怪傑! ガンド天狗!!!【一回完結】【アディショナルタイム】   作:PureFighter00

90 / 151
デリング達の秘密司令室がある所ですな。


第八オペ室の奥に東尋坊が見える

目隠しをしてストレッチャーで運ばれる事10分。

カーギルのエージェントは少々困っていた。場所秘匿の為に古典的なスパイ仕草をしているのだろうが、私の脳には加速度センサーがインプラントされておりまして……GPSはジャマーか何かで無効化してるみたいだが、ざっくり場所は分かるんだけどなぁ……まぁ、それが敵に渡るのも厄介か。

彼は努めて位置を探るのをやめた。

 

 

「お久しぶりです、デリングさん」

「今日はなんとお呼びすれば?」

「ジョン・スミスで結構ですよ。まぁ区別が付けばなんとでも」

 

ノートレットの葬式以来になる。あの時は憔悴するデリング氏を無理矢理引きずって行ってノートレットのやっていた事の引き継ぎでおおわらわだったなぁと。あれは稀に見る失態だった、まさか諜報網を抜かれるとは……

 

「さて、先ずはクワイエット・ゼロの件から確認させてください。進展は?」

「ドミニコスのケナンジです。8割完成していますが、残る2割が……」

「挑戦的な規模ですからねぇ。あれ、本当に動くんですか?」

「も……問題ありません。シン・セーの技術力を信頼下さい」

「いやぁ、疑っちゃ居ないんですが……2点問題が……」

「? 何か?」デリングが意外そうな顔をする。元はノートレットの計画だし、AMESへの協力や人的交流も進めている……何が問題なのだろう?

「超強力なシギントシステムというのは良いのですが、それを理由にヒューミント部分の予算削減してません? 御社のリストラの影響で人的資源が流動的になってます。ちょっとこれは頂けない」

「……予想外にイニシャルコストが……」ラジャンが理由を説明する。そう、ヒューミントというのは金が掛かる。忠誠心だけでは彼らを抱えていく事は難しい。財政的効率化をしたくなるのも当然だ。

「それぞれの組織でカバーエリアを分散し、相互に協調した方がいいと思うんですがねぇ……」

「……我々も次代への引き継ぎを考え始めなければいけない年齢になってきた。組織としての構造や雑事は整理しておきたくはある。無論そちらとのパイプは維持させる前提だ」

「我々の経験から申せば、負担は増える事はあれ減る事はありませんよ。親心は十分に理解しますが……時間をかけてやるしかない。楽隠居は中々できません。シン・セーの先代は上手くやった──」

いやあそれほどでもという顔をプロスペラするが、そのポーズは一瞬にして打ち砕かれる。

「で、2点目ですが。もしクワイエット・ゼロがこちらが想定する規模の能力だとすると……オーバースペック過ぎません?」

「いえそれは、将来的な性能向上を睨んだ上の……」

「分析官の所見では、何か他の目的があるのではないかと……」

 

ギクっ

 

「開発予算が足りず、リストラが必要で、稼働時期を遅らせてまで過剰な性能を追求する……確かに不自然ですよね?」

「ふむ、疑心を抱かせてしまったか。当方としては特に隠す様な事は無いのだが……」

「もちろんデリング氏を疑いはしませんよ。貴方は我々のファミリーだ。だからこそ私が直々に来ている訳ですし……」

 

この中に1人、物凄い勢いで汗をかいている人が居るのだが──ガンド部分は汗をかかないので誤魔化せている。

 

「エルノラ・サマヤさん。義弟(おとうと)が血気に早ってやらかしてしまった件は本当に申し訳なかった。その罪滅ぼしでは無いが割と我々も便宜を図って来たつもりですよ……間宮水星まで送ったり、エアリアルの建造費も、エリクトちゃんの検査だってかなりお金使った。ヴァナディース事変の事もありますから、正直にやりたい事があるなら仰って下さい」

 

 

【間宮水星まで送ったり】

本作12話、ヤクザ事務所壊滅を参照のこと。シン・セーの新年会の為に間宮4世号と宇宙巡洋艦3隻の船団組んで水星まで食料品運ぶなんてのは「余りにおかしい」話なのである。

 

 

「クワイエット・ゼロの補正予算の一部は迂回してカーギルからも出ている。隠していることがあるなら──自発的に明かした形を取れる様に場を設けて下さったジョンさんの前で明かしてくれないか……」

「──これは分析官からのレポートを見た私の直感ですが、エリーちゃん関係でしょ?」

何百年もの間「予測」を続けてきた一族は、その日々の積み重ねにより異能とも言える力を手にしている。勘が異常に鋭いのだ。彼らが調査資料を目にして想いを馳せる時……何かを隠し通せる人間は滅多に居ない。

 

 

「あ……あの子を取り返したかったのよぉっ!」

 

 

泣き崩れて心情を吐露し始めるプロスペラと唖然とする周りの人々。絵面は火曜サスペンスのクライマックスシーンに似ていた。

エルノラ・サマヤの向こうに東尋坊が見える──

 

火サスなら犯人の嗚咽と共にエンディングテーマが流れる所であるが、ガンドの天狗が出てくる本作はこれで綺麗に纏まるはずが無かった。何となれば、プロスペラ……エルノラ・サマヤはある種の狂気に蝕まれていたからである。

 

 

「「「「ガッ……ガンダムエアリアルの中にエリクトちゃんが生きてるだとぉぉお!」」」」

 

 

(諸説あります)

 

 

一同は物凄くびっくりした。彼らの認識ではスレッタ・マーキュリーこそ正真正銘のエリクト・サマヤちゃんその人だからである。

 

 

「ガンさん、今日はちょっと肌寒い気がしない?」

「そうかな……ベルさん生姜湯でも飲む? 葛根湯もあるけど」




【ジョン・スミス】
もちろん偽名で下の名前はマクミラン。ノートレット実兄でデリングの義理の兄。


今日はお仕事忙しいので2話目投稿無いかも。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。