破壊王の双子には兄が居るらしい。   作:なにぬねの

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どうやったら上手な文が作れるのでしょう......。
きっと一生謎のままですね、ええ。


兄、初の装備品をゲットするらしい。

 

 カイが飛ばされた場所は、一層の街には見られなかった絢爛豪華な城の大広間であった。ヨーロピアン調の作りといいたいところだが、あいにく満天の星空の見えるガラス作りの天井が目に入り、やはりファンタジーなのだと再認識する。

 周りを見ていると、カイの視線は自ずと中央に鎮座する荘厳たる玉座へと動く。見る限りその席の主はまだ居ないようだ。

 隣には先程の妖精。そして左右端にはまるで騎士のように堂々とする他の妖精たちがずらりと並んでいた。残念ながら見た目のせいもあり、カイの目には「可愛いもの」として写ってしまったようではあるが。

 

 

 少しの間待っていると右奥の幕が優雅に開き、その間から一匹の妖精が現れた。周りの妖精たちの何倍も大きく、おまけに豪華な装飾の施されたティアラとドレスを身に纏っているので女王的な立ち位置なのは目に見えてわかる。

 玉座に腰を下ろすと、彼女は口を開く。

 

 「そなたが我が眷属を助けてくれた者であるな?私はこの子らを統べる言わば女王。優しきものよ、名を聞いても良いだろうか。」

 

 「俺はカイと言います。お初にお目にかかり光栄です、女王様。」

 

 まさかここまで流暢に話すと思っていなかったカイは少し驚いたが、すぐにいつもの調子に戻す。カイの態度が気に入ったのか、女王は口角を上げる。

 

 「さようか。此度の件、誠に感謝する。女王として皆に代わって言わせてもらおう。ありがとう。」

 

 まさかここまで感謝されると思っていなかったカイは心のなかで少し狼狽える。

 

 「いえ、滅相もない。自分はそこまでのことはしていません。ですので大丈夫です。」

 

 「ほう、優しく、強くありながらそれでいて謙虚でもあるとは。見事な心構えである。では、そんなそなたに礼として我が種族の力を授けよう。」

 

 そんな女王にカイは、

 

 (よっしゃっ!!これレアスキルとか来るだろ、ラッキー♪)

 

 通常運転だった。

 心を踊らせているカイ、もちろん一切顔に出してないあたりは普段の猫かぶりが板についているからであろう。

 しかし、そんなカイをよそ目に女王が一言つぶやく。

 

 

 「もちろん、我が試練を突破できたらな。」

 

 

 「え、」

 

 今日初にしてカイの皮が剥がれかける。

 

 「私も心苦しいがな、流石に外部の者になんの苦労もなく渡せるものでもないのだ。なに、大丈夫。試練と言っても簡単なものだ。」

 

 軽く緊張していたカイだが、最後の言葉を聞いて安心した。次の瞬間、

 

 

 

 

 広間中央に大きくドーム状のバリアが施された。もちろん彼は中に閉じ込められてしまっている状態である。

 カイの前に大きな魔法陣が現れた。

 

 「いまからそなたには私の召喚獣と戦ってもらう。この場を存分に使い、自身の強さを証明してみせよ!」

 

 

 

 

 

 そして、魔法陣から召喚されたのは明らかにボス級の、黒曜石のような鱗に身を包んだドラゴンであった。

 カイは思った。

 

 (この女、好きじゃねえええ!!!)

 

 と。

 しかしドラゴンはそんな彼の憤怒に塗れた叫びなど知る由もない。つまり躊躇なく攻撃してくる。その巨大な体躯を生かしての地揺らし。尻尾を振り回し牽制。すべてが規格外のサイズであるのだから、ダメージだってそこらのモンスターと比べ物にならないほどであろう。

 

 (今の俺のVITとHPじゃよくて瀕死、最悪ワンパンだな。さて、どうするか......)

 

 近づき、また避ける。いわゆる一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)。カイはしばらく様子見を続ける。

 ドラゴンはVITが低めのステータスなのか、初めたばかりでまだ拙いカイのステータスでもダメージは通った。

 

 「ってなるとやっぱSTR高いんだろうなぁ。はあ、きつ」

 

 愚痴をこぼせるあたりまだ追い詰められてはいないらしいが、それでもまだ確証の成立仕切っていないこの勝負に油断は一切できない。

 カイは四十分ほど先の戦法のままドラゴンを叩くと、HPの約5割を削ることができた。

 

 

 ただ、簡単には終わらせてくれないのがボス戦というものである。

 「攻撃パターンの変化」。カイの頭の中にも予想されていた文字が現実となった。

 ドラゴンの黒い鱗は剥げ落ち、代わりに見えてきたのは白銀の強者を更に引き立たせるような鱗。

 

 (大丈夫、さっきまで近距離攻撃ばっかだったから今度はその逆!ドラゴンなんだからブレス系だろう......。一度距離を取って様子見してから口を塞ぐ!!)

 

 カイは冷静さを欠かないように集中し、軽い作戦をたてる。ただ、世の中には「取らぬ狸の皮算用」とかいう感じの言葉があることを彼は忘れていたらしい。

 ドラゴンは自身の気を貯め、頭上に集束させる。曖昧だった形は段々と具体的になり―――

   

 

 強者が放ったのは幅は優に4〜5メートルあるような隕石。〜大量の星屑を添えて〜

 

 「口から吐けやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 ドラゴンにとっても無理な頼みである。

 予想外の攻撃手段に若干のタイムラグを作ってしまったカイは、隕石にこそ当たらなかったものの、星屑の攻撃を少し受ける。

 

 「げ、掠っただけでこのザマかよ。くそっ」

 

 自身のHPバーが3割ほど減り、カイは悪態をつく。しかし同時に気づいた。自身のステータスが一瞬、凄まじく上がっていたことに。そしてそれは星屑の消滅とともに元に戻ったことにも。

 

 (これは......。運がいいな、俺は)

 

 カイの脳内で即座に今後の行動予定が組み立てられる。

 

 (さっきの攻撃のあと、ドラゴンは疲弊しているように見えた。ということはしばらくの間は撃たないはず。ならその間に削れるだけ慎重に削って......)

 

 つい先程も計画をたて即座に折られた筈なのに、彼はまた懲りずに同じことをする。それが蛮勇となるか、愚鈍となるかはまだ誰もわからなかった。

 それからは、序盤と同じように相手のHPをじわりじわりと削る。ただ最初と違うのはそれを意図的にやっているか否かであった。

 形態変化を経て攻撃パターンが変わったとはいえ、先程の大規模攻撃ほどの変化は見られなかった。となればカイの動きにもあまり大きな変化はない。一、二撃入れたら一度離脱。攻撃を避け次第また反撃。

 

 そうして戦況が進まっていくと、時は自ずと来る。

 ドラゴンの残りHPは二割。

 先程のときと同じような構えを相手は取った。隕石を生成、特大サービスと言わんばかりの星屑も。青年は悟る。

 

 

 

 ――――――来る。

 

 第一線が発射されたと同時に駆け出し、ドラゴンの長躯を駆け上がる。

 避けれるものは自身の能力(ステータス)を駆使し避け、不可能だと判断したら剣で切り裂く。

 常人離れした彼は、瞬く間にドラゴンの眼前まで迫った。上昇したステータスの数値は過去最高。だがここで逃したらまた不確定要素を生んだままお互い残ってしまう。

 ここが正念場なのだ。そんなカイはドラゴンに告げる。

 

 「そいつを待っていたんだ」と。

 

 手に持つ刃を振り上げ、振り下げ、左右に薙ぐ。短剣よりも刃渡りの長いそれは、確実に一閃一閃ダメージを叩き込む。

 高度が落ちかけたら、【体術】でダメージを稼ぎながら【跳躍】も平行運用し、再び己の刃を持って刻む。

 二割など、あっけないものであった。

 今回、あの大量の星屑が【四面楚歌】の範囲内であったことがドラゴンの敗因であろう。

 

 

 ドラゴンは無惨な音を残し消える。

 青年の、彼の、カイの勝利なのだ。

 

 

 

 

 ドームが解除されると、女王の声が響き渡る。

 

 「見事!そなたは我が試練を無事突破することができた。称賛に値する。よって、心ばかりの物を贈らせていただこう。」

 

 悪態をつきたくなったカイであったが、やっと報酬にありつけると分かり、多少は溜飲が下がった。

 彼女が従者に持ってこさせたのは、濃紺と白で彩られた宝箱だった。

 近づくカイに女王は、帰ってから開けろというので仕方なくインベントリにしまい込む。「うらしまたろうか」というなんともベタな彼のツッコミはNPCの彼女には届かなかった。

 

 「では、此度そなたと出会えたことを私は嬉しく思う。そなたの今後の旅に、星々による幸あれ。」

 

 女王が手を軽く振ると、煌煌たる粉のようなものがカイに降りかかる。足元に展開された魔法陣は、そのまま彼の視界を行きと同じく純白に包みこんでいった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 あのあと、町の広場で目を覚ました彼はそのまま宿屋へと向かい一室を借りた。

 今回手に入るものを大多数の人の前で披露してしまった場合、今後の主にPvPの要素で損をしてしまう可能性もあるからだ。

 まあそんなことはさておき、カイは目をワクワクとさせながらインベントリから宝箱を出し、開ける。

 

 「ゴールドが.......えっ?200万!?奮発しすぎだろあの女王サマ。それと剣、いやレイピアか。良かった装備できる.......。と、あとは.........ん?石?」

 

 黒がベースでちらほらと白銀が輝いて見える、見方によっては宝石とも捉えることができる石が一つ、高そうな内箱とクッションに包まれていた。

 そちらも気になるが、先にレイピアの性能を調べる。

 

 

  

導星の一閃 【STR+50 AGI+25】

【十二星座の加護】

 自身から半径15メートルの範囲にドームを設置する。ドーム内での自身のステータス+100%、敵のステータス−50%。ドームは1分後消滅。1日一回のみ使用可能。

 

内包スキル 

【群羊の王】

 自身に最も近い敵10体を操る。効果持続時間は3分。

 

【雄牛の守り】

 対象のVIT+30% AGI−25% 効果持続時間は5分。

 

【神託の代行者】

 自律行動可能なドッペルゲンガーを一体作成する。ステータスは対象の2倍。 スキルは使用不可。解除、または耐久値が0になると消滅。

 

【潮招きの刃】

 対象の通常攻撃に水の追加ダメージが入る。ダメージ量は自身のSTRの約7割。効果持続時間は5分。

 

【獅子の矜持】

 対象のSTR+50% 効果持続時間は2分。

 

【乙女の祈り】

 対象のHPを全回復させ、受ける回復効果+20% 効果持続時間は15分。

 

【蠍毒の一突き】

 対象の通常攻撃に状態異常の追加ダメージが入る。ダメージ量は最大で自身のSTRの約7割。

 

【天秤の釣り合い】

 対象2名の各ステータスを高い方に合わせる。効果持続時間は3分。

 

【撃手の器量】

 対象が遠距離攻撃時、その攻撃は自動追尾弾となり、敵に当たるまで残る。30発分効果持続。

 

【崖の王者】

 対象の通常のジャンプが3倍まで可能となる。効果持続時間は5分。

 

【泡沫の水盤】

 自身を中心とし、半径10メートルに水盤を生成。水に触れた敵はAGI−25% また、2秒に1つ起爆性のある泡を生成。敵に触れると自身のSTRの約5割のダメージが入る。効果持続時間は30秒。水盤は3分後消滅。

 

【幻魚の尾鰭】

 AGI+50% 水中の場合更に+20% 効果持続時間は3分

 

 ※内包スキルは重ねがけ不可。すべて一時間に一回使用可能。

 

 

 

 

 「っすー.......。欲張りセットかよ......。」

 

 ただの強武器ならカイは純粋に喜んでいたかもしれない。だが度合いが違いすぎたのだ。彼は一周回って冷静になる。

 

 「エグいだろ、シンプルに。バフ系ばっかだけど...、まあ加護って言ってるしな。うん、よし。あとはこの石か」

 

 カイは切り替えて、あと一つ残った謎の石を手に取る。しかし説明文を見ると......

 

 

輝石:共鳴

   武器、装備作成に使用可能

 

 

 「......えっ、それだけ?!」

 

 それだけである。実にシンプルな物だった。ここまで行くと内容すら分からなくなるが。

 

 「うーん、じゃあ明日とか生産職の人とか探してみるか。いや、リリースまだ2日なのにそんな凄腕とかいるのか?まあいいか」

 

 カイは明日の予定を立てると、ログアウトのボタンを押し、現実に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、運営陣では一つの叫びがあがっていた。

 

 「ああああああああ!!星の剣もってかれたああああ!!!」

 

 「は?あそこ入れるのリリースから一週間の間だけでしかも超低確率だから〜とかほざいてなかったかお前」

 

 「そうだよ!!しかもその奥には試練と謳っておいてボス級のドラゴン。初心者ステータスじゃ返り討ちに会う予定だったんだぞ!!」

 

 「どんなやつだよ取ってったの......」

 

 「こちらを御覧ください」

 

 そうして一人がスクリーンに動画を映す。そこには一匹のドラゴンと一人の男性プレイヤーの姿があった。

 

 「あー、はいはい。ここに入れた運以外は割と普通......は?おいなんでこいつ急にこんな強くなったんだ......?」

 

 「あっ!!このプレイヤー【四面楚歌】所持者だ!!」

 

 「どしたらあのスキルとれんの??」

 

 「つかこの動きスキルだけじゃないだろもう」

 

 「え、ただのPS?鬼畜すぎんよ......」

 

 「星の剣ってことは、あのスキル持ってったってことだよな...?」

 

 つぶやかれた誰かの一言により、その場の全員が青ざめる。

 

 「やばいやばいやばいって!!!」

 

 「バトルスタイルに完璧マッチしてんじゃね!?」

 

 「おいお前ら!!今後こいつは要注意人物だ!よく見とけ!!あとスキルもっぺん見直せええええ!!!」

 

 「「「「「はい!!!」」」」」

 

 

 その日から3日間ほど、運営会社では理不尽な残業ラッシュがおこったらしい。





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