怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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何故まだ工場に着かない!

エスカッシャンについての話は実際そうです。


ガンさん工場へ行く(中編)

【エスカッシャン】

「そう言えばミオリネさん? エスカッシャンどうする?」

「へ?」

「──エアリアルの方の話?」

「は?」

「うん、一応あれはエアリアルの血統とか出自を……」

「は? はぁ? 何の話?」

 

「「え? スレッタ知らないの?」」

 

エスカッシャンというのは、西洋に於ける家紋の様なマークの中に配置される盾状の部分である(本当) 紋章を構成する要素は沢山あり、その中でもエスカッシャンは血統とか当人・当家の出自を示す部分になる。

 

「……という事でね、エアリアルのあのエスカッシャンは原型機はルブリスって機体だよって意味なんだ。知らんかった?」

「聞いたことも無かった……」

そりゃそうだ。万が一オックスアース社の権利相続した奴が難癖つけてきた時に誤魔化す目的で残したからね。普段は気にしなくていい。

「後々私とスレッタ結婚したら、マーシャリングしなきゃいけないかもしれないのよ。エアリアルの盾をエスカッシャンとするならね」

「でも、ミオリネさんレンブラン家の家督相続するでしょ? クォータリングせずにインエスカッシャンしてもいいかなと」

「マーシャリング? インエスカッシャン?」

スレッタ姉さんが目を白黒させるのも仕方がない。そも読者諸兄だってエスカッシャンが紋章学用語だと知らない……紋章学のモの字も知らないだろうし。大体平民は紋章なんて持ってないし!

 

「──大体分かった」(分かってない)

大層自信ありげだが、スレッタ姉さんのこの顔は大変怪しい。

「本当に?」(疑惑)

「期待しちゃダメだよ」(諦)

「ビームサーベルガンビットが欲しい!」(とくいまんめん)

「「はぁ?」」僕とミオリネGT氏はハーモニーを奏でた。

「グエルさんとの2戦目で、水降ったでしょ? あの時ビームが減衰したでしょ?」

「あー、あったね……そんな事」

「そんな時にサーベルビット、【サービット】があったら便利かなぁ、と」(しんけん)

「──一理ある」

「地球環境で使う時、スコールだから切れませんじゃ確かに困るわね……」

機動プログラム自体はガンド天狗の奴転用できそうだし、ダリルバルデくんもそんなの使ってたなぁ。

「──よし、本件は真面目に考えます。エスカッシャン (TM)の正規オプションにできるかもしれない」

「ウチの紋章聞いとくわ。無い様な気もするけど……」

 

そう、レンブラン家というか、ベネリットグループのロゴとかマーク出て来てないんだよね。何故だろう? ボブではなく僕は訝しんだ。

 

 

【プラント・クエタに向かって移動中。ブリタニア3世号デッキ】

 

「で、社長。エアリアルの修理はどこで?」

「最下層のRMAセクション借りたわ。博士がやってくれるって」

「博士? 誰ですかそれ?」

「ヤスシ師匠よ。水星で一緒だったじゃない?」

「ヤスシ……?」誰だ、それ?

「ヤッさんよ、ヤッさん! 気安く呼んでたけどヤスシ博士は知る人ぞ知るMS工学の権威よ!」

「……水星に角○老グループ招致しようってしてたあのジー様が?」

「エアリアルの基礎構造と設計ブラッシュアップした天才よ!」

京大出身って……まさかガチ?

「オックスアースとの産学連携事業の旗手で、ルブリスシリーズの機体の生みの親! 13年前の事件で大学追われて水星に来てたの。スレッタが決闘ばかりするから急いで呼び寄せたんだから」

「え? なんか随分大規模な改修するの?」

「逆。やたら壊れるから構造の単純化を依頼したわ──」

 

 

【RMA】

Return Merchandise Authorization。一般的には商品の修理部署やその受付業務を示すが、実は製品開発に密接に関わる重要部署である。

一般的に製品はR&D部門で開発設計(及びその下位部署であるテストセンター)で製品化されるが、「商品」というものは開発側が予想もしない使い方をされたり、想定外の故障をする事が割とある。この問題点の解析と、実際の故障事例から製品の改善用データを蓄積するのがRMAセクションの役割だ。

例えば……パソコン基板でI/O コントロール ハブというICが良く破損するというデータが得られたとしよう。この時RMA部門では故障ICを登録すると「よくある故障パターン」をシステムが返す様になっており、このデータが一定量貯まるとR&D側で再設計の検討が行われる。良く壊れるのがBGAパッケージICならワザと直前のコンデンサ(キャパシタ)が壊れる様にして修理コストを下げたり修理作業を簡略化したり、そもそも故障を誘引する設計自体を見直したりする。

 

 

「よう、ガンさん。かわんねぇな……ガンドだけに」

「ヤッさんがそんな有名人だとは知らんかったよ……」

「開発なんてのは裏方やってナンボよ。製品が有名ならそれでいい……」

 

ガコン、プシュー

 

「──スレッタ、よーもまーここまで壊したな」

「いやぁ、面目無い……」

「こんだけ無理しても大丈夫だって信頼の証だ。スレッタは無事だったんだろう?」

「ええ、まぁ」

主人(あるじ)の信頼に応えた機体だ。大したもんだよコイツは」

ヤッさんは感慨深げにエアリアルを眺めている。




無知で壊すのと理解して壊れるまで使うの間にはすごーい隔たりがあるのだ。愛情を持って使い込まれた機械が嫌いなエンジニアは居ない。
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