この立ち位置、悪役令嬢に違いない!

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転生ミオリネさんの憂鬱

 思えば最初から嫌な予感はしていた。

 まず転生したという立場が良くない。転生した主人公が厄介ごとに巻き込まれる確率は130%。今世が90%、前世で40%だ。

 幸い前世は普通の一般家庭女子だったわけだが、今世で何か起きるのは半ばあきらめている。

 そして我が家の立ち位置。古くから続く名家とかではなく軍人上がりの成り上がり。

 軍人上がりの武断さで会社をまとめ上げている。

 ……そういえば聞こえはいいが、あれでは非道すぎる。はっきり言えば悪徳企業の社長。

 物語で言えば倒されるべき悪役だ。

 これで私が何も知らない一般人ならまだ良かったが、私は転生者だ。これは不味い。非常に不味い。

 私が会社を継いでから火消しに追われるのか、父が立場を追われて一緒に没落するのか。どんな問題が起きるかは分からないが何も起きないということはないだろう。

 そう思って父親にももちろん進言した。

 だが幼い子供の戯言と思ったのか全く聞く耳を持たず。確かに前世でもそういった経験のなかった私だ。会社経営のいろはもわからない子供の言葉を聞かないのは当たり前かもしれないが……。

 次に味方を増やそうと思ったが、私の周囲の人間関係は父親によって管理されている。SPとは名ばかりの監視役は自由な交友を許さない。父親から宛がわれる話し相手は父のイエスマン。そんな状態で増えた味方で会社の状況を変えようなんて無理も無理。

 個人資産を増やすこともままならないし、そもそも私が自由に使える口座がないのだが。

 

 なんで私のできることは父親を説得するために勉強を続けることくらいしかなかった。

 ここで前世の知識無双!!とかできればかっこよかったわけだが、基本こちらの方が文明が進んでいるのであまり役にも立たないし。

 感謝するのはこの肉体の基本スペックが高かったことぐらい。1度教科書読めば大体覚えられるのは凄まじい。

 

 そしてこの嫌な予感はアスティカシア高等専門学園に入学してからピークを迎える。

 

 

 

 

「今日から俺がホルダー。つまりお前の花婿ってわけだ」

 

 目の前にいるのはグエル・ジェターク先輩。絵にかいたような俺様系男子、顔がいい。

 

「流石はグエル、おめでとう。グエルならホルダーの所有権は守れるだろうしミオリネさんも一安心かな?」

 

 その後ろでにこやかにしているのがシャディク・ゼネリ先輩。チャラい感じのプレイボーイ、顔がいい。

 

「…………おめでとう」

 

 後ろで興味なさそうに本を読んでいるのはエラン・ケレス先輩。クールな王子様キャラ、顔がいい。

 

「よろしくお願いします、グエル先輩」

 

 そして笑顔で握手を求めるのが私ことミオリネレンブランだ。

 後ろの3人の組み合わせは慣れた今でも意識すると震えが出てくる。そう、乙女ゲーである。乙女ゲーあるあるの3点セットなのである!

 ここで私が主人公だぜ、勝ったなガハハとなれば良かったんだが、そうはいかない。

 まず私の実家の立ち位置だ。以前に言っていたように成り上がり企業で父のやり口も悪役のそれ。そして学園長という立場でもあり、私ならば多少のいじめくらいならもみ消すことができてしまう。

 そして私の今の立ち位置だ。何を思ったのかこの学園のホルダー(簡単に言うとこの学校で一番強いやつ)と私を結婚させると父親が決めた。つまり男どもが取り合う立場というわけだ。

 原作があるとすれば「男どもが私を取り合って戦っている。これ以上のショーがありまして?」とか言っちゃう立場のやつだ。間違いない、私は詳しいんだ。

 実際私をかけて戦ってくれることは、立場目当てとわかっていてもちょっと気持ちが良かったし。

 もう絵にかいたような悪役令嬢ポジ。多分来年度の頭に新入生か編入性が来て先輩たちが興味を持ち始める。そして婚約破棄イベントを経て断罪されるポジションだ。

 合わせたように父親も会社を追われ路頭に迷う。……迷うで済めばいいんだけど、この世界割と物騒だから父親暗殺から私もついでにぶっ殺すとかもありえる。

 

 回避するためには全力で媚を売る。かなぐり捨てて媚を売る。

 幸いというか、グエル先輩はいい人だ。俺様系ではあるが話してわからない人ではない。

 弟や他のお友達を見るに好意を向ければその分だけ返してくれる筈。まだ見ぬ主人公ちゃんに取られるのは最悪仕方ないとして、死なせたくないなって思わせるポジションには絶対つく。

 尚他二人の先輩は最低限の交流で済ませる。当たり前だけど他の男にも色目使う女とか印象悪いだろうし。ついでに言うとグエル先輩の前のホルダーともあまり関わっていなかった。他の人たちから頭抜けた実力でもなかったからそのうち変わるのは見えていたし、波長も合わなさそうだったから。

 

 そんな思いを乗せてガン見していたらグエル先輩が視線をそらして手を差し出してくれた。

 

「お、おう。よろしくな」

 

 この先輩、ちょろ可愛いぞ!?




こんな感じの一発ネタでした。
多分この後はグエル君にガチ恋したりスレッタを主人公だな!と悟って全力でコネを作りにいく転生ミオリネさん。
ついでに所属はジェターク寮になりそう。

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