怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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ミオリネGT、建築業界に興味を示す。


水星の開拓者

ミオリネ・マーキュリーはアステイカシア高の地球寮新築工事を視察していた。余りにボロいからと寮母をしているマルタンに泣き付かれたのだ。

まぁそれぐらいならと木造3階建の新・地球寮建築を計画して先ほど地鎮祭を終わらせたのだが(神主はスレッタの希望で水星愛宕神社から呼び寄せた。どう考えても京都の愛宕神社本宮から呼んだ方が安上がりなんだが)、施工日程を聞いて2度驚いた。

「なっ……何コレ?」

いわゆる工程表な訳だけども、細かく割られた建築工数を複数の担当者が分担して行う。更に工事遅延や予備日を挟んで……

「非効率この上無いわ! なんでこんなちっちゃい建物作るのにこんな……」

「お前、たまにすごいポンコツになるよな。建築なんてこんなもんだぞ」学園長グエルは呆れ果てている。

「工場で部屋単位で完成させてそれを運び込めば……」

「モジュール工法だな。間取りの自由度が減るし輸送費が洒落にならん」

尚、完成させた部屋を一旦バラして運ぶのがプレハブ工法だ。

「なら建材を工場で加工してから持ち込んで……」

「プレカット工法だな。いくらお前が頭いいと言っても建築業界だってバカじゃない。ちゃんと高効率化目指して研究進めてる」

「でも、こんなに職人が必要で工程が細分化してたら水星じゃ……」

「……俺も不思議に思ってたんだが、水星に学校作るとして建物どうするんだ? あんな僻地じゃ……」

 

 

現在、水星圏ではカーギル本社が魚介類の養殖を目的とした水産資源養殖プラントを構築中である。もちろんそれなりに現地で働く職人も居るが、大部分は地球圏でモジュールを完成させ、それを輸送艦で「曳航」して水星衛星軌道上で組み立てている。少なくとも外壁部分を完成させてから運ばないと水星では強過ぎる太陽風の影響をモロに受けてしまうし、宇宙空間での作業もモビルクラフトや建築用MSで行わねば人体に重篤な被害が出る。

そして……水星圏には建材屋なども存在しないので……カーギルは惑星開拓公団に依頼して、建材輸送や作業員宿舎施設を備えた「宇宙飛ぶ工場(フライング・ファブ)」と呼ばれる超大型艦をチャーターした。作業員1000名を含む総員5000名が過ごすちょっとした町だ。各惑星の軌道上に浮かぶフロントの建築にはこの規模の大型艦が数隻派遣されるのが常である。

「モジュール生産も任せてくれたら儲かったんだがなぁ」

「中に海水充填するんだろ? そりゃ空気充填する人間居住前提のフロントとは構造強度が違う。特注なんだろうな」

人工重力を発生させる関係上、多くのフロントでは遠心力を用いている。これにより気圧差と遠心力で居住区画は常に膨らむ力が掛かっており、初代ガンダムに出てきた形のオニール式スペースコロニーでは、気圧をわざと下げてコロニー外壁に掛かる力を低減している。

そして、魚介類の養殖を目的としたこの養殖場では内部空間の5割までを海水で満たし、完全にバランスされたバイオスフィアを作り出すという。膨張圧力は一般的なフロントの数百倍。構造強度は千倍に近い。

勿論こんな設備で魚介類養殖しても、売価が高過ぎて商売として成立はしないだろう。実態は厚過ぎる外殻に潜ませたガンダム製造プラントであり、カーギルの水星監視拠点だ。その為に完成したモジュールを現地で組み立てるという方法を採用している。

 

そして、経営戦略課主席卒業したミオリネGTは、あっさりカーギルの狙いに気付いたのである。

 

 

「お久しぶり、伯父様」

「会社は順調みたいだね、ミオリネ」

「単刀直入に聞きますね、水星圏で建築中のプラントって、水星圏監視用よね? あと何かの工場やるつもりでしょ?」

カーギル情報分析官であるジョージ・マクミランは超能力じみた洞察力を持っている。ほぼ読心力の域に達した彼の灰色の頭脳はミオリネの意図をすぐに悟る。

「ホワイトドワーフの中の資材買取と職人の派遣要請か」

「当たり。やっぱりモジュール曳航するって事は、何か機密が詰まってるって事……余るんでしょ、資材」

「機密保持のために人員も余ってる。で、ペビ・コロンボの補修と学校建築と……後は?」

「最初だけ当たり」

「え?」

「やはりカーギルとは言えアーシアンね。スペーシアンの心情は分かって無いわ」

「どういう事かな?」

「海への憧れよ」

 

 

 

 

「グエル。今忙しい?」

「いや、コーヒーブレイク中だが」

「あのさ、甥っ子くんと海でスイカ割りとかバーベキューしたくない?」

「大変魅力的だが、地球の浜辺じゃスペーシアンへの風当たりがなぁ……」

「宇宙にあったら、どう?」

「……なん……だと……詳しく話せ、ミオリネ!」

 

 

「お爺ちゃん、元気?」

デリングは素早く把握した。お父様でも元総裁でもなく、お爺ちゃん。つまりこれはレン絡みのお願い……緊急事態だ。株やってる場合ではない!

「暇では無いのだがな。他でも無い娘の話だ……何が望みだミオリネ」

「家族で海に旅行とかどうかなって」

「緩んできたとは言え、まだまだアーシアンのスペーシアンに対する恨みは深い。モルディブ辺りを貸切にするとして……」

「もっと小規模に気楽にやろうってハナシよ。スレッタから水星に定期航路敷設したいなぁなんて相談されたんだけど……」

「話が見えんな。長くなるなら茶を用意させるが」

 

 

 

 

「既に親父とジェターク社からは積極的な参加の意思を貰ったわ。水産資源だけではなく観光資源にするのはどう?」

「……わざわざ水星まで海水浴……そこまでしなくても地球に降りたら……」

「そこよ、スペーシアンも地球で海水浴したくはある……でも、恨まれてる自覚があるからおっかないのよ。海パンに拳銃や防弾チョッキ着るわけにもいかないしね」

「安全に楽しめる宇宙の海、か……」

「どうせ養殖場と秘密のブロックは厳重に区分けするんでしょ? 養殖場側に砂浜とちょっとしたホテル作るだけ……ホテルも地球寮で一緒だったオジェロの実家がラスベガスでリゾート開発手掛けてて、条件良ければオジェロが口効いてくれるって」

無論、条件とはカジノ経営権である。

「一気に外堀埋めてきたね……そんなとこはノートレットそっくりだ」

「高級リゾートホテルで新鮮豪華なシーフードパーティ。アホみたいに単価が高い魚介類もスペーシアンの金持ちには売れるし、リゾート地があれば定期便も水星圏に引き込める……」

「うーん、水星シーフードの宣伝にはなるか……確かに水産資源養殖実験だけで使うのも勿体無いっちゃ勿体無いなぁ」

「水星に産業が生まれたら、そこで働く人々の家も必要になる。ペビ・コロンボ23なら2万人ぐらいまで収容可能……あ、先にウチが馬鹿みたいな価格で土地買ったけど、カーギルへなら格安提供するわ」

「よし分かった。本家にプレゼンする前に一回みんなでブレインストーミングしよう。スケジュール調整は任せた」




交通網発展する前に土地買うのは基本です。西武グループを見よ。


追記:
筆者は変な事を考えた。何故水星の魔女では学園物定番の水着回が無いのか。まぁ確かにジェンダーのあれこれとかポリティカルコレクトネスとか色々あるのだが、そもそもの問題としてスペーシアンは地球の海でバカンス出来るような環境に無いのではないか。大体スペースコロニーに海とか巨大な湖作れないだろうと。(本作でもアス高みたいな超セレブ高ですら釣り堀ぐらいの施設しかないと設定してる)
ならば、作れば良い(創作魂)
海産資源養殖自体は現実世界のカーギルもやっている。また、牧畜に比べると魚介類養殖は「宇宙では」やたら困難であり(主に大量の海水とその循環がネック)、そこらのSF作品でも宇宙で新鮮なシーフードとか殆ど見た事がない。

数少ない例外がキャプテンハーロックの海賊島とサムライレンズマンに出てくるマッコウクジラレンズマンの宇宙船であるフィッシュボウル号である。
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