた。 なんでも親戚の人が農場を経営していたらしく、子供のころから馬の扱いになれているんだそうな。

 その結果、御者台には交代でどちらかが座る事となり、俺は荷台でただ揺られているだけとなった。 ……なんだか申し訳ない。

 馬車は順調に街道に進み、時折すれ違う他の馬車に挨拶しながら、北へ北へと向かう。

 リフレットの町を出発して、その次のノーランの町を素通りし、アマネスクの町に到着した時、ちょうど陽が暮れてきた。

 今日はこの町で宿をとることにしよう。

 完全に陽が暮れる前に宿を決めることにする。 「銀月」よりも少し上等な宿に部屋を取った。 部屋割りは俺と彼女たち二人の二部屋にした。

 宿が決まったところで、馬車を預け、みんなで食事に出かける。 宿の親父が言うには、ここには麺類が美味いんだそうだ。 ラーメンとかあるのか? バニラアイスとかがない世界だし、そこは望み薄だろうな……。

 どこか手ごろな店に入ろうと町中を散策していた時、道端から争う声が聞こえてきた。 そちらの方を見ると野次馬が集まり、何やら騒ぎが起きているようだ。

 

「何だ?」

 

 興味を引かれた俺たちは、人込みをかき分け、騒ぎの中心に辿り着く。 そこには数人の男たちに取り囲まれた異国の少女がいた。

 

「あの子……変わった格好をしてますね」

「ありゃ、侍だな」

 

 リンゼの疑問に俺は短く答える。 薄紅色の着物に紺の袴、白の足袋に黒鼻緒の草履。 そして腰には大小の刀。 流れるような黒髪は眉の上で切り揃えられている。後ろはポニーテールに結われていて、その先も肩の上で真っすぐに切り揃えられている。 控えめの簪が良く似合っていた。

 しかし侍とは言ったが、イメージ的にはハイカラというか、そんな印象だ。 しかし、その佇まいは侍のそれだ。

 その侍の子を取り囲むように、十人近い男たちが剣呑な視線を向けている。 男たちの中にはすでに剣やナイフを抜いている者もいた。

 

「昼間は世話になったな、姉ちゃん。 お礼に来てやったぜ」

「……はて? 拙者、世話などした覚えはないのでござるが」

 

 せ、拙者って……それにござるって……今時聞いたことないぞ。

 

「すっとぼけやがって……! 俺らの仲間をぶちのめしておきながら、無事で帰れると思うなよ!」

「……あぁ、昼間警備兵に突き出した奴らの仲間でござったか。 あれはお主たちが悪い。 昼間っから酒に酔い、乱暴狼藉を働くからでござる」

「やかましい! やっちまえ!」

 

 男たちが一斉に襲い掛かる。 侍の子はひらひらとそれを躱し、男の一人の腕を取って、軽い感じでくるりと投げた。背中から叩きつけられた男は悶絶し、動けなくなる。相手の力と勢いを利用し、流して体勢を崩させ、投げる。 合気道……あの侍、なかなかできるな。

 侍の子はそのまま続けざまに二、三人投げ飛ばしていたが、何故か不意によろめき、動きが鈍る。その隙をついて、背後から剣を構えた男が斬りかかった。 野郎……っ!

 

 シュバッ! バァァンッ!

 

「なっ!? ぐぁあ!!」

 

 俺は戦技『猟犬のステップ』を装備したセスタスを右手に、戦技『パリィ』を装備した金装の鉄盾を左手に装備し、男と侍の子の間にステップを使用して入り込み、男の剣を盾でパリィする。突然の乱入者に侍の子は驚いていたが、俺を敵ではないと判断したのか、目の前の自分の相手に注意を戻した。

 

「な、なにしやがんだテメェ! そいつの仲間か!?」

「いや、俺とこの子は何の関係もない」

「ならなんで首を突っ込んで来やがる!? テメェにゃあ関係ねぇだろうが!」

「関係ない? たった一人の少女に対して大の男が数人がかりで襲い掛かり、その上背中から襲われそうになってるのを見て、黙って見ているほど俺も大人しくはないんでな」

「ぐっ……! て、テメェら! コイツも一緒に叩きのめしてぐほぉあ!?」

「ああもう、やっかいごとに首突っ込んで!」

 

 そう文句を垂れながら戦いの輪に飛び込んで、リーダー格っぽい男にガントレットの重い一撃を与えるエルゼ。 言葉とは裏腹に顔が笑ってんぞ、お前。

 あれこれやっていてしばらくすると男たちは全員のびていた。 うち半数はエルゼが嬉々としてぶちのめしていたが。 ……彼女、狭間の地にいたら絶対すぐに馴染むだろうなぁ……。

 町の警備兵がやってきて、後の事を任せ、俺たちは現場から離れる。

 

「ご助勢、かたじけなく。 拙者、九重八重と申す。 あ、ヤエが名前でココノエが家名でござる」

 

 そう言って侍の少女――九重八重が頭を下げる。 その自己紹介に、少しだけデジャヴを感じた。

 

「その名乗りからして、イーシェンの出身か?」

「いかにも。 イーシェンのオエドから来たでござる」

 

 オエド……そんなとこまで似ているのか、イーシェン。

 

「俺は望月冬夜。 冬夜が名前で望月が家名だ」

「おお、冬夜殿もイーシェンの生まれでござるか!?」

「まぁ……似たようなところから来たな。 それで、さっきの戦いの最中ふらついていたようだが……どこか体調が優れんか?」

「いや、体は問題ないのでござるが、そのう……拙者、ここに来るまでに、恥ずかしながら路銀を落としてしまい、それで~……」

 

 ぐうぅぅぅうぅう~。

 

 八重のお腹から盛大な音が鳴った。 彼女は顔を真っ赤にして肩を小さくしている。 ……さっきの凛々しい姿からは想像できない、腹ペコ侍の登場だな……。




【Tips】戦技『猟犬のステップ』

一瞬に姿を消し、ステップ移動する戦技
それは高速で、また移動距離も長い

入手方法:マップ・ケイリッドの北側 グレイオールの竜塚にある祝福『レンの魔術師塔』の北の橋に夜間限定で出現する夜の騎兵を倒して入手。

【Tips】小盾『金装の鉄盾』

金属製の小円盾
木製の盾に比べ重いが、カット率が高い

黄金の塗装は、半ば剥がれてしまったが
まだ僅かに、聖ダメージのカット率に優れる

入手方法:マップ・啜り泣きの半島にある 祝福『巡礼教会』横の墓地の遺体。

【Tips】戦技『パリィ』

近接攻撃にタイミングを合わせて使用し
攻撃を逸らし、敵の体勢を崩す戦技
致命の一撃のチャンスとなる

入手方法:マップ・リムグレイブにある 祝福『戦学びのボロ屋』にいる騎士ベルナールから購入(600ルーン)。
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