酷い目にあった。
今までに無いくらい酷い目にあった。
あのあと更に三回くらい再臨? だっけ? をやらされてさ、その度に種火とかいうの食わせられるの。それも結構な量。
毎回毎回【幸運】も振らされて。成功する度に悶えて。でも何回か【幸運】に失敗したけどその時は全然熱くなかったんだよね。
でもあの二人が『あっ、成功、ね』みたいな感じで少しがっかりしてるの。
まぁ頑張っちゃったよね。
で、種火地獄が終わったら次はなんか……宝石? とか骨とか鎖とかなんかの粉とかを取り込まされたり。
終いには明らかにこの世のものじゃない生物の爪とか心臓とかも取り込みました。
うん。まぁでも衣装がなんかスゴいかっこいい感じになったから満足だよ俺は。
見てよこれ。このボンドルドさんの隣にいても違和感なさそうなくらいスゴいゴテゴテした黒と青の探索服。超カッコいい。
男だし興奮しちゃうよね。
「うーん……これまた面白いスキル構成を……」
スキル構成って言った今?
え? スキル構成ってあるの? もしかしてこの世界ってゲームなの?
立花ちゃんの説明の時にレベル解放とか聞いて例え話上手いなとか思ってたけど、もしかしてマジにゲームなの?
「あ、スキルっていうのは英霊が持っている生前の偉業とかが能力として使えるやつね?」
全然そんなことはなかった。
しっかり現実だった。
でも夢であって欲しかった。すごく帰りたい。
けどまだここに残っていたい欲も出ちゃう。ここの人たち男も女もみんな美形だしスタイルいいんだもん。
「じゃあ早速修練場に行ってみようか! ついてきて!」
「宝具は?」
「Arts!」
あっちょっと待って。そんなに急に手を引っ張らないで。
あらスゴい。女の子なのに手がスゴいゴツゴツしてる。
ソフト部の子みたいになってる。ソフト部なのかな?
『孔明くんと玉藻ちゃーん! 修練場ー!』
うわぁすっごい簡潔な放送。
要点が物凄い圧縮されてる。これが圧縮言語なのか?
しかしこの施設本当に広いな。一体どこまで……あ、止まった。
ここが……えー……シミュレーションルームと。
シミュレーション……アレかな? 今流行りのVRってやつかな?
大丈夫? 今度こそ洗脳ってわけじゃないよね?
「今から君にはこの部屋の中でちょっと戦闘をしてもらいます!!」
「はぁ……というと?」
「この中には……えっと……サバゲーみたいな感じのVR空間が広がってて、地面から手が生えてる」
「地面から手が生えてる」
地面から手が生えてる、とは?
何? この奥にマドハンドおるの?
仲間を呼んじゃうの?
いやそれ以前に俺ってばまともな戦闘経験ないんですけど。
クソ雑魚ナメクジなんですけど。
「あ、今から二人サポートの英霊が来るから、戦闘経験が無いとかは安心して!」
「あ、そうなんですか。そこが少々不安だったので、良かったです」
さっきのあの……孔明と玉藻ね。
うん。超大物だね。三国志の天才と、傾国の妖狐。
大丈夫? 俺場違いすぎじゃない?
……あ、噂をすれば。
後ろから足音が聞こえてきて……
「はぁ……今度はどんな奴が来たんだ……」
「はぁーいマスター! この良妻賢母超有能サーヴァントタマモがみこーんと参りましたー!」
………………………………………………うわぁ。
キャラ、濃っ。
なんか……なんか思ってたんと違う。
どっちがどっちかはものすごく分かりやすいんだけど思ってたんと違う。
すっごい疲れ切った感じの眉間のしわ深深でスーツ着たおじさんと、ピンクと青と茶色で狐耳&尻尾持ちの和服みたいなの着てる痴女。
………………うん。
まぁ、うん。はい。いや、俺は大丈夫。
俺はもうさっきのダヴィンチちゃんで慣れた。
あれ以上が来なければまだ大丈夫。
うん、流石にあれ以上はいないはず。……いないよな?
「……君か、新入りは」
「おんやぁ? これまた随分と物々しいお召し物でございますね貴方。一体どこのどなたです?」
うわぁ……結構な懐疑の目ですお二人とも。
とりあえず【言いくるめ】しとくしかない。
「あ、初めまして。【言いくるめ】えー……日本のしがない魔術師家系の末端をやらせていただいております一栗雄太です。この度は召喚なるものに巻き込まれまして、皆さんと共に漂白された地球を取り戻すこととなりました。よろしくお願いします」
『+補正10。73+10≧29……成功』
「ああ、よろしく。君は私の胃に優しい人間であることを祈っているよ」
「おやおやおや。ここ最近入ってくる人たちはどいつもこいつも皆さん一癖二癖ありすぎてちょっと困っちゃうレベルでしたが、随分とまぁまともなお方が。はいこちらこそよろしくお願いいたしますよええ」
よし。ファーストコンタクトは成功と。
最初に名前を聞いた時は大物すぎてヤバかったし見た目もヤバいが、こうやって話してみると意外と話通じるモンだな。
それはそれとしてもっとまともな服着てくれませんか玉藻さん。
なんかこう……色々……すごく、すごいので。
「自己紹介終わった!? じゃあ行こう! 陣形は一栗さんが前衛でその他は後衛! 二人は一栗さんのサポートお願いね!」
「「了解」」
「お任せくださいませ!」
よしよし。頑張りますよ。頑張っちゃいますよ俺。
なんかこの二人慣れてるっぽいし。
これは安心ですわ。
「あ、そうだそうだ。一栗さん手ェ出して」
「手?」
え? 何? なんかあるの? 手指消毒?
えっと……立香ちゃんが? 何か取ってきて? 俺の手に何か乗せ……乗っ……てないねぇ。
うーん、と。これもしかしてアレ? いわゆる無の取得ってやつかな?
「何?」
「ああ、コレ概念ね」
「概念」
『【アーティファクト】カレイドスコープ(5枚重ね)を獲得しました』
うん、どうやら俺は概念を獲得したらしい。
意味がわからない。って言うかアーティファクトなのかコレ。
コレって言ってもなんにも無いんだけどさ。
あ、困惑している俺をよそに立香ちゃんが扉を開ける……と、そこは殺風景な部屋でした。
おい待てVRはどこだオイ……ってなんか始まった。
うわぁスゴい……うわぁスゴい!?
一瞬で森ができた!! え、スゲェ!!
現実じゃん!! これもうほとんど現実じゃん!!!
音すごいしグラフィックもスゴいし感覚もちゃんとある!
こ……これがVR……!?
……ってなんかいる!! マジで地面から手が生えてる!! キメェ!!
しかもアイツ種火持ってる!? もしかして種火の産地ってアレなの!? アレに生えたヤツを食わせられたの俺!?
「よし!! 戦闘開始!!」
『アーティファクトの効果によりNPを100獲得しました』
ちょっと待てちょっと待て。
なんなんだNP。説明を寄越せ説明を。
「一栗さん『目星』発動!!」
ファッ!?
『+値10。自動成功です。特殊ルールによって戦闘中に限り特殊な方法でクリティカルを判定します。50≧60……クリティカルではありません』
待て待て待て待て!! 説明!!! 説明プリーズ!!!
色々違ってる! 色々違ってるから!!
ってかなんで立香ちゃんが俺の目星を……まさかコレがスキルってやつか!?
「玉藻! 『呪層・廣日照』、一栗さんに『狐の嫁入り』!!」
「はーい! どうぞー!」
うん多分なんかかかったね俺! だって変なオーラが出てるから!!
なんか力が溢れるとかは無いけど!!
「一栗さん宝具発動!」
宝具!? 宝具って何!?
俺の宝具っていうと……GM?
え? GMでどうしろと? 投げろと?
『NP100消費、特殊技能【連続攻撃】発動します……自動成功です。敵一体につき四回判定クリティカル50≧…………12回判定中4回成功」
なんか知らないのが出た!?
待って待って知らん! 何その技能!? それが宝具なん!?
俺知らんねん!! そんなん俺知らんねん!!
あ〜なんか体が勝手に動く〜。
戦闘技能振るの何気に初めてなんだけど、どれもこんな感じなのかな?
ってか俺の体こんなに速く動けたのね。
……しかし俺ってばこんな状況ですごい長々と考え事出来てるな。
と思ったら外界がすごくゆっくり進んでいました。
もしかして俺、ゾーン入っちゃった? 奇跡の世代になっちゃった?
あ、そろそろ俺の拳がマドハンド擬きに届きますね。
……うん、なんかもうどうにでもなーれ!!
『ダメージ判定 5000d2×8……9738、9152、7999、5638、7820、9939、5822、6453。10000d2×4……14221、17469、15052、14913』
『ランダムに四回ずつダメージが与えられます』
『特殊ルールに則りクラス相性補正を適用。【目星】効果によりクラス相性変動、全ダメージ2倍です』
は!? 何それ!?
うわ、うわうわうわうわ!
体が勝手に縦横無尽に動きながらものすごい勢いで攻撃しまくってます!!
でもこれなんか割と凄い疲れる!特に脚がヤバい!
『HPが0になってからも攻撃を行ったのでNPとクリティカルスター獲得に補正が入ります』
あ、敵死んだ……のかな?
種火と……なんかよくわからんキラキラ残して消えたし。
「おぉー! スゴい! 宝具一発!!」
「アイツ本当にしがない魔術師なのか?」
「いえ多分アレでしょう。貴方と同じ感じじゃあないですか?」
なんか立香ちゃんは喜んでるけど他二人が微妙だな……
えぇ……俺、今のどこが悪いとかわかんないんですけど……
「じゃあ次第二ウェーブね!!」
まだやんの!?
あのクソ長い判定は次回からカットされます。
11月1日、表記訂正 全ダメージ2倍→【目星】効果によりクラス相性変動、全ダメージ2倍
感想と評価、くれ(懇願)