怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
【快傑グエット】
「グエット参上、グエット解決! 己の人生への復讐者、快傑グ エ〜ット!」
俺のからだに吹く風は
復讐の風、熱い風
追って、追って、追い詰めてー
天狗といい、母仮面といい、仮面の兄貴に仮面の復讐者……この話仮面の人多過ぎない?
スレッタ「……横恋慕さん?」
グエル「違う、俺は自らの人生の復讐者、グエットだ!」
ミオリネ「前髪ぐらい染めて来なさいよ!」
グエル「学園を中退した奴の事など知らん」
エリック「性格ぐらい変えなよ……」
グエル「お前に言われたくはない!」
……出すのか?(自問自答)
「釣れますか?」
平日午前中。アスティカシア高専近くの釣り堀は授業中という事もあり閑散としていた。ヘラブナ釣りであろうか……普段とは印象が異なるラフな格好のデリング・レンブラン氏は長い和竿を持って僕の隣で釣りの準備を始めた。
「まぁまぁ、先ずは竿を下ろしてウキに集中しましょう。幅広の麦わら帽子が口元を隠す様に、俯き加減で」
「練り餌を分けて頂いても?」
「どうぞどうぞ」
ひゅっ。ぽちゃ。
「ほう? お上手ですな」
「昔はね、良く釣りにも行ったものだ」
[……総員全周確認]
[クリア]
「ok」
「……どれだけ潜ませた」
「予算もあり、今は2ダースほど」
「いつからだ?」
「昔から。まぁ基本ですよ。学生とは異なり大人の身元調査は甘い。こちらでも既に3人ほど『釣れ』ました」
「あの
「貴方の御息女もね」
「……で、どうしたいと言うのだ?」
「外来種は場を乱します。これを駆逐したい」
「見当は付いているのか?」
「ペイルとグラスレーの中にいますな。ペイルにはこちら側の、グラスレーは……私怨、ですかねぇ。貴方への」
「尻尾が掴めるならこちらで処理するが」
「ペイル側はお願いしたい所ですが、グラスレーは状況的にこちらで動いた方が宜しいかと。尻尾切りで逃げられるのはゴメンです」
「……サリウスか?」
「断言はしませんがね。彼の手は長い」
一度竿を上げて練り餌を付け直し、撒き餌を撒いてから再び下ろす。ぽちゃん。
「とりあえず撒き餌を撒きます。ウチのお嬢に兄貴が出来まして」
「……兄が、
「エアリアルを良く知る子ですよ。宇宙放射線で顔をやられてしまいましてねぇ……仮面を付けてます。ウチの社長と同型の」
「宇宙は過酷だからな……」
「人生ってのはどこでも大変なものです。──入校審査を通して頂きたい」
「名前は?」
「エリック・マーキュリー。元アスティカシアの学生です」
「エリック、か……学部は?」
「経営戦略科にするかパイロット科にするかで悩んだのですが、今後ミオリネ氏に比重が傾くのではないかと」
「──何故だ?」
「御三家を決闘で全滅させたMSとパイロットに誰が挑みます? 僕なら搦手を使うし、彼女は未だ単独行が多い」
「強い絆が仇となる、か……」
「ウチの跡取り御曹司を入れる事でそちらに意識を振り向けさせます。ポイントを絞れる方が
「良いのか? 彼は元ペイルか?」
察しが宜しい事で。僕は安心してカードを一枚晒す。
「──人体実験被験者。強化人士4号」
ぴくり。
「合わせが遅れた、か」
「釣りの基本はお魚ちゃんの気持ちを理解する事です。彼らが好きな場所、餌、動き……それを見つけてやれば釣果は上がる……デリングさん、貴方最近娘さんと話してます?」
「この時期の男親は難しくてな」
「会社では報告・連絡・相談を強いる事が出来ますがね、家庭では中々に難しいでしょうなぁ……」
「──妻に、任せっきりだった──」
「まぁ、あの時期では、ね……今後改善していきましょう」
「そも、そちらは何故アレに気が付いた?」
「ウチの社員の遺児がヤラれました。最初期は私立探偵による調査。そこで1人死人を出してからと聞いています」
「孤児か」
「はい」
「……同じ手、だな」
「エアリアルを表に出した理由になります。早いとこ
「何故彼らはその方法で上手くいくと考えてしまうのだろうな?」
「エリクトの話が中途半端に知られたのが不味かったかなぁ、と。悔いても仕方ありませんが」
不完全な情報が憶測を呼び、それが次の憶測を呼ぶ。
ガンダムが子供の手により完成した
失われた「成功例」を模倣する為に、奴らは子供をあちこちから集めて「消費」した。その消費の中に僕たちシン・セー社員の子が居て、僕たちもその事を知る羽目になる。
デリング氏も別口でこの件に勘付き、双方のエージェントが出会い、そしていつしか協力する様になってから3年。シン・セー前CEOは余生を本件調査に充てて専従している。
「おっ!」クイッ
「網はお任せを!」
ヘラブナはすっと水面に口を開け、するすると誘導されてゆく。上手い釣り師は魚たちを暴れさせない。
「中々のサイズですな。お見事」
「そちらでは釣り上げた魚はどうする?」
「まぁ、キャッチ&リリースですな。もう今の段階では下手な動きは逆に妄想を増大させかねません……」
針を外したヘラブナは、体をくねらせ深淵に帰って行く。
「彼らにも真実を見せて掴ませねばなりませんし、それの『もっと良い活用』を考えてもらう必要があります。事がここまで複雑化して拗れた今、半端な情報公開では最終的な解決は無理でしょう」
タオルで手を拭き、デリング氏に差し出す。
「ご協力頂けますか?」
「無論、喜んで」
握手をしたデリング氏が違和感を覚えた様だ。
「……苦労しているな」
「案外使い勝手はいいんですよ。ガンドも」
僕は離した右手手首を時計回りに一回転させて笑った。どうしても人間だから人間は生身でないと「不自由」と考えがちだが、僕には元々肉の体はない。肉を失ったのではなく、また別の
僕は自由を得たのだと考えている。人間ではないと知らない人が誤解するのにはもう慣れた。
技術開発中のヴァナディースを中途半端なタイミングで潰してしまったから、何処からか「ルブリスに子供使ってガンダムが完成した」なんて噂が立ったんよ。それが昔ヴァナディースでやらかして逮捕者まで出したヴァナディース事変(21年前)のネタと混ざって「ガンダムに子供を捧げた」とか、エリクトって子供が……という妄想に連結。まるで今の水星の魔女視聴者の様だわっ!(笑)
なお、本作設定ではデリングとカルドは血縁者で生き別れており、デリングはサリウスの孤児院で育つ。それがヴァナディース事変で再会してプロローグの事件(13年前)でエルノラやエリクトを保護して水星に匿う遠因になる。
デリングは水星の母子の事を完全に忘れてたのだが、アスティカシアに編入して来て、しかもルブリスそっくりなエアリアル見て「何してんだカルドの元スタッフ?」とガンダム判定したりしたが、双方のエージェント(子供失踪事件調査チーム)が互いのバックを確認して水面下で調整した。キャリバン・メルクリウスチームとは別に、シン・セーには前CEO直轄の調査チームがある。