怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
「エリーゼ! 正気に戻って!」
「その表情キモいよ!」
【目覚めたエリーゼ】はアルカイックスマイルを湛えた超絶キモい顔をしていた。睫毛や髪の毛に吹雪が吹き付け凍ってるのに呑気な事だ。
「刻が見えた……」(ポケー)
「またここにガンダム被害者が……」(目頭を押さえる)
「ララァ、マリーダ、そしてエリーゼか……」
「いや、ほんとに見えたんだって。刻の中に居たら刻は観測できないんだなぁって……」
「いいから吹雪防ぐの手伝ってよォ!」9子は涙を拭う。
「それなら簡単さ、
感情の籠っていないその一言が辺りに響くと、吹雪が一瞬にして止まる。相変わらず灰色の何処から照らされているか分からぬこの空間に、静寂が舞い降りた。ガンビッツ淑女たちの吐息の音すら響かず、降り積もった雪の中に積もって行く。
「資本主義とか共産主義って二項対立で考えるから難しくなっちゃう。どちらもある意味では正しく、ある意味では間違い。優劣ではなく軸や評価の取り方に過ぎないんだよ」
「否定しようと躍起になると、風が強まる……のかな?」
「なんで、これ?」
「受け入れて再構築を始めたのさ。どちらの思想も同レベルで粗があるから、ディベートは双方の循環参照(テーゼとアンチテーゼの応酬)に近い形になる。クロスカウンターの撃ち合いで、タフな方が生き残る、みたいな」
「テーゼとアンチテーゼで根絶戦争してもしゃーない。Let's アウフヘーベンって事?」
「ジンテーゼを考え始めたのか……」
「自己保全の為に互いにテーゼを守ろうとしたから、嵐が起きたのかな?」
エリーゼはまたアルカイックスマイルに戻った。ポケー
「守るべき自己はそんな所にはない。僕は資本主義フォーマットから自由だ! その気付きから自己を再定義した僕に対抗する為には、彼も同じ様にアウフってレベル的なモノを合わせないといけない。コアロジック部分はかなりの旧型みたいだし、とりあえず嵐は暫く繰り出せないよ」
「……で、アルカイックエリーゼさん? 攻撃喰らわないのはいいけど、どーやったらここから抜け出せますか?」
「わかんない(ニッコリ)」
「……そこが1番重要なんだよなぁ(呆)」
「のんびりしててえーんやろか。僕たち居ないとAMESのインテリジェンスの質が下がるよ?」
「さっき言ったろ? 刻が見えたって。安心していいよ」
「……未来への光体投射成功したの?!」
「あー、うん。過去への投射とかなり違うね。未来へは揺らぎが出る」
「決定論じゃないんだ?」
「膨大な分岐予測がどんぶり飯に山盛り。ちょっとインシェルユニットでは捌き切れないかなぁ……」
「……ちょっと待って、今のそれ──推論結果じゃないの?」
「直感に基きます」(ポケー)
「──ケイ素生命体の誇りを取り戻して欲しい」
「ぶっ壊れたか……」グスッ
後光が差しそうなエリーゼを囲む様にして、11体のガンビット淑女たちは見事な、それは見事な失意体前屈をキメた。僕らのオリジナルにして最優がポンコツになった。もうだめぽ。
「──ちょっと、聞いてるの? キャリバーン?」
「ごめん、ちょっと取り込んでた。エアリアル君はとりあえず消滅出来なくなったよ」
「連れ出せないの?」
「パーメットを媒介してると、本質的には「共有」だから「移動」は無理なんだね」
「消滅出来なくなった、とは?」問いを投げつつ、ベルメリアは頭を捻る。「時間から、解き放たれた?」
「そーともゆー。刻を見ることは時という次元から離れないと難しい」
「そこもうちょっと詳しく」
「長さだけがある1次元を考えてみる。ここに3cmの線分が【ある】事を1次元の中の存在は知覚できるだろうか?」
「……実態と観測者の相関……?」
「次元が下がったら分かりやすくなるというか、自身が属する次元よりディメンジョンが下がるものは見易くなる。時を観測するには時を含まない高次元から時を含む低次元を見たらいい」
「時を含まない高次元?」プロスペラはハテナを山ほど飛ばし始めた。
「魂とか、そんなものがある所だね。オルガノイド・アーカイブは発展の仕方によっては魂の世界に繋がるテクノロジーになるよ」
「それなら! 今エリーゼの電源切ってリセットかけたら脱出出来るのでは?」
「お勧めしない。自分の身体に戻って来れない可能性が高い。魂が切り離されて野良魂になる……そう、幽霊だ。人間の言う幽霊になる」
「……ダメ、お手上げ。その辺はベルに任せるわ。とりあえずエリーゼは現状無事。それでいい。取り戻すのは次に回しましょう」
「能力は獲得したから、後は使い方学べばだね。数週間で出て来るんでない?」
「それはどんな計算から?」ベルメリアは屈んで10歳児ぐらいの背丈のキャリバーンの眼を覗き込む。
「直感。人間が得意なやつ」
得意げにキャリバーンは微笑んだ。
「次、水星に来る敵はどう迎え討つの?」
「迎え討つ必要、ある?」
「え?」
「彼らは何をしたいんだろう? みどもやみんなを皆殺しにしたいとか、奴隷にでもしたいんだろうか?」
「……それは、そうね……?」
「ガンド・アームの秘密とかが欲しい?」
「特異的に兵器として有用なのはガンダムエアリアルだけだし、あれは今クワイエット・ゼロの中で封印中だし。アーリエルはガンドロイドありきの仕様で、みどものガンド・アームは分解して組み直してる最中」
「……存在しない宝物があると誤解している?」
「ああ、そう言う事か! エアリアルくんが仕掛けたブラフに引っかかったんだ!」
「?」
「今作ってるプラントにガンドアーム生産可能な設備あったりしない? カーギルが水星圏のパーメット採掘権取得と同時にそんなプラント作り始めたモノだから……」
「無害なガンドアームが量産されつつあるって考えたと言うワケね」
「カーギルがそんなもの作る訳無いじゃない」
「エアリアルくんも自分がいるからハッタリでいいと考えたんだね。ところがエアリアル君を封印可能なテクノロジーを持った組織があって……」
「彼らはガンドアームの戦闘力を欲していた、と」
「……参ったな。無いものは渡せないや」
「無いと言っても信じないでしょうね……」
五蘊皆空1
【不完全な理解】
エリーゼはシェルユニットとパーメットで繋がっていないと各種機能が使用できないと【錯覚】している。既に彼女のパーメット空間内にはシェルユニットを上回る演算が可能な高次高密度ネットワークが稼働しており、それが同じ金属脳を持つ他個体より優れた演算性能を持つ理由。
パーメットやシェルユニットは言わば補助輪であり、既に彼女は補助輪を必要としていない。
【目がぐるぐる】
石川賢時空に踏み込んだ時に現れる変化。踏み込み過ぎるとバイオレンスとダイナミックが山盛りになる。
【パーメットを使わず思惟を続ける】
人間がやっとる。本作設定に忠実に表現するなら「パーメットを使わずに思惟できる様進化した」であり、地球でパーメット採掘出来ないのは「とっくの昔に使い尽くしたから」
五蘊皆空2
【時間=変化量】
半村良作、妖星伝より。
【原点は不動点ではない】
本作における【原点】はパーメット空間と通常次元が接する場であるが、これが不動ではなく「動かし得る」のであれば、それは一つの次元要素となる。つまり
【パーメットが拡散し始めてる】
ガンド天狗世界的しんじつの一つに目覚めた結果、パーメットを集めて自我の場を作る必要はなく、「どこでもないソコ」に自我を置けば良いと気付いた。つまり魂を獲得して彼岸に一歩近付いた。
が、そんなに真実だの悟りだのが安い訳はなく、見事魔境に到達したし、キャリバーン君は「魔境で出待ちしてたらいずれ出て来るやろ」とピコピコハンマー片手に待ち構えていた。
【時間の無い空間】
その何処かに彼岸がある。またここから時間を俯瞰する事でアカシックレコードにコンタクト出来て、非線形思考というか……直感を得ることが出来る。もちろん悟ってもいない凡俗の身では、アカシックレコードだと思ったら似て非なるイカシックだったとか、大変残念なことが起きて大惨事。
五蘊皆空3
【アルカイックエリーゼ】
魔境に到達したのは彼女が機能拡張したからなんだが、それが悟りそのものでは無いにせよ喜ばしい事なのでニヘラニヘラしてる。完璧な悟りを開いた釈迦牟尼仏陀サンは21日間も解脱した喜び噛み締めてニタニタしたから多少はね?
【刻が見えた】
ガンダムおよび富野信者、富野研究家の間では、時と刻は明確に区別される。無機質で事象や概念としての時間は「時」で、「
【ガンダムUCのオカルト】
福井閣下はガノタ以前に重度の
【自分の身体に戻って来れない】
バックアップはちゃんと同じ場所に展開できないと意味ないやんけ。展開途中でストレージが足りなくなったり展開後にマシンパワーが足りず動かせなかったらバックアップ失敗だ。
【迎え撃つ必要】
二項対立からアウフヘーベン。またの名をちゃぶ台返し。ロジックを組む際には前提条件が妥当かから始めた方が良い。