あまりにもあの話が尊過ぎて話とか設定とか勝手に色々捏造してしまいました。
魔界通販で購入した『OOしないと出られない部屋』によって『キスしないと出られない部屋』に閉じ込められたサターニャとラフィエル。
脱出するにはキスするしかないと観念し覚悟を決めるラフィエルでしたが、そこから意外な展開に・・・
ガヴドロ二期でまたぬるぬる動くサターンさんが見られること祈って。
君と100万回キスがしたい。
「観念なさい」
そう言うとサターニャさんは私の肩をゴリラ並みの握力で押さえつけてキスしようと迫ってきました。
ああ、これはもうダメなんでしょうか・・・サターニャさんのことは好きですし、正直キスしてもいいかなとか思い始めていましたが、こんなシチュエーションというのはやはり乙女的に納得いかないというのが本音です。
それでもある程度の覚悟を決めた私は目を強く閉じてその瞬間を待っていました。
「・・・そんなに嫌なの?」
「へ?」
目を開くと吐息が感じられるほど目の前に、眉間に皺を寄せた表情で私を真っ直ぐに見つめるサターニャさんがいました。
吐息から感じられるほんのりとした甘い香りが、この部屋に来る直前にグレープの炭酸ジュースを飲んでいたのを教えてくれます。
「泣くほど嫌かって聞いてんのよ」
そう聞かれて私は自分の目に涙が滲んでいることに初めて気がつきました。
「あの、その、いやとかではなく・・・」
指摘された瞬間から私の涙は止まらなくなってしまいました。さっきまでは滲んでる程度だったものが今ではまさにこぼれ落ちるといった表現がぴったりな状態になっています。
「あれ?どうして・・・?」
「・・・ふん」
不機嫌そうに鼻を鳴らしてサターニャさんは掴んでいた私の肩から手を離しました。先ほどまで感じていた彼女の体温が一気に冷えていきます。
「これじゃ私が悪者みたいじゃない。いいわ。別の方法を考えましょう」
そう言って私から離れようとするサターニャさんの手を私は咄嗟に掴んでしまいました。全くの無意識に。
「・・・何よ」
「違うんです。あの、嫌とかじゃなくて、その・・・」
「別にいいわよ。とりあえず座って落ち着きなさい」
2人並んで座る私たち。握った手はそのままに。
「・・・サターニャさん」
「なに?」
「サターニャさんは、私のこと嫌いなんですよね?でもキスはしていい程度には嫌いじゃないんですよね?」
「そうね。ちょっと1回キスするくらいはしてやってもいいって程度には、嫌いじゃないわね。それにそうしないと出られないっていうんだから、しょーがないし」
しょうがない。一回だけなら。その言葉に私はひどく鳩尾の重くなる感覚になる。
サターニャさんは意外にも私をそこまで嫌っていない。キスしてもいいくらいには。でもそれはこういう状況だから、"しょーがなく"、"今回だけ"のもので、この特殊な状況が終われば、永遠にキスなんてしないだろうし、したいとも思ってくれないのでしょう。
そう、永遠に、サターニャさんに求められることがなくなる。
ああそうか。私はそれが怖かったんですね。
「サターニャさん、私が泣いてた理由、わかりますか?」
「はぁ?そりゃ私とキスするのが嫌だからじゃないの?」
握る手に力を込めて、私は言う。
「いいえ、そうじゃないんです。私、今回きりになってしまうのが嫌だったんです。サターニャさんに仕方なくキスされるのが嫌なんです」
もっと、強く求めてください。
「な、なに言ってんのよあんた?この部屋から出るためには仕方ないでしょ!?」
「そんなの関係ありません!したいからする!したくないことは死んでもしない!それが大悪魔様じゃないんですか?」
「ううぅ・・・!そりゃ、そうだけど・・・!」
しっかりと繋いだ手の力を強め、指を絡め取っていく。
「私、部屋から出るために仕方なくキスなんてしません。例え死んでも。でも、サターニャさんがしたいなら、部屋から出られるとか出られないとか関係なく、私とキスがしたいと言うのなら、いくらでもキスしていただいて構いません」
「・・・ふん、それで私がビビると思ってるのかしら?」
絡めようとした指を逆に絡め取られしっかりと握り込まれてしまう。そのままサターニャさんは私を床に押し倒した。
「なに、するんですか・・・?」
「私は悪魔よ。懇願するのはあんたの方。このサターニャ様にキスして欲しいって言えば部屋を出た後に何回でも、それこそ100万回でもキスしてあげるわ」
本当に悪魔のような妖艶な笑みを浮かべたサターニャさんが射抜くような強い視線で私を見つめてきます。
その瞳は「強くあんたを求めてあげる」と誘うようです。
本当に、この人はずるい。
普段はおバカで、子供っぽくて、可愛らしいのに。ふとした時に悪魔的で、妖しく、そしてかっこよくなる。
こんなの、反則です。
「ううぅ・・・して、ください・・・」
「聞こえないわよ?もっとはっきり言いなさい」
「サターニャさん、キス、してください・・・」
熱くなる顔を自覚しながら言い切った矢先にサターニャさんは押し付けるように乱暴にキスをしてきました。
まさに悪魔にふさわしく、天使の純潔を奪うような荒っぽい口付け。そんなロマンスのかけらもないキスなのに、私の体は甘い痺れに包まれてこの部屋に永遠に閉じ込められてしまいたいとすら感じてしまいました。
「ぷはぁ・・・」
口を離すと涎が糸を引いているのが見えました。あまりに背徳的で、官能的な光景に体の痺れは増すばかり。
「・・・部屋、出られましたね・・・」
「・・・そうね」
サターニャさんが押さえつけていた私の手を離して体を起こす。
見慣れた部屋の光景に少し冷えた頭が冷静に自分の言動を振り返り、羞恥と気まずさに今すぐ神足通でここから消えたい気分です。
「ラフィエル」
「は!ひゃい!?」
「なによ変な声出して。あんた今日は泊まってくでしょ?」
キスした直後だというのにとってもクールな態度のサターニャさん。泊めていただけるのはありがたいのですが、やはり気まずさもあるので今夜は帰ろうと思いその旨を伝えようとしたとき、続け様にサターニャさんが言いました。
「明日は休みだし、もっとキス、してもいいわよ?」
「へぇ?」
「約束したでしょ?あんたがキスして欲しいって言ったら、100万回でもしてあげるって。悪魔は約束は守るわ」
よく見るとサターニャさんの顔は真っ赤でした。多分、私も。
「なによ。しなくていいの?」
「いえ!そういうわけでは・・・」
「じゃあなに?」
今日はもうサターニャさんにやられっぱなしで、とことん翻弄されてしまった。ならばちょっとくらいわがままを言っても許されるでしょう。
「できれば、その・・・優しくしていただけると・・・」
「・・・下手で悪かったわね・・・」
ちょっとだけむくれて不機嫌になりながらも隣に腰掛けてくるサターニャさん。
下手なんて言ってないんですけど、自覚があったんですかねえ。
「あ、いえ、あのようにワイルドなのもいいのですが、やはり優しくされるのもいいかなと」
「・・・保証はできないわ。でも、頑張る」
サターニャさんの手が肩に回され抱き寄せられます。
「100万回、よろしくお願いします」
「・・・数はあんたが数えなさい」
そういうとサターニャさんはそっと触れるように口づけをしてくれました。飴細工にでも触れるように、繊細に、優しく。
残り99万9998回。よろしくお願いします。私の大悪魔様。