破壊王の双子には兄が居るらしい。 作:なにぬねの
カイ Lv63
HP 40/40(+115)
MP 110/110(+50)
STR 265(+70)
VIT 0
AGI 180(+75)
DEX 70(+10)
INT 95(+30)
頭装備 猛者の象徴Ⅹ 【DEX+10 MP+10】
体装備 御影の上衣 【STR+20 MP+40】【破壊不可】【賢者の秘法】
右手装備 導星の一閃 【STR+50 AGI+25】【破壊不可】【十二星座の加護】
左手装備 (装備不可)
足装備 玉屑の洋袴 【AGI+30 INT+30】【破壊不可】【雪獄の罪人】【宿雪】
靴装備 宵闇のブーツⅧ 【AGI+20】
装飾品 黒の手套Ⅶ 【HP+100】
絆の架け橋
蠱毒の指輪 【螺蠃の猛毒】
スキル
【片手剣の心得Ⅹ】【体術Ⅵ】【攻撃逸し】【跳躍Ⅲ】【海の覇者】【リフレクト】【四面楚歌】【パワーオーラ】【鎧砕き】【HP強化小】【MP強化中】【MP回復速度強化中】【MPカット中】【魔法威力強化中】【毒無効】【氷結耐性大】【炎上耐性中】【水泳Ⅹ】【潜水Ⅹ】【毛刈り】【投擲】【釣り】【採掘Ⅰ】【採取Ⅰ】【料理Ⅹ】【菓子職人Ⅱ】【ソムリエⅡ】【しのび足Ⅱ】【気配察知Ⅲ】【気配遮断Ⅱ】【遠見】【氷雪喰らい】【超加速】【魔法の心得Ⅳ】【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【ダークボール】【サンドカッター】【ファイアウォール】【ウォーターウォール】【ウィンドウォール】【サンドウォール】【リフレッシュ】【ヒール】【炎弾】【水弾】【光線】【石弾】【火魔法Ⅲ】【水魔法Ⅲ】【風魔法Ⅱ】【光魔法Ⅲ】【闇魔法Ⅰ】【土魔法Ⅲ】
「ふぅ......」
一つのため息とともに、カイは最終確認を終えパネルを閉じる。クロのスキルも確認済み、装備だって先程まで付けていた【水巫女のアンクレット】から【蠱毒の指輪】に変え、準備は万端である。
「【集う聖剣】待ち......かな」
サリーのその言葉がギルド内の雰囲気を締めたのはつい先程の話であった。
イズとカナデを残し、他のメンバーで二手に分かれて攻めに転じた後、彼らは一度拠点に戻って現状確認を含めた作戦会議のようなものを開いていたのだ。
腫れ物のような扱いだった【楓の木】に連続して襲撃が入ったこと、攻撃組もなかなかオーブ奪取が上手く行かなかったこと。そして何より、カイより挙げられた「【集う聖剣】との元の協定に期限があったことから推測される彼らによる襲撃」について。どれもがメンバーの頭を悩ますものであった。
(どうせペインのことだ。そんなに時間は空けずに来るはず。こっちの陣営の勝機はやっぱ.........メイプル次第か)
これ以上考えても事に変化が出てくるわけではないと己に言い聞かせたカイは、ふるふると頭を振って休憩スペースへ向かった。
そして、二日目の終わりが近づいてきた頃。彼らが待ち構えていた人物たちが、ついに拠点へ足を踏み込ませる。
カイを含めた【楓の木】の面々は、各々が手に持つ武器を構えた。
「数は......ペインたちを含めて十五だ」
【気配察知】と己が視力に頼り、彼は敵の戦力を確認する。事前に考えていた範囲内らしく、味方は全員落ち着き払っていた。
「やっほーまた会ったねー」
フレデリカはいつものように軽い口調でそう話すが、彼女の瞳は実に好戦的なものであった。やはり、先のサリーとの一騎打ちが関わっているのだろう。カイは緊張を再度纏い直し、サリーはその手に握るダガーへ込める力を強くした。
「緊張感がないな、今からやり合うんだぜ?」
ドラグの言葉により、カイは「やはりオーブ目的なわけではないか」と一人結論を出す。彼らは己と同等もしくはそれ以上のライバルを求めている。するとやはり、個々の殲滅力の高い【楓の木】に矛先が向くのは仕方のないことだろう。
それに、“彼”はカイをライバル視している。
「メイプル、一度戦いたいと思っていた。勝てると判断して......倒しに来たよ」
「私、負けませんから!」
ペインの言葉に応じた彼女は、戦いの火蓋が切られるような
「【多重加速】!」
フレデリカはバフスキルを発動させ、彼ら四人の後ろにいた【集う聖剣】のメンバーも走り出す。
「だが、先にこちらとやらせてもらおう!」
黒衣を身に着ける、
「ッチ......まぁ、お前はそういうやつだったな。ペイン」
金髪の美丈夫が振りかぶった大剣は、その数倍細々とした体積のレイピアによって難なく阻まれる。
細剣が突き、大剣が薙ぎ、盾は弾いて火球は舞う。今イベントの各地で行われた戦い達とは一線を画す、そんな戦闘がそこでは繰り広げられていた。
「やはり数レベルの差ごときでは勝ち筋を簡単に見せてはくれないな」
「言ってろ【聖剣】。そんなもんお前に見せる理由がないんだ」
両者とも守りに入る素振りなど一切無く、彼らの目に映るのはらんらんと漏れ出す野心と、自分が“勝利”を手にするビジョンのみである。
一度見たらそのまま見入ってしまう戦闘だが、生憎周りの人間はそれが許されてはいない。
【身捧ぐ慈愛】が足を引っ張ると判断して解除するメイプルを含め、すでに洞窟内ではいくつもの戦いが始まっていた。
「「【ダブルスタンプ】!!」
「【地割れ】!」
マイとユイが放つ暴力の権化は、同じくしたドラグのスキルによって相殺される。
「【カバームーブ】!」
「【カバー】」
余力で飛んできた衝撃波から双子を庇うようにしてメイプルは移動を、クロムは防御の行動に移った。
そして一方で、カイへ応戦に向かおうとした者が
「!【パワーアタック】」
「あいつらのとこには行かせねーよ」
ドレッドとサリー。こちらの戦闘も似通った者同士が鎬を削っていた。
外でも、カスミやカナデ、イズの三人がフレデリカ率いる小隊ともやり合っている。
一見すれば各地でそれぞれの戦いに没頭しているような規則性のある空間。しかしやはり皆思いは重なるわけで、ここから離れた観戦場にも熱気が伝わるような盛り上がりになっていた。
が、そのある意味整然とした見てくれが剥がれ始めた。
きっかけは洞窟内に響く甲高い叫び声。
「っ......!きゃあっ!!」
瞬間、カイは頭に冷水をぶっかけられたようにして意識と視界を広げた。
前方に映るはドラグの斧刃がかすり、瀕死で倒れるマイの姿。
ぷちり、と。彼の頭の中の何かが切れた音がした。
「【超加速】【幻魚の尾鰭】【崖の王者】」
何かが、とんでもないスピードで宙を駆けた。
そう脳が認識するのにも時差が生まれるほどの超スピード。その者はマイに最後を迎えさせようとしていたドラグの眼前に迫る。
「手前ぇ、なに人の妹傷つけてんだよ」
超至近距離でそれを聞いた彼は震え上がった。ああこれが、こいつの本気なのだと。
だがそんな思惑など関係ないと言わんばかりのカイは、ドラグのその巨躯な身体を切り裂くようにレイピアを走らせていく。もちろん当の本人であるドラグもそれを薙ぎ払おうとするが、いかんせんAGIの差が明白過ぎた。
「マイ、舌噛むなよ」
ある程度のダメージを与えたカイは、前方で振り回される大斧を易易と避け、後ろに控えていたマイを持ち上げ後退した。
「【乙女の祈り】ごめんな、大丈夫か?」
「うん。ありがとうお兄ちゃん!」
殺気を振りまいたかと思えばこの有様だ。慈愛に満ちた、双子を見るその目はただの家族思いの青年にしか見えなかった。
だが、それだって長く続くわけではない。
「ペイン、すまないが決闘はまた今度にしよう。ここからは.........
――――――全面対決だ」
個別に戦っていたそれぞれの陣営が再びそれぞれ再結する。
【楓の木】対【集う聖剣】。本当の意味でのギルド戦争は今、始まったのだった。
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「うっ......あ......」
あれからまだ、苛烈極まる戦いは続いたままであった。しかしここでメイプルが、【楓の木】にとって絶対的な象徴であったメイプルが【不屈の守護者】を発動させてHP1で食いしばる事案が発生した。
彼女の仲間は動揺を隠せなかった。なにせ、あのメイプルなのだ。普段「歩く要塞」などと呼ばれている彼女が、瀕死になる姿など殆どのプレイヤーが想像しがたいものだろう。
当然ながら、敵陣はその隙きを見逃すはずもなかった。
「【パワーアックス】!」
クロムの胴を狙ってドラグはスキルをぶつけようとする。だがそれを許さぬ刃がここに届いた。
「俺、まだ許してないから」
「こんっのっ......!!」
ドラグの斧がカイのレイピアによって軌道が変わり、致死ダメージを負わすはずだった物は衝撃波のみを発して消えた。そのおかげでクロムはある程度のダメージを受けてしまったが、本体をそのまま食らうよりマシだろう。
「クロム、ここ頼んだ」
「ああ!おい、それなりにしぶといぞ、俺もな!」
ユニーク装備のスキルによって延命を果たしたクロムが彼の前に立ちはだかり、カイはその場を離れてメイプルに応戦しようとする。
「【多重炎弾】!」
だが、敵陣の頼もしいバッファーがそれを許しはしなかった。
カイの眼前に幾重もの火球が連なる。この火の大隊を避けるのは無理であろう。
「【リフレクト】!!」
ならば突破すれば良い。スキルの十秒間を有意義に過ごすように、カイはそのすべてをご丁寧に敵陣へ返した。
「そんなの反則でしょ!!」
そんなフレデリカの宣いを無視するように、カイは彼女へどんどんと近づいている。彼女を潰す方が優先と考えた彼の動きには迷いはない。しかしフレデリカだってトップランカーの一人。有象無象のその他の後衛と違って、ある程度近距離戦闘に陥っても抗うことを可能にできる彼女を撃破することは、カイにとっても容易なことではなかった。
火に、水に、岩。時々それらに光砲も混じり、一緒くたに彼に襲いかかる。避ける事はできても、基本レイピアで弾き返しながら特攻をするタイプのカイは、既のところで毎回距離を離されていた。
(AGIを上げるのはまだ再使用時間が抜けきってないから無理だ。なら......)
剣を振りながら、彼は常に現在の得策を探り、更新し続ける。
「【撃手の器量】【ウィンドカッター】【神託の代行者】!」
カイは呼び出した。彼が意のままに操れる影武者を。しかもそれを悟られないように前菜を放り込んで。
フレデリカが自動追尾と化した風の刃の処理に戸惑ったほんの一瞬の間に、代行者に中央突破を任せて【気配遮断】を利用した。
「!?さっきより速い!まだバフスキルあったわけ?!」
「【多重障壁】!」
「違うよ」
偽物を文字通り踏み台にして飛び込んできたのは、本物の彼。フレデリカはたった今、先程までのカラクリを解明させたようだ。
最も、もう遅いが。
一枚、また一枚。貼られたガラスのような障壁が音を立てて割れていく。
もう少しだ、とカイに希望の光が射した時、目の前の彼女がおもむろに口を開いた。
「ねぇ、カイはサリーのことが大事なの?」
「は?」
間抜けに上がる彼の声。虚を突かれたようになるがあと残り枚数が一枚の障壁を前にして彼は止まらなかった。否、止まれなかったのである。
「私はね、カイ―――」
「っ!」
彼女の言葉に、カイは息を呑んだ。
レイピアの鋒はもう相手の喉元。酷く、ゆったりとした時間が彼女たちを一瞬包み込む。が、次の瞬間
「【神速】」
サリーを筆頭としたメンバーと戦っていたはずのドレッドが、二人の空間に飛び込んで彼女を掻っ攫った。
「うちの紅一点に死なれちゃ困るんだ」
それはカイに吐かれた言葉だった。彼も共感できる、仲間への思いに溢れた行動。
ならば彼女にはなんと言ったのか。それを聞くことはカイは叶わなかった。
「戦えるか」
「何いってんの、当たり前でしょ。うちのギルドの強さを見せつけてやるんだから」
「はっ、なら安心したぜ」
彼女は、フレデリカは、そのタレ目がちの目尻に水滴を浮かべながらも、威勢よくそう宣言する。
ドレッドは彼女のその底抜けの精神力を、褒め称えるべきだと心から思ったのであった。
そして数刻後。長かった戦いにようやく終止符は打たれ、それとともに一匹の化け物がイベントフィールドへと解き放たれたのであった。
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先の戦いでメイプルは【暴虐】状態となってしまったため、【楓の木】は急遽予定変更。まだ三日目に入った途中だと言うのに、最終フェーズとして考えていた“他ギルド”潰しに取り掛かることとなった。
不幸にもメイプルという名の怪物に踏み荒らされたギルドは敢え無く撃沈し、オーブを奪われ取り返しにきた者たちも【楓の木】の全員から放たれる殲滅力の前に沈んでいた。これはこのギルドが未だ一人もデスを経験していないという点も多いだろう。デス数の溜まったプレイヤーたちにデバフ0、寧ろバフを添えた状態の彼らはオーバーキル過ぎたのだ。
因みに、三日目に【炎帝ノ国】の周辺にいたプレイヤーとそれを観戦していた者たちの脳内に一番残っているのは、【暴虐】状態のメイプルがカナデ、サリー、カイの助力のおかげで合計八体になっていたことだろう。
四日目の早朝にはもう順位など決まっているも当然のようなもので、残りギルド六つのうち、【楓の木】は順位を中盤から落とさず四位のままであった。
かくして、第四回イベントは終りを迎える。それぞれに思うところもあるはずだが、これだけは全員考えていると断言できよう。
「場を引っ掻き回した張本人は【楓の木】で間違いない」と。
なんだか【集う聖剣】との話でいっぱいいっぱいになってしまいました......。
それとお知らせです!この度BURNINGさんという方の「剣士として戦いたいので聖剣使いになったみました」とのコラボ作品が出ることが決定しました!!公開はコラボ先の作品様の200話記念として上げられるようで、私自身も設定について話し合いはしましたが内容は知らないのでとても楽しみとなっています。
気になった方は、コラボ作品もとい本編の方もぜひご覧になってみて下さい!!
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