俺達は飛行船に乗って、天空闘技場を目指していた。ポンズ、キルアとゴンは飛行船代で財布がほぼすっからかんになるらしい。ポンズは一応ハンターになる前からアマのハンターとして活動していた事もあってまだ余裕はある方だった。
「まぁ、すぐに数万くらい稼げるから問題ねぇよ」
「そうなの?」
「ああ。今から行く場所はそう言う所だからな」
「みんな、見えてきたわよ」
ポンズの言葉にゴンは窓から外をみると、目の前に高くそびえ立つタワーが現れる。天空闘技場だ。
「うわぁ……!」
「降りたら早速登録しないとな、時間はあるし、今の内に気を引き締めておけ」
その時、俺の携帯が鳴る。携帯を取り出して画面を見ると、『メール受信』と表示がされていた。
「(こいつ、どこで俺の連絡先なんか知った…)」
送り主はヒソカだった。俺は何故知ってるのかと返事をしたいところだがメールを開く。そこに書かれていた内容を見て、顔を顰める。そして、ゴンに目を向ける。
「? どうしたの?」
「……ヒソカからだ」
「「!!」」
「ヒソカから⁉︎内容は?」
「『200階で待ってる』…と、おそらくハンターサイトで飛行船のチケット調べられたみたいだ」
「200階……」
「つまり、念を覚えてから来いって事だ。けど、思わぬ幸運だ。ゴンの目的もここで果たせそうだしな」
内容を聞いた横でゴンは右手を握り締めて気合を入れる。
「まぁ、とりあえず勝ち上がって、念も覚えて、念での戦い方も鍛える。さっさと登録しに行くぞ」
「うん!」
「おう」
「ええ」
ゴンは楽し気に、キルアは不敵に笑って頷き、ポンズは気を引き締めるように頷く。飛行船を降りた俺達は天空闘技場に登録する者達の列に並ぶ。
「すごい行列だね。これ全員が挑戦者なの?」
「ここはハンター試験と違って小難しい条件は一切ないからな。ただ相手をブッ倒せばいい」
列はあっという間に進み、4人は登録窓口に辿り着く。用紙に記入して登録を済ませる。
「リュウマもやるの?」
「のんびり待つのも性に合わないしな、ついでに小遣い稼ぎもしておかないと、旅するのにお金も必要だしな」
「キルア様は2054番、ゴン様は2055番、ポンズ様は2056番、リュウマ様は2057番となります。1階では番号でお呼びしますので、お聞き逃しのないように。それでは中へどうぞ」
3人は中へと足を踏み入れる。
ワアアアアア!!
中は熱気で溢れており、16個の小さいリングでは挑戦者達が戦いを繰り広げていた。
「凄い活気だね。うぅ~……緊張してきた~」
「そう言えばゴン、ポンズ、リュウマはともかく、お前らも試しの門クリアしたんだろ?」
「え?うん」
「ええ、クリアしたけど…」
「だったらさ、思いっきり押せ。それだけでいい」
「え? ホントに?」
「…?」
キルアの言葉にゴンとポンズは懐疑的だった。そこまで力が上がった自覚を持てていないからだ。キルアは問題ないと親指を立てて笑みを浮かべる。
「ポンズも、キルアの言った通りやってみろ。今の自分の力を把握しておく必要があるからな」
「…あなたがそう言うならやってみるけど」
ポンズの場合俺と言う相手に修行をしていたから実感するのは難しいだろう。今の自身の力が何処まで上がったか確認するいい機会だ。
『1973番、2055番の方。Eのリングへどうぞ』
『1992番、2056番の方。Kのリングへどうぞ』
「あ、私呼ばれたわ」
「頑張ろ!」
「まぁ、余裕だろ」
「だな、この階は特に目立った奴もいないしな」
ポンズとゴンはリングへと向かう。女と子供の登場に、周囲は小馬鹿にするように笑う。
「おい、見ろよ。ガキだぜ?」
「こっちは女だ」
「おいおい! おまえらぁ! 怪我する前に帰んな!」
野次が飛んでくるが、もちろん2人は気にもしないが、ポンズはため息を吐いていた。ポンズの相手は金髪モヒカンでガタイの良い男。審判が近づいてくる。
「ここでは挑戦者のレベルを判断します。3分以内に自らの力を発揮してください。それでは、始め!!」
「ひゃっはー!!女ぁ!!汚されたくなかったらとっととここから消えな!!」
モヒカン男が飛び掛かろうとした瞬間。
「(あれ…動きが遅い?)」
「ぶぅえ!?」
モヒカン男が真横に飛ぶ。審判や野次を飛ばしていた連中は目を見開いて固まる。
モヒカン男はそのまま吹っ飛び壁にクレーターを作る、リングには蹴りを入れたままの構えをとっていたポンズがいた。
「う、うそぉ…(こ、ここまで力が上がってたの…私)」
ポンズは信じられないよう呟く。軽く回避し押し出すつもりが思わず蹴りを入れてしまっていたようだ。
ドオオォン!!
そこに音が響き、目を向けるとゴンが右腕を突き出して立っており、その先には巨漢の男が場外の壁に突っ込んで倒れていた。
「な!? なんだ、あのガキと女!?」
「どっちもすげぇパワーだぞ!」
ポンズとゴンの力に周囲がざわつく。
「まっ、当然の結果だな」
「だな」
観客席で見ていた俺とキルアはそんな事を言いながら呟く。
「2056番、君は50階へ行ってください」
「あ、はい。わかりました」
ポンズはチケットを受け取り、観客席に戻る。ゴンも戻ってきて、キルアと入れ替わる様にリングへと向かう。
「50階だって」
「私も50階だったわ」
「初めて挑戦した時は最大で50階までだな。俺も初参加だから同じくらいだろうな」
「そうなんだ」
「キルアは2回目らしいからもっと上に行く筈だ。けど、俺達と合わせて行くつもりだろうし、全員50階だろう」
その時、リングで再びどよめきが走る。
「おいおい、他にもまだ化け物みたいなガキ共がいるぞ!」
目を向けると、注目されていたのはキルアと道着を着た坊主頭の少年。坊主頭の少年は「押忍!」と挨拶をして、リングを去る。しかし俺は道着を着ている少年が【纏】を纏っていることに気づかないわけがない。
「(へぇ…まだまだ念の基礎が出来てるわけじゃないが…実力はあるな。…それにあの動き…何処かの古流武術っぽいな)」
纏はともかく、歩き方を見る限りでは実力的にはゴンとキルアが圧倒的に上だ。そして纏にまだまだ未熟さが見えることから念を会得したのは最近……ということは、あの少年には念を指導する存在が近くにいると言う事になる。
「お疲れ、キルア!」
「おう。俺も50階からにしてもらった。金稼ぎたいしな」
『2057番の方。Jのリングへどうぞ』
「おっ、呼ばれたからサクッと終わらせてくるよ。ポンズ、刀預かっててくれないか?」
「ええ。もちろん」
「おう」
「いってらっしゃい!」
「リュウマならすぐ終わるし。俺達は50階に行く準備でもしておこうぜ」
俺はポンズに刀を預けてそのままリングに向かい、相手をデコピンで吹っ飛ばし瞬殺、正直今の段階だと200階に行くまでは退屈だな。
「ほぉ…彼がレイリーさんの。噂以上の子のようだ」
観客席で試合を見守っていたメガネをかけた男性がリュウマの試合の様子を興味深く見ていた。