怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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いわゆる報徳思想による戦争否定である(すっとぼけ)


戦争に戦争を仕掛けた女

「投降しろ! さもなくば……」

「さもなくば、何だ!」

「俺たちが凄く困る! 助けると思って投降してくれ! 飯は美味いぞ!」

 

トンチキな話が始まった。これ以上食えないなら食える奴を連れて来い……治安維持部隊は美味い飯を餌に武装抵抗組織を切り崩して行った。弾薬やMSではなく糧食だけがみるみる消費され、糧食供給を担当するカーギルだけが戦争での売り上げを伸ばしてゆく……

 

「【契約】は適切に履行されている様だな、デリング大佐」

「しかし、軍需系企業が議会を通じて圧力を掛けている様です。このままでは……」

「……補給部隊用に新規で2個小隊分のMSでも請求しておけ。腕っぷしが強く繊細な動きが出来れば武装は問わん。カーギルが金を出そう」

「一体、何を……」

「お前たちのやり方が生温いからな、私が戦いというものを教えてやる」

 

 

それは余りに大き過ぎた。MSの傍にあって尚魔女の大釜の如き異様。

この中に多数の食材が流し込まれ、ジェットエンジンを改造したコンロが鍋の尻を炙る。

「……これは……」

「北風と太陽も知らんのか? 銃で脅して投降者を募るなど手際が悪過ぎる。これで広範囲に匂いを撒き一斉に捕縛する──虫取りと同じだ。経験は?」

「あ、有りますが……人間を虫扱いとは──」

「変わらぬさ、ミミズだってオケラだって、人間だって生きている。命に変わりはない」

 

 

【手のひらを太陽に】

余り知られていないが、幼児が学校でも習うこの曲の作詞者はアンパンマンの作者であるやなせたかし氏である。我々は詩人としてのやなせをよく知らない。

 

 

具体的に具材や料理名を出すと論争が起きてしまう厄介な料理であるが、あの香りは郷愁を唆る。秋の日の涼しい風がこの香りを数キロ先まで届けると、腹を空かせた難民やゲリラがフラフラと集まって来る。

 

小柄な身体から信じられない声量でノートレットが叫ぶ。

 

【挿絵表示】

 

「銃は要らん! いや、銃と引き換えに飯を食おうか! 汁は食い切れない程ある。落ち着いて並び、そこのテーブルで共に食え! 先ずは飯だ! 腹が減っては何も出来ん! ちょっと早いがサンクス・ギビング・デーと行こうじゃないか!」

 

【厄介な汁】

読み仮名の振り方だけで論争起きるんだもの……(涙)

以降具体的描写無しに「おいしいね!」が続いても察せよ。

 

「裏切り者め! スペーシアンの走狗が!」

「美味しいね!」

「汁で口を汚しながら怒鳴っても説得力がないぞ! お代わり要るか!」

「──お前らの飯、食い尽くしてやる!」

「おいしいよね!」

「ナイス根性だ! 費用は宇宙議会連合持ちだからたんと食え! ──継続的にこいつらから飯奪っても構わんぞ!」

あんた何言ってんですかとデリングは狼狽したが、副官のラジャンはデリングの肩に手を置きかぶりを振った。

「それでアンタは何を得る? 何がしたいんだお前は!」

「凄く美味しくてポカポカするね!」

「畑でも作ってスペーシアンに売り付けるかね。見ろ、この大地を! これは我々のものだ! (そら)に浮かんでるスペーシアンには触れ得ぬアーシアンの宝だ! 大地と水と空気と太陽! あいつらには無いこの地球という巨大なバイオスフィアが我々の誇る宝だ! この宝が美味い食い物を生み、我々に財を与えてくれる!」

「あいつらだって生産プラントぐらい持ってるだろう? そう上手く行くか?」

「私は穀物商社カーギルの者だ! 我々は穀物流通を掌握しており、優秀な種苗と卓越した農業技術を保有している。不安かね?」

「……本当に、出来るのか?」

「見ろ、このスペーシアンのデブどもを! ウチの飯が美味くて丸々太りおったわ!」

あっ、と軍人たちが息を呑む。確かにカーギルが出した食材は美味い。トマト一つとっても何故か美味い。我々が、我々の身体が彼女の説明に説得力を与えてしまっている!

「確かに……美味いな」

「……なんだかんだ言って、限界まで食えるからな……」

「この汁が口に合わぬものは名乗り出ろ! 具沢山のミネストローネやコーンポタージュもあるぞ! 我々の力を思い知るがいい!」

 

 

【A.S.122年、アスティカシアの焼肉屋に戻る】

「母さんが、そんな事を……」

「やり過ぎて逆に狙われちまったんだけどな。ミオリネ見た時「ちっこいノートレットが居る!」ってビビったよ」

「怖かったですか?」

「まぁ、怖い。焼肉が美味いのはこの世の真理だが、ノートレット印の作物は総じて美味い。金持ちはより美味いものの探求に貪欲だからな。何百年も権勢を誇った一族の執念の結晶だ、レタスやほうれん草一つ取っても面構えが違う」

「面構え(苦笑)」

「ノレア、プル、お前らが食ってたサンチュ、多分ノートレット印だぜ」

「……ほんと、ですか?」

「お目が高い。確かに当店のサンチュは地球産でカーギルから仕入れていますし……お肉もカーギルの飼料を存分に与えて肥育したA5ブランド牛でございます」

「一流チェーン店だとこの傾向強いんだよ。特級個人店ともなればノートレット級の頭がイカれてる農家と契約するが……」

「──大規模なチェーンサプライマネジメントをするのであれば、カーギルは欠かせぬパートナーです」店員たちはシメの冷麺をサーヴしながら穏やかに応える。

「美味さを追求する上でスペーシアンとアーシアンの相互依存度を限界まで高めてしまえば、戦争は起こせなくなる……アリアちゃん、最近インドで何か武力衝突あった?」

「……そういや、無いな? パキスタンとも争ってない」

「え、それって……」

「紅茶だ。ヴァナディースは武力で潰されたが、オックスアースはそうではない──紅茶の生産や供給に悪影響を与えぬ様配慮されたんだ」

「笑えない話だけど……」

「生きてる人間は必ず飯を食う。戦争による兵器需要なんかより、平時でも必要になる食料の需要の方が遥かに大きな金が動く……穀物メジャーが大きな力を持つ理由だよ」




そのせいで穀物メジャーは創作の中で悪役扱いされたりしがちなんですが。下手すりゃ戦争より死傷者作れるし。
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