怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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伝奇が好き好き伝奇衆にとって、重要な物質だが設定ガバというのはご馳走であり、つまり獲物で美味しいワン(犬派)


パーメット

アドステラ120年代にはあらゆる分野に用いられているパーメット。実はこの魔法の様な物質が発見されたのは「公式には」A.S.31年という事になっている。

これはパーメットが新元素でありながら重元素として粒子加速器の中で生まれた訳ではなく、天然資源として産出されたからだ。つまり新元素であると発見されるより前に【それ自体は見つかっていて】、【その性質は研究されていた】 

最初にパーメットを含む試料を手にしたのはもちろん宇宙開発公団である。人類が鉄(Fe)という元素を発見定義するより早く鉄器を利用していたのと同じ様なものと考えれば良い。

 

つまり、その「情報を共有する」という性質はパーメットが発見されるより先に活用されており、その事実は秘匿された。この広大な宇宙を開発して行くに当たり必須のものだったからだ。それこそ「狭い」地球上であれば光速通信で充分だ。多少の遅延を我慢すれば月を含む「地球圏」でも光速度通信で構わない。地球圏に生きるのであれば謎の超光速通信は不要。それがパーメットの活用が広がるにつれて、隠すより公にした方が人類の役に立つ……この政治判断が為されたのがA.S.31年なのである。

 

これがパーメットの発見より先に水星でパーメット鉱床発掘が進められた理由の一つになる。

 

もう一つの理由が秘匿性だ。宇宙に上がる手段は宇宙開発公団が完全に掌握しているので、宇宙側でパーメット研究をした方が隠しやすいとはいえ……月面基地や建築好況で地球からの出稼ぎが多いラグランジュ1では安全とは言い難い。そこで白羽の矢が立ったのが外惑星系より接近難易度が遥かに高く、パーメットが発見されている2つ目の天体、水星だ。ここへは宇宙開発公団が保有する技術がなければ絶対に到達出来ないのだ。

古くから錬金術に纏わる伝説を持つ星……プロジェクト・アルケミストはこの様にして始まった。

 

水星の有人探査計画自体は宇宙開発公団がNASAから引き継いだプロジェクトだ。B.S.の時代には彼らの研究開発費は削減し続け、やがて元NASA組は宇宙開発公団の中核を成すほどの規模に成長していた。

彼らは疲弊していた。

東西冷戦時には東に負けるな!という大国アメリカの意地とメンツだけで景気の良いプロジェクトをバンバン実施出来たが、ロシアが落ちぶれると中華人民共和国が宇宙開発するまで完全に塩対応された。二言目には「それが何の役に立つ?」と実利追求姿勢を取られた為、彼らの心は徐々にやさぐれた。その記憶がパーメット通信機を秘匿させたのだ。

宇宙開発は人類の役に立つ……所謂浪漫派だ。彼らは推論ではなく信念や信仰としてこれを掲げていた。この信仰を事実にする為に彼らは献身を惜しまなかった。人は信仰のためなら死ねるのだ。

パーメットは通信機としてだけでも充分素晴らしい発明なのだが、宇宙開発以外の分野の科学者は地球にも山ほどいる。彼らにパーメットを与えたら何か有益な、通信機より有益な発明をするかもしれない。宇宙開発公団はこれを恐れた。パーメット権益を我が物にする為にはパーメットをある程度調べ尽くさねばならない。

先ずは開発費だ。予算が無ければ研究も出来ない。彼らは資金調達の為に頭を絞った。次に着手したのは人を集める事。その時点の「世界」では人口の多さがそのまま力となった。割とギリギリというか、かなり悪どい事もした──そう、半導体やコンピュータ関連の研究者を拉致し、決して帰ることが出来ない水星地下基地で死ぬまでパーメット関連技術開発をさせる錬金術計画【も】被害の一角だ。彼らの最後の1人の死滅を確認した後、表向きの「水星圏開発プロジェクト」が開始された。

 

残酷な話に見えることだろう。

しかし現実に地球生まれの生物として初めて地球周回軌道に送られた雌犬ライカは最初から殺されることを予定して打ち上げられた。公的記録として何匹もの【犬の英雄的冒険】が歴史に残っているが、これが即ち【人的損害が皆無だった】という証拠にはならない。(東京スカイツリーも建築中に死者が出ていない【ことになっている】)

宇宙開発は最初から生命を浪費することを前提に始まっている──血塗られた道なのだ、今更綺麗事で……と宇宙開発公団の元ロシア側技術陣は吐き捨てたという。但しその目からは涙が流れていたのだが。

 

錬金術計画で水星への片道切符を貰った研究者の大半は、自ら志願した研究者であった。ロシア人ももちろんこの集団自殺に参加している。文字通り科学に一生を捧げる為に。

 

或いは、水星圏開発プロジェクトが死滅確認後すぐに始まったのは、彼らの贖罪の心の表れかもしれない。

 

 

多くの人々の努力と献身、自己犠牲により洗練されたパーメット関連技術はA.S.30年代を機に急速に発展した。最初期のパーメット利用機器であるパーメット通信機が登場してから僅か20年。「最初期の20年」が如何に激動の道を辿るか、現実世界の例をひいて説明しよう。

 

パーソナルコンピュータのはしりであるPC-9801UX(登場した頃はパーソナルコンピュータではなくオフィスコンピュータ(オフコン)などと呼ばれていた)などに用いられたIntel 80286の登場が1982年。CPUクロックは5〜25MHzだ。20年後の2002年にIntelが販売していたのがPentium4。CPUクロックは1.3GHz〜3.8GHzだ。単純比較は出来ないが最高クロックは150倍にも達している。処理性能は150倍を遥かに上回る(周辺環境も軒並み高速化したからだ)

そしてこの頃CPU内部クロックは物理的限界にほぼ達してしまったので、そこからの20年間ではさほど高速化はしていない。

 

パーメット利用機器は世間に出た時から今と変わらぬ高性能を発揮している。技術の発展の類型を知るものであれば、その背後に何があったかは容易に想像できる。




それっぽく書いてるけど独自設定ですよ?(コンピュータの歴史、特に286以降に関しては筆者ちょっと詳しい)
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