怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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wrong guess! 人は勘違い重ねてトンチキになる
今、誤解を重ねて怒ってる
愛しい人の
見当違いを胸から解き放ち
wrong guess! 怒りよ海へ帰れ……

話さなくて(はなさなくて
募る誤解(つのるごかい
空茜色に、染めてく──


公式がヴァナディース事件を21年前にしてしまった事に対する矛盾解消回です……


すれ違い宇宙(そら)

【プロスペラとベルメリアさんは優雅にお茶してます】

 

「そういえば先輩、上のお子さん何してるんです? シン・セー社内で帝王学?」(もぐもぐ)

何気ないネタ振りの筈だった。ベルメリアが知るプロスペラ──いや、エルノラの上の子、エリクトちゃんは(ヴァナディース襲撃が21年前なら)今25歳ぐらいの筈。エルノラがシン・セー社長なら、25のエリクトちゃんは社会勉強の為シン・セーの子会社で社員してるか、シン・セー本体で秘書でもやっている……それぐらいの考えでかるーく聴いたに過ぎなかった。

「学校行ってるわ」

「……院ですか。研究職目指してるんですねー」テストパイロットしてたけど、先輩はヴァナディースでBMI周りの研究してたし、娘さん(エリーちゃん)もヴァナディースの道選んだのか。そっかそっか。ベルメリアさんもご満悦だ。オレオは美味しいな。

「いや、──エリクトはちょっとトラブルがあって」

「え? トラブル?」

「エアリアルの中に居るわ」

 

「は?」

 

「どうも私の調べでは、ルブリスとエリーの心が入れ替わっちゃったみたいなの。これはみんなには内緒よ」(困った顔)

 

 

【オレオ】

ナビスコビスケットの誇る主力クッキー。チョコレートクッキー2枚の間に甘いクリームが挟まっている。コラボ重点。

 

 

「え……その……神社の階段から転げ落ちた、とか?」

「なんでそこで『転校生』なのよ」(呆)

 

 

【転校生】

大林監督作品。尾道3部作の一つ。幼馴染の男女が神社の階段を抱き合って転げ落ちたら精神が入れ替わったという現代のトランス・セクシャル物語の祖。

 

 

「いや、ちょっと……にわかには……」ベルメリアが握ったティーカップが細かく揺れて、かちゃかちゃと音を立てる。

「調べるのに8年も掛かったんだから。今のスレッタにはルブリスがロールアウトするまでの……つまり4歳までの記憶は無いわ。逆にルブリス──今のエアリアルね。彼女には4歳以前の記憶がある。完全に入れ替わってるわね、間違いない」

「あの、その……私は脳・神経系の専門家なんですが……」

「そうだったわね、だから強化神経系論文とか書いてたし、強化人士作ったんだものねぇ」

「ひとまずそれは置いといて下さい。ルブリスはガンドアームだから確かにパイロットの脳内データをシェルユニットに転写できます。この間の擬似拷問みたいに」

「うん? それで?」

「で、ルブリスは転写したデータを忘れません」

「ロボットだから、マシーンだから……って事よね?」

「だけど分かるぜ、じゃなくって。でもエリーちゃんは人間だから過去の事忘れますよねぇ?」

「そういう事もあるかもね」

「──ルブリスはルブリスなんじゃないかなって。4歳当時の【それ以前の事を忘れてないエリーちゃんのデータ保有してる】だけで……」

「なんでそんな事言うのよっ! エリーがナディムやカルド博士忘れる訳無いじゃない! あんなに懐いてたのに!」

「あのー……ナディムさん結構頻繁に出向元のオックスアース帰ってたし、マネージャーで激務に押されて部屋に余り戻れなかったんじゃ……」

「毎日エリーの寝顔見て優しく微笑んでたのよ! 朝出かける前も寝てるエリーにキスしてから出かけてだんだから!」

エリーちゃんは寝てるから気付いてないやろ!と大阪暮らしが長かったベルメリアは吉本風にツッコミたかったが、控えた。

 

これは創作や物語ではなく、ガチで存在するわれわれじんるいの深刻なバグなんだが、ヒトという物は教えられたものより「自分が見つけ出した物」を信じる・重く見る傾向がある。認知バイアスとか確証バイアスと呼ばれる物だ。誤解なく事象をフラットに見ることは大変難しい。何ならお釈迦様もそう言ってる(止観(しかん)という)

 

(プロスペラ先輩の場合、娘が私の大事な人を忘れる筈がないって感情からとんでもない誤解してる感じね……)

一応脳神経系の学者であるベルメリアは、先輩の狂気というか認知バイアスをすぐさま理解した。そして専門家であるが故にこの固執がどれだけ是正し難いものか知悉(ちしつ)している。基本的には「そうあって欲しい」から始まっているので科学的客観性が保持されていないのだが、これが始まるとバイアスが掛かり、観測事実を自説に都合が良くなる形に再解釈してしまう。それが積もり山となると生半可な説得では論陣を崩せなくなる。

 

無理だわー

 

 

【ガンさんコンテナにて】

 

「……って話だったのよ」

ベルさんの話を聞いてキャリバン・メルクリウスと名乗っている「エアリアル(ぼく)」はまた机に強かにオデコを打つける羽目になった。散々「クワイエット・ゼロ? 知らない子ですねぇ。」の所で話したのにまぁだそんな事言ってるのか。お母さんボクがエアリアルって知ってるしそこは誤解してないよね? ね? 

「一回あのモード入ると中々是正できないものなのよ。カルト宗教に入れ込んだ人を脱会させるようなものよ?」

「あー、洗脳解くために逆洗脳するってアレですかー……」

「ガンさんシン・セー長いんでしょ、何か上手い事プロスペラ先輩説得できない?」

「言葉で何とかなりますかね? 何か現物見せないとダメなような気も……」

「現物って?」

「例えば、実際にエアリアルの中身を受肉させて面と向かって【ぼくルブリスです。型番はXGF-02】って言わせるとか」

「シェルユニットが操る子機を人間形にするのは簡単なんだけどなー」

ええ知ってます。それがボクです(真顔)

「それ、絶対信じないっスよね……」

「シェルユニットが小型化出来ればなあぁ……エアリアルみたいに山ほどシェルユニット積んでたらシュリンクするにも限界が……」

「……? エアリアルの主思考ユニット部分だけならあんなにシェルユニット要らんですよ? 戦闘損耗考えて2〜3割までならガンビット操作できるぐらいの安全係数とってます」

「でも、畳2〜3枚分は必要なんじゃない?」

「1枚で行けますし、シェルユニットが平らなのは回路をプリンティングする製造工程上の……」

「脳のようにシワを作り表面積を増やす?!」

「あ、アラクネ社の三次元構造シェルユニット!」(40話「インキュベーションパーティー(前編)」を見よ)

「行けそうね!」

「お金があればね!」

 

「聞かせてもらったぞメルクリウス!」

 




タヌっと誰かがやってきた。
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