怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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ガンビット君たちは如何に必殺万能兵器へと進化を遂げたのか。


水星におけるガラパゴス的進化

スレッタ・マーキュリーさんが「射撃ゲーム」と思い込んでいるものは、僕がルブリスボディ時代に組み込まれた戦術教育プログラムの一種だ。

元々あれはガンビットを制御する際にリアルタイム処理だと負荷が高くなるので、ガンビット操作をAIに代替させる為に作られた。様々な状況でパイロットがどの様に敵を戦力評価し、ガンビットでどんな順番で敵を撃破するか……そういうパターン学習を「AIに施す為の」プログラムなのだ。

当初まだエリクト・サマヤちゃんはこれをモグラ叩きゲームの一種と思い込んでいて、たん、たん、たん♪とリズミカルにタッチパネルを叩き、タタタンと叩く様になり、終いには野鼠を狩る梟の様に「ダダダっ」と叩く様になった。その間僅かに7ヶ月。子供の成長には目を見張るね。

これに焦ったのが、特に名は秘するが……元アス高決闘クィーンである。最初は我が子の姿を目を細めて見ていたが、僕がシミュレートする(戦術)スコアが自分のレコードに近付き始めた時点で牙を剥きおった。エリクトの手がまだ小さい事を利用して、大人の大きな手で多点タップという荒技を繰り出してきたのだ!

流石に僕も抗議の意思を表す為にブルーバックエラー表示をせざるを得ない。ガンビットの攻撃順序や敵脅威度順位を入力しろってのに「いいから3機まとめて撃墜せよ!」は無いでしょう。なに無茶を……と考えてたら、勝手にプログラム書き換えて多点タップ対応にされた。ぼくはむりょくだ(棒)

ここから、僕と母さんの壮絶な戦いが始まる。

元々ガンビット制御系は僕の本体制御プログラムから切り離されて搭載されていたので、僕はそのプロセスを複数同時に処理できる様にパッチを当てた。そして同時にマルチプロセス化したのを良い事に敵にもガンビットを装備させたのだった。すると「ゲーム」は早打ちゲームの様相を見せたので、対策としてノンキネティックポッドを導入して……と、(後に知ることになるのだが)世間様ではビット系装備が廃れたにも関わらず、水星唯一のモビルスーツである「この僕」はガンビット戦の達人になって行くのであった。

最後期にはスレッタもプロスペラ(当時は部長)もビットの形の違いから僅かな機動性能の差が出る事に気付き、鈍臭いのから順に倒す戦術を多用した為、僕は機体形状毎に動作パターンを変化させ、更に互いがチームとして庇い合う性質まで追加した(これは大当たりでスレッタとプロスペラ母さんを唖然とさせた)

これを受けてプロスペラ母さんは群体制御技術の本格作成に着手。更にガラパゴス化が促進される事になる。

これが6年前、スレッタ姉さん11歳時点の状況である。

 

 

なんでこの様な昔話をしているかと言えば、今正に目の前のダリルバルデ君が6年前の僕の対スレッタ戦略を模倣しているからだ。ぅぉぅジェターク、宙港検査で配布したデモデータをカスタマイズしたか。でもそれ、パイロットとの連携取れない奴じゃなかったかな?

率直に言えば、反応速度は良いが「真っ直ぐ過ぎる」

スレッタと昔の決闘クィーンは狸の母娘だ。フェイントや突飛な発想……まだ経験が浅い実稼働時間7年に過ぎないこの僕にとって、人間を嫌いになりかけた……論理飛躍とヤマカンを駆使して戦いを仕掛けて来る。

余りにグエル氏の戦術と違う為に最初期こそ裏をかかれた形になり、僕は右腕を切り取られてしまう。申し開きのしようもないんだけど、パワーが違い過ぎる! いいなぁ溢れるパワー! 最新軍用はここまでパワフルか。この辺は駆動系独自開発が不可能で汎用品カスタマイズで誤魔化してる僕には分が悪い。咄嗟に機体バランスの補正を掛けて凌ぐが、ここまで差がでかいと厄介だな。

消火装置は誤動作するし、摩擦係数勘案するのをスレッタが忘れて……と踏んだり蹴ったり。しまいにゃミオリネさんが時間を稼げなんていうもんだから、素直なスレッタ姉さんは素直に勝ちではなく時間を稼ぎに行く。いや、勝っていいんだよ?

 

僕は些か混乱していた。最新型でも既存技術の延長上に過ぎないならば、僕とスレッタ姉さんは既に対策を考えている。人間が得意とする論理飛躍やどこからとも無く湧いてくる「アイデア」、これこそが強敵足りえる存在。しかし満を持して出て来たのが6年前の亡霊なんだもんなぁ。侮れないが、勝てない相手ではない……そちらの手を僕たちはよく知っている! 水が止まって今が勝機! ガンビットの皆さぁん!

 

(((((はぁーい♪))))))

 

(かった! 何これ硬い!)

(何食べたらこんなに硬くなるの!)

(マジでか、硬ーい!)

(ズルくね?)

(ズルいよ! ズルすぎだよ!)

(これはもうお姉ちゃん案件)

(だよね)

 

スォームでカタが付かない……だと? 何それその装甲。一つ私にくださいなっ!

ん?

動きが止まった?

 

と思いきや!

キタコレ! やった、グエル氏来た! なんでぇグエル氏ちゃんと乗ってるじゃん! しかし勝つる!(僕が)

力任せの重突撃! なんてパワーだ、お姉ちゃん僕これ欲しい! なんだなんだこの馬鹿げた瞬発力は! 何食ったらこんなにダッシュ効くの?! モーター周りの設計教えて! 僕これ欲しい!

ハイパワータイプとの交戦操典通りにベクトルをズラしてモーメントを生み、巴投げしたら足が飛んできた。いや、お前……グエル・ジェターク! シェルユニット光って無いやん……手動操作で飛ばしたの? おまっ……コノ……天才かっ! いや馬鹿かっ!

あり余り溢れるパワーで投げ飛ばされるエアリアル。確かに僕は軽いがそれでも40トン超えてるんだよっ! 70トンぐらいしかない癖になんちゅーパワーを……

プロスペラお母さん、僕今年のクリスマスにサンタさんに手紙書く……ダリルバルデ貰うんだっ!




長いので分割しますわ。
次回、エアリアルのダリルバルデ愛が炸裂する(かも)
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