破壊王の双子には兄が居るらしい。 作:なにぬねの
第二回イベントが終わった後、メイプル達はメダルによる新スキルお披露目会をやっていたらしいが、カイは疲労と課題を思い出し即刻ログアウトをしていた。
現在時刻はその翌日の夕刻。室内故脱いでいたブレザーを羽織り、重たい教科書が詰め込まれたリュックを背負う。丁度下校の時間帯であった。
階段を降り、昇降口へ向かっていた彼は胸ポケットにある端末からの通知音に意識を向ける。
それはNWOの運営が発表した新要素について。
一つは大盾が貫通攻撃に対応するスキルが新たに実装されたこと。ぶっちゃけ魁にはあまり関係のないもののため流し読みで次の項目までたどり着く。
「ギルドホーム......。てなるとこれから団体戦が増えるか?」
二つ目の内容は、ギルドを創設する際あったほうが良い拠点のことであった。今後ステータスアップの恩恵などが貰える仕組みになっているらしい。
しかしこれの懸念点がギルドホームは現段階で街にある入れない建物の数のみになっているらしい。しかもなんとそれらを手に入れるには前段階が必要で【光虫】夜飛ばれるものを捕まえないといけない。つまり早い者勝ちである。
「ん?理沙からメールだ」
友人からのメッセージに再び歩くことを開始する。内容は魁もたった今考えていたものについてであった。
『運営からの通知見た?あれって多分日をおけばおくほど大規模ギルドが有利になると思うんだ。今日空いてるなら一緒に探さない?』
既に自分と同じギルドに入ることが決定しているような文面に彼は苦笑を漏らした。だがその顔には否定の意など一切含まれていないように見えるため、彼も又然りである。
「多分メイプルも居るだろうし、3人で動けばなんとかなるだろ」
残念ながらその予想は砕け散るのであったが、それを知るのはログイン後にサリーから話された時であった。
「それで?結局メダルスキルはどんなのにしたの?」
青い衣を纏う彼女は、隣を歩くカイを覗き込むようにして言った。
それを待ってましたと言わんばかりのカイは自身のステータス欄からそれを見せる。
因みに彼は先程本日のメイプル失敗談を聞かされていた。遠い目をしながら彼が放った言葉は「どんまい」のみである。まあ、それ以外言いようがなかったという方があっているだろうが。
「【魔力増強】と......なにこれ、【リフレクト】?」
「ああ、【魔力増強】はその名の通りINTが1.5倍になって魔法系スキルの威力が上がるやつ」
「メイプルの【フォートレス】みたいな感じだね」
「やっぱ取ったんだあれ......。どんだけ固くなるつもりかな」
二人してここには居ないあの鉄壁少女を思い浮かべる。正直二人にとって現在一番対人戦で当たりたくないメンツの一人であるので、「はは...」と声を揃えて乾いた笑いを溢した。
「で、【リフレクト】ってどう考えても盾職用じゃないの?」
「んー、そうなんだけど......あ」
スキル運営について問われたカイは、何かを思いついたようにサリーの方に向き直る。当然彼女は疑問を浮かべていた。
「ちょっと付き合ってくんない?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あー!カイがログインしてますよ」
「本当か!あいつ昨日スキル選ぶだけ選んでログアウトしちゃったからな」
「やっぱ気になるのは【リフレクト】の使い方だよな」
そう言って運営陣はわらわらとスクリーンの前に集まり、その話題の中心人物であるカイを映した。
「お、決闘中か?」
「相手はサリー、でもガチって感じじゃないぞ?」
「何やってるんだ?」
次の瞬間、運営陣が見たものはサリーが放った火球やら風刃やらを足で蹴り返すカイの姿であった。
「「「「はぁ?!?!?!?!?!」」」」
「え、どゆことどゆこと???」
「あー!!もしかして【リフレクト】って......」
「このためだったのか......」
「こういう少年漫画あったよな......」
「まさかMMORPGで見るとは思わなかったけどな......」
まさに死屍累々のようにされた運営陣であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これがさっきのタネってわけね」
「結構いい案だろ?」
そう言って二人が見るのは一つのパネル。
【リフレクト】
10秒間すべての遠距離攻撃を弾く。相手に跳ね返る速度は自身のAGIに依存。なお、事前に登録した装備品のみ効果発動。30分後再使用可。
「多分大盾かプロテクターとかバックラー持ちの剣士職用に考えられたものな気がする」
「ソロで動く時近距離相手しながら魔法職潰すの面倒だったからさー」
サリーはじとりとした視線をカイに向ける。「どうせ避けられるくせにな」とでも言いたげな目つきであった。同時に彼の突飛な発想をメイプルに重ねてしまったが、それは似て非なるものである。ざっくりと考えればメイプルの行動基は好きか嫌いか、楽しいか否か。それに対して彼は基本損得。「それを楽しんでいる」と言えば確かに同じとも言えてしまうかもしれないが、少なくともサリーは前者のほうだろうと考えた。
「じゃあお披露目も終わったことだしそろそろ探し始めるか?」
「うん!情報だとあっちのエリアが多いみたいでね.........」
そうして彼らは動きだす。その後の普段どおり息のあったプレイはまるでお手本のようなものであり、周囲に居た者が羨望の眼差しを向けたのはまた別の話であった。
三日後、現実での失敗を修正したメイプルはやっとのことでログインを果たした。
「お、メイプル復帰?」
「カイ!久しぶり〜。サリーは?」
二人が会話を交わしていると、途中から急いでサリーがやってきて話に加わる。
メイプルはこの三日間NWOの情報にすら触れていなかったらしく、まずはその新実装内容について説明し始めるところだった。
「ええ?!じゃあ急いで探しに行かないと!!ゴールドも集めなきゃだよね......」
ギルドホーム関連について話すと、彼女は案の定焦りを見せていた。しかしカイとサリーの二人が口を挟む。
「「メイプル」」
「え?」
「「もう取ってある」」
ドヤ顔の二人が見せたのはゴールドの数値が「
それを眼前に突きつけられた彼女は「ほわああぁぁぁぁぁぁ」と言う情けない声とともに目を丸くしていた。
三人はギルドホーム探しに乗り出した。その間、メイプルは二人に「なにかお礼がしたい」と申し出たのだが、
「私に合った装備品とかで返してくれると嬉しいかな?」
「俺は良いよ。ほら、剣とスキルの巻物貰ったし」
カイはサリー伝いで第二回イベント中に二人が手に入れていた【ゴブリンキングサーベル】と【古代ノ海】のスキルを貰っていた。
それらを引き合いに出され、あっさりメイプルは丸められてしまう。けれども三人の雰囲気は和気あいあいとしたものに戻っていた。
市街地に近いものはデザインが気に食わない。すでに別のギルドに買われている。対象が大規模ギルド向きのもの。
意外と、条件に合致しかつ三人の感性にストライクを決める建物が見つからない。気づけば街の中心近くにも買えるはずなのにリアルで言えば郊外の方にまで来てしまっていた。
「ここも登録済みかー。結構埋まってるなぁ」
サリーが付近の建物の扉を確認するが、やはり先着がいるらしい。
「あ、ここいいかも......」
声を上げたメイプルのもとに他の二人も集まる。
木々に囲まれ少々奥まった場所に建てられていたのは大樹を形どった未登録の建物であった。
「結構いい感じじゃん?」
「メイプルもこういうの好きだもんね。私もいいよ。隠れ家みたいで面白いし」
「じゃあここで!!」
サリーとカイも同意したため、長かったギルドホーム選びも終了となる。
はめられたメダルはその金色で陽光を充分に跳ね返していた。
早速開けられた扉の先は、外見からも想像の出来るログハウス調の内装。
「おおー!結構広いねー」
「でもこれでも最下級の広さらしいな。大規模ギルドとかは何百人といるって聞くし......」
メイプルの率直な感想に、一番にロッキングチェアを見つけうきうきとそこに座したカイが答える。
「ギルドマスターはメイプルかな?」
「もち」
「ええっ!わ、分かった」
ここの長が決まったところで、三人は他のメンバーの勧誘の話に移る。
その後、今までの三人の人脈も活用して四人のプレイヤーが集められた。
大盾使いのクロム、生産界不動のトップであるイズ、それから先のイベントにて交流があったカスミとカナデ。カナデは初心者とはいえ、それぞれ抜きん出た実力をもつメンツであった。
「メイプル、ギルド名は?」
書記と言う名の入力係であるサリーがギルマスに問う。
「えっ、私が決めるの?」
そんなメイプルの戸惑いを含む言葉に他のメンバーは各々の賛成を伝えた。
「だってギルドマスターだし」
「ネーミングセンス良さそう」
「異議なーし」
「私もそれが良いと思うぞ」
「俺も賛成だ」
たじたじになるメイプルも「それなら」、と意を決したようにその名を告げた。
「【楓の木】」
今後、人外魔境だのなんだのとと言われつつも大規模ギルドに対抗可能な個性派小規模ギルドの誕生の瞬間である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あー!ちょっとー、カイもうギルド入っちゃったみたいなんですけどー!」
自身のフレンド欄からその情報を知ったフレデリカは同じギルドに属す男三人衆にごねた。ローブの裾をくしゅりと掴みながら「一足遅かったかー......」と愚痴をこぼす。コロコロと変わるその表情は悔しさを塗りたくったような物になっていた。
当然、以外そうなものを見る目でペイン達は彼女を見やるが彼らも分からないわけではない。
技量、判断力、そして人柄。メイプルたちと比較すれば接する回数が少ない彼らもその男がどれほどの強さを持つかなんてとっくのとうに知っていた。
「逃した魚は大きい、か。でもライバルが強いほど燃えるのも間違いではないだろう?」
士気を上げるためか自分に言い聞かせるためか。その言葉の裏は分からないものであったが、少なくとも彼ら彼女らは発破をかけられたには違いない。
「団体戦が楽しみだぜ」
「次こそは、勝つ」
「ま、しょーがないよね」
それぞれ成長するために、その豪勢なギルドホームを出てフィールドに向かう。
ただ一人、フレデリカだけは傍目から見ればその吹っ切れたような顔の下に、未だ本の一握りの後悔と嫉妬の色を残していた。
アンケ追加します。
因みに作者の一存でフレデリカ落ちても当て馬に抜擢されます。許して下さい。
長くて一週間ほどできります。数値固まってきたら早まるかもしれません。
ご協力お願いします。
落ちについてです。
-
フレデリカ一択
-
サリーしか考えられぬ
-
他のヒロインが良いでござる
-
落ちなんていらねえ
-
何でも良い・結果確認用