怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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ナス高は水星愛宕神社のある小高い丘の中腹にある。学生の寄宿舎として広いホールを持つ神社をとりあえず間借りしているからだ。そして学舎はまたも活用される12ft.コンテナ。とりあえず体裁だけ整えておけば地球圏の魔女が来た時に資金投入してくれるだろうと言う甘い目論見は2年ほど空振りとなる。


校舎(まなびや)

最初期の生徒が戦災孤児ばかりになるのは予想外だった。この点については全くの誤算で、もうちょっと後ならシン・セーの旧社員寮使えたのになとプロスペラは頭を抱えている。(なお、給食はゴドイが社員寮で調理して運んでいる)

 

 

【シン・セー旧社員寮】

水星のパーメット鉱床採掘権をカーギル系資本が買い取ったので、シン・セーは会社機能を地球圏に移しつつある。

 

 

そして、もう一つ重大な問題が。

水星圏の爆発的な人口増加で食料自給率が緩やかに低下しているのだ。なんとスレッタがアス高でドタバタしている内に住人が2割も増えたのである! 2割も!(スレッタ転出時の人口が300人ぐらいしか居なかったというアレ)

最盛期の水星には2万の住人が居たのだから食料生産プラントの再稼働が復活したら充分養える数ではあるが、長年放置されていた機械の再稼働にはかなりの時間がかかる。特に土だ。入れ替えできれば何のことはないが、外から土を入れる時には検疫を通さねばならない(あと畜産復活ががががが)

しかも……増えた人口の4割がサナトリウムに入っている病人で、2割がサナトリウムの職員だ。なんでこんな試される星で病気療養するのだろうか? と言うか、ダメな部分があればガンドにしてしまえばいいのに……ちんたら治癒を待つと言うやり方自体がプロスペラには気に入らない。そして……

 

 

「西洋医学、いや、今や科学的対症療法とでも申しましょうか……病気や怪我の部分を見て「全体」を見ない。あの様なやり方では治るものも治りません」

「そこで、ハイパー・ホリスティック医療という訳ですね、博士!」

「さよう。人を取り巻く環境や精神、そして魂! これらを総合的に見て治療を施さねば治癒力が引き出せんのです。その点この水星圏は素晴らしい。溢れる電磁波、そして完全菜食。この地で治療に励めば──」

 

 

ぶち

 

 

「ベル……なんで私の愛する水星が代替治療の巣窟になってるワケ?」

「私は知りません。ただ、マクロビだのレメディだのは住民の知的水準や文化文明の低下と相関があるって統計分析はありますね」

「ったく……そんなに自然が良ければ水星地表で日光浴でもしたらいいのに」

「1時間もせずに干物になりますよ(微笑)」

 

残念ながらAS125年ぐらいの医学も未来世界なのに万能ではない。救える部分や範囲は読者諸兄のいる「現実世界」よりもかなり増えてはいる。だがしかし、やはり人は病むし死ぬのである。特に宇宙では凡ゆる病気の罹患率が増すし、致死率は高い。人間は何万年も地球で生きて「宇宙には慣れていない」

科学の力を持ってしても生体としての適合には千年単位の時間が掛かるだろう……昔の漁師は「板子一枚、下は地獄」などと言っていたが、宇宙空間では板子一枚、全周地獄なのである。

 

「ベル……貴女悔しくないの! あれはガンドに対する侮辱よ!?」

「気にしない、気にしない。あの手のバカは変な教えや変な薬でバンバン死にます。勝手に死滅するレミングですよ」

「また今晩死にかけが来るらしいじゃない!」

「あら、水星で葬儀屋さんとかお墓屋さんやった方が儲かるかしら?」

「ベル!」

「先輩、見方を変えましょう。ケロッグ博士みたいなトンチキ医療は所詮オカルト。科学が育んだ最先端治療には敵いません」

「当たり前じゃない」

「縋った藁に効果が無ければ、彼らもガンド医療の扉を叩きます。今や……」ベルメリアはすっくとソファから力強く立ち上がった。

「脳すら置換できるガンド医学は最強最高! 最後に残された自我や自意識の所在さえ突き止めたら最強から「完璧」に変わります!」

「……おぉ……」

「浣腸や電気風呂やブルブルマシーンで健康になられてたまるか! ヴァナディースに置いてきちゃったけど全然効かなかったんだから!」

 

ですよねー(棒)

 

 

【ケロッグ博士】

コーンフレークを発明したおじさん。電気風呂や腰に回したベルトを振動させる機械、菜食徹底、自慰禁止、浣腸、乗馬マシーンなどなど……現代でもお馴染みの各種代替医療や健康法で財を成したマッドサイエンティスト。禁欲傾向が強いキリスト教プロテスタントの新宗教であるセブンスデーアドベンチスト教会に属しており、実在したマッドサイエンティストの中では稀有な「真摯に人々の長寿健康を願ってトンチキな事をした」怪人物。尚、アレ過ぎて後にセブンスデーアドベンチストから除名された。

 

【ハイパー・ホリスティック医療】

ケロッグ博士のホリスティック医療が現代に残って推進されてるとは普通思わないじゃん……(検索取材中に何かいけない物を見たらしい)

架空のSF(すげぇ不思議)医療として定義せざるを得ない。

 

 

「やるわよ、ベル」

「はい、先輩!」

「「私たちの科学が真っ赤に燃える!」」

「無知を照らせと!」

「轟き叫ぶ!」

息もぴったりラブラブ天驚拳の舞。こうしてマッドサイエンティストvsマッドサイエンティストという誰も得しそうに無い戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

「おー、ここだここだ」

「──カーギルもいいとこあるね。仕事の後美容と健康推進するサナトリウムでの休暇手配してくれるなんて……」

真新しい『K-Log ハイパーホリスティックサナトリウム』の門前に、どこかで見た様な2人組が到着したのは、故障気味のペビ・コロンボが夕焼けすっ飛ばして空のスクリーンを夜景に切り替わる頃だった。




教育は大切だってはっきりわかんだね。
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