怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
デリング・レンブラン
登場しないか、登場がかなり先(ぉぃ)
彼のガンドアーム嫌いは「ガンダムが強過ぎる」「ガンダムが地球圏に渡り、交戦中にデータストームで操縦不能になった機体が墜落して奥さんぺちゃんこにした」などの理由からであり、それなりに納得できる理由がある。
ただし、仕事にかまけて家庭を奥さんに任せがちだったとか、娘のミオリネとの距離感が掴めなかったりして……銀魂のマダオに比肩する「まるでダメなオヤジ」と化した。ミオリネに対しては過剰に思えるほどの愛を注いでいるにはいるが、悉くその愛は明後日方向に向いていてカウンセラーからは「もっとご家族と良く話し合って……」「話し合いが出来ないから相談しておるのだ!」と良くキレ散らかしている。
「ガンさん! またハイスコア更新したよ!」
「ドリルや問題集のハイスコアはどうだー?」
「そっちも落ちてないよ!」
「上げて更新しろよ!」
アスティカシア高等専門学園……スレッタが夢見るバラ色の学園生活の舞台となる学校だ。高専なのでカリキュラムはかなりレベルが高いし、エリート校故の特殊な文化もある。これは誓って真実だが、歴史あるエリート校になればなるほどバンカラ気質が強調される。頭が良くてだけではなく、運動も、精神も……なんでも出来ないと学校に馴染めない。
それを知るヤッさん(嘘くさいが京大出身)を中心にスレッタ強化計画が立てられて、学園生活というエサで勉強をさせているのだが……気晴らしと言ってはガンダムエアリアルの中に忍び込み、戦術シミュレーターで戦闘訓練をしてはスッキリして覚えた学業が何処かに行くというムーブを繰り返していた。今ではガンダムエアリアルのコクピットは
精力的にシミュレーター(彼女にはゲームと言っているが、僕お手製の戦術シミュレーターである)訓練を繰り返した結果、彼女の操縦は卓越して行き……僕はそれに合わせてシミュレーターの難易度調整に苦心している。難易度を上げる為には彼女の選択の裏をかかねばならず、僕は彼女の戦闘データを統計解析して敵側の攻撃パターンを作り出す。それを物理・流体力学解析して敵機の動作パターンと攻撃を……
もう、昔のバイキン○ン相手の射的ではない。僕も他の戦術シミュレーターは知らないけど、ニュースで流れる紛争地の戦闘を参照する限りスレッタ姉さんはMS一個小隊(ディランザ×1 ザウォート×2)ぐらいなら安定して狩れるし、全力攻撃なら軍用MS相手にタイマンでは負けることはないだろう。なんなら開始30秒で解体できる。
そんな化けタヌキを相手にするシミュレーターを作っていたら、ふと気付いてしまったのだ。これ、プロスペラ母さんが開発してる意思決定拡張AIにアルゴリズム転用出来ないかと。
【シン・セー ラグランジュ1 ラボラトリー】
シミュレーター画像再生中。
「……」
「…………」
「………………………」(文字数稼ぎではない)
重ねて申し上げるが、文字数稼ぎではない。ガンダムエアリアルは「水星での採掘事故対応レスキューMS」という建前で運用されていたのだ。戦闘用モビルスーツにガンド接続したらガンドアームであり、ガンダムエアリアルがレスキュー用ではなく戦闘用扱いされたらグループ総裁デリング氏の逆鱗に触れてしまう。なのに何でガンダムエアリアルの戦術シミュレーターなどという物が存在するのか。
「しゃ……社長?」
「言いたいことは分かるわ」
「退職願い、出していいですか?」
「戦闘用のMSに直接ガンドで繋いだらガンドアーム。でもこれは直接繋いでいない……だからセーフ」
「パーメット流入値のスコアでは基準超えてますよ?」
「データ上ではね。でも私の娘にデータストーム出てないわよ」
「でも、娘さん以外ではどうなるんです?」
「ちょっとデータストーム出るかな? いや、ちょっとで済むかしら……?」
「自分、倫理管理部署に通報いいっスか?」
「開発中の機体に瑕疵があるのは仕方ないでしょ! 幸いここに良いデータがある。開発中の拡張意思決定補助AIにデータ解析結果からプログラミングされた選択アルゴリズム入れて製品化するわよ! あのプログラムの精度が3ランクぐらい上がったらデータストームは克服できるわ!」
「研究報告ではガンドリンク2までのようですが?」
「充分よ。ウチとしてはモビルクラフトが手足の様に動かせたら十分な利益見込めるんだから」
「あくまで戦闘用ではなく開発用と主張するのですか? それはデリング総裁には通じませんよ!」
「いや、AI完成させてこの機体に接続します」
「今、なんと?」
「やるなら、よ。ガンダム禁止は表向きデータストーム廃人作るから。なら完全に誰でもデータストームの危険なしでガンダム扱えたらどうかしら?」
「そんな物が出来たら苦労しません」
「その苦労を水星で10数年続けて来たスタッフがいるわ。簡単に出来ないから優位性が堅固になり、他社が後追いしても追いつけないアドバンテージになる。我が社がMSの最先端になる可能性だってある」
「社長、物事には風向きというものがある。風に逆らうのは労多くて進みは少ない」
「風まかせで海渡ったらどこ行くか分からないわ。風に任せるのではなく風を操り風に乗る。私がプロスペラなのだとしたら、この機体はエアリアル。
スレッタ入校の前年まで「水星のガンダム」は「なんか水星に転がってたヴァナディースの機体」で、シン・セー内部では「廃品利用の鉱山トラブルの対処用機体」でしかなかった。それがいきなり「現役軍用MSにも勝てるし、軍用MSに転用できるプログラムが出来てました」では流石に経営陣はひっくり返る。
ただし、MS生産という部分には手を付けず「そこに転用可能なソフトを作った」というのは御三家と対立せず、御三家の頭を押さえることが出来るという意味では妙案。総体的なMS開発能力はシン・セーには全く無いので。
シン・セー内での正式プロジェクト化により、データストーム抑制効果の大規模治験が可能になった。この治験によりガンダムエアリアルは「少なくともガンドリンク4まではデータストームが抑制できる」規格外の機体として完成した!
これが、ゆりかごの星における「扉が開いた」の意味である。
……ようやく学園編に行ける……(涙)