怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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リリッケちゃんは泣いてましたが……


カラステングと地球寮の皆さん

戦闘の喧騒の中で、リック3の気配は消える。

現役当時、周囲からはニンジャと呼ばれていた。その様な場では一般の兵隊は殺意を剥き出しにして、敵の殺意を感じ取り戦って行く。

──しかし熟達の兵士である彼らにとり、敵兵排除は日常である。キャベツ農家がキャベツを収穫するかの如く、梨農家が梨を収穫するが如く──それは日常の作業として穏やかなものであり、洗練された動きだった。殺意や敵意が無いから敵からは見落とされてしまう。通常は戦闘の中で机の上に置かれた万年筆がモンブランであるか否か、椅子の肘掛けがあるかないかなどは「意識の中から消えてしまう」……これを木化(きばけ)と云う。

死にかねないから怯え、怯えにより身体が動かなくては死ぬから自らを鼓舞する為に闘志を顕にする。まぁ、一発食らって死ぬのも悪く無いと考える様になると闘志は要らない。恐れを飼い慣らした先にそれはある。

リック3は音も立てずに移動して、適頃な敵兵を見つけては安全な死体に変えて行く。見渡す限り彼と同じレベルで戦場を行くものは居ない。居れば分かるのだ。一般兵が殺意で殺意を読み取るかの如く、熟練の精鋭はその無関心をセンサーにして敵の無関心を察知する。

ここには精鋭は居ない。ただただ銃を抱えた兵隊がいるだけだった。彼にとっては畑の様なものだ。

 

 

「ピッ。リック3、宇宙港の地球寮は?」

「メル監督か。シヴァ4に対MS戦準備させて外周警備、俺はお掃除中」

「テロリストシバいたらダメなんか、監督?」

「ピッ 来たらシバけよ。君は今『傘』なんだから」

「お、噂をすれば……ノーネーム出るぞ!」

「ピッ リック3よりシヴァ4へ。専守防衛忘れんなよ!」

「アイコピー!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

「ソフィ……どこで遊んでるのよ……何っ!」

「クックック……ガンダムじゃねぇか。勝負は以下略ぅ!」

「速い! ガンダム?」

「いい動きしてんじゃん♪ しかしっ!」

「パーメット3!」

「甘いっ! まだまだァ!」

機敏に動くルブリス・ソーンに異様な風体をしたMSが追従する。

 

 

「MSに見つかった! もうダメだ!」

「そーでもないぞ、少年」

「誰だあんた! 何処から?」

「戸締り用心、火の用心ってね。シン・セーのガードマンさ」

「シン・セー……マーキュリーさんの?!」

「ああ、もう大丈夫だ。泣くのはおよし」

「でも! 外でMSが!」

「大した事ないさ。ウチの若手はタイマンならかなり強いぜ。Duel戦歴500超えてるらしいからな」

「ごっ……ごひゃくぅ!」

「好きだよねぇ、あいつ」陸さんは優しく微笑みながらアストロ・ノーネームの機動を眺めていた。

 

 

「お前もガンダムか! パーメット4!」

「お、更に加速したか。……でもそれじゃあトランザムみたいなもんだぜ。しかも乗りこなせていない」

「なんでそんなに動けるのよ!」

「正規の軍人として軍人筋を鍛えたからな……この世界のガンダムは思い通りにMS操縦するシステムなんだっけ?

じゃあ、パイロットの腕以上にはならんわなぁ!」

戦闘経験の差、とも言える。

ガンダムのアドバンテージは、敵が操縦により機体を自分の手足の様に扱えない場合にのみ発生する。世の中には自分の乗る乗り物をあたかも自分の手足の様に扱い、更に訓練により自分の手足を常人の何倍も正確に動かせる「達人」がいる。そんな操縦の達人の前では「ガンダムのアドバンテージ」と言う物は霧散する。元特殊作戦群前線指揮官だった陸さん相手に10本中2本取れる様になったシバは隊内でも有数の猛者となった。

「お前なんかにゃナイトロも不要だ!」

かつての悪ガキ、シバ・ツカサは奇妙の縁により練馬で生まれ変わった。新たな目標を得て、精進し、鍛え、師の指導を受けたこの身体。

「飛掌斬り!」

「……なんで……なんでそんなに……」

「生身がダメな奴ぁ何やらせてもダメって陸さんなら言うぜ!」

「まっ……負けたくない……死ねない!」

「一昨日きやがれってな!」

ルブリス・ソーン。右膝中破、両腕全損、頭部小破、背面キャノン全損、推進機小破。そして今、アストロ・ノーネームは貫手をソーンのコクピットブロックに接触させて機を伺っている。

「ひぃっ!」コツンという音にノレアは身を震わせた。殺されはしない……殺意は無い。殺意は無いが負けてはやらんぞと言う岩の様な意思。私は彼に勝てない。

「失せろ。勘違いガンダム馬鹿。そいつに乗るならもっと身体を鍛えるんだな。ガンダムはお前を弱くしないだけで強くはしない」

「見逃された……子供扱い!」

「子供を子供扱いして何が悪い。飯をモリモリ食って育ってからリベンジしに来な!」

サイドキックでルブリス・ソーンを蹴り出すと、彼女は渋々撤退して行った。

 

【アストロ・ノーネーム】

アストロ自体はVoltex Blasters社で運用してるMSだが、この機体はメカマンのK1(コーイチ)と共に魔改造した。てかこの絵BingAIにモビルスーツ描けって注文したら出てきたんだが、AIのプロンプト(イラスト作成呪文)に「モビルスーツ」ってアリなんだ? へー?

 

 

 

「割と時間掛かったな。やっぱ宇宙だとアレか?」

「シミュレーションとはやはり似ていて違いますね。実地やらないとやはり手こずりますよ」

「機体はどうだ?」

「宇宙ならもう少しガタイ良くした方がいいかも。射撃戦なら、まぁ……」

「す……すごい……」

「守りにかけては自信があってね。シヴァ3、宇宙港のデブリ除去」

「アイよコピー!」

「船に彼の機体収納したら俺がスレッタ嬢とか連れて来る。じきにベネリットグループの防衛隊も来るから安心してな」

「た……助かった……」

「マルタン君だったか。リーダーが簡単に諦めたらダメだゾ☆」

リック3は軽くお茶目にウィンクした。

 

 

「改めてご挨拶を。PMC【Voltex Blasters】のリック3とシヴァ4です。今はシン・セー社からの依頼で同社の警備及び警護を担当しております」

「シヴァ4です! 我々2名はスレッタ嬢とそのご友人の警護を承っております(ビシィ)」

「え、寮には空き部屋は……」

「野宿であります! 水とトイレだけお貸し頂ければ……」

「我々には野外炊具2号(122改)と言う頼もしい仲間がおります」

「野外入浴セット4型も持参しました。宜しければ練馬の湯をご堪能あれ」

 

野外炊具だけアホほどバージョンアップしている辺りに某J隊の執念じみた熱意を感じる。決して旧帝国軍時代も兵站や補給を軽視したわけでは無いのだ。実際海軍は戦艦にラムネ製造施設やアイスクリーム製造施設を備え、更に特務艦間宮を就航させている。

 

「これはお近付きの印に……」

ずっしり重い紙袋が手渡される。

「……な、何ですかこれ? プラスチック爆弾?」

「はっはっは、間宮羊羹ですよマルタンさん! 美味いですよ!」




間宮羊羹は2kgぐらいある。デカいね!
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