怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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その日、シン・セー本社会議室はむせ返るほどのコーヒー臭に包まれていた。

【登場人物紹介】
シン・セーの上役の人々
「専務」バーコード
「常務」ヅラ
「部長」U字ハゲ。あと老眼鏡

みんないい人ではあるが、社風として土建屋気質が抜けない感じ。部下からの信頼は厚いがデリング氏からの覚えは悪い。


社内審議

「……以上がアス高地球寮のミオリネ氏から提出された企画群になります。如何でしょうか専務?」

僕はビデオ会議でシン・セー本社内の第一会議室と遠隔会議に参加していた。一応僕の部門の上司となる専務はかなり上機嫌だ。

「いいねぇ、この企画書かなりしっかりしてる。KPI(重要業績評価指標)をちょっと手直ししたらそのまま使えるよ。メル君より企画の立て方上手いんじゃないか?」

「地球寮にこんな逸材が居たか。ウチに引き抜けないかねぇ? どーなんだメルクリウス君」

「(ホルダー維持するのは)難しいですが、(スレッタ姉さん次第だけど)善処します」

「しかし、決闘一回20万ドルか、割と安いな」

「部長、それは誤りです。めっちゃ高いですよ!」

「いや、年間広告費と割り切れば……」

「エアリアル、入校4日目で決闘2回こなしてますが」

「……勉強、しに行ってるんだよな?」

「ええ、カチコミ掛けに行った訳では無いんですが……今年は決闘がかなり豊作みたいです……あ、すいません、ちょっと……何? グエルとエランが決闘してエランが勝ったら……」

「……どうしたね?(嫌な予感)」

「エアリアル3戦目が決まりそうです……」

ここで部長と常務がコーヒーを噴き出した。

「落ち着きましょう、落ち着きましょーう、落ち着きましょう」

「アス高って、あのセレブ校のアスティカシアだよな? 練馬の工業高校じゃ無いよな?」

「はぁ、間違いない筈なんですが」

「……値切りなさい! 一戦勝利で10万ドル。その代わり資材は割引して原価+輸送費まで値下げ。そもなんで地球寮お金無いのよ!」

「社長、大変申し上げにくいのですが……ウチ、寮費が安いから地球寮選んでませんでしたっけ……」

「トヨタとGMが支援打ち切ったんだよなぁ」

「ボーイングも来季は予算見直すらしい」

「しかし……妙だな? 金ない割に結構学生居ないか?」

「インドのマフヴァーシュ社が金突っ込み始めたって聞きますよ」

「あ、僕からも報告が。決闘で結構な金額賭けてます」

「え? 賭博?」

「逮捕されかねない金賭けてますね。こちらをご覧ください」

「……何だねこれは?」

「地球寮の寮費残高の変遷です」

「……全体的には資産増えてる?」

「現状、投資ではなく投機ですが……相場師の目を持つ子がいますね……倍率が高いのを確実にモノにしてます」

「ほう、どんな子だね?」

「ギャベル君?……確かアメリカのカジノやってるとこのご子息とか……」

「遅くとも3年ぐらいでそういう才能が世に出てくるのか。未来は明るいな。ちゃんと囲ってやってくれよ、メルクリウス君! で、先の企画書書いたのどこの子?」

「え? レンブラン家ですが」

「レンブラントか……ヨーロッパの企業かな?」

「いえ、ベネリットグループ総裁、デリング・レンブラン卿の愛娘です」

 

ここで本社内社長以外の全てのメンツがコーヒー噴き出した。

 

「な……なんで地球寮に?」

「はぁ、これはもう成り行きとしか説明できませんが……」

「そりゃまぁ優秀だよな。デリング総裁の娘なら」

「現在、社長御息女のスレッタ氏がホルダーですから、今後ミオリネさんを求めて決闘仕掛けられる事増えるでしょうね……」

「あ……ヤバ。今胃に穴開いた」

 

 

【胃に穴開いた】

胃潰瘍を何度もやってると、潰瘍で穴が開いた瞬間を自覚出来る様になる。喉を経由せずに直接温かい液体が胃に流れ込んだ感覚がそれだと分かるのだ!(経験談)

身体は労ろう!

 

 

「またですか専務。もう胃をガンドにしちゃいませんか?」

「ガンド化しても胃酸で痛み早そうですなぁ」

「社割、作る?」

「福利厚生予算増やし過ぎてもまた胃に穴が開きます……」

「エスカッシャン (TM)売れたら楽になりますから!」

「仕方ないわね……専務の胃には代えられないわ。メルクリウス君、エアリアルの機能をアレ以外全て解除していいわよ。格の差を顕示して挑戦者減らしなさい」

「……もうですか」

「私はもっと青春してくれてるものと……今日だってデートの筈だったじゃない!」

「えーっとですね、エアリアルのコクピットでガンドのリンク機能確認されてますね」

「デートで何で?!」

「ペイルのエラン君ですなぁ」

 

上席者の間に緊張が走る。

 

「部長、機密レベル5だ」

「了解です」

「メル君、暗号化は?」

「常に最上級です」

「……やはり、ペイルだったか……」

「メルクリウス、手筈通りだろうな?」

「抜かりはありません。彼はデータストームが発生しないことを確認しました……結果、スレッタ氏が少々傷付いてますが……」

「ケアしてやれ。可哀想に……」

「許せんな。行くか?」

「まだよ、私が直接出向いて動向を探る。常務は面会関係の調整をお願い」

「分かりました」

「専務、決済関係は任せたわよ」

「胃が穴だらけになろうとも」

「……胃は大切にしてね」

「……あらし(テンペスト)を使え。いいでしょう? 社長」

「もちろんよ、死なない程度にやって」

 

我が社の経営陣は地球での不可思議な幼児連続失踪事件を知っている。その中には我が社の社員の遺児が含まれているのだ。アーシアンなれど社員は家族と断言する我が社において、アーシアンを拐って人体実験の如き悪行を為す組織は敵も同然であった。

 

「ヴァナディースの癌細胞め、摘出してホルマリン漬けにしてくれてるわ……」

 




ヅラやバーコードやハゲではあるが、彼らは現場作業員を束ねて来た男であった。
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