カルデアに探索者が召喚されました   作:POTROT

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お通夜ムードの時ってあるよね

 脱出成功……で、うん。追手……は、一応いるな、うん。

 まぁ、アレは大丈夫そうだが。

 

『ええい、何という体たらくだ。町へ行った、戦った、追い出された! 情報は何もない! 貴重な時間を消費しただけではないか!!』

 

 む、それはちょいと聞き逃せんなぁ。

 町へ行く、戦う、追い出されるってのもちゃんとした情報だぞ? 

 

「す、すみません……」

「いえ、結構な収穫はあったと思いますが」

『……ほう?』

 

 うん、核心に迫る情報は何一つないが、それでも現地民と話せたことと戦えたことは幸運だった。

 何も無いよりかは随分マシだと言っていい……と、思う。

 どれだけ情報が少なかろうが、現状では分からないということが分かる。

 

 実際のセッションでもそうだ。分からない事を分かりながら、ちょっとずつ情報を集める。

 一気に情報を集めようとしたならば、その時が死の瞬間だ。

 というかまず分からなくちゃいけないって訳でもない。

 最後の最後まで分からなかろうが結局クリア出来れば勝ちなんだから。

 

 ああ、真相が分からずモヤッとした感じで終わったセッションが何回あったことか……

 あのクソ親父め! 終わったんだからルルブくらい見せやがれ!! 

 

『ああ、確かに君のスキルなら何か得られるものがあったのかも知れないね。……それで? どんな情報だい?』

「はい、町に行ったこと、現地民に会ったこと、戦ったこと、追い出されたことです」

『いやいやいや! そんなもの情報とは言えんだろう君ィ!』

 

 なんだぁ? テメェ? 

 

「いえ、結構な情報です。町があるということは町が作れるということですし、現地民がいるということは人間が生き残れるということ、戦ったということは人間と敵対する生物がいるということで、追い出されたということは追い出される理由があるということなのですから」

 

『ふむ、確かにその通りだ。物事には理由というものが必ず存在する。故に一つの事柄からその理由を考えれば、確たるものとは言えないが、決して馬鹿にはできない情報を導き出せる。初歩の初歩、基本の基本、最早常識の域。至って普通の凡人でもできて当然のことだ』

 

『む……ぬぅ……わ、分かっていた。分かっていたとも、うむ……いやホント。ホントだから。だからあんまりそんな目で見ないでくれたまえ諸君』

 

 ……まぁ、いいか。

 この人そういうことサッパリ知らないんだろうし。

 

『まぁまぁ、その辺は後で落ち着いてから話すとして、だ。これから近場のキャンプ地を探すんだけど、それを後ろの茂みにいる小動物ちゃんに聞いてみない?』

「そうですね。では……そんなところに隠れていらっしゃらないで、出て来ていただけませんか? アーシャさん?」

 

 あ、皆気づいてたのね。まぁうん。はい。そりゃ気づくよね。

 

「わ! びっくり!」

『ビックリついでに挨拶させてもらうよ』

 

 通信見せちゃって大丈夫な感じですかね? 

 問題ない、と。うん。まぁ大丈夫そうではあるけども。

 

「町の者は俺たちを疎んじる空気だった。お前は何故追って来た?」

 

 ちょっ、カルナさん? 火の玉ストレートが過ぎますが? 

 アンタまさかだがコミュ苦手だな? 

 ……あ、お礼ね? 有難う……お、バナナだ。うん、これはいいバナナ。

 流石インド。バナナも立派だね。

 

「へぇー! すっごい! おっきい!」

「おお、コレはいいバナナだ。余がかつて貪った……」

 

 うわ、なんかラーマさんが語り始めた。

 やめてあげてくださいよ。幼女がすごい困惑してますから。

 ここの人たちハヌマーンなんて言われてもラーマーヤナ知らないからわかんないんですから。

 

「……む? ハヌマーンを知らぬのか?」

「あの、ラーマさん。ここの人たち、どうやらラーマーヤナの事をサッパリ知らないみたいで……」

「「「「『『!!?』』」」」」

 

 うわビックリした。

 

「ではオレの名はどうだ」

「いえ、マハーバーラタも多分知りません」

『……それをどこで?』

「最初に彼女に会った時に自己紹介したじゃないですか。その時の反応から」

 

『分かってたならもっと早く言ってくれんかね君ィ!! あったじゃないかちゃんとした情報が!! 他は! 他は無いのかね!!』

「え、いやその、落ち着いてから言おうと思いまして……」

 

 別に隠そうとしてた訳じゃなくてですね。

 ホラ、変なタイミングで言ってなんかあったらアレじゃないですか。

 だからあんまり責めないでください本当に。

 

「むぅ……余の活躍が伝わっていない……いや、それ以前にあったかどうかも分からんのか?」

『ま、わからないものはいくら聞こうがわからないさ。今はこの子にも答えられる事を聞くのが正解だ……さて、私たちは今休めそうな場所を探しているんだが。近くに心当たりはあるかい?』

「うーんと……かくれんぼに使う洞窟なら近くにあるけど」

 

 お、おおう、かくれんぼに洞窟ですか。

 なかなかにアグレッシブな幼女……いや、インドがそうなのか? 

 流石インド。スケールが違う。

 

「お、洞窟か。いいね。案内してくれる?」

「うん、いいよ。こっちこっち!」

 

 お、じゃあ行くか。

 ……しかし、移動が徒歩しかないのは結構辛いな。

 うーん……戦車とか持ってこれるかな?

 確かどっかの動画でポケットに戦車入れてたヤツがあった気がする。

 

『さ、じゃあ歩きながら情報収集だ。差し当たっては最も重要なアレかな?』

「そうだね。じゃあアーシャちゃん。あのでっかい樹のこと、何か知ってる?」

「あ、やっぱり気になるよね! 私も! ちょっと前にぼーんって生えて。びっくりだよね……」

 

 でっかい樹……ああ、空想樹のことか。

 アレについて殆ど説明されてないんだよね、俺。

 ……で、アーシャちゃんは……知らないと。

 ……ん? 神の空岩? 

 

 ああ、あの立方体ね。

 なになに……? 神の空岩は神の空岩ということしかわからない。

 あるのが当然で、太陽とか大地とかと一緒な感じ。

 神様がいるとか神様が作ったとかだから「神の」と呼ばれてる。

 ……成程。よし、【心理学】。

 

『【心理学】90≧10……成功』

 

 OK、嘘じゃない。

 ……で、カリがいっぱいいる? 神様を狙ってる……? 

 

 ってことは……なんだ? どういうことだ? もしかして神は2柱いるのか? 

 片方が聖獣で、もう片方が悪魔。んで、敵対してる。

 それだったら説明もつきそうだが……

 

 ……ん? ユガ? ユガってなんだ? 

 カリ・ユガ? え? どういうことなんだ? 

 

 最後のユガはカリがいっぱい出るのが普通。

 今はドヴァーバラ・ユガ。明日がカリ・ユガ……OK、大体理解した。

 多分、季節と同じ感じだ。

 

 ってことはそれが終わったら平和な春に戻る感じ……だと思う。

 …………は!? 神の裁き!? みんな死ぬ!? 認められたら生き返る!? 

【心理学】! 【心理学】! 

 

『【心理学】90≧78……成功』

 

 マジで言ってる!? は!? どういうことなんだ!? え!? 

 ……ああいや、待て、多分こういう宗教的思想な感じだ、コレは。

 ……うん、終わったら幸せな最初のユガ。季節的な感じってのは合ってる。

 アレだ。多分カリの巡りを神云々で片付けてるんだ。インド神話は簡単に世界終わるし、不思議なことではないな、うん。

 いやでもなぁ……そうなると神の存在がなぁ……うぬぬぬぬぬ……

 ……【アイデア】。

 

『【アイデア】55≧31……成功』

 

 ……チッ、分からんか

 仕方ない。まず一回最初っから組み立てつつ、だな。

 

 

 

 □□□□

 

 

 

 ……ふむぅ……成程……

 

 まずユガってのはインドの思想で、世界は4時期を循環してるというもの。

 で、進むにつれだんだんと世紀末になっていって、カリ・ユガには悪魔カリが出る。最後になったら神が一旦世界を消して、新しい世界を作る、と。

 

 新情報としてユガは最初が4日、次が3日、その次が2日で、最後が1日。

 昔はもっとそれぞれが年、月レベルで長かった。

 で、その昔ってのはアーシャ父が産まれてから後のこと。

 カリはこっちのユガと違っていつもいて、カリに殺されると神の祝福が途絶える。

 

 多分……神は実在するな、コレ。

 そうした方が辻褄が通る。

 っていうか辻褄を全部ぶっ壊して納得できる。

 

 ……ん? 俺たちが神? いや、違うが……

 え? 神様とは違う神様の噂? 

 神様は一人しかいない、神様以外の神様……うん、言い回しが気になるが、やっぱり神は居る感じかな。

 

 しかし、噂、ね。こっちに来たばっかりの俺たちの噂が立ってる訳なんぞないから、俺たち以外に俺たちみたいな奴がいるってことか。

 

 お、しかもちょっと前にあの町に。

 今は近くの山。自称神。

 ……自称? 

 自称神っつったな今。一気に胡散臭くなったぞそれ。

 

 ……え? はぐれサーヴァント? 神霊? 

 ちょっと待って話についていけない。説明頂戴。

 ……あ、アーシャちゃん帰るの? じゃあね。

 

 お、カルナさんもついていくと。行ってらっしゃい。

 ……ちょっ、アレ? なんか急に空気が重くなってるんですけど……

 ど、どうしたの? え? なん、え? なんで? 

 

「あ、あの……」

「一栗さん?」

「どうされましたか? 皆さん。なんだか空気が重いですが……」

「あ、いえ、これは……」

 

 なんか凄い言い淀んでる。

 何? なんか言いづらいことなの? 

 なんか俺隠されてるの? 

 

『……一栗くん。落ち着いて聞いてほしい。私たちは────

 

 

 □□□□

 

 

 ……………………そういうことか。

 あークソがクソが。分かったよ完全に理解したよ。

 つまりアレだな? 世界の切除ってのはその世界を終わらせると同義ってこったな? 

 

 ハァ……マジか。カルデアは世界を救う正義の組織であると同時に? 世界を滅ぼすインベーダーなわけだ。

 マジで悪の組織じゃねぇかよカルデア。

 ……いやだが主観の問題なんだよなぁ、コレ……

 

 俺の世界からすれば正義、向こうからしたら悪。

 あー……でもなー……コレ、辿っていけばカルデアが原因の一つなんだよなー……

 ハァァァァ………………どーしたもんか……

 

「…………幻滅した?」

「…………………………」

 

 なんて答えろと? 

 あーやばい。沈黙はアウトだ。なんか言わんといかん。

 

「……いえ」

 

 あーダメだ。

 コレは絶対に誤解される! 

 なんか! もっとなんか言わんといかん! 

 

「……私としては、やって当然のことだと思いますが」

「…………どうして?」

 

 え、怖っ。ちょっ、目が怖い。

 こ、コレがハイライトオフってヤツですか……

 ヤバい、ヤバいぞぉ……返答ミスったら殺されるぞぉ……

【言いくるめ】…………クソッ! 振るっきゃない!! 

 

【言いくるめ】貴女が今やろうとしてることは……異星の神から、世界を救う……元に戻すこと、です。……確かに、貴女が今やっていることは、確かに、世界を、滅ぼすことでは、あります」

 

 一つ言葉選びをミスったらアウト。

 補正を少しでも、稼ぐ! 

 

「しかし、それは、世界を、戻すためのことであって…………つまり…………」

 

 クソっ、なんか! なんか無いか! 

 何がある!? 何が言える!? 今俺の手札には何がある!? 

 

「……私の家族や、隣人を、元に戻すこと、です」

 

 もうなるようになれだ!! 

 ダメだったらダメだったでなんとかしてやるよ!! 

 

「隣人の、そのまた隣人も、さらにその隣人も……私たちの世界の全員を、救うことに、他なりません…………もし、貴女が、罪悪感に押し潰され、世界を救えなかったとしたら……多分、世界の皆さん……少なくとも、私は、貴女を許さない……と思います」

「……ッ」

「貴女には、それだけの戦力が、あります。世界を、救えるだけの戦力が。……もし、貴女が、戦いたくないと、それを放棄すれば、それは、世界が完全に滅ぶことに、なります」

 

 言葉を紡げ! 途切れさせるな!

 

「……貴女の、個人的な感情故に、貴女の身勝手故に、です。……私は、それを、許しません。多分、私の家族も、世界中の皆さんも……人間以外……それこそ、草の根一本に至るまで。……不本意、でしょうが、貴女には、今、私を含む、地球の全生命の存亡が、かかっています。……それは、あまりにも重い、物だと思います」

 

 まだだ! まだ止めるな!

 

「……しかし、貴女には、カルデアの者として、それを諦めてはいけない、達成しなければならない、義務……が、あります。……少なくとも、私は、そう思っています」

 

 よし、後一押し……後一押しだ……!

 

「……例え、種を蒔いたのは親で、子は何もしていなかったとしても……育ったそれが病気に犯された時……親が死んだのなら……子が処理しなければなりません……どんな思いが、そこにあろうと……」

 

『【言いくるめ】+補正30……自動成功』

 

 ……よし、成功………………成功は……したが…………

 

「………………………………」

「………………………………」

『………………………………』

 

 この状況、どうしよう……

 

 

 





もう感想欄で気づいている人が数人いたので発表させていただきますと、一栗くんは宝具を複数所持しています。
で、その内の一つは魔導書です。詳しい説明は次回に。
他にもありますが、それは誰かが気づき次第乗っけていくので、どうぞご気軽に感想欄に推理をお寄せください。
それと評価もください(懇願)

攻撃の時の判定要る?

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