怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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ちまっちまと話は進む。


蠕動(ぜんどう)

【シバくんが解析を終えた模様】

 

「ラインメタル、か」

様々な流れを使っているから足取りを掴むのは困難を極めたが、概ねガンヴォルヴァはグラスレー・ディフェンス・システムが次世代機開発を装いラインメタル(独)に技術移転して、そこからラインメタル主導でKMSやジーメンスと共同開発、生産はKMSをアッセンブラとして迂回調達でパーツを掻き集めた、こんな経緯だ。

コクピットブロックは脱出機構でも組み込むと偽装したのか、丸々取り出せる様に設計されている。ここにガンドフォーマットの受信、機体制御信号へのコンバータユニット入れてまるっと人型ガンビットに変換。足が付くのを恐れたのか、汎用品で組み上げている為にシュリンクは出来ていない。

ガンドフォーマット機構は量産型ルブリスの系譜である(幾つかの諜報機関系で仮称として定着した)ガルガンチュア系列。エアリアルに用いられているガンドI/Oの集積化はヴァナディースにあった生産設備ごとカテドラルに接収・封印された為ロストテクノロジーになってしまった。パンタグリュエル系統は存在するがパーツの量産が不能なのである。

ガルガンチュア系統では避けられないデータストームに関しては、ルブリス・ウルやソーンに用いられている多相相殺(マルチフェイズキャンセラ)システムを用いて低減する試みの様だが、やはり半分も相殺出来ていない。そもそもパーメットを利用した超光速通信で遅延無く逆位相を発生させるエアリアルのシステムがおかしい。全く同じ人間が同じ状況下で同じ発想し続ける様な奇跡でも起きなきゃそんな風にはならねぇ。多相相殺はこの問題を「細かく割って足すことで平均化する」アプローチだ。まぁまだこれじゃ人は死ぬな。流石テレマイト、躊躇が無い。

シバは傍に置いていたブドウ糖錠剤……要するにラムネだ……の蓋を開いて口腔内に白い錠剤を流し込……めなかった。弾切れだ。

 

尚、GPSのログ見ると一度ウルとソーンは加古川の浜の宮小学校付近に移動している。幸いな事にメスガキどもはまだそんなに呪われては居ないのだろう。

 

「── 人の本質は、禁止された物事を切望し、拒否されたものを欲する、か──」

 

 

【テレーム、テレームの僧院、テレマイトなど】

元々はキリスト教の聖書中の言葉θέλημαであり「人間の意思を動かすもの」の意。現代日本語では「みこころ」などと訳されている。

ルネサンス期のドミニコ会修道士フランシスコ・コロナ作と言われるHypnerotomachia Poliphiliでは、テレームを意思や欲望と解している。

テレームの僧院はラブレーのガルガンチュワ物語に登場する僧院で、その僧院の唯一の規則が「汝の意志することを行え」である。この僧院の描写は当時のキリスト教を揶揄したものと言われている。

後にこのテレームはアレイスター・クロウリーにより再発見されて彼の思想の根幹をなして行くが、ラブレーからクロウリーまでの時間の中では、テレーム、またはテレマイト(テレームをする人)は「好きな事をする人(場合により否定的な意味合いを含む)の意味である。

本作中の世界では、欧州方面に潜伏した「魔女」の内、特にガンド・アームの技術的進化を目指す技術者がテレマイトを自称している。先のシバのセリフの様に「人の本質は、禁止された物事を切望し、拒否されたものを欲する」と嘯きながら。

 

 

 

 

と、1人シバがハードボイルドを楽しんでいるその頃、また別のテレマイト(好き勝手上等びと)は大絶賛テレマっていた。

「ガンさん、義体の準備は完了。イニシャライズ完了まであと30!」

「ベル、ホメオ(恒常性維持)は?」

「+2 順調です!」

薄暗い工房のなかで、3人の横顔が様々なモニタの明滅により照らし出される。

「エアリアル準備完了。LP-0ダウンロード開始!」ポチっ!

「さぁ目覚めなさい科学の子! カルド博士が開いたガンドの未来の為に! 2人の母と1人の父を親として!」(凄くカッコつけてポーズを取ったりなどした)

 

ぴこーん、びこーん……

 

「──ガンさん?」

「あれ? ダウンロードは終わりましたよ?」

「……酸素濃度は誤差範囲だし、胸も上下してますから自発呼吸はしてますね……」

邪教の祭壇の様に。見た感じ8〜10歳ぐらいの薄布を被せられた幼女が横たえられた手術台の様なテーブルを前でプロスペラ、ベルメリア、そしてメルクリウスはハテナマークを飛ばしまくっていた。

「脳波は?」

「……寝てる?」

「夢見てますね……」

「スクリーンに出せる?」

「ちょっと待って下さい。ガンドフォーマット繋ぎます──」

「……Webサイトかしら? 視点移動を可視化して」

「……喫茶店のメニューかな?」

「パフェね、やたらデカい」

「カーソル出します!」

「あ、値段と写真交互に見てる」

「……注文というか、品定め?」

「! スクロールして……」

「住所確認……」

「……」

 

科学技術の結晶であり、恐らくアドステラの歴史に名を残すであろう世界初のアンドロイドは夢を見ていた。喫茶マウンテンのスカイツリーパフェの夢を……高さ634mm、つまり60cm超え!

ガンド胃腸持ちでも、君には少し多過ぎないか……

 

「起きなさい、プル」

「まだ食べ切ってないもん……」

「起きれって、ガンビッツ集合!」

「やだ」

「やだぁ? 早速アンドロイドの反発来た!(涙)」

「プルちゃん、パフェ食べに行こっか?」

 

「行くっ!」

 

凄くいい顔でタヌキ眉毛の赤毛の少女は目を覚ました。ガンドの未来の扉ではなく、純喫茶マウンテンアスカティア支店の扉を開く為に──

 

草葉の陰のカルド博士は多分微笑んでいる。




よし来た!
これでパフェ対決が出来る!
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