怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
アラン
強化人士1号。1号だから技に優れる。
不完全なガンドアームのパイロットとして作られたのだが、コンセプトとしては「ガンドアームに限らず、色々なMSに適合した方がお得じゃない?」と操作性能に極振りした結果、ガンドアームで廃人になりかけてただの潜入捜査員に転職する羽目に。
某コメント欄で見た「アラン、イラン、ウラン、エラン」設定を採用させていただきました。
前略お袋様。
水星ガンダムは完成しつつあります。先にもお送りしたのですが、こちらのガンダムは何というか普通です。ガンドリンク出来る様ですがリンクしていない状態でもジェットコースターみたいな機動しますし、3でビット使ってもパイロットはピンピンしています。なんならこの間はパイロットの子ダヌキがチューブ飯咥えながら片手間でビットを飛ばしていました。尚、子ダヌキはどう見ても子ダヌキで改造している様子はありません。ただのポンポコです。
どうにもファラクタ(筆者注:誤植やタイポではない)は何か肝心なところで勘違いしている様な気がするのですが。ヴァナディースの魔女に化かされているのではないでしょうか?
コクピット周りの設計図を同封します。参考にしてください。
めっきり寒くなってきました。お身体にご注意くださいますよう。
アランより。
「いやぁ、まさか手紙でやってるとは思わんかったわ……」
「タヌキめ……虜囚の辱めは受けんぞ、さっさと殺せ!」
「機密に触れた以上……と言いたいところだが、機密に触れて無いんじゃなぁ……」正直僕は途方に暮れている。
これ以前に何を盗んで送っているかは判らないが、手紙の内容を見る限りは大丈夫である様な。秘密といえば秘密になるシェルユニット内のデータは巨大過ぎて送付できないだろうし。
そもそも、ガンダムエアリアルには機密の様なものは無い。機体構造はメンテナンス性重視してそこらのMSと同じ部品をアレンジ加えた実装にしているだけだし、操作系も「何故かパーメット負荷が減っているだけ」で、その理由に関してはプロスペラ社長もよく分かっていない。一応水星に改修を始めてから比較的早い段階で意思決定補助AIは搭載したが、これが機能して負荷が減った訳ではないのだ。
要するに、扱い方……なのだが。
操ろう操ろうとガンドリンクして「フルコントロールしようとしたら」、今のガンダムエアリアルも相応の反動を返してしまう。パイロット自身が「僕」に処理を丸投げして任せなければいけない。何というか、雑に。もわんとした概念で指令を出して、そのもわっとしたふんわりとした指示をシェルユニットで「類推して」パイロット経由でイメージを機体に投射する。
僕のしている事は「どうしますか?」と具体的な指示を仰ぐやり方ではなく、「じゃあこうしますが良いですか?」と最終判断をスレッタに確認するやり方だ。
この意思決定プロセスが肝なんだけど、この「もわん」という指示が「ガンドアームを機械と思い込んでいる限り」出来ないのだ。自転車を漕ぐ時に自転車に「もっと速くだ! ここで減速!」と語りかける奴は余りいない。速くしたければペダルを漕ぎ、減速時はブレーキを握る。相関が理解しやすいから身体での直接操作がしやすいというか。なんせ僕だってそうやって自転車に乗るもの!
たまたまスレッタがこんなやり方を発明?体得?しただけで、そのやり方は他に広まっていない。
そこでこのやり方を汎用化する為に作っているのが意思決定補助AIだ。元々はプロスペラ母さんがデータストーム回避用に作り出したものになる。AIにガンダムとガンドリンクさせて、クッションを挟む感じ。
AIに攻撃指示を出すと「どれがいいですか?」とパターンを提示し、それを選択すると機体が動く。僕のやっている事を人間にも分かりやすく再解釈するシステムなんだけど、ある程度操作できる人はウザったく感じてAIを迂回し、直接操作したがってしまい……やはりデータストームが猛威を振るう。それにイマイチ動きが悪い。フェイントにも実直に引っかかるし、たまに操縦者の意向を無視してしまう。
もっと自然に、もっとパイロットに信頼される形で!
最終的にはこの「意思決定補助AI」はガンダムに限らず凡ゆるMSに搭載出来るだろう。性能が向上したら僕らに匹敵するかもしれない。だが、条件や状況からのシミュレーション結果を提示してパイロットの応答を待つ事でどうしてもタイムラグが出るし、僕たちの様な「意志」が介在しない限り提案パターンは確率の羅列に過ぎない。互いに直感的に選択できる様にならないと、つまり相互に信頼できるぐらい「やり込まないと」上手く扱えない。ガンドアームの開発思想から全く逆のベクトルになってしまう。
機密というならば、この一般人には理解し難い「ガンダムと良く話し合って、仲良く操縦してください」ってのが機密なんだが……それを話しても機密とは思われまい。機密というよりも、コツに近い。体得したら誰でもできる(なんなら4歳女児でも出来た!)が、体得できなければ誰にもできない……うわぁなんて面倒臭い奴なんだ僕は!(涙)
(この間0.8秒)
「一つだけ言えるとしたなら、だけどね。アラン」
「なんだ?」
「君……いや、君の背後にいる組織、か? 君たちは初手から激しく間違ってる。手紙の言葉借りるなら「魔女に化かされてる」て言うか、今のガンダムエアリアル持って帰ってもデータストーム頻発してえらい目に遭う(断言)」
「スレッタ・マーキュリーがスペシャルだって事か?」
「……うーん、誤解を恐れずに言えばそうかな? ただそれは彼女のみに出来ることではなく、本質的には誰にも出来る事なんだ。すごく単純な事で誰にも見えているけどできない事。まつ毛の様に目の前にあるのに気付かないもの……機密は機密にしているのではなく「それに気付くことが困難だから」機密になってしまっているだけ」
「……訳が分からない……」
「だろうね。簡単にいえば「彼女にしか使えないなら商品にはならない」すぐに分かって貰えたら楽なんだけどね……まぁ、とりあえず釈放はするよ。追って普通に産業スパイされたって事で民事告訴は起こすけど、示談で済ましてもいいって社長は言ってる。なんならライセンス契約してもいい。MS開発やって産業スパイ送り込める組織だ、金ぐらいあるんだろ?」
「……社に持ち帰って検討させてもらう」
「一応懲戒解雇だからな」
「自己都合にはならないだろうか?」
ダメに決まってんだろ、産業スパイ!
背後がペイル社ってのは3月後に判明しました。