怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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忘れてるかも知れないが、ガンさん(ガンドのメルさん)の正式登録名はキャリバン・メルクリウスです。


キャリバン・メルクリウス

「キャリバン・メルクリウス……シン・セー新事業開発部 アビオニクスプログラマー……32歳……間違いないか?」

「えっ! 僕もう32歳? 嘘でしょ!」

 

いや、そんな馬鹿な(錯乱)

スレッタ姉さんの七五三の時確か21歳……今姉さん17だからいいのか。実際の駆動時間は13年だから驚いたんだな。覚えておこう。

 

「(無視して)落盤事故でガンド化して、退院後シン・セーに入社か。その前は何してたんだ?」

待ってましたと練り込んだキャラクター設定を開陳する。折角事細かに設定したのに誰も聞いてくれなかった膨大な設定が、今!

……明かされませんでした(涙) なんで僕の力作を誰も聞いてくれないの?

「率直に聞くとだな、お前ヴァナディースの関係者じゃないのか?」

「ヴァナディース爆発事件? 僕の生まれた年の?」

「生まれた年? え? 32年前にもヴァナディースで事故あったのか?」

ヴァナディース襲撃事件は表向き研究所の爆発事故という事になっている。うっかり「生まれた年」と口を滑らしたが、そうだ、僕は32歳だった。

「え、いや。聞き違いです。ヴァディスって街でテロの爆発事件が32年前にありまして、それでウチは母子家庭に……」

「13年前だよ、何してた?」

「パーメット掘ったりモビルクラフトの動作プログラム組んでましたが……15年前ぐらいからだったかな?」

この辺は頂いた経歴の当人の記録もあるし、水星の仲間にもそう伝えてるからアリバイはある。ていうか、僕がエアリアルであり元ルブリスだなんて知っているのはこの世にただ一人、プロスペラ母さんだけだ。

 

さて、そろそろお話しよう。僕は今御禁制のガンダムの関係者としてアスティカシアのフロント警備部で取り調べを受けている。いやぁ、ガンドアームと見抜いたのは凄いけど、(エアリアル)は実際のところガンダムではない。より正確に申せばガンダムにもなれるがガンダムより効率的な運用が出来るのでガンダムである必要がないのだ。

 

この辺、説明が必要かな?

ガンダムという定義が生まれた頃は、ガンドフォーマットを使い兵器としてのMSをパイロットが直接思考制御(ここにガンドフォーマットを使う)する物だった。義肢と同じ様に使えるMSがガンダム(ガンドアーム)だ。

しかしパーメット流量増やして廃人化するパイロットが増えたので、ガンダムが発するデータストームを抑制する様にヴァナディース機関に指令が降り、カルド博士は可能な限り人工知能やシェルユニットで処理を代替するプランを策定。

で、あともうちょっとという所で襲撃を受けてヴァナディース機関は消滅した。

この時点では、つまりガンダム研究が行われていた一番最後の段階では、ガンダムとはパイロットが義肢のように自在に操れる兵器を意味する。

しかしガンダムエアリアルはガンドフォーマットでパイロットと機体を直接接続せず、パイロットは基本的な操縦を行い、エアリアルという自意識がガンドフォーマットで機体を操作する。シェルユニットに宿った人間の何倍もの処理能力を誇る「この僕」がデータ処理を行うのだから、パイロットにデータストームは発生しない。繋がって無いしね。

その意味でガンダムエアリアルはガンドフォーマットを別の形で利用したものであり、厳密にはガンダムではない。ガンダムではないのだが、シェルユニットにAIなんか目じゃない「自我がある」というのは別の憶測を生みかねない。

……なんか、悪の組織が旧来のガンドアームを人体実験しながら開発中という噂があるのだ。僕の自前のこの自我も、何か呪術めいた悪の実験で宿らせたものと勘違いされては困るのでAI制御であると言う事になっている。

という事で、エアリアルはあくまでシン・セーが開発した超AIによる次世代群体遠隔操作兵器のデモマシンという位置付けである。ガンダム?知らない子ですねぇ……

 

「おい、聞いてるのかメルクリウス。あれガンダムなんだろ?」

「ああすいません、考え事してました」

「必死に言い繕おうとしても無駄だぞ」

「晩飯何食おっかなーと」

「しらばっくれるな、パーメット流量が基準値超えてるのは記録済みだ!」

「それ、ガンドアームでパイロットと機体間に流れるパーメットの基準値ですよね? エアリアルでパーメットを最も使うの、あの戦闘だとドローン飛ばしたシーンだと思うんですが……多分皆さん計測したの、機体とドローン間のパーメット流量ですよ」

「え?」

「疑われると思ってコクピットからシェルユニットまでの経路のパーメット流量はログ取ってます。観ます? それとも操縦系の設計、主要接続、その辺僕担当なんでデータ出せますが……見せましょうか?」

「えっ? えっ?」

「やだなぁ、エアリアルってウチの製品の評価試験機ですよ? 設計開示出来ますし、取引契約とNDA結んでくれたら次世代群体遠隔操作兵器の細かいトコも教えますし、次世代群体遠隔操作兵器……製品名エスカッシャンって言うんですけど……あれ売り物ですから」

「ガンダムじゃないと?」

「ガンダムじゃ売れないじゃないですか。馬鹿馬鹿しい。ちゅーか、ガンダムでもドローンあんな有機的に動かせないでしょ。良く知らんけど。データストームで死んじゃうんじゃないですかねー? お宅ウチのお嬢の幽霊尋問してるんですか?」

「いや、アレはアレでMSを家族とか……」

「そらそーでしょ。あの機体運用してエスカッシャン製品化したテストパイロットですよ? 家族どころか姉妹みたいなもんですよ」

「……ガンダムじゃないんだな?」

「調べたら判りますよ。まぁバラして解析したら分かるような単純な物じゃありませんし……」

僕はにっこり微笑んだ。

「革新技術部分は特許押さえてガチガチに保護されてます。ちゃんとエスカッシャン買った方がお安くなってますよ」




特許使用料を考えると、エスカッシャンを買った方がどう見ても30%ぐらいお値打ちな価格になっている。
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