夏の日差しが照り付ける錦糸町。炎天下の陽気の中にあって、初老の男性が行きつけの喫茶店に向かっている。灰色の髪を丁寧に撫でつけ、夏頃であるため着慣れた茶色の革ジャンではなく赤いシャツだけを涼やかに着こなす彼。
喫茶リコリコの常連、後藤は涼しい店内に思いを馳せる。
脳裏に浮かぶ、熱を持った身体を冷房の風で冷やす光景。
想像の中の冷気で“心頭滅却すれば──”をやってみようと考えたが都会の熱波はそんな精神論の誤魔化しを許しはしない。たまりかねた後藤はぱたぱたと手で風を送ってみる。しかし、こう暑くては焼け石に水というものだ。幸い、汗ばむより早くに店につくことができた。軽く汗をハンカチで拭い、ドアを開け放つ。
外気との温度差のおかげで冷えた清涼な空気が後藤を出迎える。そして、爽やかな気分のままに店内の空いている席を探そうと視線を巡らせて、お座敷席の異様な光景にギョっと目を剥く。
お座敷にはすっかり店に馴染んだクルミちゃんと、後藤と同じリコリコ常連の七夜黄理の姿。二人は向かい合った状態でジェンガを楽しんでいる。異様なのは、黄理がお盆を頭に載せていることだ。
コーヒーを載せたお盆は黄理の頭上に──。
カップより立ち上る香りと湯気。
涼しい店内とはいえ、夏場でありながら湯気を曇らせているコーヒー。温度については深く考える必要もなく、火傷必至の熱を持っているだろう。
「いらっしゃい、後藤さん。どしたの、そんなドアの傍に突っ立って?」
店員であるミズキが眼鏡ごしに不思議そうな顔をして、空いているカウンター席に案内してくれた。
「…あぁ、ミズキさん。いや、その。黄理くん、どうしたんだい?」
「あ~、あれね。昨日、黄理が千束とたきなの荷物持ちをやらされたらしいんだけど、途中でほっぽりだした所為で、お叱りを受けてる真っ最中。まったく、とばっちりで私まで駆り出されて大変だったんだから。──まぁ、黄理が拾ってきた荷物のことを思えば、私としちゃ叱る気になれないけど…」
──おや?
後藤はミズキの最後の方で絞られた声が何を言っていたかを聞き逃す。
それにしても、のんびり屋の黄理くんが温厚な千束ちゃんを怒らせるとは……。う~む、いよいよ千束ちゃんが黄理くんの鈍感ぶりに怒りを顕わにしたのかとも考えるが、彼女と彼の今の関係性は、かれこれ数年来の仲なのだし、それだけで怒ることはあるまい。
そうなると、たきなちゃんの登場で千束ちゃんと黄理くんの関係性が変わり、その所為で黄理くんが千束ちゃんの堪忍袋を……などと考えて恋愛ドラマではないのだからと思考をそこで打ち止めにした。
「いい加減、あんなことをさせ続けてたら店の景観的にも問題ありまくりだし。千束を説得して、お盆を下ろさせてきますかね~」
「手早く頼むぞ、ミズキ」
店長であるミカの釘差しを受け、ひらひらと手を振りミズキはバッグヤードに入っていく。後藤は器用なものだな、と思いつつ黄理くんとクルミちゃんのジェンガの観戦に。
しばらくして、バックヤードから姦しい叫び声が聞こえてきた。お盆を載せたまま、きょとんとした顔で振り向く黄理くん。危なげない体幹に感心しつつも、そのシュールでユーモラスな姿に後藤は思わず笑いむせてしまった。
リコリコの更衣室、そこでは心ここにあらずといった様子で錦木千束がポイポイとゴミ袋にある衣類を放り込んでいた。放心状態であっても、手は止まることなくたきなの下着、であった男性用トランクスを捨てていく。
「捨てまーす捨てまーす。これも捨てまーす。はい、捨てまーす……はぁぁぁ」
落ち込んだ気分を吐き出す勢いでため息をついても、むしろ気分は下がり調子だ。わたしは昨日の顛末を思い返す。後日談、というか昨日のオチ。黄理を問い詰めた話によると、荷物持ちを脱走した黄理はその足で北押上駅に突っ込んでいったらしい。地下鉄構内には春先に見かけた仮面の男や明らかに手練れと思われる緑の髪をした男、重火器を持った数名からなるテロリストたち。
この日本で纏まった数の銃を揃えるなんて、よほどのことだ。十中八九、たきなの異動の原因となった銃取引が絡んでいるだろう。まぁ、そこも重要だが、最終的には黄理が現場で最後に生き残った一名のリコリスを連れ帰り、事態は閉幕を見た。
“じゃあ、後はよろしく”
適当なこと言って立ち去ろうとする黄理に、ミズキとわたしは“待った”をかける。
“ちょっ、あんた、助けたリコリスになんか言うことないんか!?”
“そうだって!ほら、助けてくれた相手のことも知らないまんまじゃ──”
“?……別にどうでもいいんじゃないか?誰が助けようと生きてるんだから、別に大した問題でもないだろ?”
“────”
黄理の言葉で正確な認識ができていなかったたきなも黙りこくったまま理解する。“生きている”、結果はそうだけど、黄理の救済には過程が抜け落ちている。相手の心情も、事情もおかまいなし。生存、それ以外の問題が考慮の外にあるのだ。
“それに俺がリリベルだって、そこのサードの子に知らせたら情報統制の関係で楠木司令が困るかもしれないし”
“あんたねぇ、そういうもっともらしいことは最初に言いなさいっての”
“あ~~、とにかく黄理!明日、リコリコでまたお説教だから。覚えてろ~”
“荷物持ちから離れただけで随分と、まぁ…”
ぼやきながら帰ろうとする黄理へたきなは咄嗟に声をかける。答えの内容については、そこまで興味があったわけではない。自分とは無関係な事件であるし、リコリスの同胞の死にいちいち拘泥するほど、甘い考えは持ってない。
“黄理くんっ、あの、そういえば他のリコリスは──”
ゆえに興味があるのはただ一点。
七夜黄理はどういった言葉で応じるのか、ということに尽きる。
“あぁ、死んでたよ。最後の一人以外は全員。…………それが?”
場の空気が凍り付く。死に絶えた空気の理由も把握しようとせずに、黄理はさっさと帰ってしまった。そのまま、なし崩しでわたしたちも解散。そんなこんなで三人での楽しいお出かけは、最後の最後でえらいコケ方をしてしまいましたとさ。
うん、全然めでたくない、めでたくない。
「まったく、黄理ってば本当に大切なことが分かってないんだから…」
と言っても、まだ黄理も迷いの中にいる。これで正しいのか、間違っているのか。彼の迷いに答えが出るまで、わたしは口出しをしない。きっと、黄理なら優しい答えが出せると信じているから。
それまではわたし自身の気持ちも告……いぃいやいやいや!!
「そういう話じゃなくてッ、えぇっと、はいはいとりあえず捨てまー……」
“これ、いいんですけどね。通気性もよくて、運動性にも優れている。さすが店長だなって思いましたよ”
たきなの冷静なレビューと、青空をバックにした先生のにこやかなサムズアップが思い浮かぶ。
ふと手に取ったトランクスを見て、どんなもんなのかな、という
「──おぉ?」
なんという新感覚&新体験。
下着とは思えぬ解放感と通気性に驚きと昂揚が沸き立つ。
「これは~♪」
「千束~?あんた、いつまでサボっ……テ、ん?」
くるりと、スカートをひるがえすようにターンをした最悪と言ってもいいタイミングでミズキが更衣室にやってくる。
がちん、とその場でわたしとミズキが固まった。互いに、状況の把握を優先しようとしてリアクションを取るタイミングを見逃した感が否めない。いっそ、出会いがしらに“なにしてんの、あんた?”くらい言ってもらった方が助かったのに、どうして今日に限って冷静に事態を把握しようとするかねっ!
「…………いやぁ、その、ね?これには──」
「キィェェェェェェェェ!!?!破廉恥ィーー!!」
「違う違う違う違う!違うってぇぇぇ!!」
逆にミズキがわたしの両肩を掴み、ガクガクと髪を振り乱してわたしを揺さぶる。
「おまっ!黄理のとこに泊まってきたのか!?これみよがしにトランクスなんか見せつけて~!……わたしへの当てつけかぁ!」
そういえば、ミズキはこないだの“たきな・トランクス事件”の現場にいなかったんだ。ていうか、このトランクスを黄理のと勘違いしているのがまずい!
「違うって!そりゃ、黄理の制服の上着とかは借りてるけどっ!これは違うんだって~!たきなのっ!これ、たきなのだからぁ!」
「はぁぁ~~?」
訝しそうな声を出して、ミズキが何か考え込んでいるとフロアの方からたきなの声が聞こえてきた。
“……お疲れ様です。着替え次第、フロアの方に回りますね”。
ミズキは迷い無い足取りで、たきなへの最短距離を突き進む。
神妙な顔をしたミズキが無言で迫ってくるのに、ギョッとしたたきなは立ちすくんでミズキの行動の推移を黙って見つめる。
たきなの正面まで来たミズキは、その場で速やかにしゃがんで──
何を思ったか、唐突に制服のスカートをめくったのだっ!
「……かわいいじゃねぇか」
普段よりもゆっくりと長い時間をかけ、たきなは重い足取りでリコリコへ向かう。昨日、いくら気が動転していたとはいえ、千束に心無い言葉をかけてしまったこと、黄理くんの考え方に自分では何も言えなかったこと、事件に関与できずリコリスの同胞たちが亡くなったこと。たきなの頭の中では様々な懊悩が混在していた。
楽しいことがあった。
買い物も、食事も、遊びも、一介のリコリスとして過ごしていた頃では体験することのなかった出来事ばかりだった。大切な人たちと一緒に過ごす平々凡々な時間があれほど光り輝くものになるなんて知らなかった。
そして、その後に均衡を保つかのような哀しいことがあった。
“千束だって、傷ついていたのに”
ひどいことを言ってしまった──
“立ち去る黄理くんに何もできなかった”
手を伸ばす程度のこともできなかった。
“多くのサードリコリスたちが亡くなった”
事件に関与する方法は、何かあったはず。
ずきり、と見えない傷痕が膿んだように痛みを告げる。大切な、かけがえのないものを手放してしまったのでは──そんな漠然とした不安が前に踏み出す足をさらに重くする。
考えれば考えるほど、身も心も鉛を飲み下したような重苦しい感覚に苛まれる。
リコリコに辿り着くと、お座敷席でまたもやお盆を頭に載せた黄理くんの姿が真っ先に飛び込んできた。思わず吹きだしてしまいそうなほど面白い光景だったが、あいにくと事前に同じ光景を予習済みであったことでどうにか笑い出すのを堪えきれた。
黄理くんはこちらに気づくとぱたぱたと軽く手を振ってから、遊んでいたクルミとのジェンガに戻ってしまう。黄理くんのことで悩んでいるのに、彼はこっちの気持ちも知らずにのほほんとした態度で遊んでいるし……。
「おはよう、たきな。ふむ?今日のシフトの時間よりも一時間は早いな」
「……おはようございます、店長」
一時間も早い?そんなはずは……。
ああ、時計の何時かの針ではなく、分の針しか見ていなかったことで早く来すぎてしまったと、わたしはようやく正確な時間を把握した。一時間も時間を間違えるなんて、どれほど“ボーっと”していたというのか。
仕方がない、シフトより早いがこのままフロアに付くとしよう。軽く店長に会釈して、更衣室の方に無意識で歩いていく。
「……お疲れ様です。着替え次第、フロアの方に回りますね」
手早く着替えようと思ったら、唐突にミズキさんが目の前に立ちふさがった。何か用でもあったのかと思えば、こちらの疑問を明確化するより先にわたしのスカートがめくりあげられる。
ミズキさんがめくった、という事実が一瞬、理解不能になった。
秘されていたスカートがめくられて、昨日買ったパンツが白日の元に晒された。店内の冷えた空気が太腿を撫で、ゾクリと背筋が冷え込む。それとは反対に顔に熱を帯びた血の気が上っていき、赤面しているのが自分でも分かる。
「……かわいいじゃねぇか」
そういう問題じゃないと思うのは、私だけでしょうか……?
完全にどういう経緯でこうなったのか、被害を被った私を置いてけぼりに千束とミズキさんの会話が目の前で繰り広げられている。
「いやだから、それは昨日買ったヤツなんだって~~」
しゃがんでいたミズキさんは、わたしへの無礼に言及せずに立ち上がると。
お客さんたちがいるフロアの方に歩いていく。
「え?あっ、ちょいちょいちょいちょい!!ミズキ待っ────」
ミズキさんの様子に何らかの危機感を覚えたらしい千束が、手を伸ばすがそれより先に彼女は高らかに千束のスキャンダルの暴露に出た。
「みなさーん!このお店に裏切り者の嘘つき野郎がいますわよ~」
「わぁぁぁ!!やめろやめろやめろ、やめろぉ~!」
慌てて追いかけていった千束の妨害をミズキさんは華麗に受け流してスカートをめくりあげる。そこには以前、私の身に着けていたものと似た黒のトランクス……いえ、あれ私のですね。
店の方では目を覆いたくなるような惨状が発生していた。具体的に言うと、千束がミズキさんに捕まって、扇風機でスカートをめくられている。スカートの中がトランクスなので、なんとなく色気のないある種の健全なイタズラ、で済んでいる、のでしょうか?
ミズキさんは顔をひどくゆがめて千束を追い詰める口調で問い続ける。
「ほれほれ、さっさとゲロっちまいなぁ~」
「あぅ~、いっそ殺してぇ~~」
扇風機でスカートを下から煽りめくられる涙目の千束の哀れな姿。
子供のころからの付き合いだという黄理くんは、お腹を抱えて笑っていた。爆笑。黄理くんは千束の痴態を見て、それはそれは愉快そうに喜悦に染めった笑い声を上げていた。
「だぁぁ!!もうパンツとか、ミズキとかどうでもいいから、後でぜったい!はたくかんね、黄理!!」
「ハハッハハハ!!!」
お座敷で楽しそうに笑い転げる黄理くんの傍からクルミが寄ってくる。
扇風機の近くに膝をつき、クルミは持っているうちわとは別のうちわを私にも渡してきたではないか。
「ほれ、たきなもうちわね」
「えっ?」
店に来る直前まで悩んでいたはずの内容を吹き飛ばすほど、急転直下の笑い事に思考が未だ追いつけずじまい。どうしたものかと、店長の方を見ると店の固定電話が鳴り響く。こちらを申し訳なさそうにみて店長は、騒がしい店舗側からバックヤードの方に引っ込んでしまった。
こうしてリコリコスタッフ一同の手綱を握れる唯一の人間が離脱したのである。
「楠木か、いったい昼間から何の──例の銃が…………わかった」
扇風機の刑に処された千束をホールドしてミズキさんは楽しそうに、店にいるお客さんたちへのパフォーマンスに興じる。私はというと、クルミに手渡されたうちわを持った状態で、どうするべきかと頭を悩ませていた。
「みなさん見ましたぁ~?こーいつ、男もののパンツなんか履いてましてよ~」
「ち~が~う、これもたきなが~。ていうか、先生の指示が~」
トランクスを衆人環視に晒している千束は事実を説明しようとするが、あまりにも複雑怪奇な経緯と事情ゆえにどう説明したものかと考えあぐねる。千束の途中までしか行われていない説明に、何を勘違いしてかミズキさんが驚きの声をあげた。
「おっさんの!?」
「まさか、ミカさんのパンツもめくるのか?」
急にシリアスな表情をした黄理くんの天然発言を受け、店にいた常連客と千束、私に、ミズキさん、クルミの全員が息を合わせたように吹きだした。店の喧騒は笑い声一色になり、どうにか事態を収めようと絶賛、スカートをめくられ中の千束が弁解しようとして……
「あ~ややこし~!とにかく違う~~~ちがうんだってぇ~!」
千束と出会い、黄理くんと再会できた此処なら、どんなことがあっても最後には笑っていつもの日常に帰ってこられる。悲しいことがあっても、苦しいことがあっても、また笑うことができる。それは、なんだか上手く言えないが、とてもすごくて優しいことだと、わたしは柔らかく微笑みながら強く実感するのだった。
“リコリコ”でなら、未来にどんなことが待ち受けていても、なんとかなる。そんな漠然とした、でも、絶対的な確信が胸に灯る。
まぁ、今は未来よりも。
いま現在、スカートをめくられている相棒の救助が優先だ──。
ある大学病院の地下に存在する
「──ちっきしょ~、思ったより派手に壊れなかったな~。…まぁ、別にいいか。今回は小手調べで、挨拶みてぇなもんだし。こっちの面子が減らなかっただけで満足するか」
「おやおや?浮かれた勇み足でお出かけをしたかと思ったら、地下鉄で花火大会をしただけで帰ってくるとは君は絶滅危惧種の不良少年かね?」
自分の歳に似合わない形容をされたことに、真島は渋い顔をして身を起こす。
「オレを少年ってのは、無理があるだろ?」
「いいや、バカげた考えで無茶苦茶に暴れてる君は立派に青春を謳歌している少年だよ」
「口が減らねぇな、先生?……まぁいいや、今日はこっちが先に口を閉じるさ。あぁ、今日、カートリッジ使ったから補充頼むぜ」
真島は室戸菫へそれだけ言うと、右袖の爆ぜた黒いロングコートを脱ぎ棄てて、まったく同じものを羽織りなおす。同じ服を何着も着ている真島を見て、遺体を安置する用の寝台で寝そべっていた仮面の男、蛭子影胤が“やれやれ”という仕草を行った。
ダル絡みしてくる仲間、といっていいか微妙な連中を意識の外に置くよう努力して、真島はスマホのネットニュースを調べてみる。画面をスクロール、スクロール。開いていたサイトの一番下まで目を通して、真島は目を細めた。
全ての情報が不自然なまでに事故一色に塗り替えられている。
真島の脳は当然のように、地下鉄で見たベージュの制服の少女たち、そして最後に現れた少年のことを思い出す。確かリコリス、リリベルとか言ったっけと、過去の曖昧な記憶を掘り起こして、不思議と愉快な気分になっていることを自覚する。
「あいつらが日本のバランスを狂わせてるヤツらか……おもしれぇ」
しかし、楽しくなり始めたところで、真島のスマホが勝手に暗転したではないか。暗くなった画面がまた映るようになると、画面にはブリキのロボットめいた被り物をした子供の姿が──
『リコリスの存在は情報統制されるのさ~、ハロー、ミスターテロリスト?』
「誰だ、テメェ?」
『ふっ、お前が真島だな?ボクはロボ太。おまえを手助けする、世界一のハッカーだ!リコリスどもを倒すには、ボクのような頭のいい人間が必要だ!ボクの頭脳とおまえの戦力が────』
いとあわれ、スマホの電源は即座に落とされた。
何処か遠方で“切られたァァ?!”などと絶叫するハッカーを置いて、真島は手元のスマホを器用に指先に乗せて、クルクルとバランスを保った状態で回し始める。
「ようは嘘じゃ誤魔化しが利かねぇくらい凄いことをすればいいってことだろ?頭のいいバカはシンプルな話を複雑にしたがるもんだ」
真島が愉快そうに声を弾ませていると、寝転がっていた影胤は自分たちの頭目へ悪だくみの算段を訪ねる。
「さぁて、真島くん?次はどんな悪さをするのかな?」
「今んとこ
真島は挑むように、挑発的に牙をむいた笑みをこぼす。
「こっからがはじまりだ」
次回、ようやくオリジナルエピソードが始められそうです。
六月には間に合う、だろうか……。ラブコメ要素が死ぬほど苦手な作者ですが、どうにか書き上げていきたいと思いますのでどうか応援のほどよろしくお願いします。
オリジナル回のエピソードについて
-
結婚式
-
パンダ捕獲作戦
-
半額弁当争奪戦
-
ordinary days編