怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
オラと一緒に補陀落さ行くだ!
【
いわゆる浄土。日本ではフダラクと読むが、パーリー語だか原始仏教時代だとポータラカと呼び、それを漢音で補陀落と書いた。
ん?
「ゴドイさん!」
「……管制無視して突っ込んできた奴が居る! メルクリウスやばいぞ!」
「ゴドイは博士たちを隔離して! エリックはエアリアルの中で待機!」
「まだ戦闘は出来ないよ!」
「エアリアルのハッチ開けられたら右腕前にかざして「弾けろ!」って念じるだけでいい。相手は挽肉になる」
「ガンさん貴方!」
「そりゃー仕込んでありますよ。スレッタやミオリネさん警護するんだもの。フレシェット弾だから防弾チョッキも抜ける」
「……分かったわ。じゃあガンさんはスレッタを……」
「それは彼に行って貰おう……天狗様に」
「てんぐ?」「天狗? 神社の?」
「じゃあ、呼んで来るよ」僕は自分のコンテナに戻り、非常用のロックを施した。
「ガンビッツアルファ、ビットオンのまま周辺サーチ」
(((らじゃ!)))
「さぁ行くぞ! テックセット!」
僕の5体が戦闘用ガンドボディに組み替えられてゆく。ガンダムエアリアルへの改修ついでにガンビットが持つソニック・プロテクト機構を搭載したガンド天狗Mk-IIボディだ。
グィィー、ブンッ!
皆が見守る中、コンテナ上部からガンド天狗が姿を現す。
「遠からん者は音にも聞け! 近くば目にも見よ!
愛宕山に住まう大天狗! 愛宕権現太郎坊見参!」
「が……ガンさん?」
「ガンさんちゃうわ! たわけ者!」
「あ……悪魔?!」
「このアドステラの時代に悪魔とは古風だな!」ビーム薙刀の基部となるビーム発振用6尺金剛棒を振り回しつつ応える。
「行くぞ、僕に任せておけ!」
「僕って……ガンさんじゃない! しかもそれどっか行ったエアリアル機能試験用資材っ!」
「ありがたく戴いたぞ!」僕は天狗面の裏でニヤリと笑った。
皆から見えないエアリアルの胸部上面シェルユニットが一瞬青く輝く。
(ガンビッツアルファより天狗ちゃんへ。敵は無線封鎖の上モビルスーツデッキに侵入。多分港を抑えて脱出手段奪う気ね。スレッタねぇちゃんとミオリネさんは6ゲートからこちらに向かう途上! インターセプトして!)
(了解! 30秒で着く!)
(逆ハックする?)
(んー、バックドアだけ)
無重力通路を力任せに蹴り飛ばし、天狗ウィングで風を切る。今このプラントクエタの凡ゆるセンサーは僕の目であり耳だった。
「遅いわ! 鎌鼬!」
天狗団扇からビットが飛び、テロリストの眉間を貫く。
「なっ
その先は言わせなかった。無情な天狗キックが下顎部をごっそりと抉り取り、頸椎を変な方向に曲げてテロリストは死体に変わった。
余りに信じがたい展開に固まるテロリストの火器を取り上げて、力任せに銃身を湾曲させ、手渡す。夢から覚めたように引き金を引いたテロリストは、右手首から先を銃の暴発で吹き飛ばしてしまった。火薬式の銃はおっかないなあ。
「なっ……何事だっ!」
「
「「僕は、天狗だ。愛宕山の武神、太郎坊也」」
通路に配された複数のスピーカーから少しづつズレて不気味に聞こえるようテロリストに声を掛ける。露骨に嫌な顔をしたテロリストのヘッドショットを避けずに受け、その貫通したあなを見せつける様にゆっくりと歩を進める。
「「ここを撃たれるとお前たちは死ぬのであったな? だか、天狗は死なぬ」」
ヤケクソ気味に放たれた銃弾を天狗団扇で弾き、ソニック・プロテクトで弾く。
【ソニック・プロテクト】
ガンビットがアクティブディフェンスする際に放出する力場。MSサイズの散弾ビーム程度なら散らせる。エアリアル改修の際に小型高出力化を目指したらガンド天狗サイズでも実装できそうなのでペイル社のご好意により搭載できる事になった。
「神と子と聖霊にかけて!」
一際長身のテロリストが襲い掛かる。レスラー崩れか? ……む?
「これしきで天狗に敵うと思うてか!」
テロリストだなぁ。軍人じゃ無い。これウチのパワーガンドアームそのままじゃないか! 特注品の僕と力比べとはな!
「見るがいい! 天狗の神通力を!」
ガンド天狗の眼が怪しく光り、実際怪しいIrDA.信号がレスラー崩れの眼を捉える。彼の手首から先が、肘が、肩が……見る見るうちに5体がバラバラに分解して行く。
「ガンド神拳、やる気スイッチ切り!」
ガンド手首をテロリストの顔面に投げつけると、彼らの顔は大きく陥没して骸と化した。
民生品そのまま使うやつがあるか。そのシリーズの制御コード書いたの僕だぞ。ちゃんとその辺はハック対策しなさいや……
「貴様らは尊い御仏の船に乗りここに来た」
「補陀落渡海の船じゃ、その行き先がここ……天狗の国、略して天国」
「ようこそ悟りの彼岸へ。お前たちに帰りの船は無い」
「六道を巡り、悟り開いて再びこの地を踏めるよう……」
各スピーカーから微妙にタイミングをずらして音を出し、まるで声だけが彼らの周りを飛び回るかの様に聞こえるよう語りかける。天狗木魂、立体音響の術。
「「「一切諸衆、成仏せよ」」」
天狗団扇を振り抜きガンビットが空を飛ぶ。ある者は右耳から左耳まで穴が貫通し、ある者は脳天から肛門まで貫かれ、ある者は心臓に到達したガンビットがグルグルと周り抉る様を痛みも感じず眺めていた。脳があまりの事に痛覚を遮断したのだ。
虐殺の宴は続く。