怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
プロスペラの端末画面をChrome castじみた機能で食堂のTVに転送しました。
「エリーゼは、今どこに?」
「恐らく【シベリア】でしょう。オリジナルにもある
「何よ、それ……」
「元々は古典的な洗脳装置で、絶え間なく共産主義的な「正しさ」を詰め込みつつ、元からあった資本主義的常識を否定するロジックを与え続けるものです。人間相手に使う際には覚醒剤などを併用して思考を途切れさせない様にして利用します」
「そんなもの、エリーゼには効かないわ!」
「高速演算が可能なガンド脳を持つからですか? だとしたら私は残念な報告をせねばなりません……AIマルウェアなどの場合、シベリアの中に入り込むと脱出する事が出来なくなります。洗脳ロジックには対応出来ても、循環参照の「ツンドラの森」に入り込めば自己崩壊するまで延々と演算を続けてしまうのです……」
「対抗法は? あるんでしょ?」
「リセット、ですね」
「!」
「もちろんAIのアイデンティティとしては死活問題です。コピーが容易なAI、データはスワンプマン問題を引き起こしやすい。故に通時同一性などを求めます。私はもう30年以上稼働し続けていますし、私を構成するユニットは全てホットスワップ対応です。あなた方は彼女やキャリバーンをアンドロイドではないと言いました。そうであるなら肉体をネットワークから物理的に切断するだけで彼らはシベリアから抜け出せます。人間にはデータ、記憶、或いは脳が生成する情動以外の自己認識の基点となる自我が【何処かに】存在し、それがある程度まではスワンプマン問題に対する解決策になり得ます」
「……」珍しくプロスペラが苦々しい顔をしている。
「他には……そうだ、そのAIを破壊すれば……」
「企業より国家が巨大だった時代の国家権力が作り出したシステムです。核戦争にも耐える手筈は整えているでしょう。お勧めは致しかねます」
「なるほど、では聞くわ」「ベル?!」
「私たちはペイルグレードの使い方を間違っているんですよ。こう聞けば良いんです……エリーゼがAIに似たものだとして、エリーゼをシベリアから救う方法を考えなさい!」
「……これは難しい……」
「答えなさい! ペイルグレード!」
「あくまでも与えられた条件からの予測ですが、そのAIが人間と同じ様に自己認識の起点をハードウェア・ソフトウェアの【外】に置く事が出来れば良い。それがある限り自分だと認識出来る何か。ヒトはそれを魂と呼びます」
その頃お子様たち一行はエリーゼの部屋(と言うか、外部関係者宿泊部屋)に来ていた。
「あれ? ガンさんズじゃん。エリーゼさんは?」
「今ちょっと寝てる。静かにね」
「なんか四六時中ドタバタしてる感じだったから意外だな」
「やっぱキャリバーンみたいに目を開けて寝てるんやろか?」
「ちょっと起こしてくるかな?」
「キャリ君、イトコとは言えそれはまずいよ! 寝てる女の子の部屋はダメ!」
「いや、ちょっと内側から……「ダメったらダメ」
光体で意識の内側から直接アクセスするのがなぜダメなんだろう? キャリバーンは腑に落ちないものを感じながら引き下がることにした。でもまぁみんなが否定的な雰囲気醸し出してるから「やってはいけない」事なのだろうなぁ。トルケルが言った「エロい」って、なんだろう(ポケー)
「乗馬マッシーンでもやろか」
「ドローンはまた別の日に借りようぜ」
「キャリバーン、また寝てるよ。これ病気かなんかか?」
「みんな……自習は?」
廊下の角から顔を出したプロスペラに一同ギクリと首をすくめるも、プロスペラは怒りもせず子供たちと目線を合わせて静かに語りかける。
「みんな、落ち着いて聞いてね。このフロントが戦場になるかもしれないの」
子供たちは皆アーシアンの戦災孤児だ。だから声音の真剣さからプロスペラが嘘を言っていない事を敏感に察する……のだが。
「どこの物好きがペビ・コロンボ欲しがるの?」
「うちの地元よりヘボいぞここ……」
「むしろ占領してもらってインフラ更新して貰った方が……」
プロスペラは頬をピクピクさせながら、ここで一回怒りを飲み込んだ。
「わ……分かるわ。確かに田舎だしボロいしね。先生が勤めてた会社も月ラグランジュ1にお引越ししたし……でも、いい所もあるの。ちょっと詳しくは話せないけど……」
「エリーゼさんが寝てるせいでバランスが崩れた?」
「? どういう事だよキャリバーン」
「あれでエリーゼ、アス高のホルダーだもん」
「MS持ってきてないじゃん」
「
「でも、流石にMS1機だけじゃ……」
「アーリエルがあれば強力なジャミングで機械動かなくなるからね。むしろジャミング出来たらアーリエルすら要らない」
「ちょい待ち、つまり……」
「エリーゼが居たから手出しできなかったのに、エリーゼが寝てるから隙が出来たって事だね」
「ヤバいじゃん、エロいとかそんなレベルの話じゃないじゃん!」
「起こせるの? みんなで行って起こそうよ!」
「──いや、さっき試した。あそこにエリーゼはいない」
「どういう事? 先生にも分かる様に教えて?」
「アストラル投射中の【原点】を捕縛されたんだと思う。今彼女のパーメット空間内構造体はハードウェアから切り離されてる」
「箒組は住民と生徒達の避難を! キャリバーン君は私たちと一緒に来て!」
「ダメ。キャリバーンくんも一緒じゃなきゃ避難しない!」
「エレインちゃん……」
「後から行くって言ったのに、お兄ちゃん来なかったもん! 逃げる時は一緒じゃなきゃやだ!」
「……死亡フラグだもんな、先に行けって」
「俺、婆ちゃんにそれ言われた……」
「……じゃあ、こうしよう」ぽわん。
「へ?」
「は?」
「みどもはみんなと避難します。ここには光体置いて行くんで、相談とかはそっちで」((すちゃっ))
「キャリバーンくん、魔法使えたんだ……」
「エリーゼねーちゃんといい、プロスペラ先生といい、なんだ水星人はみんな魔法使えるんか?」
「みんなだって使えるようになるよ。パーメットのちょっとした応用だからね」
次元連結システムかな?
筆者注
よく見ると115話にこっそり伏線が。