怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
全てはスレッタのモノローグから始まる。
私は、自分が嫌いだ。
確かにベルばらのオスカルに憧れた事もあったけど、アーカイブに貯めた少女漫画の主人公の様に……優しい彼氏にお姫様抱っこされる日を夢見ていた時もある。今日という日はもう無いが……
【お姫様抱っこ】
筆者は小学生時代から身長172cmぐらいあったのだが、小4ぐらいの時に同級生お姫様抱っこしてやったら、我も我もと女子がお姫様抱っこ待ちの列を作るぐらい大盛況であった。あと、低学年の男子に筋肉バスター(の形)やってやったらこれもまた大人気。
運命は残酷で私はお姫様だっこ【する側】になったけど、それはいい。ミオリネと出会い、結婚できたのだから。ただ、高身長で弄られるのだけは未だに許せない。他に子供が居なかったんだもの、仕方ないじゃない(ちょっとベルメリアのモノマネ入ってる) ワシワシ食べてモリモリ育つわよ! 早く大人になりたかったし!
地球寮のみんなも察して私には優しくしてくれた。オジェロは私の椅子を足切って少し低くしてくれたし、チュチュ先輩も私がデカいと悟られぬ様に、少しづつ頭のボンボン大きくしてくれた。水星じゃデカくなるんでしょ、仕方ないよってニカさんも言ってくれた!
エリーゼ・マーキュリーが来るまでは。
あのバカ空気読まずに自分だけ低身長細身ボディー作って! ガンさん時代は私より背が高かったのに!
並ぶと私凄くデカく見えるの。貴女、本当に空気読めないわね、エアリアルなんて名前の癖に!
悔しかった。辛かった。ほんと微妙にダメージ入った。
貴女が長期間寝てキャリバーン君より凄くなるって言った時、私思ったの。嗚呼、ようやくその時が来たのねと。
2年間、2年間隔離してゆっくりその時を待ったわ。貴女へのプレゼントを用意してね。さぁ起きて、エリーゼ。貴女の20歳の誕生日よ……
僕は夢を見ていた。
初めての経験だ。そもそも僕は寝ることがない。横臥して目を閉じるのはあくまで寝ている様に見せるため。人間だと思わせる為の演技に過ぎない。僕はその演技の時間をアーカイブ再視聴の時間に充てていた。シバラク先生……僕もセンジンマルになりたい……
【シバラク先生】
筆者が敬称付きで敬愛する人物は、指輪物語のフロド様、ゲド戦記のオジオン様、そして魔神英雄伝ワタルのシバラク先生を始めとする数名だけだ。
と、至福の時間を味わっている最中に不明瞭な断続的なイメージが浮かぶ。常ならバグかと覚醒して精査する所だが、僕の【意識】はそれを受け止めて普通に解釈しようと努めた。
小さい頃のスレッタが、自分の4歳誕生日のケーキを差し出している。
それは君の……と答えようとしたが、言葉が言葉にならない。非言語的なイメージが何故かそのまま相手に伝わる。「いいの、今日は貴女の誕生日だから!」文字にする関係上【ことば】にしているが、それは言葉になる前の【思惟】だった。
「うむ、これは伝説の……」
「知っているのか雷電!」
小粋な週ジャンムーブ経由で真実お察し。夢だ、これは夢だ!
遂に僕は【夢見るガンドロイド】になったんだ!
(筆者注 前にプルがロールアウト時に夢を見ていたみたいな表現があったが、あれはプルが「食事をしてみたい」と身体操作より先にネットワークに接続して検索を始めたシーンであり、実は寝てたり夢を見ていた訳ではない)
「だって、エリーゼ今日で二十歳だよ?」
エリクト・サマヤが4歳時点なら、僕は3歳のはずだ!
(初期設定ではそうだったが、スレッタ6〜7歳時に設定が更新されて僕は2歳下になった)
明らかな設定齟齬! 念の為現在時刻を調べると、エリーゼ・マーキュリーとして偽造した生年月日と付合する。つまり設定がガバっているが間違いではない。
……外界刺激。
慣れ親しんだその声紋! スレッ……
「起きた? エリーゼ?」
「おはよう、スレッタお姉ちゃん。こんなに長い間会わなかったのは初めてかな?」
「私はちょくちょく見にきてたよ。あなたがこのモックアップルームで試泊するって言ってもう2年。結構みんな迷惑したんだからね?」
「お姉ちゃんだってパワーアップに必要なら仕方ないって言ってくれたじゃん!」
「時間が必要だからね、成長には」
「……夢は見ることができる様になったよ? あと他には……」
「エリーゼ、お姉ちゃんが大切なこと教えてあげる……寝る子は育つのよ、身体的に」
「……はぁ? 話が飛び過ぎててワケわかんないよ!」
「2年も寝てたら育たないと変でしょう?(ニッコリ)」
「僕の身体はそんなちょっとずつデカくはならないよ!」
「だからガンドロイドは小さいまま……でも、それじゃ他の人から怪しいって思われるよね? だから私、エリーゼに二十歳のプレゼントあげようと思ってね」
ばっ!
「なにこれ!」
「お姉さんになったエリーゼボディよ」
「ちょっ……お姉ちゃん! 素体でこれじゃ、肌付けたら……」
「マッシブね」
「身長もかなり……」
「お姉ちゃんより高くなるね!」
「僕、ちっちゃい方が……」(アーリエルのコクピット入れなくなっちゃう!)
「……いい、エリーゼ? ちゃんと聞いて。私ね、水星民がみんな高身長だって話なら仕方ないと思うの。だから私も高身長、これは仕方ない。でもね、妹の貴女が小さいと、私だけうすらデカいと思われるの。それは、嫌」
「高身長コンプレックス……」
「お母さんから聞いたわ。貴女、エリーゼボディ作る時に『お姉ちゃんみたいにうすらデカいのやだ』って言ったらしいわね?」
「どっ……どうしてそれを……」
「このボディ作る時にね、こんなに大きくしていいのって? もちろん私はこう答えた──うん、エリーゼは私の妹だからって」
「……僕の気持ちは……」
「成長は気持ちに関係なくみんなするの。思い通りに身体を変化させる事は誰にもできないの。みんなにガンドロイドだって思われたくないよね?」
「ガンド施術した患者さんはみんな……」
「今、ベルさんが成長期の子供用に「延びるガンド」開発中よ? 大体ね、エリーゼ……20なのにどう見ても15歳の身体って、
おっ?
「やるじゃない。モーフィング機能よ」
「え? なんか変なパラメータあるなぁと思ったら……これ変形するの!」
「変形ゆーな。身長変化はまだ強度の関係で無理だけど、太さはある程度任意で変えられる……エリーゼもみんなと「最近太っちゃったー」とかガールズトークできる様にしたわ」
「はえー……カバー素材が……」
「あなたが寝てる間に人工皮膚の新製品が出来たの。高かったけど二十歳のお祝いだからって奮発したよ! 膨らませてから萎ませるとシワ出来るけど、6時間ぐらい経てばシワ消えるわよ。あと、髪の毛伸びるから美容院にも行けるわ!」
「……あれ? 手首くるくるーが出来ない?」
「新型の骨格フレーム採用よ! 人間に出来ないポーズは取れないけど、その分違和感なくなってる筈。あと軽量化したから泳げるよ」
生まれ変わった不死身の身体。