破壊王の双子には兄が居るらしい。   作:なにぬねの

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原作ももちろん好きなんですけど、コミカライズのあの絵好きなんですよね。
ゆるくて可愛い感じ。それだけです。


兄は将来有望な生産職に会ったらしい。

 

 例の装備品制作専用の石を手に入れてから早一週間。カイは今日こそは、と生産職系のプレイヤーを求めて街を練り歩いていた。

 カイがすぐにこの行動に出ていなかったのには理由がある。それは単純に、リリース直後すぎてオーダーメイドまで担っている生産職が中々いなかったことにあった。

 そのためこの一週間をカイは新しく手に入ったスキルの操作慣れも兼ねてスキル集め、レベル上げに費やしていた。因みに、永遠の0を決め込んだVITへのバフが、パーセンテージの足し算だったことに対し彼は最初嘆いていた。「0は何掛けても0なんだから100%だって0なんだわ!!!」と言う叫びは周囲のフィールドに響き渡ったとかなんとか。

 ということで、現在のカイのステータスは以下の通りであった。

 

カイ

 

Lv26

 

HP 40/40

 

MP 85/85

 

STR 115(+50)

 

VIT 0

 

AGI 70(+25)

 

DEX 50

 

INT 45

 

 

頭装備 (空欄)

 

体装備 (空欄)

 

右手装備 導星の一閃 【STR+50 AGI+25】【十二星座の加護】

 

左手装備 (装備不可)

 

足装備 (空欄)

 

靴装備 (空欄)

 

装飾品 (空欄)

 

    (空欄)

 

    (空欄)

 

スキル 

 【片手剣の心得Ⅲ】【体術Ⅱ】【攻撃逸し】【跳躍Ⅰ】【四面楚歌】【パワーオーラ】【MP強化小】【MP回復速度強化小】【MPカット小】【魔法威力強化小】【水泳Ⅳ】【潜水Ⅳ】【投擲】【しのび足Ⅱ】【遠見】【魔法の心得Ⅱ】【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【ウォーターウォール】【ウィンドウォール】【ファイアウォール】【リフレッシュ】【ヒール】【火魔法Ⅱ】【水魔法Ⅱ】【風魔法Ⅱ】【光魔法Ⅱ】

 

 

 レベルは中盤くらいから上がりにくくなったとはいえ、スキルに関しては本人も頑張った方ではあった。抜かりがないとは言えないが、最初のうちはこんなもんで通用するだろう、と踏んでいる。

 そこでやはり目につくのは武器以外初心者装備のままなことであった。リリースから一週間もたてば、性能に差はあれ初心者装備はなかなか見かけなくなる。もちろん、まだ始めたての人は別だが。

 ということで、装備が欲しくなったカイは生産職者探しに繰り出すことになり、冒頭へ戻る。

 

 

 街を歩いていると一週間前よりはマシでも、賑わっているような店や工房はまだ少ない。ショーウィンドウを眺めていて、良い質のものがあっても後衛職専門だったりもする。こう言う所を見る度カイは、「奥が深いゲームだよなあ」と感じる。

 なにか良いところはないかとキョロキョロしていると、ある一枚のチラシに目が留まる。「オーダーメイド承ります」と書かれた張り紙は一発で貼り主がセンスのあるものだと分かるものであった。

 貼られていた工房のウィンドウにはあいにく商品はなく、参考にできるものがない。開店はしているようなので入ろうか否か迷っていたところ、軽やかな音とともにドアが開けられた。

 

 「ごめんなさい、気になっちゃってつい。私の工房になにかご用かしら?」

 

 出てきたのは爽やかな水色の長髪にレザーのゴーグルがよく映える、THE生産職とでも言うような女性だった。

 

 「あ、すみません。この、オーダーメイドってできますか?」

 

 「ええ。じゃあ続きは中ででもいいかしら?せっかくのお客様だもの。」

 

 カイは頷くと、女性の後についていき中に入っていく。

 そのまま彼女はカウンターの奥へ行き、カイと台を挟んだ形をとる。

 

 「まず最初に、はじめましてイズよ。生産職の中でも主に鍛冶を専門でやっているわ。」

 

 イズと名乗った女性は、装備が作れるらしくそれはカイにとっても良い情報だった。

 

 「あ、カイって言います。職業は剣士、ですかね?今回は装備を作ってほしいんですけど......」

 

 「もちろん大丈夫よ。ただ、そうね......。」

 

 イズはカイを一瞥し、心配そうに眉を下げる。

 

 「あなた、見たところ剣以外初心者装備よね。オーダーメイドって大体100万Gぐらいするけど、お金の方はたりるかしら?」

 

 「ああ、大丈夫です。多少はあるので。で、オーダーメイドを二件申し込むのってできますかね?」

 

 カイの言葉に、彼女の表情は一転しとても驚いたような顔つきになる。が、もともと冷静ではあるのかすぐに飲み込み、依頼の準備をしていく。

 

 「わかったわ、作る装備は体装備と足装備かしら?」

 

 「はい、それでお願いしたいです。」

 

 「うんうん。ちなみに、素材は一応持ちよりもできるけどどうする?」

 

 カイは「素材」という言葉に反応し、インベントリから例の石をそそくさと出す。

 輝きは色あせてはおらず、その分もちろん説明文にも変化はなかった。

 

 「あの、これって使えますかね...?」

 

 カイから石を渡されたイズは、しばらく見つめていた後口を開けた。

 

 「こんな石、見たことないわ。素材には使えそうだけどそれ以外が全くわからない。私の【観察眼】でもだめだわ。」

 

 残念そうな顔をしてカウンターに石を置いたイズは、カイにこの石の入手場所を問う。

 カイは彼女ならば問題ないと思い、例の件について詳しく語った。

 

 「妖精の女王に豪華な城......うーん、聞いたことがないわね。とりあえず素材に組み込んでみるけど、それで大丈夫かしら?」

 

 「ええ、鍛冶についてはさっぱりなのでおまかせします。できるならばSTR、AGlが伸びると嬉しいですね。」

 

 それからも、見た目の希望や追加の素材の確認、受け渡しの予定期日などについて二人は話した。

 ただ、カイが「この剣に合う、厨ニ心くすぐられる見た目がいいです。」と迷わず言ったことに対してはイズはより彼に興味を持ったらしい。

 粗方話をつけ終わった後、カイはイズの工房を後にした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 3日後、カイのもとにイズから依頼品完成の通知が届いた。本来は後2日後の予定だったので不思議に思った彼だが、生産職についてはからっきしなので特に疑問を持たずに工房へ向かった。

 

 「イズー、居るかー?」

 

 今回、依頼云々があったためフレンドになった二人はそのまま仲良くなっていた。

 名前を呼ばれた張本人は工房の奥から出てくる。

 

 「よかった、ログインしてて。例の装備のことなんだけれど......」

 

 「え?完成したんじゃなかったのか?」

 

 「もちろん、完成はしてるのよ。ただちょっと性能の方に異例が起きてね...」

 

 尋ねるカイにイズは困り顔で答えた。そしてそのままインベントリから今回作成した装備品を取り出す。

 見てみて、と言わんばかりに彼女はカイにそれを渡した。

 

 目一杯の装飾が施された黒のスーツに、両肩から片手までを包み込むマント。中にはピンと伸ばされシワひとつない白シャツと、首元にはそれとコントラストがとれた黒のネクタイ。下ももちろん、少々ピチッとしたタイプのスタイリッシュなズボンであった。金色と青系統のものでまとめられた装飾の数々は、美しさだけでなく力強さまでもをあらわしており、U字に垂れた金のロープの先のサファイアのブローチが強く主張する。

 

 「これってさ......」

 

 「ええ、軍服を参考にさせてもらったわ。レイピアにはやっぱりこれよね!執事服と迷ったけれど......どうかしら?」

 

 「ああ、予想以上。ありがとうイズ」

 

 正直ここまで出来の良いものがゲーム内で作れると思っていなかった彼は、今度はこれをきっちり着こなせるか心配になってきたがそんな贅沢な悩みなど言えるはずもない。

 ある程度見た目を確認した彼は、問題の性能面を見る。それは、予想などできるものではなかった。

 

 

ノーネーム 【共鳴:空欄】

 

 上も下もこの通り。一体誰が、スキルだけでなくステータスも名前もないと想像できただろうか。

 開いた口が直らないまま、カイはイズの方へ目をやる。

 

 イズは「実はね、」と事の経緯を話し始めてくれた。

 初め、イズの所持していた鉱石等の素材をベースに作ろうと思っていたらしいのだが、なんとその状態では例の石を組み込めないことが分かり一時中断。今度はそれをベースに作ろうとしたら逆に他の素材が使えなくなったらしい。仕方なく、デザインを決めてからその石のみで作ったらこうなったらしい。石から布が作れるなど、神もびっくりの設定である。

 

 「で、作成中に出た説明なんだけれどその【共鳴】っていうもの、好きな武器を登録することができるらしいの。それ以上は何もわからないから、下手に触らなかったと言う感じよ。」

 

 「一通りはわかった。【共鳴】ってやつ、登録してもその武器がなくなったりしないよな」

 

 「流石にないと思うわよ。そんな匂わせもなかったし」

 

 その言葉を聞けたカイは、早速その【共鳴】とやらをやるため、一度軍服を身にまとう。スクリーンショットの音がカイの耳には届いたが、それはまた別の話である。

 詳細欄を開き、空欄のところをタップする。「導星の一閃」と言う文字をドラッグし、【共鳴】を発動させた。

 次の瞬間、カイの目には先程までなかった様々な数値が目に入る。

 

 

 

御影の上衣 【STR+20 MP+40】

【破壊不可】

【賢者の秘法】

 ランダムで倒した敵の50%〜100%分のHPをMPに変換し、吸収。常時発動。

 

玉屑の洋袴 【AGI+30 INT+30】

【破壊不可】

【雪獄の罪人】

 水系統のスキルで攻撃した敵に5秒間の移動阻害を施す。常時発動。

【宿雪】

 致死ダメージを受けたとき、HP1で耐えきる。その後1分間、魔法攻撃系のスキル威力を上げる。

 

 

 「一体急に何があった.........」

 

 状況を飲み込めずカイはそう溢す。興味津々で彼を見ていたイズも、その数値を見てひどく驚いた。

 しかし、彼女はとある単語に気づく。

 

 「あら?ユニークシリーズ?」

 

 そうつぶやかれ、カイの意識はそちらに行く。

 

【ユニークシリーズ】

 単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略したものに贈られる、攻略者だけの為の唯一無二の装備。

 一ダンジョンに一つきり。取得したものはこの装備を譲渡出来ない。

 

 「ダンジョン...ええ、あれってダンジョンカウントなの?しかもこれだって出た石から作ったし...」

 

 「でも、こっちの剣にもその表記出てるわよ?【共鳴】の件もあってこれをベースにした装備だし、いいじゃない。損するわけじゃないんだもの。」

 

 イズが指したところを見ると、確かにレイピアにもその単語があった。

 

 「それもそうか。よしっ、考えるのやめ!せっかくゲットできたんだしな。」

 

 頭を振り無理やり切り替える。

 着ている装備はカイの外見にも丁度合っているが、いかんせん靴は初心者装備のままなので若干ちぐはぐ感はある。少し凹んだカイを見て、イズは「少し待ってて」と言いインベントリをいじる。

 彼女が取り出したのは、固めに見える黒の編み上げブーツと軍帽。まるでカイの装備に合わせて作ったかと言うようなものであった。実際、そうであるが。

 

 「これ、あなた用に作っておいたのよ。よかったら使って?」

 

 「え?いや、それはいくらなんでもサービス過多だ。お金とかもあるし」

 

 「カイにすでに支払ってもらった金額には私が後で使うはずだった素材の代金も含まれてるのよ。だからむしろこれでとんとんな位。補足されるステータスもあなた向きのはずだわ。」

 

宵闇のブーツⅧ 【AGI+20】

 

猛者の象徴Ⅹ 【DEX+10 MP+10】

 

 2つの装備は確かに、カイのステータスにはちょうどよいものである。

 結局、イズの押しに負けたカイは装備をそのままもらうことになった。

 

 「とはいえ、やっぱりただじゃ悪いからたまに素材の現物とか情報とか持ってくるよ」

 

 「別にいいのに。まあそれは有り難いわね」

 

 「俺が気にするんだよ。靴と帽子の整備にも定期的に来るんだしついでだよ」

 

 そんな戯言をかわしながら、カイはイズの工房を後にする。

 もちろん新しい装備を前に我慢などできるわけもなかった彼は、軽くモンスターをしばいてログアウトをした。その時カイの装備は当然目を引くわけで―――

 

 

 

 

47名前:名無しの魔法使い

お前ら姫の軍服見たか???

 

48名前:名無しの大剣使い

なんそれ知らんkwsk

 

49名前:名無しの槍使い

>47

知ってるしスクショ済み

http.photo....

 

50名前:名無しの弓使い

それシンプルに盗撮だけど最高

 

51名前:名無しの短剣使い

けどこれで余計野郎か女の子かわかんなくなったよな

 

52名前:名無しの大剣使い

あーね 結局どっちだろ

 

 ・

 

 ・

 

 ・

 

60名前:名無しの大盾使い

すまん しゃべったら...めっちゃ男だった......

 

61名前:名無しの魔法使い

はああああああああ

 

62名前:名無しの弓使い

なんっだと........

 

63名前:名無しの槍使い

>60

つかいつ喋ったん?

 

64名前:名無しの大盾使い

一週間前にNPCの店聞かれた

声低い(イケボ)で仕草、言葉遣いも完全に野郎のそれです

 

65名前:名無しの大剣使い

俺たちの姫がああああああ

 

 

 

 

 

 

 

 

スレは一時期低浮上になったらしい。

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