戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。の世界の遠い未来ではこういうことになってそうだなあという妄想です.

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遠い未来でとある歴史雑誌へ寄稿されたもの.
後の世界のアマチュア歴史マニアが久遠家の真実に気づきかけたという設定.


原作の設定とか史実の方で間違いがあれば指摘歓迎


久遠家の意外な一面,その執拗的なまでの秘密主義

 

 

 

 

ㅤㅤ一般に久遠家は基本的にその家伝や秘伝を惜しげもなく人々に広く知らしめ,世のため人のためとなる知識や技術を普及させることに熱心であったとされている.

 

 

ㅤ14から16世紀に渡って世界の海を把握していた(支配していたわけではない,できてもあえてやっていなかったであろうが)とされる久遠家だが,そもそも彼らが日本の尾張で歴史の表舞台に出てくるまでその存在は世界史のどこにも姿形も噂も痕跡もない.

 

ㅤあの時代にあれほどの大船団を有していながら,国家を主張せず自らの存在を秘匿していたのだ.

久遠家を熱心に研究する歴史学者ほどそこに彼らの根本の秘密主義があると指摘している.

 

ㅤそもそも奇妙な事実として,自然科学の歴史において久遠家の直接的な家系の中から歴史に残る発見やまさに時代を進めるほどの研究論文が出てきたことは少ない.

戦国時代から現代にいたるまで久遠家やその周囲の個人や組織が世界最先端の科学技術·自然科学的知見を有していることは広く知られている.

 

ㅤしかし,まともに教科書に出てくる久遠の名前は初代久遠一馬とその妻たちだけであり,それ以降歴史の偉人は久遠の周囲でこそ生まれるものの内部から出てくることはなくなる.

素晴らしい発明や発見をした者を世界のどこよりも誰よりも目敏く見つける久遠家だが,久遠自身がそれをしたことはない.

いや,正確に言うならば,久遠家は初代以降,歴史に残る発見や発明をあまりにも華麗に避けているのだ.

 

ㅤそれはまるで,自分以外の誰かがその発明をするのを待っているかのごとく.

 

ㅤある研究者の指摘では初期の久遠家は””自重””が甘く他に先走り公開してしまった技術があり,それが地図製作法であると主張している.

ドイツ人が地球儀を作ったりポルトガル人が赤道を記した地図を描く数十年前から久遠家はそれらの知見と技術を有していたことが織田家の記録や久遠家自身が公開している記録から判明している.

 

ㅤしかしながら古くは足踏み式脱穀機に始まり力学理論に基づく印刷機械や起重機械(クレーン),それ以降は蒸気機関や電気の発見など著しく文明を推し進める技術において多くの日本人の名前が出てきても,そこに久遠家の名前があがることはない.

 

ㅤㅤとにかく久遠家は歴史に名を残すことを嫌っていたのではないかとすら思えるのだ.

 

ㅤ例えば,久遠諸島において古くから鉄道馬車を運用していたことから高度な鋳鉄技術を有していたはずだが,起源の主張に熱心ではない久遠家の性質のせいか世界史ではドイツの城水路の鋳鉄パイプやイタリアの鋳鉄工場の方がわずかに先だったとしてそれを鋳鉄の高度な利用の始まりとしている.

 

 

ㅤ一方で,一般に久遠家に対して秘密主義という印象が薄い要因には,彼らの医学への貢献があるだろう.

 

ㅤ久遠ケティや久遠パメラの予防接種に始まり,医学における重大な発見や発明,数多くの研究論文では久遠本家の人物の名前が頻出する.

 

ㅤ世界初の輸血の救命や手術への応用や臓器移植,抗生物質の発見など現代医学の基礎のほぼ全てに久遠家が関わっていると言っても過言ではない.

 

ㅤ医学の分野では,過去の常識が最新の研究によってひっくり返ることも少なくないとされるが,こと久遠の医学において過去の理論や概念が大きな誤りであった事は無いのだ.

それは過ちを恥として隠さず次への糧とすることで有名な久遠だからこそ,恐ろしい事実である.

 

ㅤㅤ過ちにも寛容な久遠は,しかし命を救うとき決して間違わぬのだ.

 

ㅤこの分野において,久遠家の秘密主義は息をひそめ,近代に至り留学などが盛んになり欧州が正しく日本を認識するまで長らく尾張を中心とした日本圏の病院は世界の数百年先の医学理論と概念に基づいて運営されていた.

 

ㅤただし,日本が欧州との深い関係を持つまで数多くの医学的知見や技術は織田領内から日本圏内に留まり,特に種痘技術など久遠家は欧州に秘匿したのだなどと批判されることもある.

 

ㅤ久遠家ならばやろうと思えば欧州へ進出し関係を持つことは不可能ではなかったはずだが,積極的な秘匿の意図は無くとも久遠家の一馬以前の方針と同様に,わざわざ遠い欧州と深い関係を持たなかっただけだと思われる.

 

ㅤㅤこの時代にして高度な技術を有しながら様々な人種や宗教信者を抱えていた久遠家にとって欧州との交易はあまりにも大きすぎるリスクだったに違いない.

 

 

 

 

 

 


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