怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

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尋問に見えるかもしれないですが、割と「答え合わせ」に近いというか……


シャディクの夢

「最終的には二極化による対立構造を作り上げ、戦線を膠着させてMSの販売利益を確保するプランでした。その嚆矢となるべきガンダムの開発が後援者の目標です」

「ふむ、続けて?」

「後援組織でもガンダム……いや、ガンドの研究を続けていましたが、ヴァナディース事変のレポート内にあった「幼児でも操作可能で、データストームの無いルブリス」が最大の問題点になったんです。どれだけ繰り返しても我々が所有するルブリスではデータストームは出てしまう……そんな時に出て来たのがペイル社でガンダムが建造されているという噂……ペイル社ベルメリアが大阪の知人に「キャリア採用された」という話を聞き付けたのが始まりでした……」

「シギントはしていたという事かな? それはどこで?」

「分かりません。僕たちはそれを利用できましたが細かいことは判らないんです」

「……ふむ……分かりそうな物だけどね。余り興味は無かったのかな?」尋問官?は資料に目を通しながら続きを促した。

「ちょうど僕はアスティカシアに進学する予定でしたし、学内での調査をする為に後援者からスタッフを借りました。それが彼女たちです。彼女たちの出身については、知りません」

「……予測はしていたかい?」

「テレームの僧院、或いはその下部組織」

「そこが何をしていたかは?」

「子供を利用したテロや資金調達……ですよね。確か随分前に検挙されていると……」

「資金調達はダミーというか、単なる実戦訓練らしいよ。潰されたというのもカバーストーリーで、実際には存続している……僧院というのはあくまで組織名で特定の場所ではない。それぐらいは知った上で利用していたのでは?」

「……いえ、それは……」

「おかしいね、我々のレポートではそうなっていない。非協力的だったとノートしても良いだろうか?」

「そんな! 分かるわけがない!」

「スパイ業界も不景気でねぇ」男は首をコキコキと鳴らして続ける「一社専属では食って行けず、ダブルワークが盛んと聞くよ。ちゃんとお賃金払わないと彼らだって食べて行けないし仕送りも出来ない。君の所は福利厚生や給与待遇に落ち度は無かったかな?」

「経費はきちんと……」経費、たはーと尋問官は天を仰いだ。

「社内規定に基き、か。スパイの平均給与なんてどこに書いてあるのやら。ラングレーにでも問い合わせたのかい?」

 

【ラングレー】

エヴァのアスカではない。アメリカCIAの隠語で通称「ラングレーの森」

ヒューミントの本場。

 

「それは……」

「アーシアン組織がアーシアン労働力を安く買い叩くんだもんなぁ……桁が一つ違うとだけは教えておくよ。今度スパイを募る時の参考にするといい。そりゃあ君の組織内にダブルスパイが増える訳だ!」

「何事も未来の地球がより良くなる為の先行投資だ! ここで苦しみに耐えなければ……」

「やれやれ、ソヴィエト連邦の幽霊が出て来たぞ。それやって結局崩壊した東側の大国の話は最近の教育カリキュラムでは触れないのか……」

 

まぁ大体、ソヴィエト崩壊は何で起きたかと言えば、国民を食わせて行けなかったというのが大きい。

第二次世界大戦前のホロドモールや1972年の凶作に起因する穀物買い付け強化……農業施策での失敗が割と多いのだ。飢えは恨みとなり恨みは反発を呼び起こす。

 

だから、ウチ(カーギル)にも無関心だったのだろうなぁと尋問官は呆れ果てる。西暦1970年代以降、余剰生産物の販売から先物取引に似た業態に変化しつつあった頃から穀物メジャーはその業態から市場・需給予測に力を入れざるを得なくなった。これが結果として世界情勢分析を推し進める形になり、彼らは単なる商社ではない情報組織へ変わらざるを得なかった。アドステラへと時代が移り変わると広がった商圏、需給調整は国家中枢を凌ぐ煩雑さとなる。どれだけ苦労して人々が食うに困らぬ様リソースを回しているかをこの少年は理解していまい。未来に対する先行投資を我々の前で謳うか。こちとら100年で資産6000倍、経常利益の8割を拡大再生産に投資し続けて来た老舗だぞ?

 

 

【カーギル】

実在企業ですが、何か? 100年で資産6000倍にしたのも、膨大な利益の8割とかを拡大再生産にぶっ込んでるのも創作ではなく事実だったりする。経営規模的にはボーイングと似たり寄ったりだが、カーギルは株式非公開企業であり世界最大級の同族経営企業の一つ。

 

 

「君たちの夢や理想はどうでもよろしい。ウチの邪魔さえしなければ我々は寛大だ。子供の遊びに口出しするつもりはない」

「なら何故!」

「人口が目減りすると食料が売れなくなる。単純な話だ。我々は稼業の都合上人口減少は困るんだよ。生きとし生けるものは全て弊社の潜在的顧客であり、腹を減らした人が出ない様に食料流通を掌握している。冷戦構造を作り出して地球と宇宙を分断する? 市場流通している穀物の実に8割強が我々穀物メジャーの手の内にあるのに! 自分で光合成できる様になってから考えるんだな。飯も食わせられずに人が付き従う訳なかろ」

飯は時間になったら誰かが用意してくれる……そんなお子様気分が抜けない学生が太平国家を物語る……

「革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるから、いつも過激なことしかやらない」と語ったのは誰だったか。夢を夢で終わらせない為には現実を見つめなければならないが、子供の背丈から見える現実は余りにも狭い。夢が夢想で終わる所以である。

 




【革命は〜】
逆襲のシャアでのアムロのセリフですね。

【光合成できる様になってから〜】
作物作るのに欠かせない肥料も穀物メジャーに抑えられていましてね(しろめ)


割と世界はとっくに掌握されている。
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