怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
つかね、軌道エレベーターって「現実に建築可能性が高い」構造物なんよ(炭素繊維が出来て一気に実現可能性が増した)
そこにパーメットが活用されてるデザインにせーという無理難題が降りかかり、今じゃそんなん誰も使わんぞという古式ゆかしい
順調にエタっている、ガンド天狗と世界設定が同じ「奈落の国のグエル」で触れているが……軌道エレベーターは地上から生えた「塔」ではなく、静止衛星高度から地球側と宇宙側に延びた「くっそ細長い静止衛星」である。
総延長10万キロ程度。軌道上で静止した衛星から地球側に1m、同時に宇宙側に1m棒を伸ばす。遠心力と引力が釣り合っているから衛星は静止したままだ。これを呆れる程繰り返して「棒」の地球側の端が地表面に届けば第一段階終了。この柱の端と端に滑車付けてワイヤーを付け、籠を上下させたらエレベーターだ。凄く簡単に見えるし実際簡単な原理であり、実は動かすエネルギーも少なくて済む。問題はその強度だけ。
凡そ10万キロに達する棒の端から端までが一体化していないとこの構造物は実現できない。どこかで破断すれば破断から下は地球に落ちて壊滅的な被害を及ぼすし、宇宙側は遠心力で宇宙側に飛んで行く。
それ故昔のSFでは存在しない未来合金や素敵マテリアルで作られているとしたものだが、実はカーボンナノチューブやカーボンファイバーで強度問題はクリア出来る事が判明している。カーボンナノチューブは第二次世界大戦中に発見された物質で、その構造や性質が解明され始めたのが20世紀末から21世紀初頭。2018年には既に商品化されている(ほんとう)(ただ、軌道エレベーターに必要な精度や品質にはまだ達していない)
このアルミニウムの半分の重量で強度は鋼鉄の20倍、繊維方向への引っ張り強度はダイヤモンドさえ凌ぐという強靭性が軌道エレベーターをSFから「近未来に実用化され得るガジェット」に変えた。
その特性は原理の単純さと運用コストの安さにあるので、トラクタービームじみたクインハーパーのシステムは不合理だ。可能性としては何処かで一回物理接続式軌道エレベーターの破断が起きて、地球側に大ダメージが引き起こされたなどの事件があったのかも知れない。
ただ、安全性を重視した為に──クインハーパー式は運用コストがべらぼうに高額である事が予想される。グエルが加古川から宇宙に舞い戻る為に用いた軌道エレベーターは安価で危険な「物理接続式」であろう。奈落の国のグエルでも書いた様に、このタイプはメガフロートに接続されている。浮かんでいるから基礎が脆弱でも構わないのである(ちゃんと資料を調べて書きました感)
現在、H2Aロケットで静止軌道上に1kgの貨物を打ち上げるコストは100万円ぐらい。何本か軌道エレベーターを構築して運用し始めると1000円程度までコストが減るという試算がある。仮に人間と手荷物併せて100kgを静止衛星まで引き上げても10万円程度で済む。大幅なコストダウンが見込めるのだ。実際に日本でも大林組などが試算を始めており、2050年からの運用を考えていたりする。
類似の施設は資源が取れる惑星では常設されると予想される。月は大気が無いし離脱速度が低い(重力が小さい)、更に自転速度が遅くて静止軌道がやたら遠いので、マスドライバー辺りが有力だろう。火星や木星辺りには資源の運搬に用いられる可能性がある。特に木星は固体地面がありそうな中心部近くは地獄of地獄(高重力や温度環境、絶え間ない嵐)なので、ヘリウム取れる辺りで宙に浮いてる感じになるのではないか。
そして我らが水星だが。
ゆりかごの星を見る限り「そんなものはない」パーメットバブルがごく短期間で終わっていなければ可能性がなくもないかなぁ?(疑問)ぐらいの勢いで、マスドライバー辺りが活用されている様な気もする。
ゆりかごの星の描写を見る限り、ガンダムエアリアルは単騎で水星地表面に降下している。あれでもエアリアルは40トン近い機体重量があるから、単騎レスキューに行った=水星地表面側に40トンクラスの重量物を静止軌道辺りまで安価に打ち上げ可能な設備があるのは確定だろう。
ざっくりWeb上の計算機で試算してみた所、3.5Gぐらいの加速度で2分程度加速すると水星離脱速度が稼げる。この事から50トンクラスの貨物を3.5Gで2分間加速できる電磁カタパルト的な何かが水星赤道面地下に常設されていると考えた方が良さそうだ。なお、水星は太陽が昇って沈む「いわゆる1日」のサイクルが176日にもなる星なので、赤道付近に3箇所ぐらいカタパルトが設置されている予感。(減速して元のプラットフォームに戻さねばいけないから、総延長250〜500kmぐらいだろうか? 複数用意しないと太陽に晒されてる時に過酷過ぎて水星から脱出出来ない)
水星では基本的に構造物は地下にあるだろう。太陽の直射日光が極めて危険なレベルだからである。また、水星地下には鉄が埋蔵されているので、水星圏の構造物造成に多用されている筈だ。ん? なんか水星地表すぐ下って、大規模開発されてる様な……?
金星圏は金星から資源を採取するのがほとんど無理(地表気圧が92気圧で地球の深海なみ、雲が硫酸、大気があり二酸化炭素が多いので温室効果により水星より高温……)、金星圏開発には水星の鉄も数多く用いられているだろう。
総じて、宇宙開発初期にはバカみたいに地球から資源の持ち出しがあった為に「少なくとも、最初期は」地球側が大儲けしていたと思われる。そこで地球以外の惑星や月開発予算を捻出する為に資源輸出に対する課税強化をした後に、何故か水星でパーメットが発見された、と。
……これが【何故か短期間で】超光速通信などに適用可能だという事実が発見されると、今まで穀潰しとか被差別対象だったスペーシアンと金持ちアーシアンの力関係がガラリと入れ替わり──苛烈にアーシアン差別が行われる様になったのかなぁ、と──
【何故か短期間】
地球優位な状態で新素材開発したら、確実に資金や人員が豊富な地球側がパテントや実用新案取って「アーシアン側が更に栄える」パターンになる。地球から「行きにくい」水星で最初に発掘されたのも怪しい。
……これさ、最初期にパーメットの産出や工業的な応用開発してたの世間に伏せられてない?(筆者は訝しんだ)
結構長期間公にされず、こっそり水星圏で開発されていないだろうか?(その間地球側は騙されて重関税をかけられていた) その様な秘密先進技術開発拠点がど田舎の水星にあったから、エアリアルの開発も可能だったり、その辺のブラックな話を歴史から消し去る為に後から「月面でもパーメットが採掘出来る」情報流して水星圏過疎化させたのでは……?
次の話のネタが出来ましたな。
カーギルが採掘権獲得して謎の施設発見とか、宇宙議会連合の地位逆転計画を暴く系の話が書けそうですね……