怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】 作:PureFighter00
「まぁ、信じても信じなくてもいいが、俺らの本来の敵は君らの派遣元だ」
「セレマイト僧院のこと……?」
「! ガルガンチュワって知ってるか?」
「聞いたことない……」
「まぁいい、とりあえず一歩前進だ。
昔、頭のイカれたスペーシアンがいてな、魔女を連れて地球に逃げたんだよ……どこで聞きつけたのかガンダムに子供を乗せると完璧なガンダムが生まれるって与太こいて、大勢子供を殺した」
「私たちが素直に話すと思います?」
「別にガキンチョは捻くれて星を睨んでていーぞ」
「ガンダムは素直だからなぁ……」
「何する気だよ」
「悪いガンダムの破壊とお子ちゃまたちの解放」
「出来るの?」侮蔑を含んだ薄ら笑いでノレアが聞く。
「それが【俺たちの意志すること】だ」陸さんは無表情に、遥か遠くを見る目でおっとっとを咀嚼している。ばりぼり。
「あれ? シバさんが女の子連れてるー?」
「どうした、ヌーノくん」
「データの粗選別終わったよ。後はどんな風に処理すんの?」
「後で実際にやってみせるよ。ガンさんは?」
「なんかコンテナでワチャワチャやってるよ」
「呼んでくれないか? お子ちゃまが来てるって言えばいい」
「ようこそー、テロリストちゃーん」
僕がテントに入り込む隙を突き、素早く僕の背後に回ったノレアがナイフを本来頸動脈がある辺りに突き付ける。
「あーあ、おら知らね」シバは頭の後ろで手を組み、こっそり袖先から寸鉄を抜いた。
「人質になってもらうわ、悪いけど……」
グイッ、ぺりぺり……
僕の前に立っていたソフィがひっと小さな声を上げてへたり込む。
「何やってんのよソ
そこでノレアの声も止まる。ノレアが人質にした男は顔面の皮を顎下から鼻のあたりまで捲り上げ、クローム色の下顎を剥き出しにしてこちらを向いていた。
「ヒトヂチニハ ナレナインダ。ボク、メカダカラ……」(
「よっ、待ってました!」
「ガンさんのこれはいつ見ても迫力満点だなぁ」
「カワイイ ナイフ、タベテモ イイ?」
僕の左指が小さなナイフを掴み上げてチュインと指先のモーターが静かに唸り、ナイフはパキンと音を立てて割れた。なるほど、金属探知機に引っかからない特殊ガラスナイフか。
一家に一台、パワーガンドアーム(宣伝)
指でM10ボルトも捩じ切れるよ!
──パワーガンドアームはシン・セー開発公社の登録商標です──
「またガンさんのイタズラ? ダメですよー」
リリッケちゃんは慣れたらしい。まぁガンドも今じゃ珍しくもないしタネが分かれば怖くない。
「ば……化け物……」ガタガタブルブル
「こんなのビビってたらアス高務まらないぞ、気合い入れろ気合い」
「他にもずぶ濡れキャンパーの霊とか天狗が出るからな。慣れてくれ」
「どうしたんですか、みんな……」ここでガンド脚に乗って我らがスレッタ・マーキュリーのエントリーだ。
「あ、ああああ脚が4本……!」
「おいっちにーおいっちにー! いいでしょ、これガンドって言って……あれ?」
メスガキーズのメンタルはとっくにゼロであった。
「? ……す……スレッタおねぇちゃーん!!(抱き付きっ)」
目を覚ましたソフィは目の前にいたスレッタにしがみついておいおい泣いた。テロリストで死体とか散々見たり作ったりしてる癖に意気地のない奴だ。
「ガンさんさぁ……あの子らは死体って安全なものだと思ってるのよ」
「それが動いたりするのは寧ろショックなんだよね……」
あー、プロスペラ社長も言ってたなぁ。死んでるから大丈夫よって。
怯えてボクを見るノレアに気付き、ボクは左手を指差すジェスチャーしながらパントマイムを始める。左手が抜けないなぁ。頑張っても抜けないなぁ。いち、にー、のっ! すぽーん!
わぁ、ノレアちゃんが面白い顔して固まったぞー(棒)
「ガンさん……」マルタンが流石に呆れている。
「いや、こんな新鮮な驚きって滅多に味わえないからさ」
「ごめんね。ノレアちゃんだっけ? 僕はこの寮の寮長のマルタン・アップモンド。あのおじさんは全身ほぼガンドって義肢に置き換えてるガンさんって言うんだ」
「ガンさんで紹介しないでよマルタンくん。キャリバン・メルクリウスです」
「誰もその名で呼ばねーけどな」ううっ、チュチュちゃんひどい(嘘泣き)
「キャリバン、だったんだ……」
「ガンさんだからガンレオンが本名かと」誰が傷だらけの獅子だよ!
「──と言うことで、2人は来年アス高受験するんでオープンキャンパス見に来たんだ、地球寮で1週間ほど体験入寮出来るかな?」
「あのスレッタおねぇちゃんと一緒に過ごせるの!」
「あのー、ガンさん。この引っ付き虫ちゃんはどちら様の……」
「いやぁ、スレッタさんごめん! 私の古い馴染みがやってる孤児院のとこの子なんだ!」
「──嘘」
「ノレアちゃんは疑い深いな。本当だってば。お仕事の関係で一緒だった事もある。そう、あれは8年前のイラクで──」
「ウチら普通に傭兵さんだから」カタカタと小さな端末を叩きながら、シヴァ4が呟く。
「渦動破壊社のリック3です」
「Voltex Blasters──PMCよね、アーシアンなの?」
「いや、正義の味方」普段のリック3──陸さんはボディビルダーの様にニコニコツヤツヤしている。
「傭兵稼業で正義もクソもあるかよ」シバの端末を覗き込むヌーノ君は呆れ顔だ。
「傭兵稼業だから出来るんだよ。どっかの組織がいつまでも正義をやれるって訳じゃない。諸行無常諸行無常」
「ま、楽しいオープンキャンパス前に、2人連れて仁義だけ切って来るわ。部屋の用意だけお願いね」
ガンさんのガンドはオルコットの腕より新型です。