怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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さて、ラヴ行くか、ラヴ。


キャリバーンくんのこと

キャリバーンくんは。いつも目を開けて寝ています。

 

「はい、キャリバーン君! 惑星が球体である事はどんな風にして確認できますか?」

プラスペラ先生がぼーっとしてるキャリバーン君を指名すると、彼の目に精気(やるき)が戻る。隣に座ってる私なら見えるけど、起きた時に瞳が一瞬虹色に光るんだよね。あれはどうなって居るのだろう?

「惑星間航行が可能な今では軌道エレベーターにでも乗れば簡単に目視確認できますが、出題意図的には古代の立証方法が求められているかと思いますので順を追って説明します。

地球が球形である事は古代ギリシャ文明時代には各種の方法で確認されており……」

 

楽だわぁ、とプロスペラは感心する。授業用に下調べやレジメ作らなくともキャリバーン君指名するだけで概論説明してくれる。すっごい楽。

しかも他の生徒の理解度を勘案して説明してくれるし、指導方針さえ教えたらこのまま先生できちゃうんじゃないかしら? 初等教育部分はほんとキャリバーン君だけでイケるんでは……スレッタの小さい時にキャリバーン君居てくれたら、スレッタもアス高で経営戦略課行けたかもね……

 

ただ唯一、目を開けて寝てる様なポケーっとした部分だけ除けば、キャリバーンは完璧な王子様だった。勿論ガンドロイドだから目鼻立ちは美しく、エリーゼやスレッタの希望で王子様然とした美形に仕上がっている。

ガンさん……いや、今はエリーゼ・マーキュリーか……の蓄積した運動ライブラリにより運動神経も抜群。外部データ参照してるんじゃないかとアンチドートで外部接続遮断しても能力低下しないし……

あのポケーっとした部分だけなんとかなれば。

 

「──これらの知識がローマ帝国崩壊により散逸し、中世ヨーロッパでは地球は平面であるとか、太陽は地球の周りを回っているという天動説が……」

「ちょっと待ってよ、キャリバーン。知識とかって簡単に散逸するものなの? 複雑な話じゃないじゃん」

「そんな簡単に全ての人が忘れたりするもんかなぁ……」

「良い事例があります。僕たちは海を知っていますよね?」

「──馬鹿にしてんの? 地球の7割は海だよ?」

「てか、アーシアンは内陸部に住めないし。インフラねーから」

「その【海】のこと、スペーシアンは良く知らないみたいですよ?」

「うっそやろ……」

「宇宙からも見えるじゃん、海」

「たった100年そこそこなんですけどね、地球離れて4〜5代目となり『身近に海がない』あと、スペーシアン嫌いのアーシアンが海辺に固まってるせいで彼らは海に近付きたがらない……今の若者世代は海が満ちたり引いたりすることを知らないし、海流やら何やらの「海に関する細かいこと」を知らないんです」

「……ホントに?」

「宇宙に海作る必要ないですしね。昔ある兄弟がこんな会話したと言います……

地球表面の7割が海と聞いた、ならば海を制する必要がある!

人間はその残り3割に住んでいているんです!」

 

 

【海が7割】

2013年ごろにウケた「ガルマ三部作」を読もう!

 

 

「おおー……」

「馬鹿兄弟かな?」

「そんな事、あるんだ……」

「牡蠣がむき身でパックに入ったまま成長するバイオテクノロジーの産物だと思ってた人は見た事あります」(キャリバーンが【食った】三人目の被験者です。本当にありが(以下略)

「──え?」

「宇宙では牡蠣は食料プラントで【製造】されるものですし、牡蠣殻再利用する関係で剥き身しか市場流通しませんし。また、スペーシアンで海洋生物学やろうとする人は極めて稀です」

「待って、じゃあムール貝も……」

「ええ、剥き身で冷凍されたの流通してますから、あの姿で育つと思ってる人、結構居るみたいです」

「ウミウシかよ……」

「まさかシャケは……」

「iPS細胞で切り身を工場生産してると考えてるんじゃないですかね? 輸送コストの削減の為に丸のまま輸送する事ありませんし」

「確かに、このフロントでも魚見た事ないしな」

「てか、お魚はペースト状になったのしか出てなくない?」(カマボコかな?)

「淡水魚は小型のものなら場所により養殖されてますし、お金持ちがいるフロントではホビーとしての用途で生きたまま飼育されていることもあるみたいですね」

「鱒ぐらいなら金星で養殖してるわよ」

「えーっ! ちょっと食べてみたい!」

「金星はカニの方が有名よ。カニカマで水増しされる事多いけどね」

「カニならウチの地元でしこたま獲れるんだけどな」

「トルケル君フィンランドだっけ?」

「地元じゃくわねぇんだよなぁ……」

「カニがやたら好きな日本が荒廃したのが痛いね……あの民族が栄えてたらフィンランド栄えてたと思う」

「ドローン戦争の最前線だったんだっけ?」

「あ、またキャリバーン君寝た!」

「立ったまま寝るかな……」

 

キャリバーン君はまた、午後の日差しに髪をキラキラさせながら寝てしまいました。目は開いたまま……まるでお人形さんみたい。不眠症、なのかな?

 

 

 

 

「エリーゼ、キャリバーン君ってどっか壊れてない?」

「正常です(真顔) あれは彼の境遇に問題があります」

「どゆこと?」

「キャリバーン君、開発凍結からこの間までずーっと身動き取れずにジーッとしてたでしょ?」

「そうね、メンテナンス時もシェルユニット系だけ生きてたわ」

「生まれ落ちてから20数年、外界刺激無しでひたすら1人孤独に考え事してたんだって。あんまり長い事そんなんしてたから癖になってるんだと推測」

「え? そしたらあのやたら発達した擬似ニューラルネットワークは……」

「生きるとはなんぞやー! みたいな哲学をシェルユニットで延々考え続けてあんなんなったんじゃないかな? 彼、処理速度はガンドロイドで最速だよ。僕より速い」

「嘘、ハードウェア的にはエリーゼと同等って聞いたわよ!」

「前にキャリバーン君とも軽く話したけど、パーメット空間側の彼の論理構造の複雑さとサイズが段違いなんじゃないかと。確かにその辺が原因じゃないと説明が付かない」

「じゃ、あの寝てるのって……」

「ボディコントロール放棄してまで何かの思惟に没頭してるんだと思う。ガンドロイド特有の【論理飛躍にぶつかるとフリーズする】と似た奴じゃない?」

「イトコみたいなもんなんでしょ? ちょっとカウンセリングぐらいしてあげてよ、おねぇちゃんとして、先輩として!」

「あっちの方が年上だよ!」




エクスカリバーまでの筋書きは出来た!
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