怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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登場人物解説

ボブ
筆者の作においてボブというのは大体どーでもいいモブキャラで、含ませも活躍もなんもない人物である。文脈により同一人物だったり別人だったり容姿が似てたりするがめんどくさくてボブにしてるだけ。


ヤクザ事務所壊滅

スレッタ11歳時の新年会。

ウチは会社で新年会を開く風習がある。元々シン・セーは中国系企業なのだ。旧正月には酒肴を並べて陽気に過ごすのだが、ここにも水星凋落の影が……

 

昨年末、水星唯一の水産・畜産企業が倒産した(涙)

 

何故かというと、水星が貧しく人口は激減中でみんな太古の昔からある伝統のチューブ飯ばかり食っているからだ。流石に野菜を始めとする植物プラントは助成金を含む公金や水星にある企業からの支援で賄っているが、肉はコスパの問題から後回しにされ、され続け……更にヴィーガンの内物分かりが悪いというか、過激が過ぎる勢力により壊滅した。わぁい、僕も君も選択の余地なくヴィーガンだネ!

 

僕は余りそれを苦にしてはいない。なんせガンドボディ作ってまだ5年、そもそも味覚というものが欠如していた僕のガンド口や舌は5〜6歳児並みに幼いのである。苦いのはなんか嫌だし、辛いのはもっと嫌だ。てーか辛いのって単純にダメージなんじゃないの? 後臭いがキツいセロリやニンジン、パクチーは食べたくない。設定年齢26の割にお子ちゃまだなとボブによく弄られている。実際その方面ではお子ちゃまなんだから仕方ないだろ!(怒)

そんなわけで僕自身はチューブ飯むしろ好きなんだけど、ヤッさんやスミス、ボブや新入りのアラン……は新年会ぐらい鳥や豚や牛、魚が食いたいと本社上層部にデモを敢行!

度重なる労使交渉の結果、新年会ぐらいは……という事で食材一式を送ってもらえる事になった。

 

気前のいい事だ。輸送には屠殺・精肉施設を備える特務艦 間宮4世号が充てられて、更に宇宙巡洋艦3隻が護衛に就いた。水星のような辺境域では肉類は最重要物資なのである。間宮入港の際には皆で港まで迎えに行ったし、僕は不測の事態に備えてガンド天狗として遠方から警備を担当した。まぁ、鉱山鉱夫に喧嘩売る馬鹿は余りいないんだけど。

 

しかしやはりバカというのは底抜けに馬鹿で、輸送車を武装して襲う慮外の馬鹿がいた。急停車して輸送車にオカマ掘られた黒塗りの高級車は示談の話もせずマシンガンを繰り出した! ガンド天狗の出番だ!

 

「ハハハハハハハ!」

 

練習してもいい声が出なかったので、古い音源からそれっぽいのを抜き出して録音しておいたのを再生。いいね、印象的で僕の地声を勘違いしてくれそうだ!

20m程の高さから急降下。アスファルトに一本歯下駄の跡が刻まれる。

「誰だお前!」

「山の天狗よ! 悪党どもこいつを喰らえ!」

バックハンドで振り抜いた天狗団扇から小型ガンビットが飛び、マシンガンを構えた男たちの右手首を切断する!

「小指が無い程度で詫びになる軟弱者め! 切り刻んでやる故そこに直れ! なぁにガンドがあるから安泰じゃ!」

「ぅ……うわぁっ!」

「貴様、顔おぼ……」

 

【挿絵表示】

 

怒りに燃えたヤクザ顔の声が固まる。そこには長い鼻の異様な風体をした僕がいたからだ。そりゃあ忘れないだろう、天狗顔だもの。

「覚えてどうする? 詣でて許しでも乞うつもりか!」

流石の水星でも天狗顔は見かけない。

硬直から解けて逃げ出す男の服の肩にガンビットを刺しておく。手首を押さえる暴漢どもに止血を施し、手首は集めて持ち去る。逃げた奴が寝ぐらに到着した様だ。輸送車に先に行く様促し、その場の暴漢どもに啖呵を切る。

「愛宕山のガンド天狗じゃ。貴様らが悪事を働けば、僕はいつでもやって来るぞ。こころ清く優しく生きよ!」

 

 

ヤクザの寝ぐら? 逃げ込んだ場所は廃棄されたプレハブみたいだ。武器庫か何かなんだろう。プレハブの角を掴み、先ずは天狗揺らしだ。

 

【天狗揺らし】

樵や猟師が山に行き、小屋で寝ていると小屋全体が揺さぶられる事があります。天狗の仕業なので無視しましょう。下手に騒ぐと天狗に連れ去られます。

 

「ハハハハハハハ!」

 

「ひっ! ひぃぃい!」

「しっ……死ねぇ!」

飛び出して来た若い衆が「パンっ」と拳銃の引き金を引くが、天狗団扇ガンビットで軽く弾かれる。ビームをピンポイントでシールディングできる「僕」にそんなものは効かない。僕……つまりエアリアルは軍用兵器なんだけど?

「いい根性をしておるな……」グイッと襟首を掴み力任せに引き上げる。「気に入った故に土産をやろう。大判の“もみじ"じゃ」

 

【もみじ】

鶏の脚の別称。中国食文化圏では甘辛く煮て?軽食として屋台で供される。

 

懐から先ほど切り取った暴漢どもの手首を出す。

「肉が欲しかったのであろ? "ハム"も要るか?」

腰を抜かしたもう一人の大腿に熱い視線を送る。

 

暴力を超えた超暴力(ズーパーゲパルト)を前に、二人は歯をガタガタ言わせるだけで押し黙ってしまった。

「愛宕山のガンド天狗じゃ。貴様らが悪事を働けば、僕はいつでもやって来るぞ。こころ清く優しく生きよ! 明日お前らの首魁に詫び証文を書かせて愛宕神社に奉納せよ、内容次第ではお前らの四肢を全てスモークしてハムにする。己の愚かさを噛み締めながら腹一杯にしたくなければ……」

鳶色のガンド天狗アイを最大光量で輝かせる。

 

「解散し、正業に就くが良い」

 

暫くの後、水星にはいくつかのたこ焼き屋屋台が出るようになった。右手がガンド化して耐熱性が上がったのか、ボロくて各種感覚センサーが鈍いのか……たこ焼きは表面カリッカリで中はフワトロの絶品らしい。僕は猫舌なんであまり好きじゃないんだけど。




親分は水産物の輸入を始めた模様。
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