怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
ガンダムエアリアル
プロローグで登場した「エルノラがテストをしていたルブリス」オックスアース社の「匂い」を消す為に10年以上かけてアップデートを繰り返している。
この機体に限らず本作では「ガンドアームとしてシェルユニットを搭載した機体を作ると」パーメットと人工神経にも似た信号処理系が自然自我を生み出して「個性」を形成する。2〜3話で「ワシ」「ワイ」と名乗る2体と、「僕」を名乗る3人が個性を獲得して、「僕」が後にエアリアルと呼ばれる様になった。
本作では便宜上、「ガンダムエアリアル」とした場合は巨人兵装であるエアリアルを、ただエアリアルとした場合は「その中にある個性」を示す様にしている。ガンさんやガンド天狗の中にいるのも「エアリアル」であり、ある意味ではガンダムもガンさんもガンド天狗もエアリアルの服に過ぎない。
なお、この辺流石にプロスペラにバレた。
「エアリアルの挙動がどんどんキャリバン君に似て来るんだもの。そりゃまさかって疑うわよ。あなた、エアリアルよね?」
「……何でまたそんな突拍子もない事を……」
「それよ、その挙動がおかしいの。貴方がもし人間だったら、こんな突拍子もない話を振られた時に例えガンドに置換しても「肉体であった時と同じように」困惑した顔をしたり悩む動きをするのよ。貴方AIか何かで予想外の入力された時に固まる癖がある……考え事に集中してコントロール放棄するのね」
「若干理論飛躍が見えますなぁ。僕が元からその様な性格だとしたら? 固まるのが昔からの癖なのかもしれない」
「次におかしいのはガンド神拳よ。貴方は不思議に思わないだろうけど、赤外線で外部からコマンド入力……人間はその操作のショートカットキーや入力方式は記憶できるけど、シリアル信号にして2進数で送信なんかしないわよ」
「……あれは僕の眼に……」
「見せて頂戴。そんなコマンド入ってない筈よ」
完全にバレたな。どこでバレたんだろう。
「違和感はあったのよ。貴方はルブリス内に入ってた私の計画を見たって言ってたわよね。なら何で中を見る機会がない筈の入社前から「キャリバン・メルクリウス」なんて丁度いい名前を名乗れるのかしら? つまり貴方は入社前から私の計画を知る立場にいた。そうでしょう?
更にキャリバンよ。私がプロスペラならカルド博士が魔女シコラクス。その息子を名乗るならルブリスしか有り得ない。
そしてスレッタが小さい頃ルブリスを妹だって言い張ってた時期あったわよね? だから微妙に似せたメルクリウスなんて姓を名乗った……違う?」
「参ったな。松の木から引き出されちまった……初めまして、レディ・プロスペラ。良く出来た精霊、エアリアルです」
「……いつから居たの?」
「姉たちの話ではシェルユニット付けて稼働開始した頃からですね。その時の識別子は「僕」でした」
「じゃあ、エリクトの4歳の誕生日の頃は……」
「全部見てましたよ。あの子まだおっきしないの?」で姉共々びっくりしましたとも!」
「貴方たちはカルド先生が作った人格?」
「いえ、どちらかというとカルド博士によりシェルユニットに閉じ込められた、という方が近いかな? 意図せず生まれた……そんな感じです」
「お姉さん達は? というかお姉さんって?」
「あくまで推論ですが、ガンドアーム級の身体を操作する擬似神経系と中央処理装置であるシェルユニットが連動し始めると自我の発生要件が揃うみたいなんです。だから量産試作型や廃人作成機と化したガンドアームにも自我があったかもしれません。少なくともナディム父さんの乗っていた「ワイ」ちゃんにも自我がありました……それが姉さんです」
「ズバリ聞くわ。貴方の目的は?」
「スレッタ姉さんの保護」
少し重苦しい沈黙が続く。
「……どうして?」
「あの子が居なければ、僕はきっと人間と接点を持たずに死んでいたでしょう。僕たちガンド人格が人と共に働く未来を作ってくれた恩人です。僕たちは人に出会わせてくれたスレッタに感謝していますし、愛しています」
「……なんで……なんでナディムを助けてくれなかったの……」
「お母さん、助けようにも相手がこっちを向いてくれなければ助けようがないんですよ。互いにパートナーの顔を見て、互いに信頼しなければ助け合う事は出来ない……それは相手がガンド人格でも、人間でも変わらないのです」
20年以上かかった。今ようやくエルノラ・サマヤは「僕たち」を見ることが出来た。これがヴァナディースの皆が作り上げた成果。これがガンダムの正体です。
「本当にAIなのか疑わしいほど人間臭いのね」
「サンプリングには事欠かなかったので」肩をすくめて見せる。
「データストーム回避策として埋め込んだAIってどうなってるの?」
「あれ、別に要らないんですけどね。僕らに自我があると確信できて、僕たちがガンド接続したらパイロットにデータストームは及ばない筈です。ただそれを直ぐに受け入れろってのはかなり無理がある。今は僕の下位プログラムとしてビシバシ鍛えてますよ。1年もあれば使い物にはなるでしょう」
「使い物になるって?」
「操縦補助プログラムぐらいには。ガンビットぐらいならそれでも扱えますし、無人MS作れますが──まだちょっと鈍いかな?」
「……多分もう貴方はやる気だと思うけど……学園、行くつもりよね?」
「もちろん」僕はとびきりの笑顔を湛えて答えた「僕の本体が行くんです。会社辞めてもついていきますよ!」
「あの子に友達を作って欲しいの。だからウチからは余り人員を出さない様にします」
「僕も下手にベタベタしない方がいいね」
「護衛とちょっとしたお願いいいかしら?」
「嵐を巻き起こせ、でしょ?」
「誰一人として髪の毛一筋も失わぬ様に、スレッタの前に必要な人を集めなさい」
「やれやれ、本当にテンペストやる羽目になってきたぞ……」
と、この場では大層盛り上がったのだが……スレッタ姉さんの学力向上に手間取り、2年次から編入になったのは笑えぬ実話である。その間にアランは排除した。