怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
今日の基礎知識 「
近代や近世では騎馬部隊による敵戦線破壊を目的とする突撃戦術を指すが、中世(〜12世紀ぐらい?)では、敵生産拠点である農村などを襲撃して糧食などを略奪し、襲撃された農民を領主の拠点(城など)に追いやって「籠城戦の継続力を奪う」というかなり極悪な戦術であった。
ワルキューレは羽の意匠を取り入れた兜を被っていると言う──
ミオリネ・レンブランの髪型は、幾つもの羽を散りばめた白銀の兜の様に見えた。ステージ中央から伸びた不必要なまでに高い台の上に立ち、暗い会場の天井を背景にスポットライトを浴びたミオリネGTの姿は、空を舞う神話のワルキューレを皆に想起させた。
「ガンダムであるかないかを語る前に、先ずガンダムの定義をしましょう……先程グラスレー社CEO、私も存じ上げておりますサリウス・ゼネリ様からお話がありましたが、『氏の定義では』ガンドフォーマットを用いたMSは全てガンダムという事ですが……ご自身で自社のファラクトをガンダムだったと仰られたペイル社のCEOにもお尋ねしましょうか。ファラクトはなぜガンダムなのですか?」
「勿論、操縦系にガンドフォーマットを用いて思考制御出来るMSだからよ。当たり前の話だわ」
「あら? そんな素敵なMSなのにシン・セーのエアリアルに切り刻まれてしまったのですね?」
「それは相手もガンダムだから
「ロジカルに行きましょう。あなた方は大変な誤解をしておられる様ですが、何故ガンダムは強いと──ガンダムに勝てるMSは存在しないと言い切れるのでしょうか? 【仮に】エアリアルがガンダムだとしましょう。ファラクトもガンダムであると。そしてガンダムの中にも強い・弱いがある──事実ファラクトはエアリアルに負けました。では、ファラクトより弱いガンダムもあるでしょうね? 最弱のガンダムは最新のMSに必ず勝てる物なのですか?」
「そ……それは……」
「サリウス氏の定義では、ガンドフォーマットを使ってさえいればMSはガンダムになるのだそうです。装甲板がベニヤ板でも、動力がゼンマイでも!」
会場に微かな笑い声が起きる。サリウスは殺意を顕にしたが近くにデリングがいる事をシャディクのジェスチャーで知らされて慌てて平静を装った。
「まぁ、同じ機体ならガンドフォーマットを使った方が有利なのかも知れませんね。ただ、ガンドフォーマットを使ったからと言っても、アスティカシア学園で教育用教材として採用されたデミトレーナーで最新MSであるダリルバルデなどに勝てるとは限らないのではないでしょうか?」
柔らかに微笑み、会場を見渡すミオリネGTの顔が背後のクソでかモニターに大写しになる。シャディクはミオリネの怒りの深さを悟った。頼む、父さん……これ以上ミオリネに噛み付かないでくれ……
「おや、ヴィム・ジェタークCEOがマイクを握っていらっしゃいますわ。御社最新MSダリルバルデはどんなガンダムにも必ず負けるほど弱いMSなのですか?」
「馬鹿なことを言うな! ダリルバルデも、息子のグエルもそこらのガンダムには負けん!」
会場からどよめきが湧き上がる。事情を知らなければ単純に自社の技術と息子を愛する立派な大人に見えるだろう。サリウスとペイルの4CEOは「話が違うだろヴィム・ジェターク!」と心底びっくりした顔でヴィムを凝視し……ミオリネGTはその姿を見逃さなかった。クソ親父は苦々しい顔してるだけだから、3社でつるんで悪巧みか……じゃあ刈り取らせて戴くわ──
「ありがとうございます、ヴィムCEO。それは私の花婿のスレッタとエアリアルに対する賞賛だと思わせて頂きます。(ぺこり)
そして皆様、思い出して頂きたいのです。ヴィム氏の愛息グエルとダリルバルデが如何に勇敢に戦ったかを! あの戦いでエアリアルは右腕を切り取られました! 戦いには勝利したものの、あの戦いは接戦でした……もしも仮にエアリアルがガンダムだったとしても、ダリルバルデはそれに迫る戦いを演じたのです!」
この時点でようやくヴィムは載せられてた事に気付き、サリウスの冷たい視線に気付くのであった。
「翻ってファラクトはどうでしょうか? 弾を当てたのは【急拵えのブースターユニット】だけで本体にはダメージを与えられていません。スレッタ、ファラクトはどうだった?」
「えと、悪くは無かったと思いますが、グエルさんほどでは……いや、違うんですエランさん、弱いとかそう言う話じゃなくって「スレッタ、Stay!」
「はいっ!」
「こんなんですが、私の花婿スレッタのMS操縦テクニックは本物です。実際ベネリットグループ3巨頭のMSの内2機を撃破してますからね。さて、ファラクトとダリルバルデが決闘した場合、ファラクトはガンダムだから確実にダリルバルデを下す事が出来るでしょうか……?」
「何が言いたい、ミオリネ・レンブラン……」サリウスは絞り出すかの如く言葉を紡ぐ。
「ベネリットグループの凋落、かしら?(ニッコリ)」ミオリネGTはピアノの様に言葉を奏でる。
「幼稚な考えとお笑いください、サリウス老。10年前の技術を恐れ、10年以上経ってもガンダムの代替機能やガンダムを超える機体を作れない……そのベネリットグループの技術革新の停滞がグループの停滞を引き起こしているのでは無いかと。もしもガンダムなんて目ではないMSを開発していれば、ガンダムなんてものは歴史の遺物……ではないでしょうか? ガンダムを駆逐できない、ペイル社がガンダムなどというものを作り出してしまう原因の一端は我々自身にあるのではありませんか?」
一同、ぐぅの音も出ない。
「我々には対ガンダム用MSがある……手をこまねいていた訳では……」
「じゃあ、決闘ですね。もしもエアリアルがガンダムで、サリウス老の秘蔵機体が対ガンダム機体ならエアリアルには楽に勝てるのでしょうね! まさかエアリアルに負けてガンダムだから負けたなんて言い訳はなさらないでしょう?」
シャディクの視界が暗転した。ダメだ、ダメだよ
「スレッタ、いい?」
「私のエアリアルは誰にも負けません!」
まだシャディクの不幸は続く。