カルデアに探索者が召喚されました   作:POTROT

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初期値の2倍

 ……えーと、なんだ。ちょっと……いや結構後味は悪いな、うん。立香ちゃん達がまたお通夜モードに入ってるし。

 というのもあの哪吒、やはりというべきか自滅まがいの事をしていたのだ。その理由が『自分に分け与えられた神の力が解釈違いだったから』。

 一応日本ではソッチ方面への学も結構あった俺からすればまぁ、分からなくはない。地雷っていうものはそう言うモンだってネットを始めて直ぐくらいの時期に身をもって学んだ。

 だけどまぁ、うん。側から見てたら流石にちょっと痛々し過ぎたらしい。意気消沈してる。後でちょっとケア入れとこうかな。

 

 兎にも角にもそんなわけで元々結構な自滅願望持ちだった哪吒(敵)は、突然現れたカルデア一行と共に現れた『自由な自分』を知って、その熱がぶり返してしまい、最初は壊すことで自分を律しようとしたが、時間が経てば経つほど無理になってしまったらしく、自暴自棄の精神で我々と戦う事で、神に違和感を感じられる事なく消えるために今回は挑んで来ていたとのこと。

 そんななので、哪吒(敵)は神に対して少なからず反抗心も持っていたらしく、俺達の質問にちゃんと答えてくれた。

 念のための【心理学】の結果も異常なし。全部真実だった。

 

 その質問で得られた情報をまとめると、とりあえず神の空岩についての情報はナシ。

 神将に付与された神性は、倒せばサーヴァントごと消えるので倒す意味はある。

 北から南西にかけて老人の神将が、南東から南西にかけて若い神将が、アシュバ君は自由に担当している。

 老人の神将はウィリアム・テル。若い神将はアスクレピオス。

 

 と、こんなところだ。

 うん、なんかもう、他の神将のラインナップがエグ過ぎてヤバい。この二人は流石の俺も知ってる。リンゴの人と死者蘇生の人だ。

 正直どっちも殺しておくメリットが有る無しに関わらず確実に殺しておかないと拙いだろう。ウィリアムの方はどれくらいの強さかは分からないが確実に優秀なスナイパーだし、アスクレピオスに関しては確定で最強クラスのヒーラーだ。スルーして神との決戦中に後ろから狙撃されたり、やっと神を倒したと思ったら蘇生、なんて洒落にならん。ってかそうなると真っ先に前衛を潰せたのは幸運だったな。

 それに、後衛が単独行動してくれてるというのは有り難い。個々で潰す分にはまだ楽な方の筈だ。それでも一筋縄ではいかんのだろうが。

 

 実際、今回の哪吒戦も向こうがあの宝具群を活かし、堅実にヒットアンドアウェイを繰り返して来ていたら勝負は分からなかった。

 別の神将もクベーラに匹敵、或いはそれ以上の神格を有していてもおかしくはないだろう。

 ……いや、だが神格を与える側としてはあんまり強い奴を渡したくは無い筈。三大神だとかインドラだとか、あの辺は無い……と、信じたい。

 …………あー、でもそうなると神がそいつらの権能を持ってるってことになるんだよなぁ……う、うぅぅぅん……

 

『…………では、ウィリアム・テルとアスクレピオスのどちらを最初に狙うかの話になるがーーーー』

 

 おっと、もう結構話が進んでた。

 良い加減俺も話に入っておこう。勝手に変な事を決められたりしていたら厄介だ。

 例えば寝てる間に体育祭実行委員会に選ばれてたり、休み明けに何故か全校生徒の前でスピーチをすることになっていたり。

 まぁ、流石にこんな命とか世界とかが色々かかってる状況でそんなことはないだろうが。

 

 で、ウィリアムorアスクレピオスでどっちから狙うか、って話だが、まず確定でアスクレピオスだろう。

 哪吒を撃破したと向こうに知られたとして、合流される前にヒーラーを叩いておかないと千日手に陥る可能性がある。

 そうならなかったとしても長期戦は確定だろう。

 こちらにはマスターという明確な弱点と、神の裁きというタイムリミットが存在する以上、それは避けたい。

 更にはこちらがウィリアムを先に倒せたとしても、コソコソされて裏で回復、なんてされれば目も当てられん。

 

 これらの理由から、まず狙うのはアスk

 

『フン、考えるまでも無い。優先順位が高いのはアーチャーだ』

 

 違うよ?

 

『ほう、その心は?』

『愚問だ!藤丸がアーチャーに狙撃されたらどうする!?勝利の女神は常に私に微笑んでいるが、やはり安全確保は最優先事項。リスクの排除をまずしておくべきだろう』

 

 うーん……まぁ、一理なくもないんだが、やっぱり前述の理由だよな。

 狙撃の脅威を排除したと思ったら、実は裏で回復されてて、完全に警戒を解いていたところに……とか普通に有り得る。

 ここは説得するべきなんだろうが……大丈夫かな?ちゃんと人の話聞いてくれるかなあの人?

 いや、いざとなれば【説得】も【言いくるめ】もあるし、極論ホームズさんとダヴィンチちゃんを納得させればなんとかなるんだが。

 まぁ、とりあえずやってみるだけやってみるか。

 

「いえ、キャスターでしょう」

『ふむ、意見が割れたな。では一栗君、理由は?』

「はい、仮定の話になりますが、向こうの真名がアスクレピオスならば、自分以上の回復スキル、または宝具を持っている可能性も充分に考えられます。先にアーチャーを叩いて、その後に回復されて……という状況に陥ることも充分有り得るでしょう」

『ぬぅ……あぁ、そうであった……アスクレピオスといえば死人すらも蘇生させたと言われる伝説の医者。なんか素性のよく分からん日本のサーヴァントでも蘇生ができるのだ、かの医神ができん筈もない……!』

『ま、そうだね。私としても先にキャスターを狙った方がいいと思うな』

『よし、では最初に狙うのはキャスターにしようではないか』

 

 うーん……なんか素性のよく分からん奴扱いされたが、まぁ納得してくれたし、いいか。

 やっぱりこの人、根っこは優秀なのかね。しっかりと筋道が通ってればちゃんと納得してくれる。頭ごなしに否定しないのは本当に素晴らしい。

 それはそれとして言動は改めて欲しいけど。

 

「ぼーぜん」

『な、なんだねその顔は?同じぽっちゃり系として説明を求むのだが!』

「くわーッ!ボクはガネーシャさんのイメージを維持するために太めなんスよー!」

 

 いや、違うと思う。

 

「今のは、意外とまともに司令官っぽくて驚いてただけっス!……ゴッちん、サーヴァントのクラスとかちゃんと知ってたんスね……」

 

 ご、ゴッちん……?

 なんかすごい独特なあだ名のセンス……そうだなぁ……俺ならゴルフかな。うん。

 

『……フッ、なかなかエレガントな愛称を考えるお嬢さんだ。そこは褒めておこう。だがねぇ、この程度はカルデア所長に就任すると決まった時にちゃんと勉強しているのだよ』

 

 ……あ、そういえば俺、まともにクラス云々について勉強してなかったな。大体全部語感でやってたわ。

 俺もカルデアに戻ったらその辺ちゃんと学んでおくか。

 

『はい、新所長はロシアからこちらまで、毎日とても熱心に勉強している事を存じています。』

『いや!最初から知ってたのだよ!?できる司令官なのだからね!』

 

 うん、やっぱり所長さん、根っこは優秀らしい。

 本当に言動が残念なのが悔やまれて仕方ない。できる司令官ならもっとフレンドリーな交流の仕方とか覚えて欲しい。

 

『まぁ、とにかく、だ。今では私も一端の新米マスター並の知識はある。藤丸のレポートにも改めて目を通した。クラス特性も、サーヴァント召喚のコストも、魔術礼装を通して神経にかかる負担も、電卓片手にササッと計算できるというものだよ。ちなみに藤丸はあと3時間で空腹になる』

 

 へぇ……そんなこともわかるんだ。俺も欲しいなそういう……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………ん?

 

「あの、ちょっ、ちょっとすいません」

 

 いや待て待て待て待て待て。

 なんだそれは?なんなんだそれは???

 召喚のコストはまだ良いとして……神経に負担?何がどうなっている?

 

『ん?どうしたのかねファーストマロン君。有能にして華麗な司令官であるこの私に何か質問かな?』

「いや、その……立香さんって結構戦闘中に負担かかってたりするんですか?」

『ああ、まぁ、そうだね。うん。一般人に無理矢理魔術を使わせてるんだ。多少の代償は伴ってしまう。勘違いしないで欲しいが、こちらとしてもそんなものはゼロにしたいし、出来る限り軽減しようとしている。死なない事が最優先なんだ。申し訳ないが仕方ないということで治めてくれ』

「大丈夫!休めば治るから!」

「ッ…………はい。有難う、御座います」

 

 これ……拙いな。思ったより何倍も深刻だぞ?

 立香ちゃんの精神状態がなんか歪んでると言うか、ちょっとまともではないというか、そんな感じだっていうのは分かってたけども……

 いや、分かってたんだけどさぁ…………流石にこれ程とは思わないじゃん。自己犠牲精神が天元突破してやがるぞ?

 

 いや、確かに人類最後の希望だってのはわかるが……こんな死地に放り出されて、劣悪な環境で過ごさせられて、なんかよく分からん代償かけられて、しかも体の内側のことも隅から隅まで常に監視されてる。

 それなのに……それなのに『アレ』なのか?

 ……クソ、あの【言いくるめ】は失敗だったか……畜生が……

 ッ……あー……クソ、何が責任だ。ふざけんな。こんなことになるんならもっと精神分析取っとけばよかった。2%とかふざけんなよマジ。

 

 いや、これは本格的に拙い。このままだと遅かれ早かれ、詰みに近い状態に陥るぞ?

 死にはしない……というか死なされるわけがない……精神をすり減らしにすり減らして、良くて廃人同然の人形になるか、悪くて機械につなげて無理矢理生かされてるだけの抜け殻になるか……そうなると『令呪』が使えなくなる。アレは強力だ。使用不可になる事態は絶対に避けなければならない。

 いや、それで済んだらまだ良い方だな。最悪なのは誰かに乗っ取られること、それか何かしらの精神汚染にかかることだ。もしそうなったなら、そうなった時点で終わり。敗北からの滅亡は確定だ。

 

 クソ……う、うぅぅぅぅん……………いよいよどうしようもなくなったら俺が精神を入れ替えてどうにかする……のが、最善……か?

 だがなぁ……流石に……いや、手段とか選んでる場合じゃない。これで行くか。

 …………そうだな、とりあえず、まずクトゥルフ系の呪文とかは絶対封印。で、いざという時のために立香ちゃんの好感度を限界まで稼いでおく。精神転移よりも精神交換の方が4時間早い。*1

 ……人の気持ちを弄ぶようで気は引けるが、割り切るしかない。ただの一般人一人や二人のアレコレなんかよりも世界人口70億人だ。

 

 ……しかし、そうなるとまた色々課題が出てくる……あぁクソあぁクソ。高難易度シナリオにも程があるだろうが。ハッピーエンドとか無理だろマジで。

 ………………いや、今はこの異聞帯の事か。まずここを突破しない限りはどうしようもない。

 ……はぁ……本当に、とんでもないことに巻き込まれた。

 

 

*1
精神交換は被術者が術者に対して好意を持っている事で使用可能




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 なので早速ヒロイン一人目決定(無慈悲)
 異論は認める。

 一応ヒロインはもう一人二人程度作る予定なのでまたアンケートお願いします!

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