破壊王の双子には兄が居るらしい。   作:なにぬねの

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アンケート締め切らせていただきました。結果はサリー派の勝利です。
ただ意外とフレデリカ派が多かったことが嬉しかったですね。
今後の恋愛模様にもご注目下さい。


ギルドの日常と毛刈りについてらしい。

 

 これはカイが所属しているギルド【楓の木】が創設されて少し経った頃。ホームにはメンバー全員が集まっていた。無論、このギルドは少人数かつ毎日ログインを欠かさない者ばかりなので全員集合の光景は幾度も目撃されているのだが。

 

 「おお!それがイズに頼んでた新しい装備か?俺も新しい装備が欲しくなってくるな......。」

 

 クロムがそう呟いた。彼らの目の前には純白がベースになった新装備を身に纏ったメイプルが居る。

 

 「メイプルが装備欲しがるとか、何があったのか聞くのが怖い......」

 

 「ああ、本当にその通りだな......」

 

 「逆にあの要塞に今更足りないものってなんだよ」

 

 「メイプル、白も似合ってるよ!」

 

 サリー、カスミ、カイは我らがギルドマスターがまた何かとんでもないことをするのか、と戦慄いているが、カナデは至って通常運転と持ち前の冷静さもといマイペースを発揮していた。

 

 「この装備作ってもらった理由説明するね!とりあえずモンスターにいっぱい囲まれる系のところ行こう!」

 

 メイプルは意気揚々に、新たに取得したスキルの説明も兼ねて他のメンバーをフィールドへ引き連れていった。

 

 

 着いた場所は以前カイが【集う聖剣】の幹部たちとの探索の際に行った所。

 余談ではあるが、カイは彼らが大規模ギルドを設立したことを知っていた。のため彼は紅一点のプレイヤーであるフレデリカに「宣戦布告(よろしくな)メール」を送ったのだが、案の定そんなもの関係ないと言わんばかりに勧誘されていた。

 

 「よし、そろそろ数十体が来始めるぞ」

 

 「あっ、スキル発動したら攻撃受けていいよ!」

 

 腰に掛けられている剣をカイは抜くが、そんな彼を尻目にメイプルは全員に言葉をかける。もちろんその内容にイズを除く誰もがポカンとした顔を晒した。

 

 「じゃあ行くよー!【身捧ぐ慈愛】」

 

 彼女がその短剣を天に突き刺すと、ダメージエフェクトが弾けると同時に身体を淡い光が包んでいく。金髪に碧眼、背中の雄々たる翼と頭上に金の輪っかというどんな者が見ても間違いなく「天使」を想像するであろう格好にメイプルは早変わりしていた。

 ふとカイが足元を見ると、地面もなんと淡く明るい光を発していた。

 

 「それじゃあ私が行くわね」

 

 身体を硬直させたままの周りを見てイズがモンスターの群れへ飛び出した。しかし、待っていた光景はあっさりと跳ね返される獣の数々。

 

 「は?どういうことだ?」

 

 真っ先に疑問を上げたクロムを見て、メイプルとイズの二人は種明かしという名の説明を行う。 

 要約すると、この光る円の中にいる味方は全員メイプルと同じVITになるのだとか。

 

 「うわぁ......」

 

 誰かがあげたその言葉はまさにこの場にいる者の意思を代表したものと言えよう。場にいるものを倒すためにはメイプルを、メイプルを倒すためには場にいるものに貫通攻撃を。しかし被弾を回避することができないのは強いて言ってカナデくらい。これがRPGの敵陣営に居るとしたら、それはどこの無理ゲーであろうか。全人類がコントローラーを液晶に投げつけ放心する未来すらありえなくないのだ。

 

 「でもメイプルは今装備変えてるでしょ?僕らへの攻撃受けきれるほどのVITは......」

 

 「だいじょーぶ!何も装備しなくてもVIT1000超えてるから!」

 

 イズ・カスミ・カナデ→2桁

 サリー・カイ→数値0

 

 「因みにクロムって今VITどのくらい......?」

 

 「聞かないでくれ......」

 

 そんな虚しい会話がフィールドに木霊した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

126名前:名無しの大盾使い

やあ    

 

127名前:名無しの槍使い

おう

メイプルちゃんと王子のギルドに入るとは......

憎い!羨ましい!

 

128名前:名無しの大剣使い

いいよなあ

サリーちゃんに接触してみてくれとか頼んだがそれ以上とは

 

129名前:名無しの魔法使い

俺は姫との同ギルドなんて許さない

つかそれ抜きにしてもあそこの女性陣顔面強いしな

 

130名前:名無しの短剣使い

まじSORENA

俺なんか姫のカフェにすら行けてないのに

 

131名前:名無しの大盾使い

この前作りすぎたとクッキーを頂きました

 

132名前:名無しの魔法使い

ギルティeeeeeeeeee

 

133名前:名無しの槍使い

あそこ女性ばっかで入りづらいよな

どうせほとんど王子のファンだぞ?

 

134名前:名無しの弓使い

そのモテっぷり見て【暴君】呼びのプレイヤー数が激増したらしい

主に男

 

135名前:名無しの魔法使い

あれを憎悪の対象になんてレベチ過ぎて無理があるだろ

俺1ヶ月も続かないに賭ける

 

136名前:名無しの大盾使い

>135

右に同じく

 

137名前:名無しの短剣使い

>135

同じく

 

138名前:名無しの槍使い

>135

同じく

 

139名前:名無しの大剣使い

頼むから賭けをしてくれよw

 

140名前:名無しの弓使い

つか情報くれ

どうせ色々あるんだろ

 

141名前:名無しの大盾使い

おう、まずはな......

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 とあるスレにて第二形態だの地獄絵図だのという単語が飛び交った日から数日。

 第二回イベントから再び己と自身のパートナーであるクロのレベリングを進めていた。

 連日の雑魚狩りやクエストのおかげでカイのステータスはぐんと伸びていた。

 

 

カイ  Lv54

 

 

HP 40/40(+115)

 

MP 110/110(+50)

 

STR 245(+70)

 

VIT 0

 

AGI 172(+75)

 

DEX 70(+10)

 

INT 80(+30)

 

 

頭装備 猛者の象徴Ⅹ 【DEX+10 MP+10】

 

体装備 御影の上衣 【STR+20 MP+40】【破壊不可】【賢者の秘法】

 

右手装備 導星の一閃 【STR+50 AGI+25】【破壊不可】【十二星座の加護】

 

左手装備 (装備不可)

 

足装備 玉屑の洋袴 【AGI+30 INT+30】【破壊不可】【雪獄の罪人】【宿雪】

 

靴装備 宵闇のブーツⅧ 【AGI+20】

 

装飾品 黒の手套Ⅶ 【HP+100】

 

  水巫女のアンクレット 【水面の舞台】

 

  絆の架け橋

 

 

スキル

 

【片手剣の心得Ⅸ】【体術ⅴ】【攻撃逸し】【跳躍Ⅱ】【四面楚歌】【海の覇者】【リフレクト】【パワーオーラ】【鎧砕き】【HP強化小】【MP強化中】【MP回復速度強化中】【MPカット中】【魔法威力強化中】【魔力増強】【毒無効】【氷結耐性大】【炎上耐性中】【水泳Ⅹ】【潜水Ⅹ】【投擲】【釣り】【採掘Ⅰ】【採取Ⅰ】【料理Ⅹ】【しのび足Ⅱ】【気配察知Ⅲ】【気配遮断Ⅱ】【遠見】【氷雪喰らい】【超加速】【魔法の心得Ⅳ】【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【ダークボール】【サンドカッター】【ファイアウォール】【ウォーターウォール】【ウィンドウォール】【サンドウォール】【リフレッシュ】【ヒール】【炎弾】【水弾】【光線】【石弾】【火魔法Ⅲ】【水魔法Ⅲ】【風魔法Ⅱ】【光魔法Ⅲ】【闇魔法Ⅰ】【土魔法Ⅲ】

 

 

 「確かペインはイベント前で既に60超えてるし、やっぱ料理に専念しすぎたか」

 

 ここには居ない一人のライバルのことを思い浮かべ、彼は「ぐぬぬ......」とでも言うように悔しげな表情を見せる。だからといって愛する妹たちのため料理関連の手を抜くと言う考えには至らないのがこの男なのだ。

 クロはそんな主人を見かねてするりとすり寄る。

 

 「ああ、お前も昨日の分の確認してなかったな。えっと確か......」

 

 そこまで言ったところでカイはピタリと動きを止めた。そして数回自身の目の前のパネルと可愛らしいパートナーを交互に見る。

 

 「っ......マジ......?」

 

 

【急成長】

 体積増加。ステータスは変化なし。解除、または【休眠】をすることによってもとに戻る。

 

【大海原】

 半径20メートル。高さ15メートルに及ぶ円柱形の水塊を生成。半日に一度使用可能。解除しない限り物体としてその場に残る。

 

 

 カイは顔を醜曲させ―――まあそれでも充分整った顔なのだが、座っていた地面にゴロンと寝転ぶ。幸い周りに人は居なかった。

 

「あああああ!クロに先越された!!」

 

 彼が言ってるのは大規模範囲のスキルのこと。ただでさえカイはそんな物が少ないのに彼の持つ最大範囲の【十二星座の加護】15メートルまであっさりと抜かされてしまった。これによりカイはハートブレイク。似たステータスの(信じていた)相棒に裏切られた傷はなかなかに大きかった。

 そんなことなど分かるよしもないクロはカイの膝に乗り称賛をせがむ。淀みなき眼に当てられてしまった彼は溜息を零し立ち上がった。

 

 「とりあえず、ホームの訓練場で様子見だな」

 

 肩に乗るパートナーを撫でつつ、カイは歩みを始めた。

 その後、クロの期待を裏切らなかかった技にカイは明後日の方向を見、他のものは「お前もか」と言う眼差しを向け、クロムは新たなネタをしっかり拾っていた。

 「20×15って、結構広いんだなぁ。はは......」という数日前のクロムのような放心状態にギルドの面々はデジャブを感じたとさ。

 

 

 因みに【急成長】は成人男性一人ほどしか乗れない大きさと分かり、カイが安堵の息をついたのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「となるとやっぱ【毛刈り】を個々で進めていってイベントに望む感じだな」

 

 「【羊毛】が大分補助数値入るみたいだからね」

 

 サリーとカイは草原に散らばる白い毛の塊もとい羊を眺めながらそう会話を交わす。

 先日発表された第三回目のイベントは期間限定の牛型モンスターを倒し、アイテムを集めていくというものであった。当然収集率によって報酬は変わるらしく、その大半はギルドホームに設置し所属メンバーのステータスを上げるものらしい。

 現在は言わばその準備期間であり、イベント中に効果を発揮する装備を作成可能な素材を集めていた。

 

 「スキルは持ってるんだよな?んじゃ行くか」

 

 「イズさんが量産する気満々だったから頑張らないとね」

 

 「ああ、【神託の代行者】【幻魚の尾鰭】」

 

 「「【超加速】!!」」

 

 サリーにAGIバフを掛け二人は超スピードで草原を駆け出す。彼らのパートナーとカイの分身体は逃げ出す羊の足止めを、そこへ【毛刈り】を使える二人が飛び込んで素材を集めていく。相変わらずのコンビネーションと言うべきか相性の良さと言うべきか。ともかくお目当ての【羊毛】は数時間で相当の量が集まった。

 

 

 「イズー。羊毛集めてきたぞって......」

 

 「メイプル、何その量......」

 

 ギルドホームに戻ってきたカイとサリーは明らかに目の前の少女では不可能であろう量を目にし、唖然とする。それは二人が集めた【羊毛】の量を上回っていた。

 

 「一日ごとに【羊毛】作れるようになったから毎日刈れるよ!」

 

 数分前にイズに言った言葉をそっくり繰り返すが、二人は案の定「ん?」と聞き返す羽目になっていた。

 

 

 

 

 して二週間後。第三回イベント当日の日である。今日は割と早い時間から【楓の木】のメンツは集まり、そのホームでは性能確認という名の衣装お披露目会が行われてた。

 カナデは本人のメイン装備を作ってもらっていたようでその際に【羊毛】の使用。メイプル、サリー、カスミ、カイの四人はしっかりとイズのもこもこ装備の餌食になっていた。もちろん恥ずかしがっていたのはカスミとカイのみであったが。

 マフラーにボア素材のようなポンチョ。そして服の裾やら襟やらあ袖やらの至るところに付いているもこもことした【羊毛】。そんな可愛らしい装備になってしまったカイはその服装と正反対の怖怖しい顔つきで犠牲を免れたクロムに詰め寄った。

 

 「クロムてめぇ裏切ったな!!」

 

 「すまん。ちょっと圧力が、いや何でもない」

 

 「おい!」

 

 そんな光景を見て今回の黒幕であるイズは微笑む。

 

 「良いじゃない。イベントのためよ」

 

 「でもどうせ外見までもこもこにしないこともできたんだろーがよ......」

 

 イベントのため、と言われカイは反発はやめないがその意気はやや弱まる。

 

 ((チョロいな/わね))

 

 クロムとイズにはしっかりと彼の性質を見抜かれていた。

 

 

 その後のイベント期間中、カイは牛を狩り牛を狩り日々を過ごしていた。今回は専用スキルなど関係ないので分身体の活躍も凄まじい。単純計算で二人分の成果を叩き出す。もちろん分身体は休みなど必要ないため実際はそれ以上なのだが。

  

 『メイプルを見たか?』などというメッセージがしきりに飛んでくるあたり、大方年長者組は再びギルドマスターがなにかやらかすのではと考えているのであろう。

 

 が、そんなメッセージに逐一丁寧な返しはできないため、彼は『見てない』とそっけない返信をし、牛狩りに戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「......というわけで、第三回イベントお疲れ様ー!!」

 

 メイプルのそんな掛け声は、イベント後の慰安会のようなものの際に発せられた。

 

 「三人は疲労が凄そうね」

 

 「サリーとカスミとカイは個人ランキングも兼ねてたからな。カイなんか個人3位だし。ぶっちゃけ俺らが報酬取れたのも三人のおかげだ」

 

 名前のあげられた三人は頭から蒸気が出るんじゃないかという様子のままテーブルに盛大な突伏をかましている。

 それ以外のメンバーは今回の一位はどこだとかイベントのまとめのような会話を交わしていた。

 

 「報酬は【楓の木】に所属するプレイヤーのSTRが3%上昇ですって」

 

 イズは今回入手した牛を象った壁飾りをメイプルにわたしながらそう伝える。

 

 「STRかあ〜。私には関係ない......いや?そうだ!関係あるんだった!」

 

 STR0のハズのメイプルがなぜ。ギルド内に大きなざわめきが起こった瞬間である。

 

 「メイプル、お前イベントでなんかあったか......?」

 

 「んー。二層で色々やってたよ」

 

 沈黙が走る。次はどんな奇行を見せるのだろうか。そんな思いでギルドメンバーはいっぱいであった。

 その後、三層へのダンジョンの際にその力は発揮されるのだが、皆これだけは口外しないようにしようと暗黙の了解ができたのは言わずもがなである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「ねえお姉ちゃん、通知見た?今度は三層追加だって!」

 

 「見たけど私達まだ一層だよ?お兄ちゃんにも追いつかないと出し......」

 

 「お兄ちゃん、どれぐらい強いのかなぁ。あっ、見て強そうな武器!」

 

 「買うお金ないよ?」

 

 「見るだけー!」

 

 

 




きちゃああああああああああ!!
やっとですよ!がんばります!!
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