怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
「僕」「ガンドのメルさん(ガンさん)」「キャリバン・メルクリウス」「ガンド天狗」 などの呼称で本作に登場するキャラクターは「水星の魔女 公式サイト内「ゆりかごの星」中に出てくる"僕"」つまり「エアリアル」です。
書かなきゃ分からない事かな、これ……?(ボブは訝しんだ)
ガンダムエアリアルの建造は急ピッチで進んでいる(当社比)
そう、あくまで当社比だ。なんせシン・セーにはモビルスーツ開発経験がない。経験だけでは無く技術者もいない。居るのはせいぜいパーメット採掘現場用のモビルクラフトの整備技師とか、図面読める程度の爺ちゃんである。
シン・セーの正式名称はシン・セー開発公社だ。ぶっちゃけパーメット採掘やってた業者であって、地質学や採掘関係技術、シールドマシンやパーメット鉱石運ぶ運搬車とかの開発経験はあるが、モビルスーツなんて作る気も無かった。どこの世界にMSにビームツルハシやヒート角スコ持たせて穴掘るやつがいるのか。
元々プロスペラ部長の在籍していたヴァナディース機関だって当初はガンド義肢開発しかしてないし、様々な理由で資金難にならなければオックスアース社と組んでガンドアームなんか作らなかった。愛しのルブリスも制御系以外はほぼオックスアース社の設計そのままだ。そのオックスアースだってMSの性能は大した事が無いって評判だから、操作系を異次元のレベルで簡易化出来るガンドフォーマットに飛びついた訳で……
軍用兵器の開発は簡単じゃないんですよ(力説)
本当はイケナイ事なんだけど、ルブリス解体してリバースエンジニアリングしながら手探りでMS開発の勉強してる僕らは海賊さんだ。このままルブリスの海賊版売ったら確実に警察に捕まるか民事訴訟起こされる。そこで僕は考えた。
「モビルスーツの周辺技術だけパッケージ化して売りましょう」
これだ。
差し当たって一番我が社にとってヤバい危機はこれで回避できる。これで僕の株券も紙屑にならずに済む(安堵)
そんなこんなでテストテストテストで日が暮れて、最終的な「ガンダム・エアリアル」の仕様が固まる頃、一足先に「ガンド天狗」は完成した。
格納庫及び装着システムは、ガンダムエアリアルのシミュレータを模したコクピットブロックである。コクピットに座りあるキーワードを唱えると僕の四肢を天狗パーツに換装して「ガンド天狗」に変身できる。その後に隠してある天狗面や一本歯の高下駄を履いて完成。背中にはオプションで羽根パーツが付く……フライングユニットだ。
武装は諸葛孔明の羽根扇に似た天狗扇。5枚の葉は簡易ガンビットで、辺縁部の超硬チタン刃が5mmぐらいまでの鋼鉄を寸断できる。ビーム発振装置は小型化したらタバコに火を付ける程度の火力にしかならなかったので断念した。
天狗腕はパワーシリーズのガンドツールを改良してガンビットコントロールできる。つまりロケット推進パンチだ。(「推進」を省略してはいけない)
ハードウェア的にはベンチプレスで1トンを上げ、垂直跳びで3m、フライングユニット使えば凡そ3分間の全力飛行が可能だが、プロペラントが足りないので使い所を考えないといけない。
そしてまたアレなんですよ。ハードウェア性能が良くとも使い熟せないと絵に描いた餅なんですわ。
ある意味、ここがルブリスをデリング氏が危険視した理由だと思うんだけど……ある特定の機械を本当に自分の手足の様に扱える技術は、その道に生きるプロにとっては死活問題なんですね。彼らの専門性、訓練により勝ち得た一般人に対する優位性がなくなってしまう。
例えばモビルスーツを考えてみよう。高価な機械だから操縦訓練は金持ちがバックにいないとできない。だから金持ちスペーシアンは高度に訓練されたパイロットとMSで有利になるが、訓練もままならないアーシアンはそもMSの操縦訓練もできない。まぁ、出来てもMSを自前で用意出来ないのだけど。
MSを盗んだりする事が出来ても、結局上手く動かす事が出来なければ脅威にはならない……が、モビルスーツが自転車並みに扱い易くなったらどうだろう?
モビルスーツを鹵獲されたり、奪取されただけでパワーバランスが崩れてしまうんだ。
幸にして、僕のガンド天狗ボディも性能は良いが扱いが物凄く難しい。むしろ簡単に扱えない様にした。万が一盗まれた時に対抗するのがメチャクチャ大変になるからだ。ある種のセキュリティとして、扱いづらさをそのままにしたとも言う。そして……その扱いづらさをどうやって克服するかというと……
特訓でしょう!
毎夜毎晩、遅くまでエアリアルのアビオニクスのプログラミングやシミュレーションをしていると見せかけて、シミュレータの上で「テックセット」と呟く。
モニタに凝ったデザインのテックセットモードが表示され、ガンド天狗に変身する。開発拠点周辺の監視カメラに欺瞞画像を転送して目を塞ぎ……飛んで行けるとカッコいいのだが、下駄で走って水星愛宕神社に向かう。
神社の森はかっこうの訓練所だ。なんせ見つかっても「天狗の仕業」と誤魔化せる。そりゃあ愛宕山だもの、天狗の1つ2つ居ますわなぁ。
本家京都の愛宕山には13体の天狗が住んでるらしい。