「えー……コホン。ではそういう訳ですので、今より神捜索を再開します。よろしいですか?」
「うん!」
「無論」
「余は構わぬ」
「大丈夫です」
「無問題」
はい。あれから10分くらい経ちまして、皆さん落ち着いたようなので探索を再開することと相成りました。
復活した哪吒さんも特に異常は無いらしいので、探索に参加してくれるそう。
いやー、良かった良かった。これで能力がガタ落ちしてて使い物になりません! なんてことになってなくて。
自分としては全然それでも構わなかったけど、しっかり使えるってのはありがたい。完全に儲けたな、これは。
……しかしまさかあの【応急手当】がここまでのチートスキルに化けるとは思っていなかった。
通算でアレに何回殺され、俺も何回殺したことか……
絶対に何かしらの力が働いてると思うんだよねアレ。ダイスの女神さん【応急手当】に親でも殺されたのかな?
とまあそんなことは置いておいて探索の話に戻すが、先の一件を考慮した結果、探索の形はちょっと変えることになった。
常に二人以上で一緒にいる、探索は地上のみ、大声は出さない、目立たない等々……
まぁ、うん。簡単に言えば効率を捨てて安全重視にしたって感じだ。
ホームズさんとダヴィンチちゃんの両名を交えて話し合った結果、こうなった。とりあえず現状では多分これが一番いいと思う。
で、今現在俺たちは色々な面から考えた結果、ばらけずに一塊にとなって探索している。
正直、敵の勢力の全体が見えてないのが怖すぎるから今はあんまりばらけたくない、ってのが主な理由。
もし俺の十二神将説が当たってたとしたら、あの敵哪吒さんクラスが12人出てくるってことになるし、それ以上が来るって可能性も十分あり得る。
そんなことになったらたまらないので、戦力を一箇所に集中させて万が一に備えておく、という作戦になってる。
……しかし、サッパリ見つからん。
先程から使用可能になる度に【目星】やら【聞き耳】やら【オカルト】やらを振っているが役に立つ情報は出ない。
ファンブルは今のところ出ていないが、結局は確率なのでいつかは出てきやがるはずだ。
だからできるだけ振らないようにしていきたいんだが……
「……見つからんなぁ」
「見つからないねぇ」
「いや、なんとなく近くに何かを感じるのだがなぁ」
「あ、そうなの?」
「しかし、少し汗をかいた。ひとまず休憩するか」
おいおいおい、ちょっとちょっと。
あんまりそういうのは……いや、まぁいいか。俺も結構疲れたし。
「お、丁度いい岩があるな。ではこれに座って、と……」
あ、じゃあ俺も…………ん!?
像じゃねぇか!! 象の像じゃねぇか!! 駄洒落かよこの野郎!!
って違う! それは拙い! 謎のオブジェクトに不用意に触れるのは拙い!!
「ちょっ、待っ……!」
「あ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ“ぁ‘!!!」
お、遅かったか……
ってか喋りやがったぞこの像!?
これか? これが探してた神だっていうのか? インドで象って言ったらガネーシャ神だし。
「な、なんだ今の豚を引き裂いたような声は」
「さ、流石にそれは我慢ならないっス! フヒッ、美形の少年の肉体が! 直に!」
……………………………………うわぁ。
……ハッ! 違う! ドン引きしてる場合じゃない!
「ラーマさん! その岩から離れてください!」
「むっ、応とも!」
「あぁ〜……っと、そういうことではなく。えー、テステス」
『テステス』っつったな。今テストしやがったな。
なんだ? 現代人か? さっきのクリプター……だっけ? の人の仲間が遠隔で操作してるのか?
あー、いや、でもなんか『直に』とか言ってたし、変化してるとかそういう話……か?
いやでもガネーシャ神が元々こういう神って可能性も……まぁ、ないか。
「頭が高いわぁわぁわぁ……人間どもぅどもぅどもぅ……ここはぁ……神の住まう聖地なりぃなりぃなりぃ……」
せ……セルフエコー……だと……!?
に、人間臭い! 超人間臭い!! もっというと2000年台の人間臭い!!
「命が惜しくば立ち去れぃれぃれぃ……さすれば家内安全、商売繁盛を約束しよぉうぉうぉうぉう……!」
「おおう!? 岩が喋った!?」
「フォウ! フォフォウ!!」
「むぅ、生意気な、神に挑もうというのか小動物め……フヒヒ、神サマだから言ってるコト分かるっスよ〜!」
おっ、本性現したね。
いや最初から現れてたんだけど。
ってかやっぱりお前が神だったのか。
「できれば相手になってやろぅやろぅやろぅ……! 捧げ物として有り金全て置いていくがよぃよぃよぃ……!」
「やだ! ってことで戦闘開始!!」
ずいぶん現金な神様だなぁおい!
ってか戦うのかよ!?
「うーん……ムンキャ……とりあえずマシュ以外で総攻撃! 攻撃はこっちでなんとかするね!」
「「「「「了解!!」」」」」
『アーティファクト効果によりNPを100獲得します』
はぁ……んじゃ早速。
『【目星】……自動成功。【クリティカル】50≧18……成功。特殊技能【連続攻撃】……【クリティカル】4回判定中4回成功。相性変更効果によりダメージ2倍です』
うぉ!? 全部成功!?
えっと、2掛け2掛け2掛け2……16分の1……6%くらい?
まぁ、十分あり得る確率か。
「え、ちょっ、いきなりっスか!? って痛い痛い痛い! 地味なのに痛い!」
「地味言うな!」
くっ……コイツ……俺が今結構気にしてることを……
地味だけど威力はあるんだから別にいいだろうがこの野郎!!
「ふっ!」
「セェッ!!」
「目で殺す!!」
っていうかあの3人が異常なんだよ!
なんで槍から炎が出たり空飛べたり目からビームが出るんだ!!
俺も目で殺してみたいよ!! そんなカッコイイ決め台詞言うんじゃねぇよ!!
「ぬぅ……前が見辛いんスけどねぇ……行くっスよぉ〜!!」
『【回避】……自動成功。【反撃】50≧18……成功。【ダメージ】30000d2……39298。【クリティカル】50≧68……失敗。相性変更効果によりダメージ2倍です』
「ギャアアアア!?」
アレ? なんか自動成功になってる?
え? なんで?
「ック……な、なかなかやるではないか……い、今我のためにコンビニでアイス買ってきてくれたら許してやらんでもないぞ……」
「いやこの時代のインドにコンビニは無ぇよ」
「ッ!? ……なん……だと……!?」
コイツさては現代日本人だな?
しかもBLEACH履修済み……いや語録を知ってるだけか?
まぁいい。とりあえずコイツ……どうすればいいんだ? そういえば?
どうしようもなくないか?
「……ふむ。一栗雄太。そこを動くなよ」
「え?」
カルナさん? 一体どうし
「え、あ、うわわわわわわわっ!?」
「おおぅ!?」
あ、危ねぇ!? 槍が真横を掠めていったぞ!?
「あ、あぶねーっス!? メッチャクチャ危機一髪だったっスよ今の!! 槍の穂先がもうちょっとでボクのお肉を絶対美味しくないシシカバブに……」
……な、中からデbぽっちゃりして変なかぶりものした女性が!?
まぁ大体声とかでそんな気はしてたけどやっぱり女性でした!
あと中にいたんですね貴女。狭くありませんでした?
「……カルナさん? 何してるんスか、こんなトコで」
「それはこちらの台詞だ。何をしている、■■■」
ッ!! 【心理学】!!
『【心理学】……2回判定中2回成功』
本心から驚いてる……と。
な、え? なんだ? どう言うことだ?
「フォウ……フォ──ウ!!?」
「中に女の人が入ってたー!?」
え? なんだ? 今のやり取りはなんなんだ?
「む? 今、オレは何か口にしたか……?」
ハァァァァァァァァァアアアア!? えぇェェェェェエエエエ!?
面倒なタイプだ! 無自覚だからどんなに問い詰めても現状では情報が出て来ないやつだーッ!!
め、面倒くせェェェェェェェェェェ!!!
「……不思議な感覚だ。なぜオレは今『こちらの台詞だ』と言ったのか。その後にどんな単語を言いたかったのか……自分でも理由が明瞭ではない」
しっかり覚えてるじゃねぇかこの野郎。
「……おかしい。オレは今、形容できない感情を覚えている」
恋なんじゃねーの? (適当)
それはそれとして心当たりを洗いざらい話せ。
「姉のような、師匠のような……どうしようもない要介護生命に出逢ったような……そんな、オレの知識では言い表せない、複雑な何かだ」
恋じゃなかったわ。
恋してたら要介護生命なんて普通言わねーわ。
「ほうほう。初対面だけど友人な気もする、と。何を隠そう、ボクも似たようなもんっスよ〜。なんか色々あった気がするけど、思い出せない……的な? あっ、この感じ、ちょっと昔のRPGで流行った訳アリ記憶喪失系主人公っぽくないっスか?」
…………で、コイツはコイツでなんなんだ?
神なのか現代日本人……ではなさそうだな。顔立ちが思いっきり海外だ。
えー、神なのか、現代人なのか。
「覚醒イベはまだか! ってね。いやボクは何もせず最初の村で誰かが魔王倒してくれるのをぬくぬく待ってたいタイプなんっスけど」
……現代人っぽいんだよなぁ〜……現代人臭がすごいんだよなぁ〜……
しかも引きこもりっぽいなぁ〜……現代人だなぁこれはぁ〜……
「ど、独特な感性をお持ちの方なんですね……」
「待て。一つだけ明確にわかる事がある。お前は人間だ。だが、その身に纏う神気はどうした?」
お? あ、そうなの……っていや待て待て待て。
なんでそんなこと知ってんの貴方……いや、聞いても仕方ないか。疑問に思うってだけにとどめておこう。
で、今の発言から元人間で確定かな? 何かしらの拍子で神になっちゃったのか?
「あ! そう、それ! むっふっふ、さすがのカルナさんでもこれを見抜くのは無理だったっぽいっスね! ボクのことは、みんな知ってるあの大人気の神様! ガネーシャさん、と呼んで欲しいっス!」
……まぁ、やっぱそうだよな。
「…………」
「…………フォウ」
あ、立香ちゃんが信じてない。
「こらっ、誰っスかインド神話のオモシロ枠って言ったの!?」
「事実では?」
「ちょっとぉ!? いやわかるっスけど! わかるんスけど有名であることは間違いなしのマジ神っスよ! ホラそこ! もっとボクに敬意を表して!」
えぇ……?
「いや、敬意は表するが……なんだろうな、この隠しきれないダメ人間の気配は……」
「さすがだラーマ。今の一瞬でこの生命の本質を見抜くとは」
「いや、むしろ見抜けない人はいないと思いますが……」
「肯定 推量 簡単」
「む……お前たちもか……素晴らしい」
「ちょっと、本当に感心したように言わないでくださいっス! そっちはそっちでそんな当たり前みたいに言わないで欲しいっス!!」
いや、そんなこと言われましても……
『2人の発言を総合するに、彼女は神霊ガネーシャを核とした擬似サーヴァントのようだね。さまざまな役割を持つとされている神だ。非常に興味深い』
『カルデアの神霊サーヴァント達の在り方もピンキリだったけど、彼女は比較的人間の意識が強いのかな?』
「私も聞いたことがあります。パールヴァティーの子だとされる象頭の神ですね。パールヴァティーさんもいらっしゃれば親子の再会になっていたのでしょうか」
あ、カルデアにパールヴァティーって居たんだ。知らんかった。
「え“、居るんスか」
……まぁ、インド神話を多少齧ってれば知ってる話だが、結構アレだからなぁ……
あー始まったよ。両親の愚痴が。
「はぁ。複雑なご関係なのですね……」
『ええい! もう黙っておれん! 神霊サーヴァントを発見したことは褒めてやるが、そんなお喋りをするためにここまできたわけではないだろう!』
あ、やべ。怒っちゃった。
これはそろそろ戻ったほうがいい感じかな?
「なんスかこのデ……オホン、太っちょのオッサンは」
お前がいうか?
『今、明らかにデブって言いかけたよねぇ!?』
「第一声から直接的にディスるのはやめとこうかなっていう神の慈悲っス」
『そうですかそれはどうも! というか、貴様に体型についてどうこう言われたくないなー!』
「所長もお喋りしちゃってるじゃん」
『しょ────がないでしょうがよ!! これは!!』
……どうしよ、これ。
「……体型的仲間ができた、と言う話だろうか……喜ばしいことだ」
そんなしみじみ言うことじゃないですよね、それ?
あと喜ばしくないですからね?
「なんスかそれ! 喜ばしくないっスよ!?」
「とにかく。そいつはオレの今のマスターの上司だ」
『その通り! この一団は私が率いている。少し腹回りにボリュームがあるだけの貴人ではない。ともあれ、我々に協力するのだ!』
うわ、超上から目線。
もうちょっと交渉の場ではそういうの控えたほうがいいと思いますよ、俺は。
「えー、嫌っス」
「あっ。またあの像の中に入ってしまいました」
「正直、戦うなんてまっぴらゴメンなんで。この中ちょー快適なんスよ!! そう言うわけで、他の神を当たって欲しいっス!」
あー……なるほど。
「カルナさん、これは……」
「ああ、そうだな。こう言う時は力づくで引き摺り出すに限る」
「はい、私もそう思います」
「余もだ」
「私もー」
「フォウ!!」
ま、そう言うわけで、と。
「嫌だー! ボクはテコでも動かないっスからね! ボクの引きこもりを邪魔する者に災いあれー!!」
「行くよ! 戦闘開始!!」
よし、GO!!
なんか応急手当で人殺してる人多い・・・多くない?(未だ応急手当でファンブってない人間)
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